【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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14話 トラビア渓谷

 

私はトラビアの東に位置する山奥の渓谷に来ていた。

何故わざわざこんな自然しかない所に来ているかと言うと、ドラゴン狩りだ。

 

私は魔女の騎士というラグナが出ている映画を見た。

ずっと見たかったが、いかんせん古い映画なのでなかなか見つからず困っていた。

先日たまたま存在を確認し、ようやく視聴する事ができたのだ。

科学力が進歩している世界なのに通信技術が停滞しているので、こういう事が起こりうるのが玉に瑕だ。

 

 

裏話を原作で知ってはいたが、実際に映像を見てみるとラグナのアクションは結構様になっており、サイファーがこれを見て憧れたというのもわからなくは無い出来の映画だ。

 

というか普通に面白かったので、私もガンブレード使いの端くれとして撮影地のトラビア渓谷でルブルムドラゴンと戦ってみたくなった。

ついでに竜を食べてみたくもなった。

その為に遠路はるばる船で大陸を渡ってここまで来たのだ。

 

 

チョコボを使って山に入り、テント張りながら探す事……半月。

見つかるのはバイトバグと鹿もどきのメズマライズばかり。

メズマライズは美味しくて、ツノにあたる刃が素材として優秀だから出会えると結構嬉しい。

 

たまにオチューや麓から迷い込んできたゲイラが居るがルブルムドラゴンは見当たらない。

オチューもFFファンとして出会えたこと自体は嬉しかったのだ。

ただ、食べたら味は面白くもない草味で、おまけに毒になったのでもう二度と食べなくていいなと万能薬を使いながら思った。

 

 

ノウハウの薄い私のマタギ活動だとこんなに見つからないものか、そう諦めて下山していたその時。

メズマライズを食べているルブルムドラゴンを発見した。

 

ルブルムドラゴンもメズマライズ美味しいと思ってんだなとか、居てくれて嬉しいとか、色々な感情はあったのだが……それ以上にその見た目に圧倒される。

 

赤くて大きいドラゴン。

誰がどう見ても完全無欠なドラゴン

ファンタジー界の看板がそこに居た。

 

ちょっと言いすぎたかもしれない。

頭の黒い角が髪とも翼とも取れなくは無い変な形状なので、そこはストレートなドラゴンと言うには首を傾げる要素か。

 

 

実物を目にした私は、探した日数も相まって感激で涙が出てきた。

(せっかく見つけたカッコいいこれを今から殺すのか? 私には出来ないよ……)

そんな生温い事を考えていたら竜がこちらに気づいた。

 

私は急いでガンブレードを取り出し臨戦態勢をとる。

知能の高いルブルムドラゴンは、それではっきりとこちらを敵だと理解したのだろう。

 

牽制のようにファイガが飛んでくる。

私の立っていた空間に熱が発生し、急速に温度が上昇していく。

炎属性の中でも最上級に位置する魔法、ファイガ。

そこらのモンスターからはなかなか飛んでくる事が無い高威力の魔法。

それを小手調べとして活用してくる事実がドラゴンという生物の格の高さを感じさせた。

 

空間の温度が一瞬で跳ね上がり、炎が燃え上がると同時に爆発音が鳴り響く。

だが、当然こちらもそれを直撃させられるほど柔な狩人なら、こんな所まで来て竜狩りを実行しようとはしない。

予兆を早い段階で感じ取った私は、既に魔法の発動地点から離れていた。

 

燃え上がったファイガを躱せたと思った刹那、いつの間にか地面にかけられていたリフレクが炎魔法を跳ね返し再び魔力の火が私を襲う。

 

 

(リフレクで魔法の跳弾を作り出して間接攻撃!? そんな使い方までしてくるのか……!)

 

 

私は咄嗟に身体を捩り、死に物狂いで出した土壇場のフェイテッドサークルをぶつけてこちらに反射されたファイガを相殺する……!

 

一連のやり取りに明確な死の危険を感じ、冷や汗が吹き出した。

 

ゲームでのルブルムドラゴンは自分に張ったリフレクに魔法を使い、反射でこちらのリフレクを掻い潜る魔法貫通攻撃してくる。

故に、ルブルムドラゴン相手の魔法対策に反射魔法を使うのは悪手だと思っていたが逆だった。

 

最低限リフレクを張ってなければ、こちらを狙った魔法からの地形にかけた反射という二段構えの攻撃を躱しきれない。

攻撃の手数を1つ減らすためにリフレクは必須だったのだ!

 

私は切迫した状況下とは裏腹に、ゲームをプレイしてるだけでは知り得ない未知のFF8を体験している喜びで口元のにやけが止まらなかった。

 

即座にリフレクを張る私に対し、その一手に生まれた隙を攻めようとルブルムドラゴンがこちらに飛びかかって来る。

飛び出した巨体が真紅の羽ばたきによって押し出され、人の背丈程もある腕の振りかぶりに全体重が乗った。

 

 

私はその場から、がむしゃらに飛び退き距離を取るしかなかった。

物理的な相乗効果を伴った竜の爪が、先程まで私の立っていた空間を斜めに切り裂く。

聞いたこともないような重たい風切り音にまたもや冷や汗が垂れた。

 

 

(魔法の扱いだけじゃない……! 物理法則を理解し、自らの身体の効率的な扱い方も磨き上げている!)

 

 

身体のスペックだけでゴリ押して戦う今までのモンスター達と違うのは明白だ。

戦闘者としてのレベルが段違いに高い。

 

爪を躱し距離をとった私に向かって、おそらくこちらを認識した段階で溜めていた炎のブレスが吐き出された。

明らかに一連の行動の連鎖は、予め考えて組み立てられていた。

 

 

(ここまでの戦いの流れを最初に想定してたのか!? だがこの瞬間が転機!)

 

 

このブレスは魔法ではなく物理現象の純粋な炎を吐いている。

それをゲームの知識でもこちらの世界で手に入れた情報でも知っていた。

故にガンブレードを盾にして迎え撃ち、『ぼうぎょ』でブレスを耐えしのぐ!

 

灼熱のミストと炎の奔流が辺り一帯を飲み込み、おびただしい数の火の粉が立ち昇った。

私はブレスに晒されたにもかかわらずその影響をほとんど受けず生きていた。

攻撃を受けている一時の間、動けない代わりにあらゆる攻撃の影響を大幅に減退できるコマンドアビリティ『ぼうぎょ』のおかげだった。

 

 

ブレスが終わり直撃を確信したルブルムドラゴンは、火傷すら負わず立っている私を見て動揺を隠しきれていない。

私は脳内のコヨコヨが戦闘開始時に合わせて唱えてくれたオートヘイストの効果で身体を一気に加速させ、真紅の竜に急接近する。

 

ブレス終了間際に竜が万が一の保険として自分自身に対しリフレクを張った筈だ。

その一瞬の魔法の反射光を私は見逃さなかった。

自己流のブラスティングゾーンは魔法で再現した技だ、それを使うと反射される可能性が高い。

 

 

(ならば、ここはトリガーを引いて生身の刀身を叩き込むのが正解!)

 

 

完全に意表を突かれた赤竜は焦り、咄嗟に爪で私を薙ぎ払った。

先程と比べ体重も勢いも乗ってない爪を冷静にガンブレードで受け流し、回転に身を任せて竜の長い首に振動する刃を叩き込んだ。

 

トリガーを引いて起こった火薬の爆破と振動。

切れ味を異常なまでに上昇させたガンブレードの一撃でルブルムドラゴンの首が落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────わけがない。

 

 

 

 

クリティカルヒットしたガンブレードの斬撃は真っ赤な竜の鱗で大幅に減退し、刃が首半ばまでで押し止まっていた。

 

予測していた私は即座に愛剣から手を離し離脱する。

止まらない血に己の死期を悟ったルブルムドラゴンが最後の力で魔法を発動させた。

 

最上級無属性魔法【メテオ】

禁断魔法とカテゴライズされたそれが発動し隕石が降り注ぐ。

無作為に降る隕石は余波で私のリフレクを貫通し消滅させた後、周囲に幾つものクレーターを生み出して消滅した……。

 

キャラアビリティ『運+50%』をジャンクションしていなかったら私はメテオに直撃し死んでいたかもしれない。

予想より遥かにレベルの高い相手だった。

 

 

辛くも勝利した私は、倒れ伏した赤竜の首からガンブレードを回収して左右に振るう。

トラビアの環境が生み出す寒さで熱を冷ますと同時に、刃に付着した血液を振り落とした。

刀身を肩に担いでようやく一息ついた所で気がついた。

ブレスの直撃を受けたリボルバーの刀身は「ぼうぎょ」下にあってなお耐えきれず表面が溶けている。

鉄に焦げついたドラゴンの血が生臭かった。

 

 

既に乗ってきたチョコボは逃げている。

山の下の方でターゲットを見つけられて良かったと安堵のブレスを吐いて竜を解体し、歩いて下山したのだった……。

 

 

 

 

私は滅多にジャンク屋に行く事は無い。

武器に興味が無いのではなく、店に行くと置いてある武器を見るのを楽しみすぎて確実に一日の大半を潰してしまうからだ。

いつまでもウロウロする奴が高頻度で来るのは店側には迷惑だろう。

わざわざ行く日の予定と目的を決めないと私も他の用事ができなくなってしまう。

 

なので普段はあまり行かないようにしてるが、今日はルブルムドラゴンとの戦いで表面が溶けたガンブレードを買い直すため、トラビアガーデンにあるジャンク屋を訪れた。

 

至る所がボロボロになったガンブレードをジャンク屋の爺さんに引き取って貰う。

引き取られた武器は使える部分がリサイクルされるようだ。

この世界では戦いが多いのでいちいち武器を使い捨てにしていたら鉄がなくなってしまう。

 

 

「ガンブレードを実践で使うとは珍しいのぅ……ファイガでも溶けないぐらい頑丈にコーティングされとる筈じゃがなぁ……一体何と戦ったんじゃこれ……?」

 

 

驚愕する店の爺さんに訳を話す。と言っても大した理由がある訳でもないが。

 

 

「ルブルムドラゴンのブレスが直撃しまして……」

 

「何? ルブルムドラゴンのブレスを受けた!? ────見た事無いからどれぐらい凄いのか分からん……」

 

まあそうだろう、ルブルムドラゴンはほとんど人前には姿を見せないし生息する場所も一部の過酷な地域ばかりだ。

 

 

「もう買い直した方がええぞこれは……えーとこっちにカタログがあるから好みのやつ選び、ほい」

 

「いえ、もう決めてあるんです。同じのを頼みます」

 

爺さんから渡されたカタログを見て何が良いか決めるのだが私は読む前からリボルバーというガンブレードに決めていた。

 

『リボルバー』とは最もオールドタイプな型のリボルバータイプガンブレードで言わば初期装備といった感じの性能である。

 

性能は『カッテングトリガー』や「ランスオブスリット』に到底敵わないのだが

最もシンプルかつ、ザ・ガンブレードという感じで個人的には1番カッコいいと思っている。

これ以外を使うなら相当高価で手に入らない素材を使った『ライオンハート』ぐらいでなければ変える気にならないのだ。

ちなみに、リボルバーは1番オーソドックスなタイプなので他のモデルに比べると安価なのも良い。

 

 

「はいよ、リボルバーね。んじゃあ4日後ぐらいに取りに来て」

 

ガンブレードは使う人が少ないせいか基本的に持ってる物を改造するか、オーダーして取り寄せしなければならないのが玉に瑕だ。

そのかわり、取り寄せで来た新品のガンブレードは最高だ。

長くしたアタッシュケースのような専用の入れ物が付いてくる。

これに入ってるリボルバーと揃えて収納された6つの弾薬が本当にカッコいい。

 

表面にメーカーのロゴであるライオンのクロスがドデカく主張してあるのも素晴らしい。

スコールの持っていたアクセサリーはガンブレードの武器の会社が作ってた物だったと知った時は驚いた。

 

 

そういうわけでどちらかというと実用性よりもコレクション向けの側面が強く出ている武器なのだった。

 

因みにゲームでは描写されなかったがガンブレード使いは基本的に買った時についてくる専用のアタッシュケースではなく、専用の鞘を携帯している。

これは多重構造になっており、普段は菱形の輪切りバウムクーヘンのようになっているがブレードの先を中心に押し付けていくとそのまま伸びて鞘になる。

剣を抜いた時は内部に仕込まれているバネか何かで元の菱形に自然と戻るという戦闘の邪魔にならない仕組みだ。

当然の事ながら非戦闘時にガンブレードを剥き身で持ち歩くわけがなかった。

 

 

ありがとうございました。そうお互い締めくくりながら店を……出れたら良かったのだが。

私は武器を展示している棚に興味深々だった。

何度も見たようなタイプしか置いて無かったとしても、ジャンク屋に置いてある武器は何度見ても飽きが来ない。

 

 

ヌンチャクが置かれてある。

ヌンチャクを真面目に使ってモンスター相手に戦える奴は凄いとつくづく思う。

流石にガンブレード程ではないにせよ、この世界でも結構イロモノ枠の武器である。

実用性があるのは先に棘鉄球がついた『フレイル』というタイプぐらいじゃないだろうか。

それでも棘鉄球がついてあるというのは持ち運びがめんどくさそうな気がするのだが……。

 

同じヌンチャクであり、先っぽに星とか月がついてある『クレセントウィッシュ』はふざけているとしか思えない。

魔法のステッキかこれは……。だがこれでも性能は高いというから驚きだ。

どこに何が作用してヌンチャクとしての性能を上げているのか武器屋の謎技術には恐れ入る。

 

ゲームでは使えなかったがシンプルな剣も置いてある。

ガルバディア兵がよく使用してるタイプからガーデン生が使ってるタイプまで色々あるが、当然オーソドックスで使いやすい武器なのだろう。

だがFF8の世界に産まれた時点でただの剣を使うという選択肢は無くなった。

ガンブレードがあるというのもあるが、FF8で剣を使うキャラクターはアルテマウェポン以外、基本的に雑魚のイメージしかないからだ。

 

 

ブラスターエッジという種類の武器もなかなかキワモノだ。

腕に取り付けて巨大な円月輪のような物を飛ばして発射するという原作ではヒロインのリノアが使用していた武器なのだが……。

 

はっきり言って腕に装備するクロスボウとかそういう次元の武器ではない。

何と、飛ばす弾というか円月輪は使い捨てではないのだ。

 

どういうことかというと刃でできたブーメランが飛んで定位置まで戻ってくる。

怖すぎるし絶対怪我すると思っているのだが、この世界の超技術でそんな事にはならず手元に返ってくるようだ。

当然、紐で巻き上げてる訳でもない。

敵にぶつかっても地面に落ちず返ってくるのが凄い。

……物理法則どこいった?

 

まあ遠距離攻撃できるし複雑な操作も必要無いため、初心者向けではある。

この世の技術を手放しで信じられる戦い初心者の人には、この武器をおすすめする。

 

その時、棚の横に立てかけてある武器が私の目に飛び込んできた。

 

 

「あ、あれは……ハープーン! 嘘だろ……。凄いな、この店はハープーンまで置いてあるのか……」

 

説明しよう、ハープーンとは鉄でできた人よりでかい長さのぶっとい銛だ。

先に返しのついた巨大な杭と言った方がわかりやすいか。

 

そもそも、これは人が武器として振り回せる物なのか?

どう考えても武器というより大規模な工事現場で使う物を拝借してきたようにしか見えないが……。

いや、工事現場でも見かけないかこんな物……。

 

ゲームプレイ時のウォードしか使ってる人を見たことがないので取り扱ってるイメージが無かったが、ちゃんと売ってる事に驚いた。

よくガルバディア軍もハープーンの携帯許可をウォードに出したなと思う。

大きすぎて棚に入らないから剥き出しで立てかけてあるその姿は一目で邪魔だとわかる。

 

そういえば、この巨大な鉄の塊を店主の爺さんが持ち運びできるのか……?

 

聞いてみた所、展示とお試しの素振り用に見本としてひとつ仕入れたは良いが、全然売れないし先は鋭いし動かせないしで、爺さんは心底困っているようだった。

やっぱり売れないのか……。

 

 

「兄ちゃん欲しいなら無料で持っていってええぞぉ〜……」

 

 

当然要らないので断って逃げるように店を出た。

FF8が好きな私でも欲しいと思わなかった。

 

実はFF8で1番の変人はあんな武器を好んで使っていたウォードなのかもしれない。

 

 

 




ガンブレード 入れ物 とかで画像検索した時に出てきた奴マジかっこよすぎてビビりました。
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