仮免提督といじわる空母・改二   作:萩原 優

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ゴジラ最高でしたね。高雄さんは残念でしたけど、改二だったらゴジラなんて捻ってたと思います。

なので公式さんお願いします(´;ω;`)


第30話「提督と霞の、ナニしないと出られない部屋(その1)」

Starring:提督

 

14:02(ヒトヨンマルニ) 執務室

 

 駆逐艦霞。戦闘から裏方までこなせるオールマイティな艦娘。特筆すべきは作戦全体を俯瞰して戦える事だ。こっちか水雷戦隊に求める物をちゃんと認識して動いてくれるから、艦隊に彼女がいるだけで安心できる部分はある。

 

 弱点と言えば。

 

「用があるなら目を見て言いなさいな!」

「はぁ!?それで逆ギレ?だらしないったら!」

「ったく…どんな采配してんのよ…本っ当に迷惑だわ!」

 

 ひたすら口が悪いことである。

 

「なあ。俺って霞に嫌われてるんかな?」

 

 何ともなしに愚痴が出た。別に霞を嫌っていない。嫌っていないが、あそこまで言われればヘコむもんはヘコむ。叱責が適切なものである事に気付いた後は特に。

 

「霞ちゃんが秘書艦の時って、いつも手ひどくやられてますもんね」

 

 お茶を運ぶ漣は楽しそうだ。他人事だと思ってやがるな。実際他人事だが。

 

「でも変ですね。霞さんが厳しく叱るのって、木葉提督と津田提督だけですよ?」

 

 首をかしげる大淀。先輩も? それは初耳だ。

 

「確か霞ちゃんって、ここに来る前は横須賀で事務仕事を取り仕切ったりしてましたよね? その時も怒らなかったんですか?」

「そうですね。聞いたことがありません」

 

 なんだそりゃ? 俺だけが言われるなら、俺が嫌われてるだけだが、先輩まで詰められてるってのはどう言う事だろう?

 

「霞ちゃん、なんか"必死(ヒッシダナ)なんですよね。ちょっと心配になるっていうか」

 

 そこまで言われて、違和感の正体にやっと気づいた。彼女の叱責は、確かに切羽詰まったものを感じる。それが何故なのか? 何故俺と先輩なのかは分からないが。

 

「一目惚れとか?」

 

 漣が人の悪い笑いを浮かべる。もちろんそんなものは無いだろ。

 

「そう言うのは置くとしましても」

 

 キーボードを打つ手を止めて、大淀が遠慮がちに言う。

 

「相互理解は試みるべきではないかと」

 

 確かにそうだな。霞の物言いには邪気が無い。悪意を感じないどころか、こちらが受けるダメージをちゃんと分っていて敢えて言っている節がある。ただの印象論だが。嫌われるのを覚悟して、そこまでするのは何なのか。それは知りたい。

 

「話は聞かせてもらいました! ガラッ」

 

 ノリノリで飛び込んできたのは工作艦明石。なお口で「ガラッ」とか言っているが、執務室は開き戸である。

 

「ちょっと明石。ちゃんとノックしてちょうだいっていつも言ってるでしょう?」

 

 なんかおかんみたいだな大淀。だがまあ鍵をかけずに深刻めの話をしていた俺にも非はある。

 

「霞さんと仲良くなるためのスペシャルなアイテムを開発したんです!」

 

 それはそれは。絶対使いたくない系のやつだな。きっと。そんな考えが顔に出てしまったのか、明石は少しだけむきになる。

 

「ちゃんとしたものですって! 名付けて『ナニしないと出られない部屋体験セット』!」

 

 ……。

 嫌な予感は的中である。

 

「大淀。壊しといてくれ」

「はい。直ちに」

 

 大淀は事務机から立ち上がる。明石は両手をぶんぶん振ってそれを押しとどめた。

 

「ちゃんといかがわしい目的には使えないように作ってありますって!」

「逆に聞くが、いかがわしい目的以外の何に使えるって言うんだ?」

 

明石はあごに手を当て、そうですねーと思案する。既に嫌な予感しかしない。

 

「例えばですよ? 一緒に『スターウォーズ』シリーズ全9作を見終わるまで出られないとか。そこで打ち解けるわけですよ」

 

 こいつは何を言ってるんだ? 俺は不機嫌になって腕を組む。

 

「明石。お前は何も分かっていない」

「そ、そうですね。私からよく言って聞かせますのでここは……」

 

 どうやら大淀は、俺が明石を罰するかと思っているらしい。だが俺は考え違いを指摘したいだけだ。

 

「そうじゃない。SWは全6作だ。自称続編の3作などこの世に存在しない」

「は?」

 

 なんか宇宙人を見るような目でウォッチされているが、ここは譲れませんだ。

 

「あと特別編はやめてくれよ? 旧版が入ってるDVD持ってるから、それを流してくれ」

「あのご主人さま。まさか本当にやるつもりですか?」

 

 漣と大淀がなんか不安げだが、人類皆兄弟。一緒に映画を観れば分かり合えるさ。

 

「その提督? ひょっとしてただ映画観たいだけでは?」

 

 そうは言うがな。SWみたいな有名シリーズを、まっさらな人間と一緒に見るなんて機会、そうないわけよ。『私がお前の父なのだ(No, I am your father)』で「ええっ!」ってなるやつ、今時希少だろ?

 

「じゃあ明石、この件は頼むぞ? 俺は今のうちに出来る仕事を片付けておくから」

 

 漣がくそでかため息を吐いているが大丈夫。上手く行くって。だってSWだもん。

 だが浮かれた俺は忘れていた。拗らせたオタクの暴走は、大抵の場合上手くいかない事を。

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