【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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番外編 ある日のガーデンの授業風景

 

バラムガーデンで試しにモンスター食に関する特別授業が行われる事となる。

そこでシド学園長推薦であり、その道の専門家とも言える私は協力をお願いされた。

 

この科目を担当補佐してくれるガーデンの教師に挨拶をする。

彼は教員であり、ヤマズ・アキという名前のベテラン教師だ。

通称ヤマザキ先生。

 

彼と一緒に授業内容を煮詰めて行く。

まるで発表会に備える様な気分である。

 

バラムガーデンの豪勢な教卓は、まるでお洒落な飲食店のカウンターの様だった。

これから話す授業の内容にはある意味お似合いだ。

まさか自分が初めて教室に入れるのが教師側としてだとは思いもよらなかったな、等と考えながら教室内を見渡し、端的に自己紹介をして授業を開始する。

 

「バトルシリーズは結構人気の雑誌なので、もしかしたら私の事を知っている。という人もいるかも知れませんね。

モンスターを食べるというとなんだか嫌〜なイメージですが、実際にやってみると意外と普通に動物を捌いて食べてるのと変わらなかったりします」

 

教師用の椅子に座り、PCを操作して黒板に映像や授業に関する資料を映し出す。

沈み込む様に私の身体を包む椅子のクッション。これが教師達の日々のストレスを和らげるのだろう。

 

 

「物によってはそうもいかないですけどね、例えばバイセージハンズというモンスターは泥の味ですし、鉄巨人は純粋に鉄なのでとても食えたものじゃないです。

ゾンビ系は元が人間な事もあるのであまり食べる気にはなれません」

 

マウスで資料を操作して、黒板に映る画面の右上に拡大映像を映し出した。

私が実際にモンスターを食べている時の映像だ。

この授業の為に特別に許可を取り、訓練施設でヤマザキ先生と撮影したのである。

 

「では何故モンスターを食べる必要があるのかというとG.F.に関連してきます。

あまり知られて無いですが、アビリティの中には『たべる』という物があるんですね。

元々私がモンスターを食べようと思ったのもその影響でした」

 

ここで私はコヨコヨを召喚した。

机の上に出現した見た事の無いG.F.に彼等の目線は釘付けだ。

生徒の興味を引く物が多いに越した事は無い。

 

「たまたま取得した野良G.F.が憶えていた場合、私の所に来てくれれば詳しく『たべる』の恩恵について話してあげられるので、そういう人が居たら是非気軽に聞いてみてください。

サバイバルに有益というのもあります。

戦場等で遭難した万が一の時に覚えていても損は無いので、試しに授業に取り入れてみようとなったんですね」

 

ラグナの事を思い出す。

キロスの話で度々出てくるのは、彼が道に迷い遭難して何かに巻き込まれるというエピソードの始まり。

そんな時、覚えておくと生存率が上がるかもしれない。

 

 

「モンスターを食べる時の注意点と基礎知識として重要な事が三つあります」

 

映像画面が切り替わり、グラットを生で食べて顔の血色が緑色になっている私の姿が映し出される。

 

「まず一つ目は万能薬を常備する、です。これはモンスターを食べた時に状態異常にかかる可能性があるので、それに対処できる手段を用意しておきましょうという事ですね」

 

万能薬、これに何度お世話になったことか。

この世界の歴史で要人暗殺に毒が使われなくなったのは、間違いなくこの薬が世に出回ったからだろう。

 

 

「二つ目は一人で食べない。これは出来る限り守った方が良いです。

状態異常の中には一人で対処しきれない物があります。混乱、睡眠、石化等ですね。

特に石化は自然には治らないので注意が必要です」

 

コヨコヨを持ち上げて生徒達に見せつけた。

 

「私も状態異常に陥った時、助けてくれる彼がいなければ今頃森の中で石像になってたでしょう」

 

物理的にも精神的にも急に持ち上げられて慌てふためく宇宙人。

生徒がクスクスと笑う。

 

「まあ実際は、ST防御に石化等の魔法をジャンクションしてから食べるので、今のは冗談ですが……。

知ってるモンスターでも、生息地域や個体差によってその味や効果は全くの別物に変わってくるので、知識があるからといって過信してはいけません」

 

 

 

「そして三つ目、モンスターに食べられない様にしましょう。これはまあ言葉の通りですね。

食べるつもりが食べられていたなんて洒落になりません。得てして美味しいモンスターは手強い事が多いです。

あまりの美味しさに深追いしようとすると悲惨な結末になりかねないので注意しましょう」

 

 

流石に授業の為に実際食べられるという訳にはいかないので、映像の中の私は大きく口を開けて死んだアルケオダイノスの牙の間に立っている。

乱雑に生え揃う牙が注視されて舐める様に映し出された。

 

 

「実体験ですが私も一度モンスターに食べられた経験があります。

その時は奇跡が起こって一命を取り留めましたが、口の中に入れられて胃液に溶かされるのは二度と忘れられない体験でした」

 

生徒達から驚く様な声が聞こえる。

この話はあまり詳しくする気になれないので次に行こう。

 

 

私は袋を取り出した。

 

「ここにアルケオダイノスで作ったビーフジャーキーがあるのでそれぞれ全員に配ります。

とっても美味しいので嫌だと感じない人は是非食べてみてください。

アレルギー症状が出た人は万能薬があるのでヤマザキ先生に報告するように」

 

小さめにジッパーに入った少量のジャーキーを配り終えると、教室がその美味しさに少し騒がしくなってきた。

空気が解れた所でコミニュケーションタイムだ。

 

 

「たまに地方特有のモンスター食文化が発展している事があるのですが、そういう地域に根付いた食べ方に触れた事がある人もいるのではないでしょうか?

ではここで少し質問してみましょうか、どんな些細な事でも良いので皆さんが知っているモンスター食について教えてください」

 

 

猪一番にグローブを嵌めた手が上がる。

元気が有り余っているのだろう、彼は何度も手を伸ばして己の存在を主張していた。

 

 

「真っ先に手を挙げてくれてありがとう、じゃあゼル。君の話を聞かせてくれる?」

 

「コカトリスってモンスターは不味いけど、野生化した鶏と交雑したやつは旨いってどっかの論文で目にした事があるぜ!」

 

思わず感心してしまう情報、ヤンチャな見た目と性格に反して彼は博学だ。

その知識は何処から来ているのか知らないが、SeeDに選ばれるだけの下地は持っているのだろう。

 

 

「それと昔コカトリスを食用に品種改良して養殖しようって話があったけど、鶏よりも数段声が煩くて飼育員が耐えられないから計画は頓挫したんだとよ」

 

「ゼル君は物知りですね、それは私も知りませんでした。チキンに関して彼の右に出る物は居ないでしょう、皆さん拍手」

 

ゼルはみんなから拍手を貰い、照れながら着席した。

「他に話がありますよという人はいる?」と私が催促すると、隣同士で座っている同じ顔をした女子生徒が手を同時に挙げる。

 

 

「じゃあそこの双子の右側の君」

 

「トラビア地方では、ゴージュシールでキビヤックを作ると聞いた事があります!」

「トラビア地方では、ゴージュシールでキビヤックを作ると聞いた事があります!」

 

「おっと、お揃いでどうもありがとう、良く知っているね。それにしてもコンビネーション抜群だ……。

実は私もトラビアに行った時、ゴージュシールの発酵食品は少し食べてみた事があります。

その巨体に他の動物を詰め込んで発酵させる工程は物凄い迫力でした。

味は……とても生臭くて塩っ辛いですね。個人的にオススメはしません……」

 

強烈な臭いを思い出して嫌な顔になる。

ゴージュシールは本当にデカいので、そんな大掛かりな料理は中々トラビアでも作られる事が無いらしい。

私が行った時には丁度学園祭という事で運良く作られていたので食べてみたのだ。

 

 

「トラビアでは他にもゲイラやメズマライズといったモンスターを食べるので、他の地域と比べると厳しい環境下という事もあってかモンスター食が割と盛んな印象でした」

 

そうやって知識を共有するついでに話をしていると、ヤマザキ先生から合図が送られる。

そろそろ休み時間だ。

一回の授業という時間は思っている以上に短い物だったが、こんな機会はそうそう無いので楽しい時間を過ごさせて貰った。

 

 

「さて、様々なお話が聞けました。このように各地で食べられているので、

先入観を取り払えば、意外と不思議な行動でも無いのがモンスター食なんですね。

 

今後この科目が授業に反映されるかは未定ですが、今回のお話でその忌避感を少しでも減らす事が出来たとしたら嬉しいです。

本日は拙い授業でしたが、ご清聴ありがとうございました」

 

挨拶と授業を終えて教室を出る。

なんだか好き勝手に話してるだけだった様な気もするがこれで良かったのだろうか?

そう聞くとヤマザキ先生は良かった所とダメな所を教えてくれて、「次のクラスで話す時に改善すれば良い」と励ましてくれる。

そんな事より割と真面目に授業をしていた方が驚きだったと、隣を歩く先輩教師は笑っていた。

 

これを何日かに分けて、年少組から卒業間近のクラスまで周りながら行っていくのだ。

この程度で大変だと感じてしまう私は教師に向いていないのだろう。

何食わぬ顔で毎日それをこなしている教員達の偉大さを、身をもって体験した1週間であった。

 

 

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