皆さんはどんな感じですか? 甲のE3とか、丁のE4とかで良いんで書き捨てていってください。
私はすでにくじけそうですが、Wahooをお迎えするまで頑張ります(`・ω・´)
Starring:蒼龍
赤城さんは眉間を押さえながら、言い聞かせるように告げた。
「そこに転がってるうちの提督が、激しくアレなのは言いわけ出来ない事実ですが」
「提督はそれなりの実績があります。とりあえず様子を見てはどう?」
加賀さんが口添えする。正直この二人まで彼を評価しているとは思わなかった。
「そういえば、加賀さんも提督の事『提督』って呼ぶようになったんですね」
飛龍が尋ねるが、そこは自分としても知りたい。
「赤城さんに『提督』と認めてもらう事が、私が彼を提督と呼ぶ条件だったわ。もっとも艦娘全員が提督にべったりなのは宜しくないから、今後も適切な距離を取らせてもらうけれど」
「さすが加賀さん。先の先まで考えてますね!」
飛龍は言うが、それって半分は「提督」の事を気遣ってやっているようにも聞こえる。多聞丸があれこれ意見しなければ、南雲艦隊の風通しも更に悪くなっていたように。
「本当に託せるんですか? 私たちの過去と、未来を」
自分を除いた一航戦二航戦は顔を見合わせ、はっきりと頷いた。
「厳しいようですが、あなたがどうするかはあなたが決めなければいけません」
赤城さんの冷徹な部分が顔を出す。この
「翔鶴も提督とは随分険悪でしたよ。今は時々、執務室でお茶を飲んでいますが」
あの翔鶴が? 瑞鶴ではなく?
「飛龍だって、一度大げんかしましたよね?」
「だって赤城さん。あの時は提督の多聞丸に対する情熱を知りませんでしたし」
「それを言ったら、一番反発していたのは赤城さんじゃなくて?」
「そ、それは私も若かったんです。加賀さんだって、提督に〔九九式狙撃銃〕を買ってもらうまで随分と」
「あれは私の方が一番上手く使えるからです。狙撃兵は普通の歩兵とは違うんですよ。普通の歩兵とは」
なにやらものすごい勢いで話が展開し始めた。自分はついていけなくなって。なんだか。何だか――。
ガタッ! 蒼龍は勢いよく立ち上がる。
「ずるいです! 私のいない間にみんなだけで仲良くして! 私ばっかり沈んだ時の事引きずってるみたいで!」
全員がばつの悪そうな顔をする。分かっている。多分久しぶりに四人揃ってはしゃいじゃったんだと思う。でも寂しいものは寂しいのだ。
赤城さんが無言で立ち上がり、すっと部屋を出て行く。帰ってきた彼女は手に氷水のコップを持っていて、それを躊躇なく「提督」の襟から背中に流し込んだ。彼は悲鳴を上げ、バッタのように飛び上がった。
「お目覚めのところ悪いですが、蒼龍と話したい事があるでしょう?」
彼はまぶたをしばたたかせながら「お、おう」と言った。赤城さん、さっきからこの人に容赦がない。
「別に俺はお前たちについて何も考えてないわけじゃないんだ。このノートを――」
「あ。それもう読みました」
「そ、そうか」
見せ場を奪われた役者のような顔をしている。ほんと悪い事をした。
「もっと大事な事です。私と飛龍をどうしたいんですか?」
無理難題を吹っかけているのは自覚している。多聞丸だって次の役職が付けば二航戦を離れた筈だ。高級軍人とは言え、一艦船にそこまで責任を要求されても困るだろう。だが飛龍の態度を見ていると、自分にそれを聞く資格がある気がしている。
「とりあえずだけど、お前らがやりたい事を手伝うよ」
やりたい事? 確かに今自分は半分人らしいけど、そんな事は考えた事無かった。
「やりたい事? 私たちは、船ですよ?」
「船にやりたい事があっちゃいけないって事はないだろう? 現に飛龍は毎日元気に現代の多聞丸情報にアクセスしまくってるだろう」
飛龍は親指を立てる。
「色のついた映画も凄いよ! すっごいかっこいい役者が多聞丸なの!」
なんなんだとも思う。でも今の彼女が楽しそうなのも事実で。
「加賀は射撃場占拠して色々やってる。翔鶴は色んな人とお茶を楽しんでるし、瑞鶴はなんか加賀に悪戯する歓びに目覚めたみたいだな」
加賀さんが凄く嫌そうな顔をした。鶴姉妹と何があったんだろう? 対して赤城さんは、次呼ばれると思ったのかえへんと胸を張っている。
「赤城は……まあよく分からんが楽しそうだ」
「ちょっと待ってください。私だけ雑じゃないですか?」
「じゃあいい加減教えてくれよ。最近妙に生き生きとしてる理由」
「それは。まあ良いじゃないですか」
良いんだ。この人も前とイメージ変わったなと思う。本質はそのままだけど、表現が柔らかくなった。
「でだ。俺はここが皆にとって楽しい場所であれば良いと思っている。戦争はまあ、それを守るための対価みたいなもんだ」
「楽しくするために、戦争をするんですか!?」
大声を出したのは叱責の為ではない。心底驚いたからだ。そんな提督、自分の時代では存在どころか、考えた事も無かった。
「そりゃお前らは戦争するために生まれたのかも知れない。でも別に楽しそうにしちゃいけないわけじゃないだろ?」
呆れた。呆れたけど、一周回って感嘆してしまった。飛龍の言っていたことがようやく分かった。彼は多聞丸とは対極で、わりと馬鹿である。でも飛龍にとって、多聞丸と同じ魅力で多聞丸に勝てる者など存在しない。彼のこう言う腑抜けた部分に、逆説的ではあるが可能性を見出したのかも知れない。
何よりこの空間を、心地よいと感じてしまっている自分がいるのだ。
「まあせっかくの新しい人生だ。『自分探し』ってやつをやってみるのも良いんじゃないか?」
提督(そう言えば、名前なんだっけ?)が胸を張る。良い事言ってやった感がちょっと腹立つ。
「……分かりました」
どの道もう一度飛龍と二航戦をやる事は望むところだ。約一名変な人が付いてきたが、これが本当に多聞丸の後釜に育つんのなら良い買い物である。と失礼な事を考える。
「飛龍。やろうか」
飛龍の顔がぱっと華やいだ。自分が断らない事なんて分かってるだろうに。
「よーし! 最高の機動部隊を作るよ! ね? 提督」
飛龍が提督の背中をぱーんと叩く。案の定彼が苦笑を浮かべている事にも気付かない。もしくは意図的に無視している。
「さあ決起集会だ! そうだ! 菊月たちも呼ぼう!」
「いやいやいやあいつら早朝から遠征だぞ! ってかこんな時間に卯月に飲ませるなんて想像もしたくないわ!」
「鳳翔さん。からあげ五人前と焼きめし五人前。それとほうれん草バター炒め五人前のお願いします」
「お前それ一人で食うわけじゃないよな? なあ?」
「ところで提督。装備品の〔九四式拳銃〕。シアをちょっと改造してみたのだけれど」
「あれ弄っちゃったの!? ってかどさくさに紛れてとんでもない事をゲロりやがって!」
なし崩しに飲み会が始まり。場はまた騒がしくなる。みんな変わった。いや本来の顔を出せるようになったのか。
「蒼龍! ほらここに座って! 今すんごい作戦を立ててるんだよ? 詳細は教えてくれないけど」
自分がこれから何を考えて、何を志すか。飛龍ほど明確なものはない。ただこの心地よさに身を置いてみるのも、何か前進になると思えるようになっていた。あの日あの瞬間の絶望から一転して、安らぎを感じ始めている自分に気付いている。なんというか、悪く無かった。
「蒼龍はーやーく!」
「はいはい。すぐ行く」