Acxis   作:ユ仲

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Chapter1-EP

 その未確認ISとの戦闘から数日後。

 

 東京都内某所。

 そこには多数の報道関係者と騒ぎを聞き付けた多くの人々が集まっていた。

 

「さて、先日の『暴走IS事件』の事は皆さんにはまだ記憶に新しい事かと思います」

 

 その少し華美ではあるが適度の範疇内で飾られたステージ上、小奇麗なスーツに身を纏った司会者が集った人々に対して話し掛けるように語っている。

 

「どこからか流れ出た映像。それは大きな問題となってしまいました」

 

 その騒動はある日、とある動画共有サイトにその映像が投稿された事に端を発した。

 その映像はすなわち『暴走する』ISと、それと戦闘を繰り広げる二体のIS、そして一体の謎の兵器。

 

 始めこそ、造り物だと言われていたが、そのパーツに印された「CREST」の文字に、クレストインダストリアル社に対する問い合わせが殺到。

 クレスト社も始めこそ否定をしていたものの、映像の事を指摘されると、直ぐにそれに対する会見を開く事を約束。

 そして今日、クレスト社のその新製品に対する会見がアメリカ、日本、フランスの三ヶ国で開かれる事になった。

 

「我々もこのような形で世に出るのは不本意ではなかったのですが、もう待ち切れない方々もいらっしゃる様子なので本題へと移っていきましょう……」

 

 司会者は一端、言葉を切り、その手を大袈裟に広げ、ステージを指し示す。

 すると突然、花火のような音が響きステージの奥に存在していたカーテンが取り払われた。

 

 そこに現れたその姿。それを見た人々の間に、多くのフラッシュとどよめきの声が上がる。

 

「ご覧ください!!これが我々、クレスト、キサラギ、ミラージュの三社がお届けする新製品……」

 

 司会者の声と共にその黒い機体の赤いアイセンサーに光が宿る。

 そしてそれはおもむろに立ち上がり、人々の前にその全貌を人々の前へとさらけ出す。

 

「我々の新たなる翼、その名も……アーマード・コアです!!」

 

 

 

 

 

 

 

『我々の新たなる翼、その名も……アーマード・コアです!!』

 

 そこは日本か世界かあるいは地球のどこか。

 暗い室内。多種多様、様々な機械に囲まれる中で、部屋の主たる彼女はディスプレイが映し出す、その映像をじっと見詰めていた。

 

「懲りないものなんだねぇ、何度やっても敵いっこないのに……」

 

 そう彼女は呟くともう一つのディスプレイに目を移した。

 そこにあったのは、黒い自動人形――ゴーレムと、それと懸命に戦闘を繰り広げる二人と一体の姿。

 そしてそれは通常では有り得ないアングルで撮影されていた。

 

 俯瞰、遠景、または個々人を映し出している物。

 それが誰に気付かれる事もなく為されている。

 

「いんや~それにしても、まさか、あれの存在を見落としていたとはねぇ~、いやぁ~失敗失敗」

 

 それを行った張本人は、兎のような髪飾りを揺らしながら、一人でうんうんと頷いている。

 

「……でも、あんまり目障りなようだったら、前みたく消しちゃおうかな?」

 

 しかし、黒い無骨な機体、先程の映像でアーマード・コアと称されていたそれに対する視線は、そこに乗せられている感情は酷く冷たい。

 それこそ悪意さえ感じさせる程に。

 

「まぁ、それはどうでもいっか?まだまだ石ころにもなりそうでもないっしねぇ~」

 

 悪意から一転、純粋な笑顔へ。

 ころころと変わる表情。それはまるで玩具を得た子供のようにも見える。

 

「箒ちゃんも……ただ叫んでるだけじゃ始まらないぞぉ~っと」

 

 次に映し出されたのは、黒く長い髪をポニーテールに纏めた、彼女にとっての肉親の姿。

 彼女に対し画面越しに頑張れ!頑張れ!と応援するように握りこぶしを作り、ポーズを決めているその女性。

 

「ん?むむむむ、むむむ?むむ……っ!!」

 

 画面にポーズを決めていた様子から再び一転、いきなり唐突に思考へと浸り始めると、何かについて悩むように小さく唸り始めた。

 

「ひらめ~いた~!」

 

 今度は急に立ち上がりガッツポーズ。

 

「ふっふっふ、さすがは私。これほど自分の才能が恐ろしくなったことはないよ!」

 

 自画自賛。暗い室内の中で一人で笑い続けている様は怪しいもの。非常に怪しい状態だ。

 

「箒ちゃんの事だから、いっくんとの事を焦って連絡して来るはずっ!」

 

 独白が続く。

 

「そこに私が、前もって準備をしておけば……凄い!完璧!さすがお姉ちゃん!と箒ちゃんも感謝感激の嵐に!」

 

 自らの身体を抱きしめ、目を瞑り、悶えるように抱きしめた身体をくねくねと揺らす。

 

「そうと決まれば、早速取り掛かろー!……いっくんも順調に成長しているようだしね」

 

 掛け声と共に再び変わる態度、空気、雰囲気。そうして彼女は飾ってある写真を見詰めていた。

 そこに映っているのは彼女を含めた笑顔を浮かべる幼き子供の四人の姿。

 

「でもね、いっくん。……早くしないとちーちゃんを守れないかもしれないよ?」

 

 そう呟いて、目の前の機械へと取り掛かり始める彼女。

 その表情は部屋を満ちる暗闇の為に窺い見る事は出来なかった。

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