緑谷出久は、ミリオと共にサー・ナイトアイ事務所の前に来ていた
「サーはユーモアを大切にする!気に入られたければ…彼を笑わせることだ!」
「ユーモア…!頑張ります!」
「うん!良い返事だ!」
ミリオは親指をグッと立ててから、事務所の扉を開いた
鼻眼鏡をかけたバブルガールが空気椅子状態で手を前に伸ばしており、その太腿と肩にそれぞれティーカップが乗せられている 天井からぶら下がったサー・ナイトアイ(下半身だけ着ぐるみを着ている)が逆さまの体勢のまま、バブルガールの頭にジョウロで水をかけていた
「さ…サー……、こういうのって普通カップに注ぐんじゃないんですか…!」
「それではありきたりだ 予測の出来ない展開こそが次世代のユーモアだ」
「あっルミリオン!助け」
バタン
「…………」
「…………」
「…ちょっと待っててもらえるかな?」
「はい」
ミリオが'透過'で事務所に入っていった十数分後、なんとか面接が始まった
「緑谷出久…私は貴様を認めていない」
書類に押すべき印鑑を持ったまま、ナイトアイは話す
「どうしてもこれを押してほしいというのなら、力ずくで
ノータイムノーモーションで繰り出された黒鞭を、間一髪で躱すナイトアイ
「……行儀が悪いな随分と」
「今のを躱しますか……凄いですね……!」
「……それがボーボボから…そしてオールマイトから受け継いだ力か…!」
「あ、いやこれはまた別口のいやオールマイトから継いだ力ではあるんですけど多分大いに誤解があって」
「話は早い…それで私を笑わせてみろ」
「なんで!?」
「ここ数日のオールマイトの姿は新たな象徴の姿を示しているだろう!」
「いやっ……………ちが…うと思います!」
'鼻毛真拳'の力を得たオールマイトは、西へ東へ八面六臂の活躍をしていた
OFAによる規格外のパワーだけでなく鼻毛真拳による理不尽を得たことで、一日20分にも満たない活動時間にも関わらず日本全国に出没し、あらゆる
「見せてみろ緑谷出久!オールマイトから受け継いだユーモアを!」
(受け継いだ覚えがない……!!)
心の中でツッコミを入れながらも、緑谷はこの状況を脱するために思考を回す
(おそらく重度のオールマイトファン……そしてさっき言った『予測の出来ないユーモア』……!ここはオールマイトを意識しつつ、突拍子もない事を……!)
オールマイトのように'黒鞭'を両腕に巻き付け、腕を曲げてポーズ 精いっぱいのオールマイト顔真似を決めながら、一言
「ぐっ…グリフィンドールに5点…!」
「…………」
「…………」
「なんだそれは」
「冷静な反応やめてください!自分でも正直これは違うなって薄々」
「違う」
「え?」
「オールマイトはそんな照れながらボケない!」
「そこ!?」
「ボケる本人が恥ずかしがってやっていれば見るものも笑うに笑えん!」
「た…確かに…!」
「別に私は貴様にオールマイトやボーボボのような魑魅魍魎を期待している訳ではない だがな……'象徴'のヒーローがお利口でありふれた凡人に務まると思うか?」
「魑魅魍魎とは思ってるんですね!?」
「緑谷出久…私が貴様を気に入らない理由はそこだ 貴様は…常識に囚われすぎている」
「常識に…………!」
ハッとなった緑谷は、両足に力を籠め…
「ONE for ALL……!15%…!」
ダンッ!
強く床を蹴り飛び上がると、そのまま連続で壁を蹴り跳ね回る
「…跳ね回りながら鼻毛を張り巡らせているの
少しずつ速度は上がり……やがてその動きが止まると、そこにいたのは
「…………」
'黒鞭'に捕らえられ、天井から釣り下げられたミリオとバブルガールだった
「どうですか!サー・ナイトアイ!」
「なにが?」「なんで私まで…?」
「……まあいいだろう」
「なにが!?」「なんで私まで!?」
~~~~~~~~~~
死穢八斎會
「お前には壊理の世話をしてもらう」
「はァ…了解です」
(めんどくせぇ……なんだって俺がガキの子守なんざ…)
名も無き下っ端構成員は苛立っていた
若頭…治崎直々の命とは言え、極道に入って子供のご機嫌取りをすることになるとは思っていなかった とは言え、逆らうわけにはいかない下っ端は、エリが幽閉されている地下へと向かった
「それでね…!太陽みたいな体の人と月みたいな頭の人が…ジェットコースターの上でお歌を歌うの!めけめけ~って!」「うんうんなるほど、参考になるなぁ」
「エリちゃーん?誰かいるのか?」
地下の扉を開けると、ベッドの上に座っていたエリが一瞬慌てた様子を見せた
「……」
「…今何か言ってなかった?」
「わかりません」
「イヤ…なんか誰かと喋ってたよね?」
「……いえ」
「……」
「おいおい、エリちゃんも分からないって言ってんだからもういいだろ」
「あ…ああ、そうだな ごめんねエリちゃん」
エリの隣に座るボーボボに窘められて、慌てて取り繕う下っ端
「何か欲しいものとかあるか?食べたいものとか」
「あかふく…」
「服?」
「……なんでもないです」
「何かあったら遠慮せず言ってくれよ?」
「って誰だお前!?」
「やべっ」
ボーボボは鳥になって、窓から飛び去って行った
「あっクソ!なぜ地下に窓が……!
声を聞きやってきた治崎に、状況を説明する下っ端
「アフロの男がいて…鳥になって窓から外に飛んで行ったんです!」
「……どこに窓があるんだ?」
「それは俺も分かんないんですけど!とにかくいたんです!」
「もういい……つまらない出鱈目に付き合っている暇はない…!」
「そんな…理不ぎゃああああ!!!」
大騒ぎの中、エリはすやすやと寝ていた 面の皮が厚くなったのか?
「という訳で、エリちゃんの居場所と、地下通路の簡単な地形情報を手に入れた」
開口一番ボーボボから発された情報に、集められたヒーロー達から感心の声があがる
一人、ナイトアイだけが複雑な顔をしていた
「いつの間にそこまで…治崎に警戒されたらどうするつもりですか」
「えー?あー大丈夫じゃね?」ハナホジ
「…………」
眼鏡を外しまぶたを揉むナイトアイ
「治崎が拠点を移さないとも限りません 予定とは違いますが…ここからはスピード勝負です」
「作戦を伝えます まずボーボボを単身突撃させます」
「え?」
「あとは流れでお願いします」
「「「え?」」」
あまりにもあんまりな作戦内容に、その場の全員が唖然とする
「待ちぃ!そんな作戦あるかい!」
「逆に聞きますファットガム、
「や…!……まあ、うん…そうか……そうかも…」
「お前の'予知'とやらでコントロールできないのか?」
「無理です」
「いやに断言するな…」
「
「毎秒バグり散らかす!?」
「緑のペンギン達が四方にメンチを切りながら行進する光景を見たことはありますか?」
「何言ってんだお前!?」
驚愕するロックロックの隣で、うんうんと頷く相澤と雄英生徒達
「…………」
「そういう訳です 無理に作戦を立てるよりも、好きに荒らしてもらってこちらで対応する方が確実性は高いです」
~~~~~~~~~~
死穢八斎會の事務所前に、多くのヒーローや警察が身を潜めて集まっていた
「よし!じゃあ出陣じゃああああ!」
寝袋に入ったまま芋虫のように這って、建物へと入っていくボーボボ
「真面目にやれ!」
それを見届けた後、ナイトアイが口を開く
「…これから1分後に、我々も突入します それより前に彼からの連絡が途絶えた場合
ドサッ!
顔面を痣だらけにして両手足を縛られたボーボボが叩き出された
「すびばしぇん…やられちまいました…」
「「「…………」」」
「ナイトアイ…この場合どうする」
「………ッ突入!」
ヒーロー達の戦いが始まった────
「おい大丈夫かこれ!?」
「こっからは通さねえ……!」
「アフロうまっ」
「多部ぇ!何食ってんだ吐き出せ!」
「あの3人は俺に任せてください…!皆さんは先へ」
「分かったサンイーター 一応これを持っておけ 俺のアフロの一部だ」
「いりません」
「遠慮するな」
「いや本当にいりません」
「食 え」
「勘弁してください…」
「ボーボボ!俺の友達をいじめないでください!」
「ミリオ………!」
「確かに環がボーボボを取り込んだらどうなるかは気になりますけど!」
「ミリオ……!?」
「通路が狭まっていく!?」
「入中だ!ここまでの出力は無かった筈だが……」
「なんとかしろボーボボ!」
「任せろ!鼻毛真拳奥義!!」
ギャルの嗜み:映画鑑賞!!
3D眼鏡をかけブレザーを着たボーボボが、近くにいたねじれとポップコーンを食べている
「ねえ!見てみてネジレチャン!すごい臨場感!」
「ほんと!壁が迫ってきてるみたい!不思議ー!」
「壁が迫ってきてんだよ!!くそったれ!」
本体が見えないことには'抹消'も通用せず、ヒーロー達は分断される
SIDE:リューキュウチームVS八斎衆 活瓶力也
「ヒュー!カワイコちゃん揃い踏みじゃねえか!」
「あの特徴は…活瓶力也!皆、彼に触れられないように気を付けて」
「へえリューキュウ、俺を知ってるとは光栄だぶぇ!?」
「!?」
それはあっという間、接敵からわずか数秒の出来事だった
ウラビティによって無重力状態になったFROPPYが投擲され、'蛙'の膂力にものを言わせたドロップキックが、個性を発動しようとした活瓶の顔面に叩き込まれたのだ
協力奥義 ファフロツキーズ
「練習しといてよかったね梅雨ちゃん」
「ええ、こういう相手は…」
「「何かする前に倒すに限る」」
「わぁ」
ねじれも軽く引いていた
SIDE:ファットガムチームVS八斎衆 乱波肩動 天蓋壁慈
「なあデブ!オールマイトは来てねえのか!?あいつと戦りたい!!」
「来ていたら逃げるべきだ阿呆……」
「気張りや烈怒頼雄斗!多分ここが最後のシリアスバトルや!」
「おおやったりますよ!後半何言ってっか分からねえけど!」
ファットガムと烈怒頼雄斗は、
「嘘やろファットさんの大活躍全カット!?真面目すぎたか!?」
「だからさっきから何言ってんすか!?」
「こうしちゃおられん!ちゃっちゃと本隊に合流するで烈ポコ丸!」
「誰すか!?」
SIDE:死穢八斎會若頭 治崎廻
「くそ…異常者どもが……!どこで壊理を嗅ぎつけられた…!」
部下に足止めを任せ、エリのもとに向かう治崎
苛立たし気に地下室の扉を開けると
こちらに向けて、蓋を開けたケチャップ容器を構えるエリ
「……は?」
GLOOOP!!!!
勢いよく吹き出したケチャップが、治崎のマスクを汚す
治崎が怯んだ隙に、横をすり抜けたエリが走っていく
「ぐ……クソ…ガキがぁ………!」
そのエリが、懐から何か取り出すのが見えた
(……あれは……チクワ?)
大きく息を吸い込み、取り出したそれに口を当てるエリ
フィーーーーーーン…………
「そんな澄んだ音が鳴るかチクワで!!」
今度こそキレた治崎が地面に手を付くと、地面から生えた何本もの棘がエリを貫かんと迫る
「聞こえたよ……!綺麗な笛の音が!」
エリを両手で担ぎ上げ、何本もの土の棘がその胴体に突き透った姿
「お兄さんも…ヒーローですか…?」
「そうだよ!もう大丈夫…!すぐに君を」
「ヒーローは皆おへそから鼻毛出せるって本当ですか…?」
「カスの嘘を吹き込まれてるね!」
SIDE:
寂れた廃墟の中、寛いでいた死柄木達の前に黒い靄が広がる
その中から、肩で息をしたトゥワイスとMrコンプレスが飛び出してくる
「っだぁ危ねえ!間一髪だったマジ余裕」
「聞いてないぞ全く……」
「…随分早い帰りだな ヤクザ共との交渉はうまくいったのか?」
「それどころじゃねえよ死柄木ィ!ヒーロー共が乗り込んできやがったんだ!」
「…いや、それで尻尾巻いて逃げ帰ってきたってのか?黒霧もそれを素直に聞いたと?」
「突入メンバーの中にボーボボがいました」
「オーケーよく戻ってきてくれたトゥワイスコンプレス、2人とも無事でなによりだ」
「すっごい掌返しね…」
「無理もねえだろ」
エリちゃんの脳内イメージ、油断すると望月聖になってしまう
作品評価にコメント付けられるようにしました