【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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いきなり設定説明ガン盛りの過去話


2話 未確認生命体

 

この世に再び男として生まれ変わり、3歳になった当時の私は、元気に駆け回り遊んでいる子供達を尻目に一人日陰で植物を観察していた。

 

この村ではあまり子供が外で遊ぶ自由が無い。

それは週に一度、村のお花畑で子供達が集められて日光浴を行う日だった。

 

折角の日光浴日和だが、その時はいつもより日差しが強くて私は体を動かす気になれなかった。

素直に言う事を聞く賢くて手間のかからないおとなしい子供。

それがこの時までの、この田舎街での私の評価だ。

そんな私は突如現れた謎のUFOから出る光に包まれ、庭の鉢植えと一緒に吸い込まれ連れ去られる事となる。

親が目を離した隙を狙われた。

 

 

 

アダムスキー型のUFOの船内には、私と同じぐらいの背丈をしたゆるキャラのような水色の宇宙人が、1人でパネルを操作している。

恐怖で錯乱した私は咄嗟に先手を取り、こちらに背を向けて船を操縦している宇宙人に殴りかかった。

後頭部を殴られた宇宙人はコントロールパネルに顔を打ちつけ悶える。

涙目になった宇宙人がパニックになり、細くて頼りない手でペチペチと殴りかかってきた。

 

2人はお互い必死に取っ組みあった。

圧倒的に足りない両者の攻撃力が勝負を長引かせ、双方のスタミナが底を尽きる。

息を切らしながら倒れた二人は、何故か種族の垣根を越えた奇妙な友情が生まれているのを感じていた。

 

 

 

そうして何かを認めたような鳴き声を発した宇宙人は、ヨロヨロと立ち上がるとパネルを操作してUFOを地上におろしてくれたのだった。

私がそのまま降りて歩いて帰ろうとすると、水色宇宙人が急いでUFOから出てくる。

どうやら最後にお別れの挨拶としてプレゼントをくれるらしい。

 

何をくれるのか少し期待していると、宇宙人は自分のブロマイドカードを渡してきた。

嬉しいような少しガッカリするような気持ちで受け取り、お別れの挨拶をする。

「……ありがとう! じゃあね!」と手を振って言うと

意味を理解しているのかどうかわからないが、宇宙人もこちらの真似をして「アリガトウ! ジャアネ!」と声を出し手を振り返してくれた。

 

 

 

彼だか彼女だかわからない水色の人型がUFOに乗り込もうとする。

────その直前に宇宙船の出入り口が閉まった。

UFOが空中に浮き上がり、おそらくなんらかの自動操縦機能が作動して飛んで行く。

そして目の前には……おそらく宇宙船に乗り込む前に取り残された宇宙人……。

 

彼だか彼女だかわからない存在は、涙目になりこちらを見たあと何故か光となって私の頭に入って来た。

先ほど生まれた微かな友情の気持ちなど完全に吹き飛び、未知の恐怖が心を支配する。

その場には宇宙人のくれたブロマイドを手に持って青ざめる私だけが残ったのだった。

 

 

 

 

 

身体に不調は感じない。なんならUFOに連れ去られる前よりも体調が良いと感じるのがまた不気味で仕方なかった……。

 

戻ってみると当然、私が変な何かに誘拐された事で村民は大騒ぎ。

今回は戻ってこれたから良いものの、週に一度の日光浴もやばいんじゃないかという話になっていた。

 

 

 

家に帰り暇潰しに宇宙人のブロマイドを観察していると、左上に数字と英語のAが菱形に配列され刻印されているのがわかる。

非常に見覚えのあるレイアウトが私の脳内を刺激して、前世の記憶が駆け巡った。

それは、産まれ落ちたこの世が、大好きだったゲーム『ファイナルファンタジー8』の世界だという事を理解した瞬間だった……。

あの宇宙人は作中のイベントで登場するコヨコヨというモンスター? だったのだ。

 

(あの宇宙人はコヨコヨだったのか……。ゲームと違ってちゃんとリアリティのある質感だったから気づかなかったな……)

 

しかし、生まれて初めて出会うFFのモンスターがコヨコヨとは……運が良いのか悪いのかわからない。

当然ながら、UFOに連れ去られるなんてモンスターがいたりするこの世界の中でも相当なレアケースである。

だが、この村ではUFOは珍しくても誘拐自体は珍しく無かった。

先日も近所の家が敵国の兵士に襲撃されて、子供が誘拐されかけたとか。

 

 

 

しかし、コヨコヨはどうして光になって消えてしまったのだろう?

そう考えていると、とある可能性を思いついてしまう。

私の頭に入ってきたコヨコヨは……もしかしてG.F.として私にジャンクションされたのではないだろうか?

 

早速専門用語が幾つも出てくるが、解説するとG.F.とはガーディアンフォースの略称である。

特殊な力場に存在するエネルギー体であり、ジャンクションした本人を依代にする事で実体化できるという設定のモンスターのような物だ。

要するに装備できて呼び出す事も出来る不思議生物である。身も蓋もない言い方をすれば召喚獣。

FF8の世界ではこれをジャンクションしているのと、していないのでは戦闘力に恐ろしい程の差が出る。

 

 

 

ジャンクションというのは装備と言えば良いのか、装着と言えばいいのか、憑依といえば良いのかはよくわからないがとにかく身につけてパワーを得る事だ。

G.F.を装備する事でさまざまな恩恵を得て魔法すら装備できるようになり、各種ステータスを底上げしたり特殊な能力やコマンド技が使える。

 

その恩恵の凄さは、厳しい訓練を受けた精鋭の軍人の何倍もの力を発揮できる……。といえばわかりやすいだろうか。

じゃあ当然みんながG.F.を使ってる修羅の世界なのか、と言われればそんな事はない。

G.F.をジャンクションする身体の部位はどこかというと、脳の記憶を司る部分なのだ。

 

そのため、使えば使うほど気づかない内に過去の記憶を失っていくという恐ろしいデメリットがある。

故に世界各国ではG.F.使用は好まれておらず、記憶障害が起きる危ない物として批判され、軍隊などでは基本的に使用を禁止している国が多い。

ブラックな労働環境がデフォルトで、頻繁に戦争を仕掛けるガルバディアという独裁国家ですら軍人が使う事は無いのだ。

 

 

 

逆に言えば、積極的に使用を推奨しているやばい学園なんかもある。

だが世論の批判を恐れずにはっきりと言おう。

私はFF8の世界で戦いに身を置く者ならばG.F.を使うべきだと思っているし、使わない人間は自殺志願者かやられ役になりたいのだろうとも思っている。

それぐらい強力で無くてはならない基本装備、それがG.F.(ガーディアン・フォース)でありジャンクションシステムだ。

 

 

原作のゲームでコヨコヨはG.F.ではない。

しかし外伝作品のディシディアファイナルファンタジーでは召喚獣として登場する。

 

FF8ではゆるキャラっぽい見た目の奴は、たいていG.F.として仲間になる。

ならばコヨコヨだってその可能性はあるのではないだろうか?

そう考えていたところ、頭の奥が少しザワザワしてなんとなく召喚できそうだと理解した。

私の予想通り、やはりG.F.だったのだ……。

 

 

UFOに置き去りにされてなかったらそのまま帰るつもりだったであろう事を考えると、渋々G.F.として仲間になっている気はするが……。

それでも私はこの世界を生き抜くための大事な力を手に入れたのだった。

 

 

G.F.としてどんなアビリティ(特殊能力)を持っているのか確認するにはどうすれば良いのだろう?

そう考えていると再び頭の中がザワザワして、今は何が使えるのか、今後何を覚えたいと思っているのか、等が思い浮かぶ。

 

これは……直接脳に影響を与えられている事が如実に理解できてなかなか怖い。デメリットに関する知識と真実を知ってる上で体験すると改めて認識できる。

軍人が使用を躊躇うのも納得だ。

 

コヨコヨが覚えていたアビリティは、基本的な物を除くと現状余りに乏しかった……。

だが、その中で一つ思いもよらぬアビリティがあった。

『たべる』である。

 

 

 

『たべる』とはその名の通りの技である。

 

使用するとモンスターを食べる事ができるという圧倒的キワモノ能力であり、明らかなネタアビリティだ。

しかし、食べる事による恩恵の中には馬鹿にできない物がある。

なんとゲームでは食べたモンスターによって、基礎能力値を永久に上昇させてくれる事があるのだ。

 

早速G.F.の副作用でどのモンスターを食べたらどういう効果があるのか、という知識を今の私は忘れてしまっていた。

そもそもそんな細かい部分の情報は、G.F.の副作用関係なく忘れてしまっていた可能性が高いだろうが。

 

 

だが、折角『たべる』というレアアビリティを扱えるのに使わないという手は無い。

能力値が永久に上がる以外にも、強力な回復効果があったりと効力を調べるメリットは多い。

単純に食費と回復薬代が浮くというのは、ゲームの世が現実となった今、ありがたい事だろう。

 

何より基礎能力値を永久に上昇できるかもしれないというのは、将来G.F.に極力頼りたく無い私にとって非常に魅力的な自己強化手段だからだ。

この世界はゲームではないので、わずかな基礎ステータスが上昇したところで認識はし辛いだろうし、本当に上昇するのか疑わしいが……。

 

血肉を取り込むというのは、ある意味これ以上無い程にわかりやすい肉体強化方法だと言える。

継続して続けていく事で、そのうち目に見える効果が現れるのではないかと思いたい。

 

 

 

この前の日光浴で、子供が盛大に転んでお婆さんに薬を塗って貰っていた。

 

あの薬がポーションだとすれば、この世界の魔法や回復薬は基本的にある程度の傷は治せるが、瀕死から完全回復できたり欠損を治したりできるほど、便利なものでは無い可能性が高いのではないか?

 

具体的に思い当たる事を言うならば、原作の最初に主人公であるスコールとライバルのサイファーの額に出来る傷をわざわざ残す必要が無い。

傭兵の教育機関であるガーデンで、額の傷程度が治りきらないなんて事があるのだろうか?

おそらく想像するに、傭兵学校に配備されている治療法は深い傷を完全には治し切れない程度の回復力なのだ。

 

 

 

高い魔力を持つ存在の放つ回復魔法。

メガフェニックスやエリクサーのようなレアアイテム。

『かいふく』や『ちりょう』のようなコマンドアビリティ。

フェニックスというG.F.の戦闘不能回復効果。

エスタ国の圧倒的な科学力。

 

上記の方法ならあるいはゲームのような治癒ができるかもしれないが、まだそれらに出会った事が無い為わからない。

そして、たべるの効果で得られる回復力はゲームでそれらに匹敵するレベルの物もあった。

ゲームでの回復力のそれを再現できるならば、俺にとって現実となったこの危険な世界では備えて置いて損は無い回復手段だろう。

 

 

 

まあ、つらつらと御託を並べたが……。結局のところ心の底から感じる想いは誤魔化せない。

本当はあの大好きだったゲーム作品の世界で、モンスターを実際に見たり戦ったりする体験をするという事が眩く思えたのだ。

ただゲームをプレイしただけじゃ分からない情報や味を知れるのが嬉しいのだ。

私はその興奮と、ロ〜〜〜マンティックな夢が目の前に置かれた状況から目を逸らす気になれない。

 

その日から大人しくて聞き分けの良い子供という村での私の評価は消え、危ないのに外に出たがり、モンスターと戦いたがる問題児という評価に修正されることとなった。

 

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