【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。 作:速射弾
ガーデンがトラビア大陸にたどり着き、最近は少し肌寒くなってきた。
数日前クレイズと会った時の事だ。
ワインレッドのチェスターコートを着た彼は私に時間をくれという。
それは少し気になる男性からのデートのお誘いだった。
「でも貴方、彼女いるんでしょう? そんな事してていいの?」
「絶対ダメだね……。でも人って良くない事をしてる方がドキドキして楽しいだろ?」
「さぁ? 良くない事をしたことが無いから分からないわ」
「じゃあその日はキスティスが初めて優等生から不良になる日だ」
全く、ただ遊ぶだけで大袈裟だと思う。
しかし最近学園祭の準備で忙しかったので、たまには気分転換も良いかもしれない。
(と言ってもこの学園の事は知り尽くしてるし、私が楽しくデートして遊べる所なんてあんまり無いけどね)
クレイズはなんだか昔よりも気楽な雰囲気になった気がする。
元々軽そうな性格だったけど、悩み事でも解決したのか、あの頃よりも更に自由奔放といった感じだ。
やはり恋人が居るというのは何か人を変えるのだろう。
それが少し羨ましかった。
そして今日、約束していた夕方がやってくる。
遊ぶ。
そう一言で表しても何をするのか。
とりあえず食堂で晩御飯を一緒に食べながら二人で話すと、彼はノープランだった。
彼女と遊ぶ時はどうしているのかと聞くと、カードと騎士ごっこばかりしていたらしい。
(騎士ごっこ……?)
どう言う遊びなのか聞くと、跪いて左右の肩にガールフレンドが順番に剣を水平に当てて行き、その後忠誠をあらためて誓うという物のようだ。
何が面白いのか私には全くわからないが、毎朝やっているという。
相変わらず彼は少し理解できないところがある。
会った事は無いが、それに付き合う彼女も相応に変人なのだろう。
その彼女は一緒にガーデンに乗っているというので、案内でもしてあげて最後は秘密の場所でロマンチックに過ごせば良いと鉄板のデートプランを教えてあげる。
なんで恋人が居ない私がアドバイスをしなきゃいけないのかは謎だった。
「前にガーデン来た時のあれってやっぱりデートだったんだね」
あの頃の私はそう言い切ってしまうのが恥ずかしかったが、デートという意識はあったのだ。
それがクレイズにバレてしまった。
(余計な事言ったかな?)
4年前のあの時、デートだと言い切ってしまえば、今頃目の前の彼と恋人になる未来があったのかもしれない。
(まあ、付き合ってたとしても、ついていけなくて今頃別れてるかもね)
そう思ってしまうのは私の負け惜しみだ。
「足が死ぬほど疲れてもう動けない……部屋が近いからちょっとそこまで休憩して行こうよ……」
結局私達は二人でグダグダ喋っているだけだった。
全く歩いていないのに、クレイズは意味のわからない我儘を言い出す。
「近いって……貴方の部屋、三階でしょ? ここ一階よ?」
「コヨコヨが君に会いたがってる、今は部屋で待ってるからそこまで来て欲しいんだ」
…………。
ここまでしつこく露骨に男性から誘われたら流石に私でもわかる。
そういう事なら早く言えば良いのに……もう。
「はいはい、よくわかったわね。私がCC団首領カードマスター『キング』。
もうガーデンに私を倒せる人は居ないの、貴方なら楽しませてくれるって事よね?」
本腰を入れて対戦したい時に寝床に誘うのは、カードゲームをする人間ならば知っていて当然の常識だった。
その行動はどれだけ本気なのかという心象を示す表明でもある。
「ああ、退屈させないと誓うよ。月並みな言葉だけど今夜は眠らせない。行こうか」
そう言って強引に私の手を掴み、エレベーターに連れ込もうとする彼。
豹変した態度と戦いの中で鍛えられた男の手にギャップを感じ、顔が火照るのを自覚する。
気になる男性から作られたムードに逆らえる程、私は達観していなかった。
これから彼の部屋に行き、一晩を共にするのだ……。
「待て」
止まらない心音と共に私が何かを諦めかけたその時、エントランスの方角から別の男性の静止が聞こえた。
「キスティスに用があるのはお前だけじゃない」
頼りになる声で私に用事があると言う彼は。
「CC団を倒してここまで来たのは俺も同じだ」
私が昔担当していた元SeeD候補生
「こんな偶然があるとはな」
現バラムガーデン委員長。
「俺の用事にも付き合って貰う」
スコール・レオンハート。
嘗ての想い人がそこに居た。
「すまないがスコール、邪魔をしないでくれるかな。元々彼女と約束していたのは私の方が先だ」
ガンブレードを持った人物がカードの勝負を挑み続けている。
最近そんな噂を耳にしていた。
てっきりシュウから教えてもらったクレイズの事かと思っていたが、もう一人該当者が居たのだ。
「そういうわけにもいかない。シド学園長に色々と相談されているおかげで俺には時間が少ないんだ」
別々の二人が互いに違う所で勝負を仕掛けていたのが真実だったようだ。
「それは今、僕達に関係ある事かな?」
「その中にはお前に関する要件も入っている。モンスター食を授業に採用するかどうかという話に心当たりがあるんじゃないか?」
「つまり、自分の時間が無いのは私のせいでもあると言いたいのか……まあそうかもしれないね。
でも今の私の目は誤魔化せない。スコール、本当はカードを楽しみたいだけだろ? まるで飢えたライオンのようなカードゲーマーの目をしているぞ?」
「…………ふっ」
スコールの煽るような笑い方なんて初めて聞いた。
私を取り合って言い争いになっている様だ、どちらも引く気が無いらしい。
「ねぇ……私を取り合うのはやめて、3人で一緒にやりましょう?」
スコールとクレイズが驚くような顔で私を見る。
「キスティスが良いなら私は構わないよ」
「そうだな、そっちの方が効率的だ」
三人で一つのパーティになった私達はクレイズの部屋へ招待された。
普段ガーデンの客室に入る事なんてないので新鮮だ。
SeeD用の個室より豪華な内装は、まるでホテルの一室の様だった。
私は夜が明けるまで、二人の男性に交互に嬲られた。
彼等のほとばしるような熱が私の体を離さない。
カードの楽しさを知り始めたばかりだというスコールは、覚えたてのやりたい盛りだった。
強引にでも私を求めてきたのはそういう事だったらしい。
何度も何度もカードを打ち付ける彼は底無しだ。
そんな若さ溢れるSeeDを受け止めようとするが、従来の才能と優秀な遺伝子に私は屈服させられる。
クレイズは手慣れた大人のテクニックで私を満たす。
昔の彼とは全くの別人。
酸いも甘いも経験した深みに溺れ、未成年である私は成す術がない。
同世代相手では味わえない、戦いの快楽を教え込むようなその手解きの前に、私は初心な少女でしか無かった。
今夜どれぐらいの数、仕込まれただろう?
彼に憶えさせられたテクニックを使う私は、以前とは別人になってしまった。
それはG.F.の副作用でも二度と忘れる事のできないマーキング。
恐らく、今後どんな素敵な人とカードゲームをしても、心の何処かでクレイズと比べてしまう様になるのだ。
彼等同士で行われる試合も当然ある。
男二人の真剣な眼差しが向かい合う。
スコールが乱暴にプレイしても、クレイズはそれを許して笑顔で受け止めた。
最初はやはり歳上のテクニックが優勢で、何度もスコールを敗北させて悔しそうな表情を引き出した。
しかし彼も黙っては居ない。
いつのまにか渡り合えるまで成長して、遂には立場を逆転させた。
攻め立てるスコールに泣かされるクレイズ。
それを見ると、やり疲れた私の心に再び興奮が蘇る。
休憩を経てプレイを再開すると、自分が二人の男性を相手取る事が出来るようになっている事に気付く。
新しい扉を開いたみたいで、とても幸せな時間だった……。
バラムガーデンの規則には男女の交際についての一文がある。
『節度を守りましょう』
私は全く関係の無いそれを何故か思い出して苦笑いした。
感想とか評価とか貰えなくても良いと思いながらやりたい事やりました。