でも私の中で飛龍は飛龍で、やりたい事があると奔放になるイメージがあって、それなら相方の蒼龍がそこをフォローするのもありだな。という形で現在の解釈になりました。
皆さんは二人の関係にどんなイメージを持たれてますか? 今後の参考にしたいので、よければ教えてくださいヾ(*´∀`*)ノ
※スミマセン! 予約投稿の時間を間違えてました٩(′д‵)۶ 22日公開です。
Starring:蒼龍
執務室で変な板をつついている男性。彼が提督らしい。特に凄みは感じず、多聞丸と並び立つようにはとても思えない。何と言うか、80年前の提督と比べたら、若く頼りなさがある。
「さあ提督! 何か凄い事を言ってください! 含蓄に富んだ事!」
蒼龍への挨拶もそこそこに変な事を言われ、彼は頭を掻いている。どうやら飛龍のテンションには慣れているらしい。
「……俺さぁ。モノクロ映画に無理矢理色を付けてカラーにするの嫌い。何かベタっとして気持ち悪いし、それは監督が創り出した物じゃないわけだろ? 仮に『七人の侍』を俺がカラー化して、三船敏郎の肌を水玉色に塗りたくったら、それはもう黒沢の作品じゃないわけで」
この人は、何を言ってるんだろう? この時代特有の呪文か何かだろうか? とりあえず、これが飛龍の言う「含蓄に富んだ事」でもなければ、自分が求めている情報でもないとは分かる。
「何の話か分かりませんけど、そう言うんじゃなくて!」
「提督」は再び頭を掻き。また呪文を紡ぎ出した。
「1956年製作の『空の大怪獣ラドン』はな、怪獣ラドンがラストシーンで倒される時、弧を描いて飛ぶ予定だったのが、ピアノ線が切れて着ぐるみが宙吊りになってしまったんだ。それがかえって死んでゆくラドンの悲劇性が強調されて良い
「だーかーら! そう言うのは良いんです! もっと必勝の戦術とか、太平洋を股にかけた大戦略とか、そう言う奴」
「そう言う奴」とか気軽に言うが、そもそも多聞丸だったとしてもそんなものすごい話はさらっと言えないと思う。もちろんこの「提督」の覇気の無さにも思うところは多大にあるが。
「大丈夫なのこの人?」
つい本人の前で聞いてしまう。渦中の人物は「そんな事、俺に言われても」と言う顔をしているが、飛龍はしれっとしている。
そんな蒼龍を知ってか知らずか、「提督」は締めくくったのだった。
「まあ必勝の作戦なんてそうそう思いつくもんじゃない。戦争って言うのは、もっと地道にやるもんだ」
「えー。提督がそれを言います?」
飛龍がぷーっと頬を膨らませ、会談は終わった。結論。こいつは多聞丸どころか兵学校を出たて新米以下だ。
「あんた、騙されてるわよ!」
断言してしまったが、飛龍は特に怒る様子もない。
「でも
「いつもあんななの!?」
「冴えてる時は凄いから」
そんな娯楽小説みたいな人間がいるわけがない。
「どうしたの? 何でそんなに怒ってるの?」
こいつも大概ポンコツである。そう言えば船だった頃も、多聞丸が絡むとこんなだった。これはいけない。この子を守るのは自分だけだと、蒼龍は誓いを新たにする。
「分かった。今日飲みに誘ってみる。一対一でお腹を割って話してみるよ」
飛龍の顔がぱっと明るくなる。少々心が痛むが、強攻策をとらせてもらう。
(酔わせて本音を聞き出す!)
蒼龍は拳を握る。傍から見ればその思考も十分、「ポンコツ」なのであるが。
●
まさかここまで上手くいくとは。
目の前には、潰れた「提督」がテーブルに突っ伏していた。いや上手く行き過ぎた。色々聞き出すはずが、潰してしまったら意味がない。と言うか自分の身体がここまで酒に強いのも、たった今知ったのだ。
「あの! 起きてください」
「……ふははは参ったか赤城」
……こいつ起きてるんじゃなかろうか? どうしたものかと思っていると、そう言えば彼がノートサイズの小さな鞄を持ってきた事を思い出した。遠慮なく漁らせてもらおう。
中から出てきたのは新聞紙の切り抜き。映画のタイトルらしきものが描かれた平たい箱の写真が並んでいる。どうやら何か商品の宣伝らしい。いくつかに赤丸がついていて「買い!」と言う文字が書かれている。
「駄目だこの人」
騙すとかではない。要はあんまり深く考えてないのだろう。これは後で飛龍に教えてやることにする。他にもないかと漁ってみると、何冊かのノートが出てきた。
排水量:19,500トン
出力:152,483hp
最大速度:34,5ノット
艦載機:〔零式艦上戦闘機〕×21機
〔99式艦上爆撃機〕×18機
〔97式艦上攻撃機〕×18機
蒼龍のミッドウェイまでのスペックである。これだけならメモ書きに過ぎないが、「〔流星改〕での搭載数はどれほど?」「他鎮守府の蒼龍のデータ」「双発機搭載の余地は?」などと書き込みがされ、そこからびっしりと数式が敷き詰められている。ページをめくると、飛龍のものもあった。
改めてノートの表紙を見直すと『空母機動部隊 第34巻』とある。どうやら今まで33冊も、こんな研究ノートを書いていたらしい。
更に読み進める。防空艦とのコンビネーション。輪形陣の中央で空母を分散させる方法が可能かどうか。発艦後に攻撃隊を艦隊上空で集結させない米国式が有効かどうか。開発中の〔13号電探〕PPIスコープ換装型との連携(米国製のライセンスとどちらが早いか?)。輪形陣で守られた敵空母への攻撃案。
『蒼龍型、飛龍型は、他の正規空母と比較して攻撃力に劣るが、機動力は翔鶴型に並び、柔軟性に優れる。正面戦闘だけではなく遊撃的な運用もこなす万能選手である。これをどう生かすか――』。
ノートを閉じる。ひとつひとつに特筆すべきものはないかもしれないが、この物量は生半可な努力で書けるものではない。恐らく機動部隊全員分。下手をすると艦隊全員にこんなものを作っているのかもしれない。
「これ私がここに来る前から書いてたの? 今日これを持ってきて、私に見せるつもりだったの?」
34巻と言う数字を見つめるうち、罪悪感がこみ上げてくる。どうしよう? このまま逃げ出すのは流石にまずいし、しれっと鳳翔さんを呼んで介抱してもらうか。うん、それがいい。
「おおっ! やってるやってる……ってあれ?」
その時、障子が開いた。
「えと、これは」
入って来た飛龍。そして一航戦にしどろもどろな言いわけをする。加賀さんに大きなため息を吐かれてしまった。
「やっぱり、こうなりましたか」
高評価を頂いた方、ありがとうございます。今後もご期待に沿うよう頑張ります!