こう言う事言っておいて感想が空なのが一番むなしいのでオナシャス…(;´Д`)
Starring:提督
飛龍の件で気を付けてたつもりなんだがな。いつものノリで突撃してきたのは高雄達なんだから、不可抗力ってことでいいのか? そんな考えが浮かぶのは、もちろん現実逃避からである。
ビスマルクは腕を組んでこの部屋の皆を睥睨し、オイゲンはそれをおろおろと見守っている。後から入って来たグラーフは、何故か赤城と加賀に笑いかけている。
「あなた達はずかしくないの?
Reich――ライヒかぁ。うろ覚えの知識だが、
そして皆の視線が俺に集中した。やっぱり俺が答えるのね。
「それはだな。平時においてレクリエーションを充実させる事によって艦娘たちの心の健康と働き方改革の勤怠管理と持続可能なハラスメント対策のコンプライアンスがサブロク協定で」
「何を呪文みたいな事を言ってるのよ!」
「す、すまん」
日本艦たちが「ああやっぱり駄目だったか」と言う顔をする。俺だってうまい方法なんて思いつかねーよ!
「だいたい、ゲームだの映画だのって、艦娘にそんなもの必要ないじゃない!」
必要ない、か。もしかしたら、それは正しいのかも知れない。実際真面目な高雄や霞などは、気まずそうに目を逸らしている。戦場では役立たずだが、こんな時盾になるのが俺の仕事だろう。
「断言する。それは何よりも大切なものだ」
高雄が安堵の息を漏らす。心配しなくても、お前がセガのゲームを手放す時は、俺が更迭される時だ。反対にビスマルクはむっとした表情をする。
「私達は! 皆自分が沈んだ日の復讐戦のために生きているのよ! こんなところで遊んでいて何になるのよ!」
不安そうにやり取りを見守っていたオイゲンは、ビスマルクの言葉に何故か身を固くした。俺だって多くの艦娘が、そんな思いを抱えている事は分かっている。それを叶えてやるのも提督の仕事だろう。だがそれ
「お前の意志は尊重する。だが少しだけでいい。ここの艦娘たちと生活を共にして、その上で判断して欲しい」
恐る恐ると言った体で、オイゲンは彼女の顔を見上げる。
「姉さま、ここは様子を見た方が……」
だがビスマルクは首を振る。どうしても譲れないという風に。
「アイオワから有能と聞いていたけど、とんだ腑抜け提督ね!」
身を乗り出した霞を加賀が押さえた。高雄の顔をも思いっきり不機嫌そうだ。それだけでもやばいのに、一番のボスキャラがやる気満々だった。
「ずいぶんな物言いですね? 私たちは私たちの流儀があります。理解できないのは仕方ないにしても、初めから理解する気がないというのは、少々狭量ではありませんか?」
俺は安堵した。何故安堵したかって? 本気を出した赤城に比べたら、まだ穏当な言い回しだったからだよ!
まあ怒るわな。彼女にとっての手芸は、
ビスマルクと言えば、正論を突きつけられてぐぬぬしている。静観を決め込んでいたグラーフが、ベストなタイミングで割って入った。
「ビスマルクの負けだ。”郷に入っては郷に従え”という言葉は、日本にもあると聞いた。それに私たちは、この国の海軍から学ぶ必要がある」
これには彼女も矛を収めるしかない。その後グラーフが余計な事を言わなければ。
「あと赤城が言うならその通り。間違いは無いはずだ」
そ、そっすか。ビスマルクが凄い目でグラーフを見ている。裏切り者とか思ってるんだろうな。
「では少佐。お願いしますね」
高雄が急に言い出した。何故だかドヤ顔で。え? 何を?
「彼女たちを洗脳するんです。将棋でも温泉でも夜釣りでも何でもいいですから、いつもみたく」
「お前俺をSFドラマの宇宙人かなんかと勘違いしてるだろ!」
あいつら光を当てるだけで人間の意志とか奪うからな。いやそれはどうでも良い。
「でも実績がありますよね?」
駄目押しに赤城が言う。高雄と霞が気まずそうにそっぽを向き、未だ状況が理解できていない日向が首を傾げた。
「とは言えなぁ。彼女は”艦娘が趣味を持つ事”だけじゃなくて、”趣味を持った艦娘が満足に戦える事”が疑問なんだろ? 今の状態で無理に趣味なんか持っても、問題の解決にならんのじゃないか?」
と言うか、かえって罪悪感とか抱きそうだ。彼女の発言を考えるに。
「とにかく! 私は私でやらせてもらうわ!」
肩を怒らせ、ビスマルクは退室する。申し訳なさそうに、オイゲンがぺこりと頭を下げ、彼女の後に続く。
「で、じゃあどうすんのよ?」
い二人を見送った後、いらいらを隠さず霞が言う。どうするったってなぁ。
「しばらく一緒に過ごせば、わだかまりも消えるんじゃないか?」
一見投げやりだが、結局様子を見るのが一番適当な気がした。仮免提督はヘタレなのだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
Starring:ビスマルク
「悪くないじゃない。むしろ良いわ」
金剛主導の初訓練は、つつがなく終わった。というより完全に舌を巻かされた。
「練度が低い」と言うのは、未熟である事とイコールではない。船の身体から人の身体になった感覚のずれや、80年のブランクが戦闘力を押し下げているだけで、
艦娘になって間もないため、経験が生かせないでいるが、そう言う意味では〔ビスマルク〕も〔プリンツ・オイゲン〕もあのライン演習作戦を戦った精兵だ。軍艦を見る目はあるつもりである。
「金剛達、息が合ってましたね。航空戦艦たちも、連携が凄かったです」
恐る恐るこちらを見てくるオイゲンだが、調査の手を緩めるつもりはないのである。
「姉さま。そろそろ皆と打ち解けられた方が……」
「いいえ! 私は迎合しないわ!」
ビスマルクはぐっと拳を握り。泊地の改革を誓うのだった。
「そう言えば、グラーフは?」
「グラーフなら、赤城と加賀とお茶に行きましたけど」
「裏切り者!」
まあこの訓練ぶりを見たら、グラーフでなくても皆から学ぼうと考えるだろうが。
「そうか。そう言う事ね。皆が優秀だから、提督と一部の艦娘がさぼってるのよ!」
「そ、それはちょっと無理が」
いやそうに違いない。まず提督を調べてみるべきだ。
「
「はいお姉さま。何やらにおいますね」
「そうでしょう?」
暫く後を追っていると提督は赤城と合流する。そのまま二人は連れ立って歩き出す。後を付けようと思った時、突然赤城が立ち止まった。
「どうした?」
提督は首をひねる。赤城はちらりとこちらを見やった。何故か悪戯っぽい笑いを浮かべる。
「いえ、何でもありません」
それだけ言って、提督の後を追う。
「ばれたかと思いました」
「距離をとってつけてるのよ? そうそう見つかるわけが無いじゃない」
とはいうものの。ちょっとひやっとした。二人はそのまま演習室に入って行く。機密保持のために、ここのセキュリティが厳重なのは祖国と同じであろう。つまりこれ以上の追跡は不可能である。
「まさかと思うけど、あの提督はここで艦娘と無理矢理……」
「でも艦娘の腕力に人間が敵うでしょうか?」
「そこは脅すとか人質をとるとか」
「まさかそんな」
「オイゲン。男は狼なのよ?」
さすが姉さまですと言う賛辞をスルーして、ビスマルクは演習室の硬い扉を見つめた。ちなみに男は狼云々は、前世で水兵が言っていたのを聞きかじっただけとは、口が裂けても言えない。
「ふたりとも、何やってるネ? 訓練後は休息をとった方が良いデース」
背中を取られて反射的に振り返る。流石は船としても艦娘としても熟練の高速戦艦である、
「出たわね! 英国かぶれ!」
我ながら酷い言いようだったが、口から出てしまったものは仕方がない。言われた金剛は怒らず、苦笑を浮かべた。
「テートクの事が知りたいなら、後をつけるよりもっといい事があるネ」