仮免提督といじわる空母・改二   作:萩原 優

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現在4-1です。もう全部丁にしようかな。もうだめだぁ・・・おしまいだぁ。

さて、物語は佳境へ。うちの赤城さん、ほんと血の気が多いですね。そこが好きなんですが(`・ω・´)ゞ

お話はぼちぼち集束していきますが、後日談と言う形で投稿自体は続けようと思ってます。準備中の一次創作との兼ね合いになりますが。

どうぞお楽しみに!


第135話『ひとつの決着』

Starring:赤城

 

 憲兵さんは、昏倒した兵隊たちを引っ張り出し、乱暴に叩き起こした。隊長さんは強い口調で何事かを詰問し、木葉司令のもとにやってきた。

 彼女の顔が不快そうに歪む。いつもの快活な姿からみると、珍しい表情だった。

 

「大変よみんな。彼らは、地下会議室を爆破して、要人たちを生き埋めにするつもりらしいわ」

「えっ?」

「それを全部深海棲艦がやったことにして、戦争継続ってわけね」

 

 冗談ではない。よくもそれで国防がどうだとか言えたものだ。

 

「どうします? ご主人様」

「親潮、あなた達は皆を率いて会議室へ。救出までいかなくていいから、爆薬の設置を妨害しなさい」

「ハッ!」

 

 親潮さんたちが敬礼し、小銃を掴んで走り出す。

 宏武さんは眠ったままだ。

 

「どうせ久我は中央司令室でしょう。私たちで押さえるわよ」

「おkです!」

 

 木葉司令は、拳銃を抜き、初弾を装填した。いざとなれば自分も戦力になるという決意表明だ。この覚悟を、久我にも見習ってほしい。

 

「行くわよ!」

良候(ヨーソロー)!」

 

 赤城たちは、中央司令室に進撃する。宏武さんも、日本も、絶対救う。

 

 しかし、そんな決意とは裏腹に、中央司令室で待っていたのは、厳重な機関銃陣地だった。しかも机を利用したものではなく、砂袋の山だ。

 そしてこれ見よがしに設置されたものは、大げさに『DANGER』と表示された、金属の箱だった。

 

「どうせブラフです! 突っ込みましょう」

 

 提案するも、木葉司令は(かぶり)を振る。

 

「本物の可能性も高いわ。起爆されたら面倒よ」

 

 自分と漣は艦娘だから、生き埋めになっても死にはしないだろう。だが掘り出すまで放置されたら、さすがに生命活動を維持できない。そして木葉司令たちは、当然生きてはいられまい。

 

「ご主人さま、まずいんじゃ?」

「まずいわね」

 

 実際まずい。ここで手をこまねいて、和平派の重鎮たちが全滅したら。自分たちは久我に屈するしかない。

 

「親潮、そちらは?」

 

 木葉司令が無線機を取り出す。しかし返答は思わしくない。

 

『申し訳ありません。封鎖された通路に爆薬が設置されています。無理に突入するのは難しいです』

 

 どうやら、向こうの防御も厳重らしい。正直手詰まりだ。宏武さんの限界もある。気は焦る。

 

「……せんぱ」

 

 艦娘の聴力が、銃声の中宏武さんの言葉を捉えた。

 

「司令!」

 

 背中を叩くと、彼女はすぐ意を察した。

 

「先輩、……を、持って……すか?」

 

 それは、銃撃戦に必要な物資とは程遠い物だった。しかし、木葉司令はそれだけで理解した。ベッドに放り込んだままだった、ポーチに手を突っ込む。

 

「慌てて鞄に入れたままだったけど、ラッキーだったわ」

 

 彼の意図を理解して、赤城も同じように鞄を漁る。鳳翔さんに選んでもらったものだけど、まあしょうがない。木葉司令は軍医からコップを受け取り、それ(・・)を流し込み、かきまぜた。あたり一面に不快な臭いが広がる。そして渡されたコップを、漣が受け取り、投擲した。

 

「ガスよ!」

 

 木葉司令が叫ぶ。地面にたたきつけられたコップはそれ――香水の原液(・・・・・)をまき散らす。歩兵にとってガスは天敵。兵士たちはパニックの中ガスマスクを探すが、そんなものがここにあるわけがない。赤城は飛び出した。士官の襟をつかんで、容赦なく地面にたたきつける。

 他はもう、放っておく。彼女は全体重を乗せて、司令室の扉に蹴りを叩きこんだ。香水の香りが司令室に充満し、室内はパニックになる。

 

「久我広路(こうじ)! くたばれ!」

 

 司令室の巨大な机を駆けあがり、ディスプレイを踏みつぶし、赤城は仇に迫る! こいつが、こいつさえいなければ!

 

「赤城! 駄目よ! 彼を殺しては爆弾が!」

 

 木葉司令の一言が無ければ。そして宏武さんの意識が戻っていなければ。久我の首はすっ飛んでいたかもしれない。不本意だったが、彼の前で人を殺すのははばかられた。それに、こんなに簡単に幕を引いていいわけが無い。

 

 不満だったのは、久我が取り乱したりせず、直立したまま赤城の殺意を受け止めたことだ。

 

 木葉司令が久我を押しのけて端末に取り付く。最後に彼女は、久我にスコープのようなものをのぞき込むように命じた。何らかの生体認証だ。

 

「起爆装置は解除したわ」

 

 赤城は頭の血が体に戻って行くような感覚を覚えた。もし久我を殺していれば、爆弾の解除は相当に手間取り、宏武さんの治療もそれだけ遅れた。

 

「随分潔いのね」

 

 木葉司令は皮肉を言う。久我は自嘲し、唇をゆがめた。

 

「ここが落ちた時点で、私の負けは決まった。ならば事態の収束を邪魔するべきではない」

「道理ね。部下たちに投降を呼びかけなさい」

 

 久我は頷く。振る舞いとしては立派かも知れない。でも津田宏武なら、泣きながら許しを請うことも厭わない。涙を流すのに資源は必要ない。仲間を救うための対価ならプライドなど軽いもの。そう(うそぶ)く彼が、赤城には何億倍もかっこよく感じる。

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