なので、前倒しての本日投稿になります。
始まりました。最終決戦。決戦は坊ノ岬です。人類は、艦娘たちは、幸せを掴むことができるか?
第二次坊ノ岬沖海戦、開幕です!
Starring:赤城
攻撃隊の突入が始まった時、空は曇り始めて、艦載機たちを覆い隠していた。電探による迎撃も受けていない。全て人類軍の航空攻撃が引き受けてくれた事になる。
(南部さん、最高の祝福です)
彼らが送ってきたバンクは、妖精さんを通してちゃんと見えていた。返さなかったのは、攻撃の為に編隊の維持を優先したからである。
(でも宏武さんの面倒は、私が見ますけど)
トトトトトト!
突撃信号と共に、人類軍が空けた大穴に、流星たちが突っ込んだ。
この時、防空艦たちは連携が乱れて輪形陣を維持できなくなっていた。それでも臨時の陣形を組み直す、まさにその途中、
艦爆は上空から爆弾を叩きつけるが、艦攻は低空飛行がものを言う。高速戦艦も防空艦もの連携が取れていない。空母は丸裸だ。
水柱が上がる。
――数刻前
「諸君、悪いが今回は作戦なしで敵艦隊に突っ込んでもらう」
宏武さんは、まだ立ち上がる元気はないようだ。高速艇の上で霞さんに支えられている。その発言は、かなり過激なものだった。しかし、文句を言う者はいない。新しく来た艦娘たちも、ベテラン艦の落ち着きぶりを見て気持ちを落ち着けた様子だ。
最高の艦隊ですね。そう思う。
何故か、大和さんと大淀さんと瑞鶴が、居心地悪そうに咳払いをしていた。
「つまり、敵は提督さんの嫌がらせ攻撃に慣れているから、裏の裏をついて正面から力攻めをするって言うことね?」
瑞鶴がみな言ってしまった。宏武さんは脂汗の浮いた顔で首肯した。
「瑞鶴の言うとおりだ。ちょうど彼女の名前通りの、鶴翼を逆向きでやる。と言うより、ドイツ陸軍のパンツァーカイルだ」
ざわざわと無線が飛び交う。ビスマルクさんが言った。
「最高じゃない!」
宏武さんは頷く。
「空母機動部隊。赤城の指揮で可能な限り敵旗艦までの道を開けろ。艦隊戦の先鋒は長門と陸奥だ。大和、お前は――」
「敵旗艦を一刀のもとに斬り伏せます!」
彼は満足げに笑い、立ち上がろうとして膝から崩れ落ちる。霞さんがそれを助け起こした。頑張り過ぎだ。無理が一気に跳ね返ってきたに違いない。駆け寄りたいが我慢する。今は彼の為にやらなければならないことがある。
「ほぼ……ぶっつけ……本番だ。細部は赤城と長門、お前らが……。補佐は大淀、瑞鶴、に」
息を乱す宏武さんを、霞さんが担ぎ上げた。容赦がない。
「後は任せなさい。あんたは勝利を待ってればいいの!」
そのまま船室に運び込んでしまう。お世話役の漣が苦笑していた。彼女にしてみれば強力なライバルである。
「あー、うん。では指揮は私と赤城が引き継ぐ。それまで陣形を維持しつつ西へ向かうぞ!」
長門さんが皆を鼓舞する。全員が一斉に良候! と答えた。
「それから大和。私はずっと、
大和さんは驚き、その後微笑み、長門さんの手を取った。
「こちらこそです!」
加賀さんが、赤城の袖を引いた。
「赤城さん、まだ主役の言葉がないわ」
この人には、みんなお見通しなんだな。自分にとっても彼女にとっても、当然のことだが。
「祝福するわ。でも……」
「もちろんです。私も加賀さんの相棒は譲れませんよ」
笑いかけたら、加賀さんは目を逸らした。口元が緩んでいるのは指摘しないルールだ。
赤城は皆に向き直る。艦隊旗艦として。
「では皆さん! 行きましょう! 坊ノ岬へ!」
「坊ノ岬へ!」
数刻後 ヒトヨンサンマル――14時30分
航空機の応酬は、とりあえず終了した。
練度の問題が懸念されていた雲龍姉妹は、大鳳の指揮で良く踏みとどまり、敵艦載機の猛攻から艦隊を守り切った。代償として中・大破判定を受け飛行甲板が使用不能になり、駆逐艦の護衛で後ろに下がる。
「ありがとっ! あとは任せて」
「はいっ! 先輩!」
艤装から煙を吹いて後退して行く葛城を、瑞鶴がねぎらう。ぼろぼろだったが、役に立てたことが嬉しいのだろう。彼女の声は明るかった。
「二水戦、敵重巡を排除します」
「第七駆逐隊、先陣はもらうわよ」
「お願いします!」
作戦は時間通りに推移した。齟齬はない。みな為すべきを必死になしていた。
戦闘は、局所的な優勢を保っていた。敵の先鋒はぐしゃぐしゃ。敵旗艦への道は開きかけている。しかしあくまで一時的なものだ。敵の陣形が組み直されれば、結局数の力で揉みつぶされる。
『三水戦より艦隊旗艦へ! 旗艦直衛は案外固い。敵重巡一隻撃沈、他一隻中破! これが夜戦なら!』
川内の言葉は、決して趣味の問題ではあるまい。夜戦ならもう少し被害を拡大できていた。しかしもう、夜までは待てないのだ。
「私の出番ね! 敵艦隊を蹴散らすわよ!」
足柄さんが前に出る。小さくつぶやいた「……待っててね」の声が聞こえてしまった。当然聞かなかったふりをする。
「お願いします。敵重巡に穴を開けないと戦艦が突入できません!」
「戦艦部隊の護衛は任せて! 私たちもすぐ追いかけるから!」
オイゲンさんの見送りに親指を立て、妙高型、高雄型たちは戦場に向かう。まだ、鶴翼の矢は敵の喉元に届かない。