世界総人口の約8割がなんらかの特殊能力、'個性'を持つ世界 かつて誰もが空想しあこがれた「ヒーロー」という職業が、脚光を浴びていた
そんな中、プロヒーローを多く輩出する名門校、雄英高校の入学式当日──
1-Aの教室では、過酷な入学試験を乗り越えヒーロー科A組の一員となった男女が、思い思いの時間を過ごしていた
「君も受かってたんやね!凄いパンチだったもんね!」ブンブン 「(制服姿やっべええ!!)」
──試験以来の再会を喜び合う者
「(クソデクが反抗なんかしやがって…何かあるはずだ…)」「聞いているのか君!!」
──幼馴染に殺意を飛ばす者
「尻尾かー!普通に強そうな個性だねー!」「普通…うん、そうかな…」
──'個性'談義に花を咲かす者
「(ヒーロー科…よりどりみどりかよ…!)」
──異性を物色する者
そして──
「お友達ごっこをするなら他所へ行け ここはヒーロー科だぞ」
──寝袋にくるまったまま死んだ目で注意をする無精髭の男
「バンドごっこをするならこっちへ来い 俺はキーボーダーだ」
──教壇でギター片手に謎のポーズを決めるアフロの大男
「(((なんだこの不審者二人組は……!!)))」
早くも生徒たちの心が一つになっていた
「ハイ静かになるまでに15秒かかりました 時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
無精髭の男はのっそりと寝袋から這い出ると、マイペースに自己紹介をした
「担任の相澤消太だ よろしくね」
「(担任!?)」
「そんでこっちが副担任のボーボボ先生 簡潔に自己紹介を」
「……」
アフロの大男は何も言わず教卓に立つと、生徒たちを睨んだ
「……!」ビリビリ
「(なんて圧だ…これがプロヒーロー…!)」「(画風から違うわ…!)」
顔の倍近くあるサイズの金のアフロ、どこに掛かっているか分からないサングラス、圧倒的存在感を放つ腕毛に長い手足…威圧感のあるビジュアルに生徒たちは威圧される。
「……」
「(……?何も言わない…?)」
「ボーボボだよ」
(((声小っさ)))
「よし、それじゃ
「待ってください相澤先生今の何!?」
「質問は受け付けねえ さっさとしろ」
「「「個性把握テスト!?」」」
相澤曰く、自身の最大限を知るために'個性'を使った体力テストを行うようだ
個性を思いきり使える新鮮さからか、生徒たちが色めき立つ
「面白そう…か」
「ならばトータル最下位の奴は見込みなしとみて除籍処分としよう」「「「!?」」」
「理不尽にあふれてる世界だ Plus Ultraで乗り越えてみろ」
「そしてトータルトップの者にはこのぬのハンカチをやろう」
劣化セメントスのような半透明な男は、警備ロボに連れていかれた
「それじゃ第一種目か「第一種目は!!!陶芸だ!!」……おい」
突如としてボーボボが割り込み、どこからかろくろと粘土を取り出した
「「陶芸!?」」
「まずは貴様からだデブメガネ!」「尾白です」
戸惑いながらも、尾白は器を完成させる
「出来ました!」「全然駄目だ!」「!?」「魂が全くこもってねえ!」「…!」
ハッとした尾白は、自身の
そして──
「ボーボボ先生…!これが…今の俺です!」
「何やってんのお前?」「え?」
ボーボボは50m走用の計測マシンを用意しながら、粘土を持った尾白に怪訝な目を向ける
「遊んでる場合か 貴様」「…」
その後もボーボボの暴走は続き…
第二種目:握力
「ぐおお…尻尾握られるとオラ力が出ねえ…」「ボーボボ先生!?俺は握力計を持っていたはずなのに!?」
第三種目:立ち幅跳び
「
第四種目:反復横跳び
「切島ーーッ!お前の個性はこんなもんかーッ!もっと硬めろ強くしろ!!」「お…押忍ッ!」「反復横跳びで'硬化'いらなくない?」
第五種目:ボール投げ
「僕のトマトも…投げるかい?」「いらないわ」「つれないな梅雨リーナ」「蛙吹と呼んで」
やりたい放題するボーボボに生徒たちは呆れつつも、彼がどんな個性なのかと考察をしていた
「瞬間移動とか変身みたいなことしてたよな?」「私の'創造'とは違う、何もない所から物を取り出すような事もしていましたわ」「どんな万能個性だよ!?」「幻とか?でも触れるもんねー?」「パワーも凄かったぜ!増強効果もあるんじゃねえか?」
その時、ウザ絡みをしていたボーボボの姿が
「ボーボボ先生…いい加減にしてください」「ぐ、ぐあああああ!?」「「「!?」」」
目を赤く光らせ、髪を逆立てながら相澤が言う
「あれは…まさか抹消ヒーローイレイザーヘッド!?」「知っているのか緑谷!?」
「滅多にメディアに出ないヒーローだったから気付かなかった…!そうかあのゴーグル…!'見たものの個性を消す'個性を持ったアングラヒーローだよ!首に巻いた特性の布を自在に動かして戦闘から捕縛までこなすんだ!身体能力だけなら'無個性'と変わらないはずなのに戦闘はブツブツ・・・
緑谷の解説の間にもボーボボの身体はみるみる縮んでいき…
──やがて2mほどの熊に変化した
「「「いやなんで!?!?」」」
「すんまシェン相澤先生…大人しくしてますカラ…」
「アレが'個性'の消えたボーボボ先生の姿…?」「どういうこった…'個性'を持った熊なのか?」
ざわつく生徒たちを尻目に、相澤は'個性'を解除する
「はぁ…アンタに暴走されると授業にならないんです 控えてください」
'個性'が使えるようになった
白髪のストレートヘアを腰まで伸ばし、不健康さを感じるほどの痩躯、頭部から二本の触手を伸ばした赤い肌の姿に戻ったボーボボは、「じゃ、僕先戻ってますね」と相澤に言うとフラフラと校舎に入っていった
「さて、気を取り直してボール投げの続きからだ 次は飯田か」
「「「なんだったんですか今の!?」」」
再び生徒たちの心が一つになった
個性把握テストを終えた生徒たち 教室に戻ると、金髪アフロの姿のボーボボが本を読んでいた
(((戻ってる…)))
「おう戻ったかお前達 明日から本格的に授業が始まる、予習を怠るなよ」
(((なんかまともな事言ってる!?)))
先ほどまでの暴れっぷりが嘘のようにまともな姿に、生徒たちが混乱する中…
「はいはーい先生!質問いいですかっ!」
コミュ力の鬼、芦戸が仕掛ける
「なんだ?」「ボーボボ先生のこと知りたいです!個性とか!!」
聞きたいことを聞いてくれた芦戸に、生徒たちの声が続く
「あっ俺も知りたい!」「先生もプロヒーローなんだよな!」「いったいどんな個性を?」「そのサングラスは何?」「オ…オレも!」「粘土どうすればいいですか…?」「さっきの姿なんなんですか!?」ザワザワ
怒涛の質問攻めに、「綿菓子の殻の活用法」という本を閉じたボーボボがゆっくりと立ち上がる
「いいだろう!自己紹介がてら俺の個性を教えてやろう!」
「ただしつけもの テメーはだめだ」「ここでも!?」
発酵臭のする不審者が警備ロボに連れていかれるのを見届けると、改めてボーボボは口を開く
「俺の名前はボボボーボ・ボーボボ!!27歳パン派広末派だ!そして俺の個性の名は…
"鼻毛真拳"!!」
「「「は…鼻毛真拳!?」」」
ボーボボは、鼻毛を伸ばすと鞭のように2,3回空中を叩く
「このように…鼻毛を武器として扱う一子相伝の個性だ」
「「「…」」」
「どうした?他に質問は?」
「「「嘘だ!!」」」「何ィ!?」ガーン
「そんな個性じゃなかったでしょ!?」「あの姿はなんだよ!」「あれ素の力ってこと!?」
当然、そんな説明では先程の"なんでもあり"を説明できないため、生徒たちからは非難囂々だ
「アレは鼻毛真拳じゃねーよー!ノリだよただの!!文句あんのかよ!!アァン!?」「「「なんでキレてんの!?」」」
結局、ボーボボ先生の個性はよく分からないまま、1年A組の初日は過ぎていった…
「……」キョロキョロ
個性把握テストで1位の成績を収めた生徒、八百万百がソワソワと落ち着かない様子でいる
「どうした八百万?」
「…あの、ハンカチを貰えるという話は?」
「……欲しかったのか」
「…はい」
「……」