【急募】ウマ娘拾ったから虐待する方法教えてケロ   作:今日和

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最終話です。


最終スレ

 

 この俺の朝は早い。

 

 朝は五時に起床。そしてすぐさま布団を叩み洗面台で顔を洗う。洗い終えたら外に出てラジオ体操を行いその後に朝食をいただく。

 

「いただきやす」

 

 くくく!!今日の朝食は適当なパンと牛乳、そしてコーンフレークだ!!なんと豪華な朝食だこと!!これを()()()用意し胃の中へと流し込む。

 

 朝は素朴であればある程いい!今日もなんの変哲もない()()()()()一日が始まることを実感できるからな!!

 

「……ん?またか」

 

 どうやら作りすぎてしまったみたいだ。これは明日の朝に回すとしよう。

 

 朝食を食べ終え食器を水の張った桶に浸けたら次は洗濯物だ。衣類を洗濯機の中にぶち込み洗い終わるまで放置。洗濯機が回り終わるまでの間は風呂の掃除を行う。

 

「風呂の掃除って一番だるいよな……」

 

 特に嫌なのはこの暑さと湿気だ。たった数分いるだけで汗が流れてくる。今はまだそこまで暑くない季節であり一応窓は開けた状態ではあるが、やはり暑いものは暑いし冬になると反対に寒すぎて地獄だ。

 

 だからと言って手を抜けば水場のためすぐに菌が繁殖してしまう。故に掃除中は一切手を抜けない。これだから風呂掃除は面倒極まりない。

 

 だが掃除が終わった後に浴槽がキュッキュと音を立てるのは悪くない!汚いものが綺麗になった時の快感はやはり素晴らしいものがある!

 

 風呂掃除が終わるタイミングで大体洗濯機も回り終える。洗濯機から服を取り出して家の外に置いてある物干し竿にかける。この時に洗濯バサミを忘れないように注意が必要だ。飛ばされれば一生戻ってこないからな。

 

 洗濯物が片付いたら次はアイツを叩き起こ──ではなく部屋の掃除を行う。

 

 山の中に住んでいることもあってどうにも汚れが溜まりやすい。蜘蛛の巣が貼られてたり虫やトカゲが入ってくることもザラにある。

 

 一週間置きのように時間をおいてしまうとかなり面倒になるため、一日一回必ず掃除をする必要がある。

 

 一通り掃除を終えたら外に出て薪割りの時間だ。

 

 薪はウチにとって非常に重要な燃料だ。これがあるだけでガス代も浮くし浮いた分を別のところに回すことができる。

 

「よっこいせっと」

 

 その分腰や肩やら身体的にダメージがくるがすでに慣れているため問題ない。いつも通り()()()の薪を割り終え──

 

「……あーあ」

 

 まーたやっちまった。

 

 アイツが帰ってからかなりの時間が経ったが人というのは一度ついた癖はなかなか抜けづらい生き物らしい。

 

 ちなみにだがアイツがいた時は良かったとかそんなセンチメンタルな感じには一切なっていない。

 

 物語ではよくあるパターンだ。今までなんとも思ってなかった人がいなくなった途端、急に今までの生活に寂しさを感じいなくなった人を自分がどう思っていたのか、いかに大事だったかを知る、みたいなあれ。

 

 俺にもそのパターンが当てはまるという期待をしてはいけない。なぜなら俺は本当にアイツをただの虐待相手としか見ていなかったからだ。俺にとってアイツがいなくなったことはおもちゃをどっかに無くしたようなもんだ。

 

 ここ最近ついつい二人分を用意したり少し物足りない感があることはあるが、それは今までの癖が抜けないだけだ。

 

 だがまあ癖が抜けないは抜けないで問題ない。仕事量が増えて疲れはするがその分次の日に楽ができるからな。

 

 薪割りが終われば昼食の準備を行いテレビを付けながらのんびりと食べる。

 

 山で取った木の実をポリポリと食べながらテレビのチャンネルを回すが、これと言って面白そうな番組はやっていなかった。

 

 最近の番組マジで面白いのないよな。昼はテレフォンショッピングや街ブラで夜はクイズ番組か動物や衝撃映像ばっかだし。もうほとんどSNSとやってること変わんねえだろこれ。

 

 テレビの電源を消し乱雑にリモコンを机の上に置くと、この前家のポストに入っていたトレセン学園理事長からの手紙とDVDのことを思い出した。

 

 そういやアイツのレースの映像だなんやらみたいに書いてあったっけな。確か転勤しよう春に!!みたいな名前のレースだったっけか?

 

 あんまりウマ娘のレースって興味ないんよな。よくあるだろ?興味ないアイドルグループ見たら全員同じ顔に見えたみたいな。まあそれくらい興味ないわけだわ。

 

「ま、見るだけ見るか」

 

 興味はないが見るもんもない。テレビを点けていないとそれはそれでむず痒いな。暇つぶしがてらと考えれば丁度いいだろう。

 

 床に置きっぱなしにしていたDVDをテレビに挿入し電源をつける。すると画面には十数人のウマ娘達が丁度ゲートに入る前の様子が映されていた。

 

『さあいよいよ始まります天皇賞春!!この栄光を手にするのははたしてどのウマ娘になるのか!!』

 

 おっと天皇賞春だったか。まあやっぱりな。初めから俺もそう思っていたぜ。誰だよ転勤しよう春に!!ってブラック会社も真っ青なレース名考えた奴。

 

『注目はやはりこのウマ娘でしょう!三連覇を目指すのはこのウマ娘!!メジロマックイーン!!』

 

 ほーおほおほお。めんこい娘やなぁ。おじさんついつい見惚れちゃいましたわぁ。俺まだ二十代だけど。

 

 へー。前回と前々回の王者はこの娘だったわけか。通りですごい歓声が上がるわけだわ。

 

 それとなんか甘いもの好きそうな見た目してんな。バクバク食って太って泣き喚いたらおもろいだろうな。

 

『バクバクじゃなくてパクパクですわ!!!!』

 

『おっと!どうしたんでしょうメジロマックイーン!今日は随分気が立っているようです!』

 

 否定するとこそこかよ。てか今俺の考え見抜いてなかった?テレビ越しでしかも録画なのに。ドユコト?

 

『さあこのウマ娘も注目です!ミホノブルボンの三冠を阻んだウマ娘ライスシャワー!!』

 

 おー映った映った……なんか格好がおかしくねーか?似合ってないことはないがなんだその()()()()()()()っぽい服。誰の影響受けたん?絶対走りづらいだろそれ。

 

『勝負服を変えての挑戦ですライスシャワー!!今回はどんな走りを見せてくれるのか!!』

 

 実況の声と共にライスシャワーが以前来ていた勝負服の画像が映る。

 

 ……うん。これは変えて正解かも。何この厨二病っぽい服。何その脚に付けてる短剣。お前走るの目的じゃないの?後ろから短剣で刺すのが目的なの?どんなヤンデレだよそれ。

 

『さあ、各ウマ娘がゲートに入ります』

 

 ウマ娘の紹介が終わりいよいよゲートの中へと入場した。もう間も無くでレースが始まるのだろう。

 

 ゲートの中に入ったウマ娘、そしてそれを見ている観客にも緊張感が伝わってくる。

 

 心なしか俺の口の中に溢れた唾液が喉の奥を通過していくような気がした。嘘です。ただただぬぼーっとして見てます。

 

『今スタートしました!』

 

 俺がぬぼーっとしている間、実況の女性の声と共に天皇賞春が始まった。

 

 

「勝っちまったな」

 

 途中まではメジロ……メジロ……メジロのパーマがレースを先行していたが最終コーナーでメジロマックイーンがそれを交わしてトップに。だが最後は後ろから鬼気迫る表情で追い上げてきたアイツがメジロマックイーンを抜かす形でレースを終えた。

 

 勝ちかーつまらんな。そこぼろっくそに負けて大粒の涙を流すところだろうがよ。なんのためにこれ渡しに来たんだよ理事長まじ。

 

「ん?」

 

 あまりにもつまらなすぎてテレビの電源を消そうとした瞬間、アイツが勝っても周りが一切祝福の声かけや喜びの表情を浮かべていないことに気づいた。

 

 そういや殆ど全員がメジロマックイーンの三連覇を応援してたんだっけか。それをアイツが勝ってしまったからお通夜状態と……

 

 待てよ?これは……アイツ泣くんじゃね?だってせっかく勝ってもコレだぜ?お祝いをしてくれる人もいなければ褒めてくれる人も皆無。ただただ全員が下を向くだけの状況。

 

「ふむふむ」

 

 心なしかアイツの表情が曇っている気がする……これは泣く一歩前まで来てるな!間違いない!

 なるほどな!理事長はこれを俺に見せたかったわけか!

 

 負けたら試合に負けた悔しさに絶望し、勝ったら勝ったで誰も喜んでくれないというまさ前門の虎後門の狼状態ってわけだ!理事長の奴なかなかいい趣味してやがるぜ!!

 

 いいぞ!泣け!早く泣き叫ぶんだ!!!

 

『パチ……パチパチパチ』

 

「は?」

 

 って思ってたらなんか急にメジロマックイーンが拍手しだしたんだけど。そんでそれに乗っかって他の奴らも拍手し始めやがった。

 

 はー?萎えるわー。なんでそこで拍手するんだよおまんら。美しいスポーツマンシップのつもりか?要らないんだよなそーゆーの。敗者は敗者らしく下向いてろや全くよ。

 

『おめでとうございますライスシャワーさん』

 

 場面は変わり記者会見場。どうやら優勝したアイツにインタビューをしているらしい。

 

 もう特大ため息待ったなしだわ。そのおめでとうございますもどうせおめでとうございます(余計なことすんじゃねーよ)だろ?記者としては三連覇のが話題になるもんな。

 

『この勝利をどなたに伝えたいですか?』

 

 ……切るか。これ以上は電気代の無駄だな。ただでさえ最近値上がりしてるのにこんなしょうもないのを見るために金なんか払ってられねーわ。

 

 あーあ。まじで時間と金の無駄だったな。

 

『わ、私のお兄様に伝えたいと思います!お兄様は私が迷っている時にいつも優しくしてくれて支えてくれました!今私がこの場に立ってられるのはお兄様のおかげです!ブルボンさんやマックイーンさんにもお世話になりました!お二人にも感謝を伝えたいです!だ、だけど一番に伝えたいのは私のお兄様です!本当にありがとうお兄様!!』

 

 

 

 

 

あ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライスが天皇賞春を取ってから一年。その間に色々なことがあった。

 

 色々なレースに出て勝ったり負けたりして、昔のライスじゃ考えられないほど充実した日々を過ごせた。

 

 充実したのはレースだけじゃない。

 

 ブルボンさんと銭湯に行ったり卓球を楽しんだり、アドマイヤベガさんとショッピングに行ったり、スカイさんと恋愛話をしたり、とにかく充実した毎日を送れていたと思う。

 

 でもライスの心にはぽっかりと穴が空いたまま。別に皆とレースをしたり遊んだりするのがつまらないわけじゃない。とっても楽しいし逆にライスが皆につまらない思いをさせていないか心配なくらい。

 

 それでも穴が空いているのはお兄様がそばにいないから。あの長いようで短かった一ヶ月半、ライスはそこで新しく生まれ変わることができたんだ。

 

 それは間違いなくお兄様がライスを支えてくれたから。お兄様がそばにいてくれたから。

 

 でも今お兄様はいない。どうしてもお兄様に会いたくてお兄様のお家に行ったけどそこには既にお兄様は住んでいなかった。理事長さんに聞いてもどこに行ったのかはわからなかった。

 

 お兄様に会いたい。その気持ちは時間が経って薄れるどころかどんどん強く膨らんでいる。

 

 けど会いたくても会えない。それがライスの中にはずっと引っかかったままになっていた。

 

『ピンポンパンポーン↑。ライスシャワーさん。ライスシャワーさん。至急理事長室までお越しください。ピンポンパンポーン↓』

 

 そんなことを考えていながら廊下を歩いていると、校内放送でいきなり呼び出されすぐさま理事長室へと向かった。

 

 うぅ……呼び出されるなんて初めてだよ。ライス何か悪いことしちゃったかな……

 

「し、失礼ちみゃ──失礼します!」

 

 噛んだ!噛んじゃった!!緊張しぎて噛んじゃった!!は、恥ずかしい……助けてブルボンさん!助けてお兄様!!

 

「うむ!よく来てくれたライスシャワー!」

 

 理事長室には頭に白い帽子を被った理事長が豪華そうな机と椅子に腰をかけていて、その横にはいつもライスに挨拶をしてくれるたづなさんが立っていた。

 

「その……何かライス…悪いことしちゃいましたか?」

 

「ふふ…いえいえ。そういうわけではありませんよ」

 

 よ、良かった!てっきりライス悪い子になっちゃったのかと思った!良かったよぉ……

 

「ライスシャワー!君を呼んだのは他でもない!君には新たに専属トレーナーが着くことになった!今日はその顔合わせだ!」

 

「……え!!?」

 

 ら、ライスにトレーナーさんが!?な、なんでいきなり!?

 

「ライスシャワーよ。君は今までトレーナーの名義を借りてレースに出場していたな?」

 

「は、はい」

 

 理事長さんの言う通り、ライスは今までトレーナーさんの名義だけを借りてレースに出場していた。理由はライスがトレーナーさんにトレーニングを見てもらうと迷惑をかけてしまうかもしれないから。

 

 だからトレーナーさんの名義だけ借りて出場していたんだけど……

 

「この度は()から要望がもの凄くてだな。『ライスシャワーの専属にさせろ。さもなくば俺が中学生時代に書いたポエムを校内放送で流す』と脅迫までされてしまった」

 

「あ、あはは……」

 

 この場合どういうふうに答えればいいんだろう。よくわからなくてつい苦笑いをしちゃったけど……

 

 でも一体誰なんだろう?そんなにライスのトレーナーさんになりたがっている人っているのかな?ただでさえトレーナーさん不足で名義を借りるだけでもライス苦労したのに……

 

 理事長さんが彼って言っていたから男の人らしいけど……ちょっと怖いよぉ……怪しい見た目の人だったらどうしよう!

 

「身構える必要はありませんよライスシャワーさん。貴方なら絶対に喜ぶ人ですから」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「うむ!それは私が保証しよう!では入ってこい!」

 

 理事長さんがそう言うと、理事長さんが座っている席、その右側の壁に付いているドアがゆっくりと開いた。

 

「久しぶりだな」

 

 そして()()()を見た瞬間、しょっぱい味を舌で感じたのがわかった。気づけば視界はぼやけ、頬からも濡れた感触が伝わってくる。

 

 でも全く気にならなかった。同じ部屋にたづなさんや理事長さんがいることも。

 

 後で恥ずかしくなるかもしれない。ベッドに埋まって顔を上げることができないかもしれない。

 

 だけど仮にそうなってしまってもどうでも良かった。

 

 何故なら今目の前にいるのはライスが大好きで大好きで大好きな()()()だったから。

 

 

 

 

 

 

 決まった!確実に決まった!くくく……やはり悪役たる者登場の仕方は拘らないとな!!

 

 

 俺は一年前に見た天皇賞春のインタビューでアイツに屈辱を味わわされた。

 

 なーにが『ありがとうお兄様』じゃ!!!こっちは精魂こめて虐待したっていうのに全く効いてませんよ〜ってか!?距離が離れたからっていい気になりやがって!!!

 

 俺はそれからというものトレーナーになるための勉強を始めた。家を捨て、トレーナーである兄の力を借り兄の家でひたすらに勉強しまくったのだ。

 

 全てはアイツに仕返しをするため。理事長が言っていた特別講師では物足りない。それでは精々会えるのが週二、三日。これでは虐待のペースが遅くなる。

 

 ならばアイツの専属トレーナーになるしかあるまい!アイツがウマ娘としての花々しい期間を俺の虐待という絶望に塗り替えてやるのだ!!!

 

 そして今!!この瞬間!!俺はアイツのトレーナーとなり、地獄へと叩き落とす存在として君臨できたわけだ!!

 

 見ろ!!アイツの驚きと恐怖のあまり涙を流して絶望している顔を!!

 

 それそれそれぇ!!それが見たかったんだよなぁ!!!

 

 恨むならもう会うことはないと思い油断して俺を煽った己を恨むんだな!!

 

 苦節一年!!トレーナーの勉強をした甲斐があったぜ!!

 

 だがまだまだこんなもんじゃねえぞ!!もっと!!もっと!!!もっとアイツを苦しめるための虐待を考えねば!!!!

 

 ……おっと。一旦冷静になれ俺。虐待成功のためには俺だけの力に頼ってはダメだ。必ず綻びが出てしまう。だから()()()に協力を仰ぐとしよう。餅は餅屋というわけだ。

 

 そのためにはまずタイトルを考えねばな。そうだな………

 

 

 

 

 

【急募】ウマ娘のトレーナーになったから虐待する方法教えてケロ

 

 

 

 

 

 これで行くか。

 

 くくく……今から楽しみだぜ!!

 

 

 アイツが───ライスシャワーが目に涙を浮かべ震える様がな!!!!

 

 

 あーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!

 

 

 





読んでいただきありがとうございました!評価や感想ございましたらじゃんじゃんお願いします。

 多分番外編書くかもしれないかもしれない。感想の返信は少々お待ちください。
 
 完結できたのは皆様のお陰です。誠にありがとうございました。
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