「ふむ、ふむ。なるほどね」
「パパ、何かわかったの?」
パパは私の方を振り返り、笑顔になった。
「チャデスは、ヤバチャと一緒で底に印があるのがいわゆる真作......『タカイモノのすがた』だそうだ。つまりレイラのチャデスは贋作の『マガイモノのすがた』みたいだね」
まがい物?なんか失礼な言い方だけど、まぁいい。
「つまり、一緒にいても大丈夫ってこと!?」
「そうだね。普通の色違いポケモンと同じ注意を払えば問題ない」
「よかったー!!」
「重々承知してくれてるのは理解した上で改めて言うけど、色違いの子を含め、ポケモンたちを守るためにも、まずは自分を守ること。無茶だけはしないでね」
「わかった。心配かけてごめんなさい。ありがとう。頑張るね」
パパは拳を見せてきた。私も強く握りしめた拳を、コツンとパパの拳に当てた。
本当によかった。本当に嬉しい。
「よし、じゃあそろそろゼイユちゃんに連絡してみる!」
ゼイユちゃんもスグリくんもスマホを持ってない。大きくて黒い、ナマコブシでんわを家族みんなで使ってるんだって。
ナマコブシでんわの番号聞いたから、そこにかけよう。
ロトロトロトロトロト......
「はい、もしもし」
ヒエさんの声だ。なんか緊張しちゃうな......。
「おはようございます。レイラです。えっと、ゼイユちゃんとお話したいんですけど......。えーと......」
「あら、おはよう。はいはい、呼んでくるわね」
遠くからヒエさんとゼイユちゃんの声が聞こえる。
「ゼイユ、レイラさんから電話!」
「今ちょっと忙しいって言っといてー」
「どうせゲームでしょ。早く出てあげなさい」
「もうっ。はいはい」
ってやり取りだった。ゼイユちゃん、ごめんね。
スマホがないのって不便だなぁ。ナマコブシでんわって音もざらざらした感じだし。なんか緊張したし。
「てらす?おはよう。どうした?」
「突然電話してごめんね。ゼイユちゃんって、今日なにか用事あったりする?」
「あると言えばあるし、ないと言えばないわね。まずは用件を言いなさいよ」
「あっ、えっとね......」
私は簡単な経緯を説明した。
「そういうことなら、わたしの『ダラダラ過ごす』っていう大切な大切な用事は後回しにするわ。感謝しなさいよ。少し準備するから、30分後くらいにあたしの家に迎えに来て」
「ありがとう!スグリくんも一緒にどうかな?」
「たぶん暇だと思うけど、暇じゃなさそうでも連れて行こ」
「あはは......ありがとう。じゃあまたあとでー」
「はーい。あとでねッガッガチャガシャン!!
うわぁ、すごい音した。これ、ナマコブシでんわの受話器置いた音......だよね?なんか大変なことが起きたわけじゃないよね?
ナマコブシでんわ、恐ろしい子......。
パパにゼイユちゃんたちと会えることになったのを伝え、時間までに手持ちたちにチャデスを紹介することにした。
フクスローはいつもは自由奔放でワガママなくせに、お兄ちゃんぶってとっても優しく接していた。チャデスも同じくさタイプのフクスローのことを兄貴分だと認識したようで、すぐに仲良くなっていた。
ほのおタイプのシャンデラのことは怖がっちゃうかな?と思ったが、チャデスは平然としているどころかシャンデラの周りをくるくる回るので、シャンデラの方がやけどさせてしまうんじゃないかとビビって距離を取っていた。チャデスは少し悲しそうだった。
ミミッキュは、チャデスが色違いだと知ると明らかに動揺していた。これは......時間を空けてじっくり話した方がいいな。
「大丈夫?1回ボールに......」
ミミッキュは首を横に振って、腕を伸ばして優しくチャデスをだっこした。
チャデスはすごく喜んで、はしゃいでいた。その様子を見て、ミミッキュはなにか、決意を固めた様子だった。
「ミミッキュ、私と同じ気持ちでいてくれるんだね」
ミミッキュは力強く頷いた。
「ありがとう。一緒に頑張ろうね」
ミミッキュは大きな声で「キュ!」と返事をして、チャデスもミミッキュの真似をして「ちゃ!」と返事をしてくれた。
新しい仲間。
新しい、決意。
「よし!みんな、いこう!」