超疲れた。まじでぐったりです。提督の皆さんは毎回これをやって、艦娘音頭まで踊って地元に帰還し、翌日仕事に行くのですね。もうオタ活というより求道者の域です。わいも頑張ります。
さて、二人の提督の戦いは終わったようですが、ここで物語は大団円……と言うわけにはいきません。
提督と艦娘たちには、ナンカスゴイ事態が待ち受けていますよ。
●丹賑島泊地 演習室
Starring:提督
制限時間が来たとき、俺も先輩も疲れ切って、椅子にだらしなくへたり込んだ。言っとくけどな先輩。作戦明けの俺の方が大変だったんだからな。だから俺の方が上ってことにしてもらいたいくらいだ。
「いやぁ津田君、強くなったわね。正確に言うと、元々強かったけどふてぶてしくなった。愛の勝利ねぇ」
「あんたが諸々を押し付けてくれたからな。あと風呂入って寝てぇ」
俺たちは師弟でははっと笑い合った。
「約束通りね」
「ああ、悪いな」
結局俺は全力攻撃を行い、先輩の空母群に大打撃を与えた……のだが、攻撃隊の飛行ルートが察知され猛反撃を受けた。結果両軍は艦載機を使いつくす泥仕合となり、最終的に戦艦同士の砲撃戦となった。まるで旧海軍の漸減作戦がごとき頭の悪いどつき合いである。
そして最終的に判定勝利を得たのは、最初に空母を削る事に成功した俺だった。
「ねえ津田君。あの時の特攻だけど?」
「ああ、あれか?」
先輩に教えを請われるのはなんとも心地よいな。そう言うところで底意地が悪いのは自覚してるが。
「どうぞ木葉提督、開発番号:Z3920丙です」
赤城が俺の代わりにコンソールを操作してくれる。こいつ、打ち合わせたわけではないのに、お見通しなのか。あ、蒼龍に見せた研究ノート、そう言えば特に隠しもせず引き出しに入れっぱなしだった。大淀の奴も休み時間何かぶつぶつ言いながら読んでると思ってたら。
「……津田君、あなたこんなものまで何で把握してるの?」
海軍によって計画され、机上のプランで終わった新兵器。もっと言ってしまうと、トンデモ過ぎて没を食らった失敗作をまとめたファイル。それがZナンバーである。妖精を乗せた〔ゼンガー〕超大型爆撃機を成層圏に送り込み、ダッチハーバーの敵拠点にバンカーバスターを投下する「ダイナミック・ゼネラル・ガンシップ計画」とか、巨大な風船に中戦車や武装大発を吊るして、降下作戦を行うとか。負けの込んできた軍隊が考えるアレだ。
こう言うの見ると楽し……じゃなく、割と作戦のヒントが転がっているので、俺の権限の範囲で閲覧させてもらっていた。この「リモコン艦載機」もそんなZプランのひとつだ。
「むしろ先輩がピンとこなかったのが不思議でしたよ。だって、史実で米軍がやった作戦ですよ? これ」
それだけで先輩がはっと息を吸い込む。こんな凄い人でも、俺が特攻を命じないと言う先入観からは逃れられないのは怖い事だな。自戒してもし過ぎる事はないなぁ。
「朝鮮戦争で、余ったF6F戦闘機にリモコン積んで無人特攻させてたわね。これはその応用?」
さすが先輩。いったん思考が繋がればそこからは早い。
「はい。復活した海軍でも余った九六戦や零戦の使い道として提案されました。しかし……」
「企画倒れね。旧式機なんて簡単に撃ち落されるし、かと言って新型機を使えば割に合わないコストがかかる。それよりも何よりも、リモコン機を操作する親機の負担が半端じゃないわ。タネがばれたら真っ先に狙われて無効化されるわ」
先輩がちらりと俺を見る。答え合わせを求めたようだ。
「その通りです。実戦に使えるアイデアではありません。しかし御覧の通り一回限りの不意打ちで、かつシミュレーターで使用するなら全く問題ありません」
どやあ、と親指を立ててやる。でもなんかため息が返ってきた。
「津田君、そんな事ばかりやってるから養成機関の成績があれだったのよ」
ほっといて頂きたい。
「でも、おめでとう。ここの司令はあなたよ。津田提督」
先輩は微笑む。一瞬だけ唇を噛んで。
ああいやだ。この人は、納得していない事を無理やり納得しようとする時、こう言う顔をするんだ。そんなの、俺だって納得いかねえ。
「先輩、あのな」
俺が言葉を選んでいる時、スピーカーから綾郷大将の声がした。
「そのくらいにしときな。おめぇさんもだ木葉。面倒くせぇ言い方をしないで、ちゃんと説明しておきな」
ん? 何だその言い方?
含みのある横須賀司令をよそに、先輩は何故かばつの悪そうな顔をしている。いつもの俺をからかう時に似ているが、それよりも言い出し辛そうと言うか、罪の意識を感じてるっぽいというか。
「そうね。津田君には謝っておかなきゃね。実はまだ話してない事があって……」
どかんと、ショットガンをぶっ放すような音がした。いや本当にぶっ放した音だった。二重に施錠されたドアが吹き飛ばされ、そこに海防艦たちが駆け込んできた。それを見届けるのは、ショットガンを「がちょん」とドヤ顔でリロードする加賀。もう突っ込まんぞ。
「ここにいてください司令ぇ! 今度は絶対、絶対守りますからぁ!」
「平戸は、もっと強くなりますから! もう心配をおかけしませんからぁ!」
その後に駆逐艦たちが続き、もう何がなにやら。
先輩、愛されてるな。べ、別に嫉妬したわけじゃ……いや、今大人気なく嫉妬してるな、俺。何と言うか、最近自分も知らない自分をいくつも知って、戸惑うばかりだ。きっと良いことなんだろう。
だが、別離の時は迫る。俺たち提督は、決断せねばならない。