パパと私とスーパーヒーロー。   作:にゃかぽけ

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したことある?

目が覚めたら......知ってる天井だ。

 

「おねーさん。目、覚めたね。気分はどうっすか?」

 

「あ......。ジョーイさん。大丈夫だと思うんですけど、私、倒れた系っすか」

 

「そういう系っす。パパうえ呼んで......あ、パパうえ、丁度良かった。娘さん.....」

 

パパはテレポートしてきた。

 

「レイラ!大丈夫か!?気分はどうだ!?」

 

「ん......。大丈夫。ごめんね。心配かけて」

 

「パパうえ、声デカめっすね。自分の耳元なんで、お静かに頼んます」

 

パパは「申し訳ない......」とペコペコしていた。パパ、ジョーイさんの前だと特にかっこ悪いなぁ。

 

「で、ゆっくりでいいんすけど、起きれそうっすか?」

 

「あ、はい。うん、全然大丈夫そうです」

 

「ゆーても、乗り物酔いみたいな、そういう感じだと思うんで。でも、今日はゆっくり休んだ方がいいっすよ。明日、帰るんすよね?」

 

ジョーイさんはお薬をくれた。

 

「酔い止めっす。明日帰るとき、念の為飲んどくといいっすよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ありがとうございます。お代は......」

 

パパはお財布からお札を5枚くらい取り出した。なんでもお金で解決しようとするの、パパの悪い癖だと思うの。

 

「そしたら、お薬代50円もらいやす」

 

「え!そんな、いいんですか!?」

 

「自分、これでもジョーイっすから。お薬は私物なんで、それはきっちりもらっときますんで」

 

パパはすぐ引き下がった。ジョーイさん、かっこよ。

男の子だったら細身のダウナー系ギャル男だろうな。いざ付き合ったら、実は1番デレてくれるタイプだと思う。うん、いいと思う。

 

「そういえば、ゼイユちゃんとスグリくんは......」

 

「あー。連絡してきやす」

 

ゼイユちゃんはユキノシタさんとヒエさんも引き連れてすっ飛んできた。

 

ユキノシタさんとヒエさんはパパに頭を下げてる。パパも頭を下げてて、ペコペコ合戦してる。これ、キタカミで流行ってるのかなぁ。

 

ゼイユちゃんは、泣き出しそうな顔をして私を見てた。

 

「てらす、大丈夫?ごめん......」

 

「いやいや、ゼイユちゃんのせいじゃないよ!私の方こそ、迷惑かけてごめんね。ところで、スグリくんは......?」

 

「あれ、てらすの寝顔を堪能してると思ったんだけど、いないの?」

 

ジョーイさんが「ここには来てないっすよ」って言った瞬間ユキノシタさんが鬼みたいな顔して「スグリ......!なにやっとるんじゃ!」と言って出ていった。

 

「レイラさん、ごめんなさいね」

 

ヒエさんは優しく私の手を握ってくれた。

 

「えへへ......あったかい......。ヒエさんの手、安心する」

 

なんだかんだで、しばらく談笑した。

 

「それにしても.....スグリとじーさん、遅いわねぇ。長居してもご迷惑だろうし、ゼイユ、先に帰りましょうか」

 

「あたし、てらすともっと話したい」

 

「そう。じゃあ、ばーちゃんは先に帰ってるから。あんまり遅くならないように。シナミさん、がーるずとーくの邪魔はしちゃいけませんよ。では、失礼します」

 

ヒエさんはにへへ顔で出ていった。パパは「じゃあ」と小さく言って気まずそうに部屋に戻っていった。

 

「ここじゃなんだし、私の部屋行こっか」

 

スマホをいじってるジョーイさんに「ありがとうございました!」と言って手を振った。

 

「はーい、じゃねー。お大事にしてくださーい」

 

スマホから目を離さなかったけど、ジョーイさんはきっと何かを一生懸命がんばってるんだろうな。

 

私はゼイユちゃんと手を繋いで部屋に戻った。

 

「てらす、本当に大丈夫?」

 

「うん!全然平気だよ!乗り物酔いで倒れるとか、恥ずかしいや......」

 

「よかった。じゃああたし、てらすに聞きたいことあるんだけどさ」

 

ゼイユちゃんは、かしこまって、意を決した様子だった。

 

「スグのこと、どう思ってる?」

 

心臓が大爆発しそうになった。

 

「え......。えっと、どうって『仲良しのお友達』だよ。えーっと、あとは......」

 

「『友達』ね。あとはいいわ。あのね、学園のあたしの仲良しの友達、ネリネって言うんだけどさ。ネリネはきっと、スグのこと好きなんだよね」

 

「そうなんだ!青春じゃん!」

 

「でも、スグってあんな感じだし。昔はもっともじもじウジウジしてて、そういうのに興味ないと思ってたんだけどさ」

 

ゼイユちゃんは、寂しそうな顔になった。

 

「アオイと知り合ってから、スグは変わったの。だからアオイのこと好きになったのかなって思ったんだ」

 

仲良しの友達が弟の事好きで、弟が別の仲良しの友達が好きとか、すごく気まずいだろうな......。

 

「ネリネの友達として気まずいのはそうなんだけど、いつも『ねーちゃん、ねーちゃん』って言って私の後ろでちぢこまってたスグが、女の子を好きになったり、好きになってもらってると思うと、なんかモヤモヤしちゃってさ......」

 

確かに、今もスグリくんはちっちゃいポケモンみたいでにへにへでぽてぽてだけど、私もちょっと、意識しちゃった。

 

「......てらすは『恋』したことある?」

 

「えっ!私は初恋すらまだだよ。スグリくんが言ってたみたいに、みんな好き。でも物理わざじゃないよ」

 

「そうなんだ。あたしもそういうの、まだわかんなくてさ。学園のモブがあたしのこと好きだって言ってきたりするけど、全然しっくりこない感じ」

 

学園のモブ......。アローラのポケモンスクールは人数少ないし、モブはいないな。

 

「......今日のスグは変だった。アオイの前でもいつもにへにへしてるのに、今日はしてなかったし。てらすのことが好きになって、また、何か変わったのかなって思ったんだ」

 

「えぇ!?物理わざのやつ!?」

 

「いや、あたしが勝手にそう思っただけ!ただ、当たり前だけど、やっぱりスグも大人になっていくんだなぁと思ったら、寂しくなっちゃって。今日、態度悪くてごめんね、てらすのせいじゃないよって、そういう話」

 

「全然、私の方がごめんだよ。いきなり連絡してゼイユちゃんにお願い事しといて、スグリくんと盛り上がっちゃったし、しまいには倒れて迷惑かけちゃって......」

 

「確かに。反省しなさい」

 

「はい。ごめんなさい」

 

ゼイユちゃんが声上げて笑うから、私も笑った。

 

もう、明日帰るのかぁ。せっかく仲良くなれたのに、アローラとキタカミはさすがに遠すぎる。飛行機のお金もすごく高いし、移動だけでまるっと1日がかりだし、簡単には会えないや。

 

あれ?2年前、パパはどうやってキタカミにすっ飛んできたんだろう?

 

「いつか、アローラにも遊びに行くからね」

 

「......うん!」

 

ゼイユちゃん、大好き!

 

とか思ってたら、急にお部屋がノックされて、私とゼイユちゃんは静かになった。

 

「レイラさん、スグリだべ」

 

「あっ、どうぞ!」

 

ドアを開けると、スグリくんとユキノシタさんがいた。

 

「レイラさん、体調はどうかな。えと、これ......」

 

スグリくんはかわいい『ちゃわん』を差し出した。

 

「大丈夫!......え!これって『ちゃわん』!?いいの!?」

 

「うん。レイラさん明日の朝には帰っちゃうって聞いたから......今日ゲットしないとチャデス進化させられないと思って。なかなか出なくて、遅くにごめんな」

 

「ありがとう!チャデス、出ておいで!」

 

「ちゃぁー!」

 

チャデスはスグリくんの頭の上に乗っかった。

 

「にへへ......どうだろ。気に入ってくれる?」

 

「ちゃぁ......!」

 

チャデスはスグリくんの手の上の『ちゃわん』に目をキラキラさせて、嬉しそうに収まった。

すごい光がチャデスを包んで、チャデスはヤバソチャに進化した!

 

「よかった。ヤバソチャ、わや、めんこいべ」

 

「やばー!」

 

ヤバソチャは大興奮でスグリくんの周りをくるくる回って、頭の上に乗っかった。

 

「すごい......!スグリくん、本当にありがとう!ヤバソチャのこと見る度に、今回の旅行のこと思い出すからね!」

 

「うん......!」

 

「さ、今日はもう遅いし、ゼイユも帰るよ」

 

ユキノシタさんも「にへへ」の笑顔だ。

 

「わかった。てらす、明日見送ってあげるからね」

 

「ありがとう!」

 

「おやすみなさーい」と言いながら3人は部屋を出ていった。

 

公民館のドアが薄くて、外の声が聞こえてきちゃった。

 

「わしもばーさんのために必死になったことたくさんあった......」

 

「そういうんじゃないべ。ただ、レイラさんとヤバソチャの喜ぶ顔、見れてよかった」

 

「スグ......。よく頑張ったね」

 

「うん」

 

ここから先は、聞き取れなくなった。

 

 

翌日。

 

 

キタカミの皆さんがお見送りに来てくれた。

 

「本当に何から何まで、お世話になりました」

 

パパが深々と頭を下げたので、私はもっと深く頭をさげたもんね。にへへ。

 

「てらす。本当にありがとね。楽しかった」

 

ゼイユちゃん。本当にありがとう。ゼイユちゃん大好き。

 

「お薬、ちゃんと飲みましたー?」

 

ジョーイさんはスマホを見てたけど、元気よく「はい!」と返事をしたら、スマホから目を離して、何かを手渡してくれた。

 

「これ、栄養ドリンク。アレルギーとかあったらやっべーって思って今調べたんすけど、アレルギー物質は入って無いみたいなんで。パパうえもどぞー」

 

さすが真の天才ジョーイさん。何度も迷惑かけてごめんなさい。ありがとう。パパもジョーイさんには頭上がらないみたい。

 

「これ、おモち、ドうゾ。スグリのおかげで山ほどあるから、ポケモンやお友達と食べて」

 

ユキノシタさん、なんかカミカミだけど大丈夫かな。ユキノシタさんは命の恩人だ。何度でもお礼に来よう。

 

「身体に気をつけて。またいつでも遊びにいらっしゃいね」

 

ヒエさんは手を握ってくれた。じんわり温かい。ヒエさんの手からしか摂取できない栄養素があるな。

 

「シナミさん、ご寄付ありがとうございました。次は鬼さま像も建ってると思いますんで、ぜひ、またいらしてください」

 

キタカミのオジキ。泊めてくれてありがとう。アオイちゃん像の分は、私が稼げるようになったら寄付するね。

 

「てらすさまー!またお祭でお歌ってねー!」

 

「マスターボール級のウデマエ、また見せてな!」

 

「次は自分のライドポケモン連れてきて、また鬼退治挑戦してね!」

 

キタカミの皆さんも、本当にありがとう。

 

「あれ......?スグリくんは......?」

 

スグリくんは......ゼイユちゃんの後ろで縮こまっていた。

 

「スグリく......ん!?」

 

スグリくんは顔をぐっちゃぐちゃにして泣いてる。

 

「う゛ぅ......。レイラさん。仲良くしてくれて、ありがとな。レイラさんは、おれみたいなのでもすごく話しやすくて......。レイラさんにヒーローっていってもらえて......わや嬉しかったべ。ぐすん」

 

「今生の別れじゃないんだから、泣かないでよ......。また来るし、アローラも招待するから.......。うぅ......」

 

もらい泣きしちゃったじゃん!えーん。

 

「そうだ、ヤバソチャ、出ておいで。ちゃんとスグリくんにお礼しようね」

 

「ちゃ!」

 

ヤバソチャはスグリくんの涙を掬って自分のちゃわんに入れてシャカシャカ混ぜた。えーっと、それ大丈夫?

 

「にへへ......。ありがとな。でも汚いから、もうしたらだめだべ」

 

「ちゃ?」

 

ヤバソチャは今度はスグリくんの鼻水を狙った。

 

「わやじゃー!わかった、わかったからー!どういたしましてー!」

 

「ご、ごめん!ヤバソチャ、戻っておいで!」

 

みんな大爆笑だ。私もスグリくんも笑っちゃった。

 

 

本当に楽しかったーー!

 

 

帰りはバスで寝ちゃって、飛行機でも寝ちゃって、あっという間にアローラに帰ってきた。

 

キタカミのみんなとバイバイして寂しいのと同じくらい、アローラのみんなとしばらく会ってなくて、早く会いたい気持ちが出てきた。

 

明日はみんなを誘っておもちパーティしよっと。

 

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