気合いを入れてる最中なのに、静寂をぶち破るジョーイさんの声が響き渡った。
「おーっす!未来のキタカミ〜!!DJジョーイでーっす!」
\\いえ〜い!//
星すら負けちゃうような、明るい明るい提灯と、みんなの笑顔。すごい光景だ。緊張で心臓が飛び出しそうだけど、ワクワクする気持ちが、しっかり心臓をゲットしてる。
「おはこんハロチャオー!おつかれしゃっす!キタカミセンターでーす!」
\\いえ〜い!//
「ここにいる人は、みんな元気になったよなー?」
\\いえ〜い!//
「伸るかー?反るかー?とりま踊るかー!」
\\いえ〜い!//
「さぁ、みなさんご注目!
今回の歌姫『レイラ a.k.aてらすさま』!」
\キャー!/ \コッチムイテー!/
「さぁ!ぷちょへんざ!」
\\いえ〜い!//
「あーゆーれでぃ?レッツ盆踊りー!!!」
シンバルの音を合図に、心臓の動きを変えちゃうような激しいベースラインが暴れながらスピーカーから飛び出してきた!
ロックでメタルで、ヒップでホップなゴキゲンナンバーだ!
私の歌と同時に、みんながキビキビ踊り始めた。
ポケモンたちも勝手に飛び出して、シャンデラがはじけるほのおを花火みたいに打ち上げて、ギャラリーからも歓声が上がり、フクスローとミミッキュのオタ芸に合わせて、みんなで手拍子して合いの手を入れてくれた。
野生のポケモンも集まってきて、楽しそうにしてる。
オンバット、リオル.......見た事無いポケモンもたくさんいる!
明るい時間しか活動しないはずのスワンナまで、小さいコアルヒーたちを連れてきて、きれいなハネを空から落として盛り上げてくれた。
楽しい!特別な感情な気がするけど、うまく表現出来ない。でも、本当に本当に楽しい!こんな気持ち、初めてだ!
あっという間に曲が終わってしまって、空が割れて星が全部流れていっちゃいそうな大きな歓声が上がった。指笛も鳴ってる。ゼイユちゃんとスグリくんも指笛できるのかな?後で教えてもらえないかな。
「てらす、やっぱあんた最高ねー!」
「わやかっこいいべー!」
ゼイユちゃんとスグリくんが飛び上がりながら叫んでる。えへへ。照れちゃう。
そうだ、パパはどこにいるかな......?
遠くの方でサイズが合ってない小さいじんべぇを着た『かまどのめん』の鬼さまが腕を組んで仁王立ちしてる。ひぇぇ、顔はお面で隠れてるけど、どう考えてもパパだ。鬼さまの顔、怖っ。やっぱり怒ってるのかな。
でも、私、頑張ったよ。うまくできた。
身体が熱くなって、自分でもびっくりするくらい遠くまで声が響いた。ジョーイさんが調整してくれた音響のおかげもあるかも知れないけど、声帯からママが出てきて、一緒に歌ってくれたみたいだった。
なんだか、涙が出てきて止まらなくなった。嬉し涙ね。
ポケモンたちもキラキラうるうるした目をしている。
私、この光景を、一生、忘れない。
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「レイラ。お疲れ様。とっても良かったよ!」
『かまどのめん』の鬼さまに駆け寄ったら、怖い顔のまま優しい声で私の頭を撫でてくれた。
「いやー、素晴らしかった!ウメさんも飛び上がって大興奮で、ぎっくり腰が悪化したそうな!」
キタカミのオジキは大きく拍手をしながらにっこにこ笑顔で来てくれた。ちょっち面白いけど、笑いにくいっす。
「てらすー!」
遠くからゼイユちゃんが走ってくれて、とびかかるみたいに抱きしめてくれた。お互い汗だくだけど、不思議と心地いい。
「ねーちゃん!まってぇ!」
スグリくんはほとんど汗もかかずに、涼しい顔でぽてぽて走ってきた。なるほど、さすが。これがチャンピオンの風格か。
「おつかれしゃーっす!マジ、おねーさんに頼んで大正解っした!パパうえも、ありがとうござっした」
ジョーイさんも私の頭をポンポンして、パパに深々と頭を下げた。
「いえ!娘も良い思い出になったと思います!お誘い頂いて、本当にありがとうございました!」
パパ、お面取りなよ。多分失礼だし、顔怖いよ。
「てらす、汗だく過ぎ!早く帰ってお風呂入って着替えるわよ!お祭のお店は明日もやってるから。スグ、行くよ」
「あぁ、待って。本当にありがとう。お面、返すね。じゃあ、あともう少し、レイラをお願いね」
スグリくんはパパから『かまどのめん』を受け取って「にへへ」と笑った。
「レイラさん、いこっか」
パパは、ゼイユちゃんとスグリくんに向かって、ヘッドバンキングみたいに頭を何度も下げてて、顔がよく見えなかった。
スグリくんは「ゎゃー」とドン引きしてて、ゼイユちゃんは震えてる。よく見たら、笑ってくれてた。