【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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16話 アルティミシア

 

その日はいつものようにモンスター狩りを終えてのんびり野営する筈だった。

テントを貼ってひと息ついたその時。

私の前方の地面から突如として細長い閃光が幾つも溢れ出す。

完全な不意打ちに私は警戒して飛び退いた。

 

光を発していた地面からじゅくじゅくと闇と紫色の霧が広がり、真紅のスレンダードレスに身を包んだ女が目の前に現れた。

 

 

「その特異な知識を私のために使いなさい」

 

女は金に輝く冷たい眼差しでいきなり私に命じる。

黒の大翼を背負い、灰色の髪を角のように束ねた魔女……。

 

 

(何故だ……? どうしてこいつが目の前に居る!?)

 

「どうして私の事を知っている!?」

 

動揺を取り繕う事すら出来ずに狼狽える自分に対して、薄らと微笑みながら彼女は囁く。

離れている筈なのに、耳障りの良いざらついた声が私の鼓膜を撫でるように耳元で聞こえた。

 

 

「あなたの望む物を与えましょう」

 

目に見えない魔力の奔流が全身を通り抜け、心体を鷲掴みされたかのような感覚に陥った。

生物としての格の違い、魔女と人間の差を如実に理解させられる。

 

 

徐々に近づいて来る魔女。

私がその場を動けないのは魔法のせいか恐ろしさのせいかすら理解できない。

 

胸元からヘソにかけて開けたドレスから素肌が見えた。

薄らと漂ってくる香水の匂いとこちらを見下す眼差しが圧倒的な色気となり、それが逆に恐怖を感じさせる。

戦闘を開始するまでもなく、私の心は即座に敗北を認めて屈した。

 

 

 

人を憎み、この世界を混乱に陥れ、世界を無にしようと企む悲劇の元凶。

目の前には原作のラストボスである悪の魔女アルティミシアがいた。

 

 

私は異なる世界やこの世界の重大な知識を持ち得ている。

それを最も看破されてはいけない存在に見抜かれたと悟った。

だが既にそんな事はどうでもいい。

何故なら目の前の美しくも恐ろしい魔女は、私の主になり望みを叶えてくれると仰るのだ。

 

 

「……わ、わたくしめをあなた様のしもべにして頂きたく存じます」

 

怯えながら慣れない謙譲語で要求した私の願いを魔女は突き放す。

 

 

「それはあなたの本当の願いではないでしょう?」

 

 

──本当の願いを叶えてあげましょう。

 

アルティミシアがそう言うと、紙が緩やかに燃え尽きていくように纏っている深紅のドレスが消えていき、隠されていた素肌が全て露になった。

その瞬間、私のプライドを守る為に覆い隠くした心も露わになる。

命の危機を感じていた私の生殖本能が呼応し、下半身に集まる血流が真なる願いを突きつけた。

 

 

────嘘だった。

しもべになりたいのではない。

目の前の美女の唇を奪い、好きなだけ体臭を嗅ぎ、心行くまでその体を貪る。

その果てに心身共に通じ合い、改心した魔女は悪ではなくなり私と幸せに生き続ける。

 

蠱惑的な彼女の裸を目の前にした私の心は嘘をつけなくなった。

浅はかで傲慢で性欲に塗れたヒーロー願望と、愚かしいロマンスを抱いた。

つまり私は彼女を食べたいのだ。

そんな心の奥底にある気持ちすら魔法で読まれていた。

 

 

「かわいい子……あなたに私の相手が務まるかしら?」

 

いつのまにか彼女の魔法で私の服は無くなり、お互いに全裸の男女が向かい合う。

私は本能に身を任せ、彼女の身体を抱きしめてまさぐりながら唇を貪った。

 

抱き合った二人がドロドロに溶けていく中、急激に魂の芯から熱くなり多幸感を味わいながら聖なる炎に包まれ、私は転生した。

 

 

 

 

聖なる炎に焼かれた大地と、黒焦げになったモルボルの死体が目に入り気付く。

そうだ、私は大森林を見るためにチョコボに乗ってエスタ地方のグランディディエリの森にたどり着き、テントを張って休憩していた。

その際、おそらくモルボルにバックアタックされ臭い息であらゆる状態異常を付与されたのだ……。

 

私はG.F.の副作用でよりにもよってモルボルが臭い息を使うという情報を忘れていた。

臭い息をハウリザードやモルボルが使う技ではなく、キスティス固有の技だと認識してしまっていたのである。

 

 

ST防御ジャンクションを深く考えずにモルボルの生息地に行く事は、イコール死を意味すると言っても過言ではない。

状況証拠から推察するに、状態異常漬けにされたあとモルボルに食べられ、溶解液で服を溶かされながら幻覚のアルティミシアに興奮していたらしい。

最終的にドロドロに溶けて死んだ私を、乱入型のG.F.であるフェニックスが生き返らせ助けてくれたようだ。

 

 

もしフェニックスの蘇生効果がゲームと違いそんな事できません、と言われていたら生き返れずに死んでいた。

フェニックスの尾の効果が心臓マッサージぐらいしか無いこの世界、

蘇生全般がどのような扱いになるのか気にはなっていたが、生き死にに関するレアアイテムを試す機会は自ら作ろうと思っても難しい。

 

 

「フェニックスとの縁を作っておいて良かった……。シュミ族ありがとう……」

 

心底震えながら焦げたモルボルの死体を食べる。

全裸で泣きながら草を食む男の姿を、チョコボが無垢な瞳で見ていたのだった。

 

 

 

幻覚とはいえ目の前に現れたアルティミシアは私に尋常ならざるリアリティを感じさせた。

魔女を目の前にすると半端な意志では抗えず、いとも簡単に操られてしまうのだろうという恐ろしさが実感できる貴重な体験をさせて貰った。

このような体験を糧にして人間力を高めて行こう、そう思った。

 

 

────嘘だった。

そんなのは己のプライドを守る為に覆い隠した誤魔化しにすぎない。

真実はモルボルとド変態プレイをしてしまった惨めな男がただ一人居るだけだった。

 

臭い息の情報のついでにモルボルを食べると精神の基礎ステータスが+1される事も思い出したが、そんなのはどうでも良い。

既に別の体験が原因で基礎ステータスとは無関係そうな方の精神力が向上した。

困難を乗り越え人としても変態としてもレベルが上がった今の私には生半可な魔法は通らないだろう、……その筈だった。

 

 

幻覚で見たアルティミシアは行為の最中、横長のツノを模したような髪型を最後まで下ろさずにそのままだった。

実際行為に及ぶ時あの大きなヘアスタイルはどうするのだろう?

この下世話で低俗な疑問が1ヶ月以上頭から離れない。

 

私はモルボルのせいで会ったこともないアルティミシアにうっすらと好意を抱くようになってしまっていた。

直接関与せずとも恋の魔法で心を操ろうとしてくる未来の魔女恐るべしと言うほかない。

 

 




この小説エロ回ばっか。
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