まあいいんだ。データ的にはそっちが正しいし、声の妖精さん同じだし。陽炎可愛いし。赤城さんには埋め合わせでケーキでも食べに行くことにしよう。
さて今回は空戦シーン。趣味に走ってますw 〔疾風〕は既存の戦闘機の長所を統合した機体と言うのも燃えますね。まだ改良の余地があるところも夢が広がります。
良ければ好きな戦闘機書いてってください。艦これに出る機体でも戦後のジェット機でも可。何ならXウィングとかウルトラホークとかでも。
硫黄島攻略作戦発動予定日まであと七日。
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Starring:南部瞬
鋼翼は舞う。
百機単位の艦載機の群れに躊躇なく突っ込んだのは、南部瞬・一条真矢の両機である。深海棲艦の搭載する航空機は質より量。ベテランパイロットと新鋭機の組み合わせならば、まさに入れ食いと言えた。ただし。
『いつもと同じだ。欲張るなよ少尉』
『大尉、あなたもです』
口の減らない相棒である。だがそれなりに長い彼の実戦経験の中で、彼女ほど頼りになる
二人は適切な連携で敵編隊を引っ掻き回してゆく。12.7mm機関銃の一連射。装甲を砕かれた艦載機が錐もみ状態で落ちて行く。攻撃の隙を突き、もう一機が後方に回り込もうとするが無駄だ。深海棲艦の艦載機では、急上昇する
〔疾風〕を追随できない。背後に構えていた真矢少尉が距離をつめ、たちまちのうちにこれをハチの巣にする。
彼らほどの腕ならば、一機討ち取ってから機首を転じてもう一機と言う欲も出てくるが、南部は指揮官としてそれを禁じている。慢心はミスを呼ぶし、雲霞のごとき深海棲艦の中に、凄腕が混じっていない保証などどこにもないからだ。
南部大尉は無理はしない。教本通りの動きで、確実に敵を屠って行くだけだ。熟練の
二機の〔疾風〕は、くるくると宙返りしながら、戦場を暴れ回った。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
Starring:瑞鶴
「見事なものだな。サマール沖で彼らのような凄腕が一個分隊もいれば、随分と楽が出来たろう」
南部大尉たちの戦いを見上げ、長門さんが言った。上空で弾が飛び交う中そんな事を言うのは彼女らしくないから自分をリラックスさせようと言ってくれたのかも知れない。
「それを言ったら、エンガノだってそうですよ」
だから答える。思いは同じだ。
「もうサマールもエンガノも帰っては来ないが」
「はい。
頷き合った時、長門さんの口角が自信たっぷりに吊り上がるのを確認し、すぐに自分もそうなっていると気づいき、この大変な時にこんな顔をしている自分自身に呆れ、少しだけ誇らしく思った。。思えば加賀さんとやり合っていた頃、自分には余裕がなかった。自分が今どこにいるかも分からない。ただ手を伸ばして、それが届かないから苛立ちを彼女にぶつけた。だけど、今は。
「瑞鶴さん。私の偵察機が敵艦載機と接触しました」
大鳳が叫ぶ。若干緊張気味だが、ベテラン艦に囲まれる安心感があるのか、的確に対応している。欧州空母たちも同じだ。今なら、加賀さんの留守だって守れる。
「索敵攻撃をかけるわ! 第一次航空隊、発艦用意!」
索敵攻撃は確実な戦法ではない。使い方を間違えると危機を招く。しかし今は、リスクを押して先手を打ちたい。それに今は、艦隊上空の直掩は万全だ。
「全機発艦!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
●同時刻
Starring:曙
「ちょっとクソ提督! 釣り竿でかき回すな! 常識でしょ?」
「おおすまんすまん。こんな荒れた海で釣りは初めてでな」
すまし顔で高速艇から釣り糸を垂らしているが、ここはれっきとした戦場である。全然釣れていないが、本人はまるで気にしていないらしい。
「先輩にしっかり教わったんだが、釣りだけは全然うまくならん」
「クソ提督が雑なのよ」
こいつが前任の後輩で弟子である事には驚いたが、妙に納得もいく。木葉樹希は彼のような偏屈さはないが、内心に踏み込ませない頑なさがあった。かつての自分は、それが嫌で彼女と距離を置いていたのだが、今は思う。結局二代続けてほだされてしまったなと。
「そう言えば先輩ってどんなに暑くても長袖だよな。自衛隊は勝手に夏服を冬服に変えちゃいけないんだが」
クソ提督は再び釣竿を持ち上げる。当然のように何もかかっていない。
「あいつ、何故か素肌をさらすのを嫌がるのよ。お風呂に誘われてものらりくらりと断ってたし」
「ふーん。なんでだろうなぁ」
彼は特に気にした様子もなく、不遜にもまた水面をかき回した。
陣形の最前列には
「あんた、本当にこんなところで遊んでて良いわけ?」
海面から見上げたクソ提督に問う。こいつは楽しそうに笑い、餌を持っていかれた吊り竿を引き上げた。
「別にただ遊んでるわけじゃない。ここでぼーっと遊んでれば、
「はあ? そんなあからさまであいつが来るわけ無いじゃない!? 囮部隊の方に陽動を疑って行ったんじゃないの?」
自分は常識的な事を言ったはずだが、こいつはにやにや笑いを隠さない。
「来るさ。あからさまであるほどあいつは挑発に乗る。こちらに赤城と言うカードがある限り、奴は罠を食い破ろうとする。むしろ大部隊で赤城を護衛すれば乗って来ないだろうな。」
彼は自信たっぷりに言う。そんなものなのか? 軍師の勘とか、そう言うやつだろうか。腹の探り合いは苦手だ。
「釣れないなぁ。いっそこいつを使うか?」
クソ提督がケースから取り出ししたのは手榴弾。こいつはなんて物を持ち込んでいるんだろう。
「仕舞いなさいよ。釣り人の誇りにかけてそれは駄目だから」
「そうか?」
残念そうな顔をして、彼はいそいそと手榴弾をケースに仕舞う。やる気あるのだろうか? 釣りも戦争も。
「どうすんの?」
なんだかんだ言って不安で、思わず問うてしまう。
「もちろんDeep-1は倒すさ」
「それだけじゃなくて、漣よ」
クソ提督は、自分の頭を撫でる。顔が言っていた。「やっぱり聞かれるか」と。
「謝罪はした。だがそれ以上はまだ考えられない。で、不誠実な事はしないと誓った」
その視線の先には、洋上を警戒する漣がいる。今なら彼女がクソ提督に惹かれる理由も分かる。だからこそ――。
「『今はそれで充分ですぞ?』とでも言われたんでしょ?」
「やっぱ分かるか。七駆の皆は付き合いが長いもんな。」
こいつの事情を知ってしまった以上、責める事は出来なくなった。だが漣を泣かせるなら話は別だ。
「今は執行猶予中。これ以上傷つけたら、殺すから」
「肝に銘じておく。お前たちにも心配かけて済まん」
殊勝に頭を下げたのはこいつなりの誠意だと判断しておく。
漣の奴、言動も個性的なら、男の趣味も変わり過ぎだ。だけど思いっきり伝わりにくいながら、こいつがおそらく優しいと呼べる類の人間である事は伝わる。それでも自分達を散々振り回してくれたのは腹立つのだが。
「で、あの化け物にどうやって勝つわけ?」
結局一番知りたいのはそこである。赤城さんが負けて、全部七駆が対処させられるとかになる展開は、絶対に無しだ。
「簡単だ。作戦がある」
「作戦?」
クソ提督が頷いて、釣竿の先を赤城さんに向けた。
「赤城とタイマン張らせる」
「はあ?」
やっぱこいつは正常じゃないかもしれない。頭を抱えるしかない現実を恨んだ。