1年A組 ボーボボ先生   作:笛吹酒

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泡沫の夢と…動き出す魔王!ボーボボは負けます

「この作戦に手を貸す予定はなかったんだけど…ここまで好き放題されたら流石に弔がかわいそうだ」

 

黒い靄の中から、悪意が滲み出すように言葉を紡ぐ

姿は見せていないが、それが何者であるか緑谷には理解できた

 

AFO(オール・フォー・ワン)……!」

 

倒れ伏したボボレイザーは、2人の教師の姿に戻る

どちらも動かないが、まだ僅かに息がある事が見て取れた

一刻も早く手当に掛かりたいが……

 

 

「さて」

 

 

靄越しの声に、威圧感に、生徒達は動けないでいた

 

 

「あまり弔の壁を減らしたくはないけど……ボーボボ。君だけはここで終わらせておこう」

 

 

空中に浮いた悪魔のような手が、倒れているボーボボにゆっくりと近づき

 

そして

 

 

 

 

やらせん!!

 

飛来した真紅の剣が、ボーボボを庇うように突き立てられた

次いで、ヒーローが着地した

 

ブラドキング先生!

 

「マンダレイの'テレパス'で状況は把握している あ奴の足止めは俺がする」

「ふふ…'操血'なんて雑魚個性で僕を止められるとでも?ブラドキング」

「その言い草…なるほど、オールマイトの懸念は当たっていたか

 お前達、ボーボボとイレイザーを連れて施設に戻れ!」

 

 

「「KEEP OUT!(キープ アウト)」」

 

浮遊する手を囲い込むように、紫の玉の付いたテープが木々の間に張り巡らされる

 

「そりゃないぜブラド先生…!俺たちだってヒーロー志望だ…!」

「あ、アレに比べたらテメーなんか怖かねぇ!オイラだってやってやらぁ!」

 

瀬呂と峰田が、ブラドキングの横に並んだ

 

 

森に生きる者たちよ、集いなさい!!

 

四方から大量の鳥や小動物が現れ、ボーボボと相澤の姿が隠れる

そして、無数の虫によって2人は担がれ、戦場から離れるように運ばれていく

 

ゴホ、ゲホ…!僕が2人を運びます…!みんな、気を付けて…!

 

口田によって、2人のヒーローが遠ざかっていく

 

「お前達…」

「ふふふ…随分と慕われているじゃあないか よほど良い先生だったらしい」

「「「…………」」」

「……そうでもないみたいだね」

「相澤先生良い先生よ」

「蛙吹さん?」

「なんでもないわ」

 

 

「まあいいよ どうやら()()()()()()()()()ようだからね」

 

そう言い残すと黒い靄はあっさりと消え、刺すような威圧感も霧散した

 

 

「………生徒達は施設へ!マンダレイ、先導してくれ」

「ええ!」

 

 

 

 

『目的は果たした』

 

AFO(オール・フォー・ワン)の言った言葉の意味は、すぐに分かることになる

 

 

 

「ハァ…ハァ、くそ…やられた…!」

「常闇君!みんな!無事だったんだね…!」

「無事なものか……目の前で級友を連れ去られた…!!」

「なんだって!?」

「緑谷すまねえ…爆豪が…!」

 

 

 

爆豪勝己は、(ヴィラン)によって連れ去られた

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「ここは…?」

 

青々とした草原の上で、ボーボボは目を覚ます

 

 

「何があった……俺は…?」

 

 

 

「よーボーボボ、やっと目が覚めたかこの野郎」

 

「!」

 

振り返ると、誇張した爆豪のようなトゲトゲの、手足の生えた玉のような男がいた

 

「なんだ寝ぼけてんのか?そんなんじゃ主人公は交代だなぁ!」

 

「お前は……」

 

「まったくだ、お前には任せていられない」

 

その隣に、角ばったフォルムで半透明の青い男が立つ

 

「来週からは、『天天天ちゃん珍道中』をお送りする予定です」

 

「ダッッサ!!誰も見ないよ!!」

 

桃髪の少女が、目玉をひん剥いてツッコミを入れている

 

それ以外にも、いつの間にか沢山の人やウンコが立っていた

 

誰もが、ボーボボにとって見覚えのある人達だった

 

ボーボボに向かって、少女が手を差し出す

 

「ほら、行こう?ボーボボ」

 

 

伸ばされた少女の手に、ボーボボが手を伸ばし……

 

 

 

「待て」

「ムグッ!?」

 

 

 

全身に()が巻き付き、引き止められる

「これは…捕縛布!?まさか!」

慌てて振り返り、自身を縛る布の出処を見る

 

全身真っ黒の羽 首に巻かれた捕縛布 黄金色に輝くクチバシ 見慣れたゴーグル 大きく翼を広げ、木の上でキィキィと喉を鳴らすその姿は見間違えようもない

 

イレイザーヘッド!

 

鳥じゃん!!

 

 

「ボーボボ、お前はまだ向こうでやるべきことが残っているだろう」

「そんな…ボーボボ!私たちと一緒に行こうよ?」

 

「俺は……」

 

相澤の目が、少女の目が、ボーボボを見つめる

 

「……そうだな、俺は戻らないと やらなければいけないことがある」

「ボーボボ…… うん、…そっか いってらっしゃい」

 

視界が光に包まれていく

 

 

「まだ終わっていないジグソーパズルがあるんでな」

戻る理由それなの!?

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

「はっ……」

「目覚めたかボーボボ!」

「虎……イレイザーは?」

「致命傷は避けていた まだ絶対安静だがな……」

「そうか……生徒達は」

「……死者はいないが……爆豪が、行方不明だ」

「なんだと!!」

 

思わず飛び起きるボーボボ 同時に全身に強い痛みが走る

 

「寝ていろボーボボ!相澤もそうだが、胸に穴が空いているんだぞ!」

「このくらいで寝ていられるかぁ!…必ず取り戻す!」

ボーボボは胸の穴を摘まんで剥がした

「え?」

「反撃に゙ゃ゙あ゙!!!」

隣で寝ていたラグドールも、ボーボボの怒声に合わせて飛び起きた

彼女はボーボボを視て以来激しい頭痛に苛まれ、宿泊施設で寝込(ネコ)んでいたのだ

 

「ラグドール!もう大丈夫なのか!?」

こいつ(ボーボボ)に'サーチ'を40枠ほど充てることで適応した!」

致命的な後遺症が出とる!?

「でもでも!(にゃ)んだか頭の調子がすっごくいーの!あと150人くらいは視れそう!!」

「??????」

虎の背景に宇宙空間が広がった

「彼のことは()()()!生徒を攫う(にゃ)んてばか(にゃ)ことをしたね(ヴィラン)!」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

 

爆豪が目を覚ますと、一目で()()と分かるような風貌の連中に囲まれていた

手足は拘束され、身動きもままならない

 

「やっと起きたか」

全身に()を付けた、集団のリーダーらしき男に話しかけられる

 

「またてめぇかクソ手」

「おいおい元気じゃねえか…状況分かってんのか?」

「舐められてんな俺達!怖いな最近の子!

「うるさいよトゥワイス……ボスがお話し中だよ」

「…こんなヤツいたか?」

「おいおい荼毘…誰のお陰でコンプレスが生徒達から逃げおおせたと思ってるんだい?」

ファミレスで伝票を入れる時に使う斜めに切った筒みたいな奴がポーズを決めながら言う

「…まあ不本意ながらね 俺だけじゃあの氷の奴相手に逃げ切れたか微妙だった…」

「そう!僕の内側に入った人物は周囲から認識されにくくなる!夜の森なら猶更さ!」

「あー……なるほど、貴方の影が薄いのもその個性由来かしら?」

てめぇオカマ野郎言っちゃいけない事言ったなァ!?

ファミレスで伝票を入れる時に使う斜めに切った筒みたいな奴がマグネに殴りかかった

 

「……まあ御託はいい、要はスカウトだ 'こっち側'にこないかっていう、な」

「寝言は寝て死ね 誰が好き好んで(カス)に堕ちんだよ」

「俺からしたら'ヒーロー'のどこに魅力を感じてるか疑問だよ……見ろよ」

 

死柄木がテレビを付けると、雄英高校の謝罪会見が開かれていた

ブラドキングと角刈りにしたボーボボが、スーツを着て記者の質問に答えていた

 

『誘拐された生徒は、雄英体育祭での粗野な言動が見て取れました 彼が(ヴィラン)に落ちないと言えますか?』

『ひとえに理想を目指す彼の向上心故です あれを見ての犯行だとすれば、(ヴィラン)は節穴であると考えます』

『体育祭と言えば、貴方が開会式で着ていた衣装はなんですか?あれが青少年の精神を害さないと言えるのですか?』

『……』

『何とか言ったらどうなんですか?』

『……』

『そもそも何故角刈りなのですか?やるとしても普通坊主じゃないのでしょうか?』

『……』

 

 

「……ほら見ろ 世間は失敗したヒーローに厳しい」

「ほとんどアイツ(ボーボボ)の自業自得だろォが……!」

 

 

 

コンコン、とバーのドアがノックされる

 

「ちわー、(ヴィラン)ぶっ殺しピザ神野店でーす」

「あ、はーい今開けます」

「おい馬鹿ふざけんな開けるな!!!

 

 

ドカァン!!!

 

 

ドアが吹き飛ばされ、オールマイトとヒーロー達が飛び込んできた

 

宅配ピザかと思ったか?残念、私が来た!

思ってねえ!!

「おかしいとは思ったのよ!私たちさっきご飯食べたとこだし誰もピザなんて頼まないわ!」

そこじゃねえだろ馬鹿共が!!

「くそっやられた……さっき蕎麦注文したから一瞬それかと……」

こいつら……マジで…ッ!!

 

青筋を立てて叫び散らす死柄木を見て、爆豪はなぜか彼とは分かり合えそうな気がした

 

テレビの中では、ボーボボが自身の顔を掴み…変装マスクを引っぺがした

中からは、平べったい身体の黄色い発酵食品が現れる

『なっ…!ボーボボじゃない!?君は誰だ!?』

『つけものです』

『ボーボボはどこに!?なぜ替え玉なんて…!』

『本物のボーボボは奪還に向けて行動中だ!作戦は既に…始まってるんだよ!』

『皆さま、部外者が紛れ込んでおりました 申し訳ございません』

『えっちょブラドキング!俺達仲間だよな!?』

『お前なぞ知らん 誰だ』

『そんな!』ガーン

 

 

「'ワープゲート'も止めた もう逃げられんぞ」

「黒霧っ…!くそ……クソ!」

「さあ、答えてもらうぞ ()()()はどこにいる!」

 

オールマイトは死柄木へと手を伸ばすが、その手は空を掴む

死柄木や他の(ヴィラン)、爆豪の口から溢れだした泥のような物体が彼らを包み込み、その姿を消す

 

「'ワープゲート'とは違う転送個性…shit!!」

「俊典!ラグドールから通信だ!転送された小僧の位置情報!」

「八百万少女が突き止めた脳無の所だ!間違いない、そこにあいつ……AFO(オール・フォー・ワン)がいる!」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

 

時間にして30秒、受け取った位置情報に向けて走るオールマイトは、己の目を疑った

 

 

 

周囲の建物が破壊され更地になった場所の中心で、2人の人影

 

地面に倒れ伏している1人は、その特徴的なアフロの7割が毟り取られ、ピクリとも動かない

 

その傍に立つ1人は、付けている仰々しいマスクの一部が欠けてはいるものの、ほとんど無傷だ

 

 

「バカな……!」

 

オールマイトは、ボーボボというヒーローを高く評価していた

HBC(ヒーロービルボードチャート)では煮凝り位という良く分からない順位になっているが、その実積と実力は本物

彼の個性は出鱈目な現象を引き起こし、正面切っての戦闘なら自分ですら危うい、そんな存在だ

 

そんな男が、一人の(ヴィラン)の前に倒れている

彼への評価の高さが故に目の前の光景が信じられず、僅かに身体の動きが鈍る

同時に、その光景を作った目の前の(ヴィラン)が、自身の仇敵に間違いないと確信した

 

 

マスクの男──AFO(オール・フォー・ワン)──が、倒れているボーボボに手を伸ばす

'AFO(個性を奪う個性)'を持つ男がした行動、その意味を理解し我に返るオールマイト

 

「…ッ!やめろ!AFO(オール・フォー・ワン)!!」

 

「もう遅いオールマイト!彼の'個性'、頂いたよ!」

 

 

気力で更に加速したオールマイトを嘲笑うかのように……

 

────AFO(オール・フォー・ワン)の手が、ボーボボの顔に触れた






誰も心配してないと思うよ


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