『よいしょ…できたぁ~!』
ある公園の砂場で幼い女の子が砂のお城を完成させて喜んでいた。
『ハハッ!おい、なんだよこれ?』
そこへ如何にも悪ガキらしい風貌の男の子がやってきてバカにするようにお城に指差してきた。
『えっと…おしろだよ…?』
女の子は怖がりながらも声を絞り出してお城だと答える。
『これがおしろだって?ダハハ!こんなもの!』
あろうことか男の子は笑いながら砂で出来たお城を壊し始めた。
『…やっと…やっとできたのに…っ!』
男の子の行動に女の子はショックを受け、泣き出してしまった。
『やめろっ!!』
『わっ!』
そこへ女の子に似た幼い子供が駆けつけてきて男の子を突き飛ばした。
『な、なにすんだよ!』
『お、おにいちゃん…』
『いもうとをいじめるな!こんどいじめたらゆるさないぞ!』
どうやらこの子は女の子の兄だったようだ。
『お、おぼえてろ~!!』
男の子は捨てセリフを言って、その場から去っていった。
『だいじょうぶ?』
『う、うん…っ…おにいちゃ~ん!』
すると女の子は泣きながら兄に抱きついてきた。
『おしろが…おしろがこわされちゃったよぉ~!』
『…だいじょうぶだよ』
『え…?』
兄はスコップを持って女の子に優しく語り掛ける。
『またいっしょにつくろ?』
兄が笑顔でそう言うと女の子はたちまち笑顔になっていった。
『…うん!』
その後二人は一緒に砂のお城を作ったのであった。
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「お…に…ちゃ…お兄ちゃ~ん!朝だよ~!」
春休みのある日の朝、眠っていた僕は妹に起こされて目が覚めた。
「ふわぁ~…おはようましろ」
「おはよう!朝ごはん出来てるから一緒に食べよ?」
「わかった。今着替えるからちょっと待ってて」
「うん」
僕はベッドから降りて普段着に着替えようとする。
「…ましろ。何でここにいたままなの?」
「何でって、お兄ちゃんが着替え終わるのを待ってるんだよ?」
「えっと…出来れば外で待っててくれないかな?」
「恥ずかしがらなくてもいいよ?私は気にしないから…」
あれ?一瞬ましろの目のハイライトが消えた気が…気のせいだよね?
それから僕は何とかましろを説得して部屋の外で待ってもらった。
僕の名前は
さっき僕を起こしたのは双子の妹の虹ヶ丘ましろ。双子と言うだけあって顔や髪色が全く同じだったりする。まぁ僕の髪はショートでましろの髪はロングだから他の人は見分ける事が出来るみたいだけど。
朝ごはんを食べ終えた僕とましろはおばあちゃんからおつかいを頼まれて街へ出ていた。その道中、風船を街路樹に引っかけて泣いている女の子を見つけた僕はジャンプして風船を取ってあげた。
「はい。もう飛ばさない様に気を付けてね」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
女の子はお礼を言って走っていった。
お姉ちゃんか…
「また女の子と間違われちゃったね…」
「うん…もう慣れちゃってるからそこまで気にしてないけどね」
自分で言うのも何だけど、僕の容姿は女の子に見えるらしい。だから初対面の人からは必ず女の子と間違われてしまう。もう慣れてるから良いんだけど、ましろや女子の友達からよく女の子の服を着せられちゃうんだよ。こればっかりはいつまで経っても恥ずかしい…
「それにしてもお兄ちゃん、本当に凄いよね」
「え、なにが?」
「さっきの風船をジャンプして取ったところがだよ。結構高い木に引っかかってたでしょ?」
「まぁ、昔から体力とか運動には自信があったからね」
「…お兄ちゃんが羨ましいよ。私なんか、運動苦手だし、得意な事もなにもないから…」
「そんなことないよ」
ましろの口から出た悲観的な言葉を聞いた僕はすぐにそれを否定する。
「ましろは誰よりも優しい心を持ってるでしょ。僕もましろの優しさには何度も元気づけられたし…ましろは僕の自慢の妹だよ」
「お兄ちゃん…ありがとう」
「どういたしまして。じゃあおばあちゃんのおつかいに戻ろっか」
「うん…お兄ちゃんはどこまでも私のヒーローなんだね」
「ましろ、何か言った?」
「ううん。何でもないよ」
?…ましろがなんて言ってたのかは気になったけど、ひとまずおつかいに戻る事にした。
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私はお兄ちゃんの後ろ姿を見つめていた。
私にとってお兄ちゃんはヒーローで、大好きでたまらないお兄ちゃん。
小さい頃から、何があっても私を私を助けてくれていたよね?
ずっと私のそばにいてほしい…お兄ちゃんを誰にも渡したくない…
フフッ…お兄ちゃん、大好きだよ。ずっと私のそばにいてね…?
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っ!…何だか悪寒を感じた気がしたけど、なんだったんだろ…?
「お兄ちゃん。おばあちゃんからのおつかいって何を頼まれてたんだっけ?」
「あ、ちょっと待って!」
僕はおばあちゃんから託されたメモを取り出してましろと一緒に見る。
「ローズオイルにシナモンスティック…それと干したカエル…って、どこに売ってるのかな?」
前から思ってたけど、おばあちゃんってちょくちょく変わった物を買ってる気がするな…
「とにかく探してみよ。きっと見つかるよ」
「そうだね!」
そう言って歩き出そうとすると目の前に何かが落ちてきた。
これって…手帳?
「何、コレ?」
「手帳みたいだね。何か書いてある…」
見た事がない字だけど、なんて書いてあるんだろ?
「わぁぁぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
「「ん?」」
上から叫び声が聞こえてくるけど、なんだろう…
「そこ!どいてくださーーーい!!」
「「えぇ~~~っ!?」」
僕達が目の当たりにしたのは赤ちゃんを抱っこしながら落っこちてきている青髪の女の子だった。
なにっ!?どうなってるのコレ!?とにかくあの子達を受け止めないと!
だけど僕が受け止めるより前に女の子はふわりと浮かんでゆっくり着地した。
「キャハハ!」
赤ちゃんの方は楽しかったのか笑っていた。女の子の方は一息ついてから僕とましろに駆け寄ってきた。
「ご、ごめんなさい!ビックリさせちゃいましたよね!?実は私も相当ビックリしてて!誘拐現場に偶然出くわして!この子を追いかけて不思議な穴に飛び込んだら空の上に…」
「わ、わかった!わかったから!一旦落ち着こ?ほら、深呼吸!」
「そ、そうですね!ス~、ハ~…えっ!?」
女の子は落ち着いたかと思ったら街中を見て驚いていた。どうしたのかな?
「何ですかこの変な街は!あれは何ですか!?あれは!?あれは!?もしかしてここって、魔法の世界~!?」
「お、落ち着いて…」
「ターーイム!!」
女の子のマシンガントークにましろがタイムをかけてきた。なんだかこのましろ、可愛いな。
「「これ、夢だぁ…」」
「いやいや!なんでそうなるの!?」
夢じゃないからね!今ほっぺ抓ってみたけど普通に痛かったよ!?
「だって、空から人が落ちてくるなんてありえないよ」
「そうですよ。夢じゃなければこんな不思議な世界は存在しませんよ」
「…うん。わかったよ」
夢じゃないんだけど…仕方ない。今は合わせよう。
「初めまして、夢の中の人達。私はソラ・ハレワタールです」
この子、ソラさんって言うんだ…
あれ?ソラさんが抱っこしてる赤ちゃんの名前は何なんだろ?紹介してないけど…そういえばソラさん、誘拐現場を目撃したって言ってたっけ。もしかしてこの子が誘拐の被害者?
「私はましろ、虹ヶ丘ましろだよ。こっちは私の双子のお兄ちゃんの…」
「虹ヶ丘ヒロ。よろしくね」
「はい!よろしくお願いします!…あれ、お兄ちゃんって…あなた男の子なんですか!?」
「アハハ…よく間違えられるんだよね…」
「す、すみません!とても可愛らしかったので!」
「わかる?お兄ちゃんってすごく可愛いんだよ!」
「そ、そんなに可愛いかな?それに、僕が可愛いんなら同じ顔のましろだって可愛いでしょ?」
「お兄ちゃんは特別だよ!」
何その理論!?
「フフッ、お二人は仲が良いんですね!」
「うん!私、お兄ちゃんの事が大好きだよ」
そう言ってましろは僕の腕に抱き着いてきた。うん、可愛い。
「それにしても、鉄の箱が道を走っているなんて、夢の世界は凄いですね!この夢の街、名前はなんて言うんですか?」
「ソラシド市だよ」
「ソラシド市…あっ!」
ソラさんはましろが持ってる手帳を見て声を上げる。もしかして…
「この手帳、もしかしてソラさんの?」
「はい!拾ってくれてありがとうございます!とても大事な手帳なんです!」
「そうなんだ」
ソラさん嬉しそう。ホントに大切な物なんだろうな。
「ねぇ、なんて書いてあるの?」
「これですか?これはスカイランドの文字で私の…」
すると衝撃音が聞こえてきて僕達は音が聞こえてきた方向を見る。
「夢の世界、ホント何でもありだよ!」
今も夢だと思っているましろはそう言っていたけど、僕は警戒を解くことが出来なかった。
「許さないのねん、ソラ…!」
そこにいたのは豚の顔をした大男だった。えっ?何で豚の顔?
「お前をボッコボコにして、それからプリンセスを頂くのねん!」
「えるっ…!」
プリンセス…もしかしてこの赤ちゃんの事かな?
…って、それより!
「もしかして、あいつがソラさんの言ってた誘拐犯…?」
「はい…!」
「えるぅ…」
「大丈夫です、私が守ってみせます」
「守れるかな…?」
そう言って大男は近くの工事現場にあるショベルカーに目線を移した。
「カモン!アンダーグ・エナジー!」
「ランボーグゥーーーー!!」
虹ヶ丘ヒロ
イメージCV:寺崎裕香
ましろの双子の兄。女の子の様な容姿をしている所謂男の娘で初対面の人からは確実に女の子と間違われる。運動神経抜群でましろから慕われており、ヒロ自身もましろを大切に想っている。