(ホモ要素は)ないです。
(ついでにロンの出番も)ないです。
(ドラコが性転換して金髪美少女になってるのでフォイフォイでき)ないです。
たまに別キャラ視点の話を差し込むかもしれません。
0.前回までのトミー・ポッター ~ 2.ハーミー訪ねて三千里
0.前回までのトミー・ポッター
僕、トミー・ポッター!生き残った子供たちの片割れ!アーニー・ポッターの双子の弟!中身はハリーポッターの世界に転生した元一般青年!夢と希望にあふれる魔法使いたちの世界できらめくファンタジーが僕を待っている! それにしても双子の姉のアーニーが母親に似てなんとお可愛いこと!こんな子を汚す稲妻のあざが憎たらしいね! ま、なにはともあれ二度目の人生、原作知識と魔法パワーでウッハウハに生きてやろうじゃないの!
なんて思っていたらホグワーツ一年目にして心をたたき割られました。
なめてたわー魔法界。原作一年目くらいなんとかなると思ってたけど、それはまったくの間違いだった。虐待はつらいし、魔法はワケわかんないし、人間関係が複雑骨折するし、訳知り顔校長は何もしてくれないし、闇の帝王は死んでくれないし…かわいい姉と美少女二人がいなかったらもう我慢の限界だった。何回ホグワーツから逃げだそうと思ったことか…いろいろ追い詰められすぎて頭がどうにかなるところだったというか実際どうにかなった。なんで闇の帝王(笑)と闘う必要なんかあるんですか。予言だから? そう…。
まあ僕は転生最強ものの主人公なのでもちろん余裕で勝ちました。
嘘ですごめんなさいボコボコのボコにされました。
そんなこんながありまして、僕は命こそ助かったもののトラウマができたり人間不信になったり罪悪感がマッハだったり……つまるところ負け犬として一年目のホグワーツ生活を終え、おうちに帰ることになってしまったというわけなんだニャン。つらいニャン。
1.屋敷しもべ妖精
ガシッボカっ、ダドリーは死んだ。スイーツ笑。
ダーズリー家という暴力恐喝人格否定なんでもありの無法地帯に帰ってきた僕とアーニーだったが、僕らはホグワーツで一年間たっぷりと飯を食ってきたおかげで家庭内暴力を跳ね返す鋼の肉体を手に入れていたのだ。ヒューッ!
本当のとこはどうなんだって?
魔法ちらつかせて脅しましたけど。
相も変わらず虐待まがいの嫌がらせをしようとしてきたダーズリー一家だったけど、杖を突きつけながら豚にされて庭を掘るか風船みたいに空に浮きたいか尋ねたら快くやめてくれた。やはり暴力……暴力はすべてを解決する。まあほんとに魔法を使ったら魔法界のえらい人に怒られちゃうから…やめようね!
これで狭い階段下の物置にアーニャ(僕の姉へのあふれんばかりの親愛を込めた愛称である)と二人でぶち込まれること以外はオールオッケーになったというわけだ。というかむしろそれも最高じゃないか。すさんだ学校生活でズタボロのメンタルに最愛の姉の介護がスーッと効いて…あーこのまま胸のなかで永眠したい。真冬の朝の布団よりも居心地がいい。おねえちゃんすき。
こんな家だから特にお祝いのない12歳の誕生日だったし学友からのお手紙は諸事情で一切こなかったけれど、アーニーとゆっくり過ごせる平穏な日々に僕は大変満足しているのだ。
いたのだ。
ふぁっきんまじかる屋敷しもべ妖精こと、ドビーが僕らの前に姿をあらわすまでは。
ドビーくんは、人間にただで一生こき使われるのが大好きな屋敷しもべ妖精というクソマゾ種族の一匹だ。なんの親切心を拗らせやがったのか知らないが、ドビーくんは生き残った子供達(僕とアーニーのことだ)の命を守ろうという使命感に燃えてくださっている。それだけ聞くとありがたそうなのだが、こいつは僕の平穏な日々をぶち壊しにやってきたのだ。
「今年のホグワーツはあぶないからポッター姉弟は来たらあかんのや…せや!トラブルおこしてダーズリー家に監禁したろwwww」というのがドビーくんの思考回路。
そんなドビーくんに対して、どれだけ僕がイラつくのかわかっていただけるだろうが。ドビーくんがキーキーうるさい甲高い声をあげようとした瞬間、僕が反射的につかみかかるのは致し方のないことなのだ。足を掴んで宙づりにし上下にシェイクし始めるのも、やはり致し方のないことなのだ。
なにが「ホグワーツにいってはダメですぅ~」だオラッ!
人のセリフとんなぶっ飛ばすぞオラッ!
僕だって行きたくも行かせもたくねーよてか手紙返せ盗ったの知ってんだぞオラッ!!
とまあそんな具合にゆすってみれば、懐からアーニー宛の手紙が出るわ出るわ。せまい部屋の床が見えなくなるくらいにぶちまけられたお手紙は我が姉の人望の象徴である。内気で人間不信だったアーニーも今は昔。明るくて可愛くて距離が近くていたずら好きという人たらしの化身になってしまったらしい。なんだかうれしいようなさみしいようなだ。…ウィーズリーの双子からも届いてるので、いとしい姉がいたずら同好会にどっぷりハマっていやしないか不安になってくる。
え? 僕宛の手紙は何通あったのかって?
…い、一通もらったし。友達いないとかありえねーし。そんなことはいいんだ。重要なことじゃない。ないったらない。泣いてなんかない。どうして僕のぼっちを証明する必要があるんですか…?
激高したと思ったら急に意気消沈する情緒不安定な弟を遠巻きにしながらも、やさしい我が姉アーニーはドビーくんのお話を聞いてあげている。
ホグワーツに恐ろしい罠がまちかまえているから行ってはなりませんとかなんとか。YES不登校NOスクールライフとかなんとか。しかしダーズリー家アレルギーかつ友達思いのアーニー、しばしの沈黙の後これをやんわり拒否。
いや…でもいまちょっと迷った…迷ってたよね僕をホグワーツに行かせないのもアリかなみたいな顔してたもん。もしかしたらおねだりすれば行かないでくれるかもしれん。いやまあしないけど。僕は心がバキボキに折れているので姉の選択を尊重します。レッツゴーホグワーツ、今年も楽しい命の危機だ。しかしドビーくんも尊重してくれるとはかぎらない。
「ダーズリー家の商談ぶっ壊してマジギレさせて二人とも監禁させるンゴwww」と吐き捨てながらうすぎたない屋敷しもべ妖精はリビングに駆け出して行った。そのときのアーニャの顔といったらもう、人はあれほど味わい深い無表情ができるものかと感心するばかりだ。かわいそう。
再起動したアーニーが追いかけっこへ向かうのを見送りつつ、僕はそそくさと荷造りを始めた。おお、忌まわしき魔法界の道具たちよ。叶うなら二度と目にしたくなかったと思いながらも手は進み、二人分の家出の準備はあっという間に完了した。私物が少なすぎる。
そしてリビングからひびきわたる叔父の怒声と皿の割れる音。
すこしして青い顔をしたアーニーがわたわたと部屋に駆け込んでくる。
ちょっとお聞かせできない汚い言葉で恨みごとをこぼしながら息を切らせるアーニーに僕は荷物かばんを差し出した。いとしいアーニー、目をぱちくり。
窓から差し込む陽の光にだいじな手紙をかざしながら、僕は差出人のことを思い浮かべてひさしぶりに笑みをこぼしていた。
目指すは僕らの天使のおうち。家出の時間がさあはじまる。
2.ハーミー訪ねて三千里
ごとんごとんと音を立てながら汽車が進む。
僕のかわいいハーミー。ふわふわ栗色髪の毛のハーミー。我が姉の親友。僕のお姫様…いや騎士様。もといハーマイオニー・グレンジャーに会いに行くために、僕とアーニーは汽車に揺られている。ハーミー(僕がうまく発音できなかったせいでできた彼女の愛称だ)が、僕…ひいては僕らの守護天使であることはもはや疑いようがない事実である。この手紙はまさしく天からの贈り物と言って差し支えがないだろう。生まれてきてくれてありがとう。神に感謝。
"この手紙は家宝にしよう…”とつぶやいていたら、アーニーにかるく引かれてしまった。別にいいじゃん…。
「しょうがないけど、約束もなしに押しかけるなんてぜったい迷惑よね…」
としょんぼりしつつ不安そうなアーニー。
ああ、なんて礼儀ただしく健気な我が姉よ。そんなきみをあの腐れハウスに一年も監禁収容させるなんて考えただけでもゾッとする。やっぱり僕らは家出しなくちゃならないね。
それにしてもまったくあの屋敷しもべには腹が立って仕方がない。せっかく僕がふたりきりの平穏をかみしめていたというのに…なんか思い返したらむかむかしてきた。あいつ今もついてきてるんじゃないか? というかたぶんついてきてるんだろうな。
"次にあいつが出たら鼻を折ろう"…と内心がぽろりしちゃったものだから、アーニーにそれはちょっと…とマジレスをいただいた。
まったく僕のお姉ちゃんは甘いんだからもう……好き!!
そんなお姉ちゃんに迷惑開ける屋敷しもべ妖精……嫌い!!
やっぱり鼻は折っておこう…なんて考えてふと気が付く。あいつ確かマルフォイ家に雇われてる妖精じゃないか。街角のチンピラにとんでもねぇバックがついてた気分だ。それにマルフォイ家の皆さんには刺客送り込まれてもなんも言えないことした覚えもあるし…くっ、くそう…しょうがないから穏便に済ませる方向にしておこう。
そんなこんなを考えたりしつつ汽車はすすみ、バスにものり。あっちへふらふらこっちへふらふらをくりかえしまして…。
我々は無事にグレンジャーさんのお宅にやってまいりました。イェーイ! なんて素敵な一軒家なんでしょう。うーんご立派ぁ。たしかご両親は歯医者だったかな。さりげなく富裕層…まあいいや、とりあえず今日からお世話になります娘さんを僕にくださいなんて考えながらインターホンをぽちっとな。
「はい、どなた?」
……ハーミーのお母さんかな?
"こんにちは。僕らは娘さんのお友達です。虐「えーっとごめんなさい私アーニー・ポッターっていいます!ハーマイオニーの友達なんですけど、呼んできてもらえませんか?」僕が余計なことを言う前にアーニーは早口でしゃべりだす。
虐待を恐れて家から逃げてきました!…泊めてください♡って言おうとしただけなんだけどなあ。なんて僕が口をとがらせていると、アーニーから大人しくしてろの目線がとんできて沈黙させられた。かなしい。
「少々お待ちくださ~い」の一言からしばらくして…
「アーニー!トミー!急に訪ねてきたからびっくりしたじゃない!」
ほんとに少々待っただけでハーミーが慌てた様子で家から飛び出してきた。
ちょっと見てくださいよアーニー。私服姿のハーミーかわいくない?やばかわだよね。かわいすぎて動悸するし手が震えてきたんだけどどう?倒れそうなんだけど。急いで出てきてくれたんだろうちょっと髪がみだれているなんかもうひかえめに言って超絶かわいい。つらくなってきた。ハーミーの家の郵便ポストになりたい。僕は何を言っているんだ。
かわいさによって魂をセクタムセンプラされている僕を脇におきつつ、アーニーとハーミーは久しぶりの再会を喜び、簡単に事情を説明しあったみたい。ハーミーは僕らの家が家庭崩壊ぎみなのを知っているので、突然の訪問について許してくれた。やはり天使か。そして、立ち話もなんだということで僕らはハーミーのお家の中に招かれることになった。
もちろん僕は抜かりなく対応した。お義父様とお義母様に挨拶して、自己紹介して、お土産をおわたしした。もちろんちゃんと礼儀正しくお辞儀もした。お辞儀するのだとかもう二度と言われたくないからね。そうして流れるようにハーミーの私室にお邪魔します。かわいい猫のクルックシャンクスもお出迎えしてくれて、たぶん僕は天国に足を踏み入れたのだろうなんて思った。ハーミーが紅茶をいれてくれたので、僕はミルクが欲しいやママなんて言ったらふつうに牛乳が出てきました。はい、僕が悪かったです。死にます。
そうしてしばらくのんびり過ごしたあと…。
「それで…何があったの?」とハーミーが切り出した。
“なんかもう発音の一つ一つに愛おしさを感じる…"という僕の小さな小さなつぶやきが耳ざとくアーニャに拾われて小突かれたりもしつつ、「まあ…ちょっとね。派手にやっちゃって」とアーニー気まずそうにお返事した。
「例の叔父叔母のせいだったら、あなたたちがなんと言おうとしかるべきところに電話するわ。あなたたちの扱いって、控えめに言って虐待されてるわ」
ハーミーがぷんぷんと怒ってくれる。うん、かわいい。でも今回はダーズリー家の連中が悪いわけではないので、“それは聞くも涙、語るも涙なんだよハーミー"と僕は語りだす。
ダーズリー家の連中は話し合いで(アーニーが何か言いたそうに顔をしかめていた)なんとか大人しくさせていたこと。
なぞの嫌がらせでみんなからの手紙が届いていなかったこと。
それがドビーとかいう屋敷しもべ妖精のせいなこと。
ホグワーツに行くなという警告のこと。
ドビーのせいで家にいられなくなったこと。
それはそれとして僕たちが12歳になったこと。
(ハーミーはほんとうに柔らかく微笑んでからお誕生日おめでとうって言ってくれた。やはり天使)
そして話を聞き終わってから、ハーミーはドビーのやらかしについて共感して怒ってくれたし警告についても真剣に考えてくれた。
「ホグワーツは危険…か」
アーニーとハーミーは二人そろって僕を見た。もちろん僕はなにも言えない。なにを隠そう、去年僕は二人の前でなんどか死にかけているのだ。心配されるのもしかたがなく、僕は申し訳なくてどうにかなりそうだ。おのれヴォルデモート。絶対に許さんぞもう二度と出てこないでくださいお願いします。
――そう、実のところドビーの言うことはなにも間違ってない。
伝える手段がゴミすぎてまったく賛同したくないが、今年のホグワーツは本当に危険だ。
若き日の闇の帝王ヴォルデモートことトム・リドルの日記とかいう呪われしダイアリーのせいで、バジリスクとかいう目を見たら死ぬか石化するクソ蛇が配管つたって校内徘徊するからだ。なんなの?毎日がデスゲームかなにかなの?しかも黒幕がホグワーツの理事なの?はー…やめたら教育機関。
もちろん僕も転生者なのでね、そんな危険を防ぐため去年から仕込みをですね…してたんですけどね……人間関係がこじれて目論見が爆散しちゃったんですよね。もうめちゃくちゃだよ。あーどうして…どうしてこんなことに……だめだ情緒が粉砕されてきた。やっぱつれぇわ…。
命の危機やら失恋の思い出やらなんやらがフラッシュバックしてさめざめと泣き始めた僕をみて、いろいろ怖がってるんだろうなと勘違いしたハーミーがとても優しかった。ので、すかさず同情に付け込んで新学期まで家に泊めてほしいと頼み込んだ。ハーミーは心が神的に広いのでもちろん快く了承してくれて、ご両親に話を通してくれた。やったぜ。
スリザリン生徒特有の卑劣な交渉術にアーニーの顔が引きつっていた気がしないでもないが、僕は気にしないことにした。