【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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17話 アルティミシア、聞け

 

アルティミシアを救いたい。

そう一月ぐらい思い悩み、グランディディエリの森からガルバディア大陸に帰ってくるまでの余暇に色々考えたが、私の矮小な頭脳では当然良い案が浮かばない。

 

 

そもそもアルティミシアは全ての時間を圧縮して世界崩壊、というよくわからない事をやりたいからやってる訳だ。

精神安定剤の役割を果たす魔女の騎士が居ないから悪の道に堕ちたという予想や見方は、「彼氏できなかったからグレたんだコイツ」という決めつけの勝手な憐れみでしかない。

 

元から権力欲が強いタイプの人間が魔女になった結果好き放題してるだけで、騎士という彼氏ポジションのメンタルケアの有無は関係ない可能性も考えられる。

まあそれもまた決めつけでしかないかもしれない。

 

勝手に決めつけられて憐れに思われるなどプライドの高そうなアルティミシアからすればムカつくだけ、というのは想像に難くないし、なによりも人に対して失礼な対応だろう。

そしてこの考えすらも決めつけだった。

 

 

つまり結局の所、会った事の無い知らない人の事をあれこれ真面目に考えても意味が無い。

それに自分の意思で悪い事をしている魔女を説得して改心できる気がしない。

私は他人に強く影響を与えられるほどカリスマ性があるわけでも、徳の高い人格者でもなかった。

 

 

 

だが一説では自分の意思で時間圧縮をしようとしてない可能性もある。

大いなるハインと呼ばれる始まりの魔女が魔女の力を通してアルティミシアの精神に影響している可能性だ。

 

 

ハインはこの世界では神に当たる存在であり雑用をさせる道具として人間という種族を作り出したとされている。

 

そんなハインは寝ている間に人間達増えすぎたので、使えなさそうな小さくて弱い子供を適当に皆殺しにした。

当然、人間達の反感を買う。

人々の直訴を無視して敵対を選んだ結果、

ハインは人間の知恵にやり込められ、己の体と力を半分人間にあげるから許してという命乞いをする羽目になる。

 

だがハインが人間に渡した半身は魔法の力ではなく野蛮な力しか持っておらず、消えた魔法のハインはどこかに行ってしまった。

その魔法のハインというのが魔女の力の源であり、再び神として世界を自分の手に取り戻そうとしている……かもしれない。とかなんとかいう御伽噺だ。

 

 

原作で戦うアルティミシアの最終形態はそのハインなのではないか? という説が考察されていたりした。

 

ハインが人間を生み出したとされるその話が、本当にこの世界の真実なのかはわからない。

しかし、私はロマン溢れるファンタジー世界で目の前に転がってきた神話の設定や風説を嘘だと断言するほどリアリストでもないのだ。

 

 

つまり、ハインが居るならばどうにかしないとアルティミシアは結局時間圧縮で世界崩壊を目指すので、どうにもならない可能性が高い。

ハインをどうにかすると言っても何をどうすれば良いのかわからないし、

好きとはいえ会ったことも無い女の為に、元神様に挑もうと思えるほど私は命知らずではない。

普段からモンスターに挑んだりしてる癖に、勝てる気がしない賭けはしたくないチキン野郎なのである。

 

 

 

アルティミシアについては、ファンの間で絶大な人気を誇るリノア=アルティミシア説というものがある。

これは原作ヒロインがラスボスなのではないか? という考察であり、さまざまなシーンからそう読み取れなくはない要素がある。

しかし公式が否定したり、その否定を撤回したりと信憑性は微妙な所だ。

まあ納得できる根拠自体はある程度存在するし、もしそうだったら面白くてエモいからあんまり積極的に否定もしたくないよね。

みたいな説である。

 

 

問題は万が一私の居るこの世界でこの説が事実だった場合だ。

万が一私とアルティミシアが恋仲になった場合、原作ヒロインを寝取っている事になるのだろうか?

確かにリノアは恋人になりたいと思える程可愛いヒロインだが、主人公のスコールもリノアに負けず劣らず可愛い存在なのだ。

 

スコールが成長し心を開いて完全無欠なリノアLOVEになり、憑き物が落ちた笑顔を見せてハッピーエンドで締め括られる。

 

(あの素晴らしくて泣ける過程と、最高に感動する幸せなエンディングを私自身が台無しになんてできますか?)

 

できたとしてもしたくは無い。

 

 

これらをひっくるめて原作の流れも壊したくないと考えると、今の自分にできる事などせいぜい自己強化と観光とくだらない記事を書く、ぐらいである。

 

現状では直接本人に会う事すら困難と言わざるを得ない。

なんといってもアルティミシアは遥か未来に存在しているのだ。

原作終盤の時間圧縮に巻き込まれた時に、強い思いで誰かと繋がれば未来でも存在を維持して合いに行けるだろうか?

強い思いで誰かと繋がる事は……苦手だ。

 

 

 

そもそも私は結論の出ない話について考える事に飽きて来ていた。

よく考えなくとも別にアルティミシアのことをそんなに愛してない。

原作でほぼ彼女の掘り下げも無いので、ストーリーを終結させる為にFFお馴染みの世界破壊要員としてラスボスに配置されただけの存在、という身も蓋もない見方すらできる。

 

 

私が好きなのはFF8という総合した世界であり、例え重要人物だとしてもアルティミシアという会った事のない一個人よりもこの世界で各地を観光する事の方が大事だ。

圧倒的リアリティのある幻覚に犯されたおかげでこの1ヶ月間性欲を持て余した、それだけの話だった。

 

おれは しょうきに もどった!

 

 

 

勝手に好きになり、勝手に助けようとして、勝手に諦め、勝手に振る。

私はなんてしょうもない人間なんだろうか……

 

 

始まりは幻覚から生み出された性欲がもたらした恋だ。

ファイナルファンタジー8が愛がテーマのゲームだ、様々な愛の形が描かれる中でこんな形から始まる愛があっても良いのではないだろうか?

 

──などとその気になっていた私の姿はお笑いだった。

というか変に答えを得ていたら魔女のストーカーになる一歩手前だった。

万が一恋人になった時リノアがアルティミシアだったら原作キャラを寝取ってる事になるよね、だなんて皮算用も甚だしい勘違い男の戯言だ。

 

(私は……私は……こんな無駄な事に考えを費やした自分が、恥ずかしいぃーっ!!)

 

 

こういう時はどうすれば良いのだろう、普通の人は何をして気を紛らわすのか……意外と思い浮かばない。

私はストレス発散は基本的にモンスターにぶつけるタイプだが、ドールに帰ってくるまでの戦闘でも発散できなかった。

私は普段、FF8の事さえ考えてれば基本的には幸せなのだ。

しかし今回に限ってはFF8の事を考えると頭が痛くなる。

コヨコヨよ、G.F.パワーで記憶を消してくれ……。そう願っても記憶喪失は自由に操作出来るものではなかった。

 

こういう時は酒でも飲んでパーっと忘れて嫌な事は忘れよう、みたいなよくある文言の奴でなんとかなるだろうか?

酒飲み友達も居ないし、1人で飲んでたらまたグダグダ考えそうだ。

デリングシティにでも行ってキャバクラでも探してみようかな。

キャバクラ、行った事無いんだよな……楽しいのかな……。

そもそもこの世界にそういうお店あるのかな……。

 

そうして私は不安を感じながら夜の街デリングシティにキャバクラ探索に行くのであった。

 

 

デリングシティに付いた私は早速聞き込み調査をすると、想像通り女の子を横につけて飲める店はあるようだ。

珍しく記者らしい行動だったが、調査はすぐに終了してそんな時も数時間で終わってしまった。

 

入った店で店員に席まで案内され、女の子を両脇にセッティングしてもらう。

隣に来てくれた女の子の化粧が濃い……。

濃い化粧は魔女を連想してしまうから今は勘弁してほしいが、小心者の私はチェンジなど言える筈もない。

 

 

(普段なら魔女っぽい女性は全然ありなんだけどね……)

 

しかしながらもっと騒ぐイメージだったが、意外にも店内は落ち着いた雰囲気で女の子達も騒がしく無い。

一気コールとかやるのかと思ったらそんな感じでもない。

なんか2人とも上品で良い娘達だった……顔は十分可愛いしチェンジとか思ってごめん。

 

 

「え、凄いです……クレイズさんモンスター倒せるんですか」

 

「うん、そりゃもう息をするようにバッサバッサと倒しまくりで、食べまくりさ」

 

「食べまくりって、面白い冗談をおっしゃるんですね……ふふ」

 

「あ、冗談だと思ってるでしょ? ほんとだからこれ、こないだもモルボル食べたから」

 

 

自分で言っててなんだが、嫌な記憶が蘇ってきたのでこの話はやめよう。

ちょっと……おっぱい当たってるよ、左の娘。

 

 

「でもモンスター倒して生活してるってワイルドでかっこいいですね、男らしくて私そういう人尊敬します」

 

「そう? 普段あんまり褒められる事ないから嬉しいな〜。まあ確かに良くテントで寝泊まりしたりご飯はモンスターの肉現地調達だから、私ほどワイルドな人は中々居ないかもね」

 

なんか酒が入って結構酔ってきたのが自分でもわかる。

いつのまにか沢山飲まされてるが自覚しつつも女の子達の持ち上げが気持ち良いので拒否できない。

あと太もも柔らかいから手が吸い付いて離れない。

 

 

「クレイズさんワイルドなのに自分の事を『私』って言うんですね、ギャップ感じて好きになっちゃいそう」

 

「あ〜これ? 昔お世話になった人が私って言ってて〜、頭良さそうでかっこいいから真似てたら、いつのまにか昔の喋りかた忘れちゃってさ〜」

 

「お似合いだと思いますよ、なんだか知的」

 

「そう? 自分ではまだまだ似合ってる気がしなくてねぇ、なんか尊敬してる人も一緒に褒められたみたいで嬉しいけど────その人ガルバディアで昔兵士しててさ〜うちの村に来た時は実物見てびっくりしたよ〜FF8で見た時はこんなかっこいい声してると思ってなかったから〜」

 

私は酔いで気が良くなっているのを自覚して流石にもうこれ以上は良くないなと思い、お会計をお願いした。

楽しい時間だけどそろそろ帰る事にする。

もう二度とキャバクラには来ない、これ以上は絶対にどハマりしてしまうと分かったからだ。

 

お会計の金額は意外にも思ったよりは良心的だった。

やはり圧倒的な権力により、デリングシティは治安が良いのだろう。

ぼったくりに会うという事は無いみたいだった。

 

 

 

会った事のない魔女より、目の前の姉ちゃんの方が良い事がわかった。

すっかりこの一ヵ月間考えていた事などどうでも良くなった私はホテルに帰る。

なんだかムラムラしてきたので、となりのカノジョでも見ようと思ったら魔女のページが無い。

おそらくデリングシティの入国審査時に荷物の検問を受けて、該当ページが抜き取られ処分されてしまったようだ。

 

という事は既にガルバディアと魔女は裏で手を組んでいるのかもしれない。

なんというかここまでするか? と思うが相手は恐ろしい魔女だからここまでしても気が休まらないのか。

疑似体験した私にはその気持ちが少し理解できるような気がする。

 

どちらにせよあまりここに長居はしない方が良いかもなと思った。

 

 




圧倒的設定説明回
この作品いつまでも原作キャラ出さずに、こんな自問自答と設定語りばっかで読んでくれる人に悪い気はしている。
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