元旦から出勤だもんね。しょうがないね。ライブ当たってたらいいな。ってか年賀状まだ書いてねぇ。
皆さんは、今年一年どんな艦これライフでしたか?
よかったら書いていってくださいヾ(*´∀`*)ノ
第98話「常勝提督の事情」
Starring:木葉樹希
最初は、この肌が少しだけ自慢だった。だから絶対に他人に見せてはならないと、きつく命じた両親を裏切った。当時は水着さえ袖付きのものが用意される事が不満だったし、強い口調で学校と交渉し、自分が肌を見せる機会をつぶしにかかる二人を見るのがイヤだった。
この肌は、やけどなどではない。もっといいもの。白くて、透き通っていて、綺麗なものだった。
だけど皆にとってそうではなくて、秘密だよと念押しした「親友」との約束は守られることはなく、翌日には肌着をはぎ取られ、「吸血鬼」なるあだ名を付けられた。
白い素肌は、早速SNSに晒されたが、それが皮肉にも、彼女を悲惨な破局から守った事になる。投稿を見つけた両親は、直ちに弁護士を連れて学校に怒鳴り込んだのだ。
投稿は直ちに消去された。元々インパクトこそあったが、それだけに作りものを疑われていたから、特に騒ぎは広まることもなく鎮静化した。
変わったのは、肌を晒す事へのトラウマと、芽生えた人間不信。
防衛大学を選んだのは、自分の意志ではない。両親はおまえを守るためと言った。何かの合意があったのかもしれない。提督としての資質に目覚めたのは、当然戦争が始まってからだから、自分の”血”が深海棲艦の遺伝によるもので、それが提督としての能力につながると知っていた者がいる。当時はそれを疑問に思う暇は無かったが。
それでも彼女は、そつなくやった。防大や自衛隊のあわただしい生活も、張りつめた中で生きてきた彼女には、特に危機的なものではなかった。ただ国防や人命救助への思いを語る同期たちを、醒めた目で見ていた。
提督として
誤算は二つあった。一つは艦娘と言う存在がとても真摯であり、それゆえ扱いが難しいこと。
もう一つは、自分が彼女たちを守りたいと思ってしまったことだ。こんな自分が、である。
「助けにいきます!」
「認めないわ。あなたは休憩と修理」
「妹たちを戦わせたままで帰れません!」
「摩耶たちを信じなさい。出来れば作戦を立てた私のことも信じてほしいけど」
「あなたがそんなだから!」
「私もあなたたちと一緒に命を懸けているつもりよ? 命に代えても守るつもりでいる。まあ、任せておきなさいな」
トラウマを負っている者は少なくなかった。警戒もされた。特に摩耶や鳥海を猫可愛がりする高雄からは、随分噛みつかれた・・・・・・のだが。
「提督! 書類仕事お疲れ様です! お手伝いします!」
「これあなたたちの勤務評定よ? さすがにねぇ」
「では、お茶を入れます。砂糖は二杯、ミルクはロイヤルですね!」
何故か、いつの間にか。懐かれていた。
「提督さん、お疲れさまっぽい!」
「ご主人さま、差し入れあざーす!」
皆が慕ってくれるのは嬉しい。だけどだんだん怖くなった。裏切られることに怯え、身を堅くして生きていた自分が、彼女たちの信頼を信じることが出来るのか? いつか、破滅的な拒絶をする日が来るのではないか。それに自分は、艦娘の仇、深海棲艦なのだ。自らを追いつめながら戦う赤城の姿が、自分の未来を暗示している気がした。
津田宏武と知り合ったのは在学中……ではなく、彼が廃人同然でで送り込まれてきた養成機関。人当たりが良いようで警戒心の強い漣が、すぐに打ち解けたのには驚いた。そして、そのむちゃくちゃながら意表をつく戦術も。
今思えば、深海棲艦の血を引く者として、和平の使者を引き受けたのは、艦娘たちから逃げたかったからかもしれない。津田ならば自分の後継者になると確信してからは特にだ。
彼の回復を助けたのも、戦い方を教えたのも。すべて自分が逃げ出すためだった。
なのに、だと言うのに。彼の元で団結した艦娘たちをみた時。辛かった。ようやく知ったのだ。自分が手放したものが何だったのかを。それは、自分自身。
なのに艦娘たちは泣いてくれた。津田君は、こんな自分を怒ってくれた。
ごめん。ごめんねみんな。
涙は辛うじて堪えた。
「つまり、私が言いたいのは二つです。抵抗しても無駄です。どこまでも追いかけます。もう一つは、愛してます!」
艦娘たちからおおーっと歓声が上がる。そして津田君はきょとんとして、それから面食らっている様子。それどころじゃないのに、赤城も漣も大変だな、と思ってしまう。
「あなた、津田君と仲良くなったと聞いてたけど?」
精一杯の皮肉は、斜め上の回答で返された。
「提督が艦娘とジュウコンできるなら、その逆もありですよね?」
「・・・・・・」
この子、ここまでぶっ飛んだ事を言う子だったろうか? いや、確かに兆候はあった。
津田君はもう現実逃避で、彼女が何を言ってるか分かってないようだけど。
「分かった! 分かりました! もう会わないと言うのは撤回します! だからもう勘弁してちょうだい」
二度目の歓声。ここはあきれるところだろうと思うけれど、嬉しくて仕方がないのを隠すのに必死だった。
「今思ったんですけど、私たちが木葉提督も津田提督も好きになったのって、単純にお二人が似てるからじゃないでしょうか?」
ものすごい大発見をした、と言う体で吹雪が手をたたいた。
「そうですね。お二人とも子供みたいに無邪気で、お優しいですもの」
胸の前でぽんと手を合わせ、鳳翔までもが言う。津田君が心底イヤそうに返した。
「・・・・・・その余計な考察いらねぇ」
木葉は苦笑いを浮かべ、やっと告げることが出来た。
「みんな。ただいま」