【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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間話 キロス・シーゲル

 

ラグナの友人のキロス・シーゲルは私が出会った中でも尊敬できる大人の一人である。

 

クールだがユーモアも兼ね備える彼は、友を思う熱い心を持つのに落ち着き払った態度のカッコいい細身の黒人男性だ。

露出の高い鎧の様な変な服を堂々と着て街中を歩ける所も、自分を貫いていて凄い。

 

同性の友に人生を捧げる一途さは、仮にキロスが女性キャラだったならジュリアやレインを差し置いてラグナのヒロインとして結ばれていたであろうと容易に想像できる。

 

 

 

彼はカタールという珍しい形状の双剣を使い戦う。

ジャマダハルとも言うらしい。

流れるような舞じみた動きで切り付ける戦い方は、細身の黒人という容姿にこれ以上ないほど似合っていた。

 

中でも両手をダラリとぶら下げながら腰を落として後ろに体重を置き、ゆらゆら揺れる戦闘時の基本の型は凄まじかった。

スタイルの良いイケメンという最強の見た目で産まれた私でも、到底似合わない動きなのだ。

 

常人では軽い気持ちで真似すると火傷する事になる。

だがキロスはこの型を堂々と使いこなし、変な服以上に着こなしていた。

 

原作のFF8やアルティマニアにすら、この動きに詳しい言及はほぼ無い。

もっと大々的に言われてもおかしくないにも関わらずだ。

相当変な動きなのに似合っているので、ゲームクリエイターにすら殆ど違和感を覚えさせていないという事なのだ。

 

 

 

 

私の言葉は馬鹿にしているように聞こえるかもしれない。

実際私も前世でゲームをしている時は、変な見た目と動きのキャラクターだとしか思ってなかった。

だが実際に現物を見てみるとその考えは吹き飛んだのだ。

 

ゲームで見ても違和感のある服と動きの調和を、実際に目にした時の衝撃。

それに違和感がなかった衝撃。

 

変な服だと周囲に認識されながらも、一切気にせず己の信念に沿っている衝撃。

それでいて精神性に何らおかしな部分が無く、周囲からの扱いも含めて常識人として振る舞えている衝撃。

 

もしかすると彼はこの世界で魔女と同じぐらいファンタジーを体現している人物かもしれない。

 

 

 

 

実は恥ずかしながら、私の一人称は彼に影響を強く受けている。

ガンブレード以外の武器を使うなら迷い無くカタールを選ぶ程度には、私の心に刺さった人物だった。

 

親から貰った体と戦いの才能と原作知識しか誇れる事のない自分にとって、キロスの持つ精神的上級者故の立ち振る舞いは純粋にカッコよく、憧れの存在として写った。

 

 

 

ある時、キロスは私を諭すように言った。

 

 

「あまりラグナ君が街の人々に疎まれている事を気にしない方がいい。彼はそれを知っていても気にしていないし、おそらくそんな事よりも今日の晩飯が何かで頭が一杯だ」

 

「そんな人間の事を真面目に心配しても仕方ない、自分が損をするだけだ。まあだからこそラグナ君は周囲に不思議な安心感を与えているとも言えるがな」

 

 

結局愚かな私はその言葉を糧に出来ず気にしない事は無理だったが、今でも実家に帰った際、ウィンヒルの人々と表面上だけでも普通にご近所付き合いをする気になれているのは、この言葉のおかげだった。

 

 

キロスに武器の扱い方を教わった事もある。

 

自作の木造のガンブレードを振るう私を見た彼はアドバイスをくれた。

 

 

「クレイズはガンブレードを使いたいのか、なら私の技が参考になるかもしれない」

 

そう言うとキロスは全身で舞いながら連続で敵を斬りつける必殺技を教えてくれた。

 

 

「この技はブラッドペインという。これはカタールでしかできない技だがガンブレードには連続で切る戦い方があった筈だ。おそらく共通する何かがある。覚えておいて損は無い」

 

 

キロスの勘は当たった。

彼に教えてもらった技をある程度再現できるようになってから、ガンブレードを振る時の動きにしっくりくる物が幾つも感じられたのだ。

 

それから私のオリジナルガンブレードトレーニングの精度は明らかに増した。

 

 

 

ラグナがエルオーネを探す旅に出る。

それについていくキロス・シーゲルはウィンヒルを去る時、私に言った。

 

 

「ラグナ君はクレイズにこの村のパトロールをまかせたな、だが君はそんな言葉に縛られる必要は無い」

 

「任されたパトロールは何時でもやめていい。ウィンヒルを出て行っても良い。君にはやりたい事も君だけの人生もある、私達が勝手に此処を出ていくようにな」

 

何故私が村を出ていきたいと分かったのかと聞くと彼は微笑みながら答えた。

 

 

「ガンブレードはこの村に居ては永久に手に入らない、それが答えだ」

 

私はラグナの教えを律儀に守りウィンヒルをパトロールしていた訳じゃない。

自分とG.F.を鍛えるついでにモンスターを殺し回っていただけだ。

 

だが、キロスの言葉が無ければ15という若さで村を出て行く事は無く、母を一人にしないという事に縛られ、ズルズルと二十歳まで旅に出ることは無かったに違いない。

 

この5年という大きな期間は彼が私にくれた物だった。

 

 




主人公はフィルターかかってるせいか大袈裟に語ってますがキロスは別にそんなできた聖人のような人間ではないです。
キロス自身はラグナを出汁にして楽しく過ごせるならなんでも良いと思っています。
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