仮免提督といじわる空母・改二   作:萩原 優

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夏だ! メンテだ! 運営さん漣改二はまだっすか?(´・ω・`)

メンテが明けるまで、最新話を読んで行ってどうぞ。

夏の呉行は検討したのですが、先立つ物とお休みの関係で今回は断念。冬に舞鶴か佐世保で何かやるならぜひ行きたいですね。

良ければ、今まで参加したリアイベがあれば書いて行ってつかあさい。ちなみに私はよみうりランドの瑞雲が最初でした。


第76話「血戦! 赤城 vs 深海の悪魔(その2)」

Starring:提督

 

「どうしたの? 今日は攻撃が薄いわね」

 

 Deep-1(ディープ・ワン)が赤城を嘲笑する。正直図星を突かれた。実際赤城は、ジグザグ機動を繰り返して逃げ回るだけだ。大丈夫。ばれたわけではない。

 

「どうしたんですか? まさか赤城さん、まだ不調なんじゃ?」

 

 朧が心配そうに聞いてくる。俺から見ると赤城のコンディションは悪くない。あれはそのせいではなく、完全なる作戦である。

 実は作戦を立てる段階で明石にある物を用意してもらった。

 

『これ、用意できるか?』

『ええっ! こんな古いものをですか!? 何に使うんです?』

『頼むよ』

『まあ、提督がそう言うなら使えるようにしておきますが』

 

 と言うやり取りの後、彼女は突貫工事で”あれ”を戦力化してくれたのだ。だが⁠赤城がそれを活用するには、航空母艦にあるまじき邪道を進んでもらわねばならない。

 赤城が呼び掛けてくる。

 

『提督』

『おう、やれ!』

 

 それだけの通信だった。しかし彼女は、即座に突撃を敢行した。疑問を挟む余地など無いかのように。

 

 

 

Starring:提督

 

「愚かね!」

 

 空間の穴から今度は無数の砲身が頭を出す。100mmクラスの副砲である。

 

「あなたこそ、馬鹿の一つ覚えですね!」

 

 速度を緩めずに切り返す。突き進む背中を、水柱が追いかける。

 

 第二攻撃隊、発艦!

 

 飛び立った艦載機たちは、赤城を守るように滞空。敵の爆撃機・雷撃機を引き剥がす。前へ、ひたすら前へ!

 

 普通なら空母が吶喊(とっかん)するなどあり得ない。しかし純粋な搭載数では、自分はDeep-1に敵わない。 だが提督は、先の戦いで彼女が気化爆弾を使用した事に注目した。恐らく駆逐艦たちの接近を恐れての事だ。駆逐艦相手に攻撃より退避を選択したと言う事は、空母の弱点である防御力の貧弱さは克服していないのではないか。提督はそう読んだ。活路を見出してくれた。

 ならば対策はひとつである。至近距離から強力な一撃を叩きこむのだ。つまり――。

 

 最初に食らった方が負ける!

 

 〔烈風〕は数を減らしてゆくが、Deep-1への道は少しずつ切り開かれてゆく。妖精さんはどうやら死ぬことは無いらしいが、目の前で墜とされる航空機を見るのは気持ちのいいものでない。それでも手を止めるつもりはない。

 10時方向の至近距離で450kg爆弾が炸裂し、破片が頬をかすめる。流れ出る血をぺろりと舐めた。久しぶりの感覚。そうだこれだ。これこそが自分。一航戦赤城だ!

 

「あなた、馬鹿なの?」

 

 Deep-1はまだ余裕がある。すぐに驚愕の表情に変えてやるつもりだが。

 

「かも知れませんね。作戦立てた人が馬鹿なので。私にもうつったかも知れません」

 

『まずは、気化爆弾の有効射程に飛び込む事だ。Deep-1はお前の突撃の意味を図りかねて対応が遅れる。そこを突け』

 

 彼の作戦を頭の中で繰り返す。絶対負けない。

 

「今です!」

 

 直掩(ちょくえん)機が、攻撃に転じる。〔烈風〕がこじ開けた穴に〔彗星〕と〔流星改〕が飛び込んでいく。赤城に向けて砲火を吐き出していた為に、対応が遅れる。炸裂! Deep-1はぐらりとよろけたが、直撃は免れた様子。大きく傷ついた様子はない。それで構わない。これもひとつの布石に過ぎないからだ。

 

「それで? 血だらけになりながら私の薄皮を剥がして、何がしたいのかしら?」

 

 相手はこちらの意図には気づいてはいない。それなら。

 

「もちろん、あなたの顔を屈辱に歪ませるためです!」

 

 第三次攻撃隊は、戦闘機ばかりを選抜する。これで第二次攻撃隊が空いた穴を広げんと敵中を舞う。その穴に飛び込むのは残り少なくなった艦載機ではない。飛び込むのは――赤城自身!

 

「決着を付けましょう!」

「あまり舐めないで頂戴!」

 

 赤城の頭上で、気化爆弾が炸裂した。大気が膨張し、二千度の高熱が海面を蒸発させる。水蒸気が晴れた時、そこには何もいなかった。

 

 

 空母赤城、消滅。

 

 

 

Starring:提督

 

「て、提督!」

 

 潮が上ずった声を上げる。正直俺も吐きそうだ。もしかしたら、赤城は本当に(・・・)今の一撃で轟沈したのではないか? そう思ったら何もかも放り出してみっともなく泣き叫びたくなる。それでも俺は余裕を装う。

 

「大丈夫だ。赤城を信じろ」

「信じろったって……!」

 

 割って入った曙に肩に手を置いたのは漣だった。

 

「ご主人さまと赤城さん。大淀さんと漣。みんなで考えた作戦だから」

 

 それだけ言われて、曙は腹を決めたように頷き、なんと砲塔を放り出した。

 

「ちょっ、ボーノ?」

 

 正気か? と言う目で見る漣に、曙はふんっと鼻を鳴らした。

 

「どうせ私たちじゃ勝てないんだし。赤城さんが復活するまで戦意喪失を装うのよ」

 

 なるほど。そのクソ度胸買った!

 

 俺は船上に膝を突き、指を組んで祈るポーズをした。大変みっともない。それを見た漣・朧・潮も砲塔を海面に放る。

 さて、どんな風に情けなく命乞いをしようか。いっそ奴の目の前で失禁でもしてやろうか。誰かが言った。涙なんて体液だと。いくら流しても貯蔵庫の資源が減るわけじゃない。情けない演技をして赤城が帰還するなら、ずいぶんとお得なディールじゃないか。

 そんな狡い考えに、Deep-1は付き合う気が失せたようだ。彼女は戦艦砲を展開し、こちらに向けた。

 

「つまんなかったわね。ばいばい」

 

 壊した玩具の未練を断とうとする。そんな子供のような賢しい言葉だった。これは命乞いは意味無さそうだな。真昼間に駆逐艦が四人じゃどうしようもない。魚雷の射程距離には近づけてはもらえないだろうし。

 

 そして波間には、飛行甲板が浮かぶ。

 

 おい赤城よ。お前本当に沈んだんじゃなかろうな? そんなオチは勘弁だぜ?

 

 

 

 ちゃんと予定通りに、さくっと完勝してくれよ。

 

 

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