【完結】FF8の世界に転生してスローライフを満喫する話。   作:速射弾

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46話 スコール・レオンハート③

 

「うおおお! あんな強そうなドラゴン達を倒すなんて凄いもんよ! サイファーかっこいいもんよ!」

 

「我、驚愕! 録画依頼、疑、撤回……」

 

風神雷神が褒める中でクレイズがしたり顔になって言う。

 

 

「おいおい君達ぃ……まさかこれで終わりだと思ってないかい? ん?」

 

これ以上まだ何かあるのか?

その表情から出てくる話の内容が碌でもない事だけは確定していた。

確かに凄かったがもう十分だ、そろそろリノアの肉声が聞きたい。

 

 

「そもそもこの島は何故閉鎖されたと思う?」

 

クイズはいいからさっさと先を言え。

そう思っているとサイファーが続きを促す。

 

「おあずけはもう充分だ……さっさと先を言えクレイズ、俺はクイズ大会をしたい訳じゃ無い」

 

不覚にも同じ事を思ってしまったらしい。

こんな奴と似た考えが過ぎった事を恥じ、少し気分が落ち込む。

サイファーに急かされた事によって、早速クイズの答えが発表されるようだ。

 

 

「4242年、ここ海洋探査人工島は閉鎖を決定した。

正式に発表された理由は海洋生物の調査中たまたま見つけたエネルギー資源が期待はずれで、これ以上の採掘は採算が取れないと判断されたからだった……。

しかし真実は違う。

この軍艦島と呼ばれる人工島の下には、大海のよどみと命名された発掘現場があるわけだが……。

そこで掘り当てては行けない何かを掘り当てたのだ……」

 

ゴクリと雷神の唾を飲む音。

よくそんな真剣にこいつの話を聞けるな……。

 

 

「だから何故そんな事を知っている」

 

俺の問いかけにクレイズは何も考えてないような声で答えた。

 

「オカルトファンという雑誌に書いてあった」

 

「呆」

 

馬鹿ばかしいにも程がある……。

しかし実際にバハムートが存在していた事を加味すると、この男の言い分は頭ごなしに否定し辛いのが厄介な所だ。

 

 

「G.F.やドローポイントを研究して、バハムートすらも利用していた奴等が撤退する理由とは一体なんだろうね?」

 

ふふふ……と意味深な笑みを浮かべるクレイズ。

 

 

「なるほど、それを確認しに行く為に一人じゃ心細いから俺達を連れてきたってわけだ、人選に俺を選んだのはいい判断だな」

 

何やらサイファーが納得している。

まさか乗り気になっているのか……?

こいつ……SeeD試験の時はあんなに独断専行を繰り返していたのに、今日やけに大人しいのはそういう事か……。

 

 

「私の考察によると、ここに眠っている存在の見当はついているんだ」

 

聞きたい? 聞く? そりゃ聞きたいよねぇ。と鬱陶しいテンションの上がり方で絡んでくる。

相変わらず勿体ぶる奴だったが、次に出てきた言葉は予想外の答えだった。

 

「始まりの魔女ハインさ」

 

 

 

魔女。

それは俺の人生に深く関わる言葉。

魔女と戦うために魔女に育てられ、魔女となった女を愛して、魔女を討つ。

そんな宿命は遠の昔に終わらせたと思っていた。

 

俺だけじゃない、ここにいるサイファーだってそうだ。

魔女に振り回される人生は俺よりこいつの方が過酷だったかもしれない。

本人はあまり辛いと思ってなさそうなのが幸いだ。

 

そんなサイファーはクレイズの言葉に不意を打たれたのか、驚きが隠せない様だった。

こんな表情、ガーデンで付き合いが長かった俺でも見た事ない。

魔女が大好きすぎてパシリをやってた人間に聞かせると、そうなって当然か……。

 

 

「大いなるハイン……子供に読み聴かせる御伽噺の神様がなんでここで出てくる?」

 

案の定興味津々といった様子だ。

 

「始まりのハインが魔女の始祖かもしれないというのは、既にバラムガーデンで習って知っているとは思うけど、一般的にはハインの半身が魔女の力だと言われているよね?」

 

一般的かどうかは知らないが、一応そのようなニュアンスで魔女が敬われている事もあるのは事実だった。

魔女の力を受け継いだリノアが、エスタの魔女記念館に幽閉される時もそういう風に言われていたのを憶えている。

少し当時の苛立ちを思い出してリノアを抱きしめたくなった……。

早く帰りたい。

 

 

「魔法の力を持つ半身が魔女、そして原始的な力を持つ半身を手に入れたのが黒耳王ゼバルガだ。まあ御伽噺とされているからこの話に信憑性なんて無いわけだが、私は重要な証言を手に入れた。

元魔女であるアルティミシア、彼女に聞いたんだ。

実は私はアルティミシアと付き合っていてね……来月彼女にプロポーズしようと思っている。

そんな現役を引退した魔女から直接聞いた話だ……」

 

風神雷神、そしてサイファーにとって驚きの情報が出てきすぎているせいか、流石に困惑気味だ。

だがその余計な情報により、ここにいる全員がいつのまにかクレイズの突拍子も無い話に釘付けになっていた。

 

 

「アルティミシアはスコールと戦う最中、ハインの存在を認識したらしい。そして最後にまだ諦めていなかった筈なのに力を継承した……。スコールもあの時死にかけていた彼女の意志の篭った言葉を聞いた筈だ」

 

諦めていないのに力を手放そうとするなんておかしいじゃないかと、この男は言う。

他の三人が事実の確認をする為に俺の顔を見た。

そんな期待した目で俺を見るなよ……。

 

 

「うろ覚えだが……まだ終わるわけにはいかない、みたいな事は確かに言ってた気がするな……」

 

「真実?」

 

「これが本当なら凄い発見だもんよ!」

 

そうだな、本当なら凄い発見だろうな。

魔女研究の第一人者であるオダイン博士辺りが聞いたら喜びそうな話だ。

 

 

「ハインは実在する。そしてその半分は魔女となり、もう半分は何処に行ったのか……」

 

まあアルティミシアの証言以外はオカルトファンで書かれてた想像なんだけどね、と不敵に笑うクレイズ。

言葉とは裏腹にまるでその存在を確信しているかの様な自信だった。

そしてその自信たっぷりの態度で懐から一枚のカードを取り出す。

 

アルテマウェポン。

そう名付けられて流通しているレアカードを見せて言った。

 

「私はモンスター狩りの為に世界中のあらゆる場所を回ったが、このモンスターだけは未だお目にかかった事が無い。

しかし、このカードを描いた画家は知っている。そしてその依頼を受けた画家が受け取ったモンスターの資料には、生息地域がこう書かれていた」

 

言葉の先を予測したサイファーが、我慢しきれずに言葉を被せた。

 

「大海のよどみ……って訳か……ククク……ハハハ! 最高だぜクレイズ!」

「俺は信じるもんよ! 間違いないもんよ!」

「肯定、伝説実在……? 真実……証明開始!」

 

乗せられやすい奴らだ。

それともこんな話に乗せられる程に退屈な日々を過ごしていたのか。

喜んでいる所に冷や水を浴びせるようで悪いが、この話の綻びを指摘する。

 

 

「ハインの半身が何処かにあるというのはわかった、そのモンスターがここに居るというのもな……。

だが何故そのアルテマウェポンがハインの半身だと言い切れる?」

 

「カードイラストのここを見ろ。めっちゃ人っぽい。剣持ってるし多分人の上半身だよこれは、黒耳王ゼバルガだよ!」

 

肝心の所で根拠が薄い。

そんな理由で連れてこられたのか……。詳しい目的を今更話し始めた意味がよくわかった。

クレイズ自身も根拠が薄いと理解していたから言わずにおいたのだろう。

姑息というか、そういう余計な部分には無駄な知恵が回る厄介な奴だった。

 

 

「根拠が薄いな……。だが、バハムートを上回る存在として考えられるのは魔女ぐらいだという想像は一理あるか……」

 

そんな物を今から見に行くのか?

万が一ここにいる自分達では対処できない何かが解き放たれたらどうする。

 

 

「一旦体制を立て直してから改めて準備した上で調査すべきだ、これ以上は個人が遊び半分で手を出して良い領域の話とは思えない」

 

そんな俺の真っ当な意見はチンピラによって即座に却下された。

 

 

「はぁ……おいおい頼むぜ伝説のSeeDさんよ、白けるから肝心な所で怖気付かないでくれ……。

まぁ、お前がチキン野郎みたいに怯えながらちんたら準備してる間に、俺達だけでメインディッシュを頂く事にするっていうのも悪くねぇけどな?」

 

「そうだもんよ、ここにいるメンバーならどんな相手でも負ける気がしないもんよ」

 

「超最強無敵全肯定! 我等狩友超絶永久不滅!」

 

「下手糞、物真似……今後永久禁止!」

 

行くぞ、クレイズ、風神雷神。

そう点呼をとったサイファーはリーダー気取りで早速大海のよどみへと向かおうとする。

余計な事をして風神に脛を蹴られたクレイズは、脚を抱えてうずくまり、うめき声を出しながら痛みに耐えていた。

 

 

「サイファー……わかったから少し待ってくれ、行くなら最低でもガーデンに無線で連絡を入れてからだ」

 

額の傷に手を当てて、苛立つ気持ちを抑えながら即席の妥協案を出す。

先程は常識的な見解を述べたが、このメンバーで負ける気がしないのはなんだかんだで俺も同じだった。

サイファーは言わずもがな、予想以上に戦闘慣れしているクレイズは判断力と擬似魔法を扱う能力が高い。

バハムートとの戦いで得た圧倒的な手応えが俺の判断を狂わせる。

 

 

「ククク……理解の早い優秀な部下は好きだぜスコール」

 

こんなのを真面目に相手にしていたせいで、教師としての査定に響いてしまったキスティスの気苦労に今更ながら同情する。

SeeD試験でサイファーに振り回されていた時も、キスティスに対して同じような共感を覚えた事を思い出して少し懐かしくなる。

思い出を懐かしみ出すのは、ダメな大人に近付いている証拠だった。

いつも昔話ばかりして若者を見下すような大人……。

 

(俺はそんな格好の悪い人間にはなりたく無いな……)

 

ライオンのように気高く生きたい。

それは例え一緒に歩んでいく恋人や仲間が出来ても変わる事の無い、俺の目標だった。

サイファーに言ったら喜びそうな話だ。

外で騒いでる肝試し気分のあいつらと同類にされて、ロマンチスト仲間だと思われるのだけは御免だ。

ラグナロクのコックピットに座り、無線を接続しながら一人ため息を吐いた。

 

 




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