私は両方持ってたけど、サターン派でしたね。でもセーブにボタン電池が必要な事を知らずに、何度もやり直しては、「???」ってなってました。パワーメモリー最高!
皆様はサターン派、プレステ派どちらでしたか?
Starring:提督
〇
今日の高雄は何か違った。抱えているのがセガのゲーム機と言うのはまあいつも通りだが、なんか気迫と言うか「良い大人がそこまで張り切るか感」みたいなものを出してくる。こういう時の彼女は、何かやり遂げるか盛大にやらかすかなんだよなぁ。何が起こるか怖い。
「少佐、今日こそ絶対に勝たせて頂きます」
座った目で言われると、勝負云々より心配になって来る。
「何かあるなら、相談に乗るが? 金でも多少は何とか」
そんな事を言ってしまったが、彼女はペースを崩される事も無く。
「相談しても無駄だから勝負を挑んでるんです」
と、わけわからん事を言う。やっぱり心配になって来る。
「意味が分からんのだが」
「それはいいです。やるんですか? やらないんですか?」
そうまで言われたら受けて立つしかない。彼女の真意はまた聞くとしよう。
「分かったよ。ゲームはどうする?」
高雄はふふふと不敵に笑った。この顔がぐぬぬする様を何度も見てきたわけだが。
「岩男メガワールドです!」
岩男か。令和になっても新作が発表され続けている名作アクションゲームだ。難易度はそれなりに高めだが、一度やり出すともう1コンティニュー、もう1コンティニューと続けてしまう中毒性がある。かく言う俺も中学生のときにタスさん製作の攻略動画を見まくった記憶がある。
「それにしてもメガドラ版か? ファミコン版じゃ駄目なのか?」
メガドラ版はやったこと無いから操作感がなぁ。
「駄目です!」
「えっ? でもだな」
「セガじゃなきゃ駄目です!」
そ、そっすか。
「分かったよ。じゃあ2コンティニューで倒したボスの数を競うってのはどうだ?」
「良いでしょう。今日こそバカめと言って差し上げますわ」
かくて戦いの火ぶたは切って落とされた。高雄もそれなりに練習しているようだが、俺は先輩に鍛えられて何度も
「どうした? いつもなら何か仕掛けて来るんじゃないか?」
俺はさっそく第一のボスを撃破して、鼻歌交じりで次のステージをセレクトする。この勝負は盤外の戦いを含む。高雄もイレギュラーな要素が勝敗を分かつ怖さを理解できているが、だからと言ってそれをコントロールするにはもう少し時間がかかるだろう。俺はそれまでとことん付き合うつもりだ。俺は彼女が何をやってくるか、半ば楽しみに待つ。
「ええ。そうさせて頂きます」
高雄は自信たっぷりに前置きして、勝負に出てきた。
「少佐は、赤城さんをどう思ってらっしゃるんですか? 愛しているんですか?」
ティウンティウンティウン!
特徴的な死亡音声が執務室に流れた。
「……おい。流石に卑怯じゃないのか?」
「あら? この勝負は卑怯さも競ってるんですよね?」
「……」
くそっ。まさか高雄がこんな隠し玉を用意してるとは。なんて卑怯な奴なんだ。
「はい? お呼びですか?」
事務机でExcelの練習をしていた赤城が顔を出す。よりにもよって本人がいる時とは。
「いいえ。少佐って赤城さんの事が好きですよねって話してたんです」
そんな事一言も言ってねえ。案の定赤城は胡散臭そうな目を俺に向けてくる。実際疑わしいどころか根も葉もないわけだが。とは言え高雄の面前でいつもの態度をとるわけにいかなかったのか、赤城は無難な返事をして席に戻って行く。作業中の漣が何かチラチラとこちらを見ているが、聞かれなくて良かった。何を言われるか分からんからな。
「やるようになったな高雄。だがもう手の内をさらした以上、このやり方は通じないぞ?」
「そうでしょうか?」
高雄はふふんと笑う。ものすごく嫌な予感がした。
「赤城さんって、おっぱい大きいですよね?」
ティウンティウンティウンティウン!
気付けば自機はもう半分以下になっていた。
「おーけー。今日はこの路線で行くわけだな? だがもう通じんぞ?」
「そうでしょうか?」
高雄はまた笑う。なんか少しだけ。ほんの少しだけ負のスパイラルに入っている気が。
「話は変わりますが、漣さんの事はどう思ってらっしゃいますか?」
何で漣? 何か罠があるのか?
「よく分からんが、あいつの名前が何故出てくる?」
ゲームに集中していたから、高雄の顔は見えない。だか小さな溜息が聞こえた。
「うーん。脈無しに見えはしますが」
「いったい何なんだよ?」
「いえいえ良いんです。それよりこの間、漣さんが整備科の新人隊員さんと逢引きしてたのを見てた子が……」
ティウンティウンティウン!
ちょっとまて! それはもうゲームどころじゃねぇ!
「その馬鹿はどいつだ!? 相川か? それともこの間入った森本か? もし本気なら話だけは聞いてやるが、遊びなら俺は貴様をぶっこ――」
「独占欲はあるみたいですね。ちなみに全部嘘です」
俺は両手で頭をガリガリと
「ほらほら。まだこんなものじゃないですよ?」
「……」
それからボスは一人も倒せなかった。
「えっ? ご主人さま負けたんですか!? 高雄さんオメです!」
「いえいえ。これも漣さんの励ましですわ」
高雄の口角がぐいっと上がる。見事なドヤ顔である。
「それでどう言うやり方で勝ったん――」
「あーあーじゃあ俺は何をすればいいんだ?」
当然ながら質問は遮らせて頂いた。あぶねー。あんな会話、本人に聞かせられたもんじゃない。
「硫黄島作戦を旧計画に戻すよう、上申してみるか?」
高雄は首を振る。そっとだが力強く。
「もうそれはいいです。それよりひとつお願いを聞いてください」
「おう。お前ならそんな無理は言わないだろうし、構わんぞ」
ちなみに毎度毎度「そんな無理を言う」やつに関しては、読者諸氏のご想像にお任せしたい。たぶんそれで正解である。
「もちろんごく簡単なお願いです。漣さんと遊園地に行ってきてください」
なんかよく分からない指令が来たな。
「おいどういう」
尋ねようとした時、ばさばさばさと音がする。振り返ると書類入れをひっくり返した漣が、こちらをみつつ固まっている。漫画だったら目がぐるぐるしてそうだ。大丈夫かと尋ねようとした時、彼女は鳴いた。
「は、はにゃあ!」
どうやら大丈夫ではないらしい。