パパと私とスーパーヒーロー。   作:にゃかぽけ

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揃っちゃう

「そうだ、パパ。今日ね、この後スクールのみんなとおもちパーティするんだ」

 

「明日から学校だけど、今日行くのかい?」

 

「うん、リーリエちゃんちに集まることになったの。エーテル財団も見学させてもらうの!スクールのみんな来てくれるって!」

 

「わかった。ルザミーネさんによろしくね」

 

リーリエちゃんのママのルザミーネさん。博士ではないけど、不思議なポケモンについて調べてて、パパが手伝ったり、パパの研究に協力してくれたりする。

すごく美人なのに気取ってなくて面白くて、頭も良くって人にもポケモンにも優しくて......。憧れちゃう。

 

「じゃあ、準備したら行ってくるね。みんな、戻っておいで」

 

ポケモンたちをボールに戻した。

 

「行ってらっしゃい。......あぁ、これがゲンパチのボールね。ゲンパチも、行ってらっしゃい」

 

パパから受け取ったボールを、少しドキドキしながらゲンパチに向けた。

 

「ゲンパチ、おいで!」

 

「うっす!」

 

ゲンパチはボールに戻った。新しい仲間。嬉しいな。

 

パパは大袈裟に手を振って送り出してくれた。

 

 

準備をして集合場所に着いたら、みんなもう集まってた。

 

「レイラー!アローラ!なんか久しぶりだねー!」

 

スイレンちゃんはぴょこぴょこジャンプしながら手を振ってる。

 

「みんな!アローラ!1週間も経ってないけど、確かになんか久しぶりだね。みんな、会いたかったよー!」

 

マオちゃん、スイレンちゃん、マーマネくん、カキくん。いつものメンバー。やっぱり安心するな。

 

「誘ってくれてありがとね。おもち、食べたことないから食べるの楽しみだよー!お料理に使えるかなぁ?」

 

マオちゃんは目をキラキラさせてる。

 

「ぼくもおもち食べたことない!朝ごはん減らしてお腹空かせてきたよ!」

 

スグリくんのおかげで山盛りてんこ盛りのおもちがあるけど、マーマネくんがいたら全部食べてくれそうだな。

 

「じゃあ、そろそろ向かいますか?」

 

カキくんも、うきうきしてるみたい。

 

リーリエちゃんのおうちはここからすぐだけど、リーリエちゃんいわく、お庭が広くて家の中までが遠いらしい。

リーリエちゃんにも早く会いたいな。

 

「えーっと。マップだとここのはずだけど......。この門でいいのかな......?」

 

マオちゃんはキョロキョロしてるけど、門の向こうに家らしいものは見当たらない。

 

「みんなリーリエちゃんのお家行ったことないもんね。とりあえずチャイム鳴らそ」

 

スイレンちゃんは迷わずチャイムを鳴らした。スイレンちゃんのこういうところ、頼りになるなぁ。

 

チャイムから「はい」と年老いた男の人の声が聞こえた。

 

「アローラ。リーリエちゃんの友達のスイレンですー」

 

「あぁ、リーリエお嬢様の。ようこそいらっしゃいました。少々お待ちを」

 

インターホンが切れてから数分後、リザードンに乗ったジェントルがやってきた。

ジェントルが門の鍵を開けて、中に迎え入れてくれた。

 

「リーリエお嬢様の執事のジェイムズと申します。本日は御足労いただきありがとうございます。お荷物はお預かりしますね」

 

「ありがとうございます」と言っておもちの入った袋を手渡すと、ジェイムズさんは少しよろけた。

 

「中身はおもちだと伺っていましたが.....。こんなにたくさんお持ちくださったんですね......」

 

「はい。おもちだけに、お持ちしちゃいました」

 

......あ、スべった。

 

と思ったけど、スイレンちゃんだけは大爆笑してくれた。ありがとう。スイレンちゃん......。

 

「では.....少し乱暴で申し訳無いのですが、早速参りましょう」

 

ジェイムズさんは私をリザードンの背中に乗るように促し、リザードンに跨った。

リザードンはマオちゃんとスイレンちゃんを抱えて、マーマネくんとカキくんを足で引っ掴んで飛び立った。

 

「あははー!楽しいー!」

 

マオちゃんとスイレンちゃんがキャーキャー言ってる。

空のライド免許はあるから背中には乗れるし、私もだっこがよかった。スカートで来たの、失敗だったな。

 

......っていうか、これお庭!?ゴルフ場みたいな広さなんですが!?

 

お庭ではポケモン達が自由に暮らしてる。庭師さんもたくさんいるし、ポケモンのお世話をしてる人もいる。

ぶっちゃけ、うちもかなり裕福な方だと思うけど、上には上がいるもんだな。

 

遠くに立派なお城みたいな建物が見えてきた。あれ、なんの建物かなぁ。

 

「さて、着きますぞ」

 

なるほど。これがリーリエちゃんのお家ね。とんでもないな。自分がかなり裕福とか思ってたのがちょっと恥ずかしくなるレベルの大豪邸だ。パパ、いつもお仕事頑張ってくれてるのにごめんね。

 

リザードンは高度を下げて、カキくんを下ろして、マーマネくんを落とした。

 

「リザードン、リーリエお嬢様のご学友になんて事を!お怪我はないですか!?」

 

「うぅ、大丈夫です。リザードン、重くてごめんね」

 

確かに、マーマネくん1人でマオちゃんとスイレンちゃん2人分よりも重いと思う。

 

「ぐりゅぅ......」

 

リザードンはしょんぼりしながら着陸して、マオちゃんとスイレンちゃんも優しく下ろして、私が降りやすいように伏せた体勢になってくれた。

 

「リザードンさん、ジェイムズさん、ありがとうございます」

 

みんなで揃って「ありがとーございます!」と言った。同じスクールにいると、狙ってなくてもこういう感じになるよね。

 

「みなさーん!アローラ!ようこそー!」

 

リーリエちゃんが手を振りながら玄関から出てきた。

 

「リーリエちゃん!アローラ!お願い聞いてくれてありがとう!」

 

今日、おもちパーティの後にエーテル財団を見学させてもらうことになってる。とっても楽しみ!

 

「こちらこそ。私も前々からみんなをお招きしたかったんですけど、エーテル財団の敷地の中だと気を使わせてしまうかなと思って、なかなかお誘いできなかったから.....」

 

「そっか、ここがエーテル財団?」

 

「いえ、こちらは住居で、財団はあちらの建物です」

 

離れたところに要塞みたいなものが建ってる。そっか。そういう感じね。うん。何となく、わかってた。

 

「財団は後ほど案内しますね!さ、どうぞ上がってください!ジェイムズ、私はみなさんを接待室にご案内しておきますので、準備をお願いします」

 

「かしこまりました。では、失礼致します」

 

ジェイムズさんは一瞬で消えた。怖っ。

 

「では、みなさん、しゅっぱーつ!」

 

リーリエちゃんが拳をあげたので、私はルザミーネさんに教えてもらった「ウルト......ラジャー!」と言う返事とキメポーズをした。

 

「え、やだ!お母様ったら、レイラさんに変な事を吹き込みましたね!?」

 

「この間ルザミーネさんがパパの研究室にいらっしゃったときに教えてくれたよ。すごくかっこよくて、パパも気に入って使ってるんだけど......」

 

「や......!やめてください!」

 

リーリエちゃんは顔が真っ赤だ。ルザミーネさんのノリ、すごく好きなんだけどな。

 

「あ、それこの間オーキド校長もやってたよ。かっこいいよね」

 

スイレンちゃんがいたずらっぽく笑った。

 

「あぁ。それで聞いた事がある気がしたのか......。このキメポーズ、ファイヤーダンスに取り入れたいです」

 

カキくんの目は真剣だ。そういうことなら......!みんな、私の言いたいことを察してくれたようだ。

 

「よし、リーリエちゃん。もう1回掛け声お願い!」

 

「えっ!えぇ......。こほん。では......みなさん!しゅっぱーつ!」

 

「「「「「ウルト......ラジャー!」」」」」

 

やっぱり私はアローラと、アローラのみんなが大好き!

それでも私は......他の地方に行ってジムリーダーになるんだ。

 

 

気合い充分で『ウルトラジャー』したのに、長すぎる廊下をひたすら歩いて疲れてきちゃった。家がこれだけ広いと大変だろうな。

 

「さて、ここです。どうぞ」

 

リーリエちゃんが豪華な扉を開けると、アニメでしか見た事ないような真っ白なクロスのかけられたながーいテーブルがあって、豪華な椅子が左右に3つずつと、前後にも1つずつ並べてある。

 

「あら......?レイラさんのお言葉に甘えてお母様とお兄様も呼んだのですが......。まだ来てないみたいですね。みなさん、とりあえず座ってください」

 

なんか、緊張しちゃう。みんなもそんな様子だった。

リーリエちゃんが椅子を引こうとしたが、動かないようだ。

 

「あら?何か引っかかってるみたい。えーっと......」

 

リーリエちゃんがテーブルの下を覗き込んだ......瞬間。

リーリエちゃんは「きゃー!!」と悲鳴をあげて尻もちをついてしまった。

 

「リーリエ、どうしたんですか!?」

 

カキくんがすかさず机とリーリエちゃんの間に割って入った。マーマネくんも既にボールを構えて戦闘態勢だ。やっぱり2人とも男の子だなぁ。頼りになる。

 

私とマオちゃんとスイレンちゃんは、急いでリーリエちゃんを立たせてあげた。

 

「あ......あの......!テーブルの下に何か......」

 

テーブルの下をよく見ると、なんとルザミーネさんが......!

 

めちゃくちゃ悪い顔で笑ってて、おどろおどろしく這い出てきた!

 

「おーほっほ!リーリエ、更にいい反応するようなったわね!みんな、いらっしゃい」

 

みんなポカーンとしてる。ルザミーネさんはにっこにこだ。

 

「レイラちゃん!今日はおもちを持ってきてくれたんでしょ?アローラでは手に入らないから、とーっても嬉しいわ。誘ってくれてありがとう!」

 

「いえ、私もルザミーネさんにお会いしたかったので......。お忙しい中、お時間を作ってくださって、ありがとうございます」

 

「んー!レイラちゃん、本当にいい子ね!うちの子にならないかしら!」

 

ルザミーネさんは私を抱きしめて髪の毛をわしゃわしゃした。

 

「じゃあ......パパと再婚します......?」

 

ルザミーネさんはスンッ......って真顔になって「それは遠慮します」と言って、すぐにまたケラケラ笑い始めた。

 

うちはママがいなくて、リーリエちゃんにはパパがいない。

詳しくは聞いてないけど、リーリエちゃんのパパは異世界のポケモンを研究する博士だったみたいだけど、リーリエちゃんがルザミーネさんのお腹の中にいた頃に事故に遭って亡くなられたみたいだ。

 

でも、私のパパは今でもママ一筋だし、ルザミーネさんも旦那さん一筋らしい。

 

この間ルザミーネさんがうちに来た時は、用事が終わったあと一緒にお茶したんだけど、なぜだったかパパとルザミーネさんがお互いの配偶者自慢大会を始めちゃって、しまいにはふたりとも泣き出すからどうしようかと思った。

 

その時に開発されたのがさっきのギャグ。パパも、狙っても出来ないくらい全く同じタイミングで全く同じ反応しててすごく面白くて、みんなで大爆笑した。

 

こんな共通点があるのは悲しいけど、リーリエちゃんは私の気持ちをわかってくれるから、本当に感謝してる。

 

「もう......お母様、みなさん立ちっぱなしですから!早く座ってください!」

 

リーリエちゃんはほっぺたをくふらませて怒ってる。あざとい。だがそれがいい。マジ天使。

 

「あら、ごめんなさいね。さぁ、座って」

 

みんなドン引きしながらおずおずと座った。

 

「そろそろジェイムズがおもちとお茶を持ってきてくれると思うんですが......。お兄様は?」

 

「グラジオならさっきからずっとそこにいるわよ」

 

ルザミーネさんが指さした方を見ると、観葉植物の後ろでリーリエちゃんのお兄さんが片手で顔を隠したキメポーズで佇んでいた。

 

リーリエちゃんのお兄さん、グラジオさんって言うんだ。何度か見かけたことはあるけど、お話ししたことないんだよね。

 

「フッ......。やはり見つかっていたか。さすがは母さんと言ったところだ。このまま現れるタイミングを見失うところだった......」

 

グラジオさん、クールなイケメンだと思ってたけど、意外とお茶目な方なんだ。

 

「カキ。隣、邪魔するぜ」

 

「あぁ。グラジオ、最近調子はどうですか?」

 

「最近ブラッキーが、より輝きを増している......。カキのガラガラも、手も足もホネも出ないだろう」

 

カキくんとグラジオさんは仲が良さそうだ。

 

「そうですか。俺はずっとレイラに勝てなくて.....。ガラガラもバクガメスも力をつけてるはずなんだが......」

 

「ほう......。レイラとは......君か。後でバトルをしてもらいたい」

 

「え!?あ、よろしくお願いします」

 

グラジオさん、ポケモンバトル強いみたいだし、ヤバソチャとゲンガーはデビュー戦だけど......大丈夫かな。

 

「お兄様......!レイラさん、無理しなくていいんですよ」

 

リーリエちゃんは心配そうだ。

 

「いや、新しい仲間が増えたからみんなにも紹介したいし......。バトルを挑まれたら、やるしかないよ!」

 

「フッ......。カキを負かす実力......。見せてもらおうか」

 

グラジオさんはキメポーズした。わぁ。かっこいい......。

 

マオちゃんとスイレンちゃんとマーマネくんも「新しい仲間!どんな子?もう育ってる?」「ファイトだよー!」「レイラ、頑張ってね!」と大盛り上がりだ。

 

「お、お手柔らかにお願いします......」

 

グラジオさん、ブラッキーを持ってるんだ。ゴーストタイプが苦手なあくタイプ......。これは苦戦しそうだ。

 

「皆様、お待たせいたしました」

 

いい感じのタイミングでジェイムズさんとメイドさんがおもちとお茶を持ってきてくれて丁寧に配膳してくれた。メイド服かわいいな。着てみたい。

 

「お茶は温かいグリーンティーをご用意致しました。おもちは少々味見させて頂きましたが、大変美味しゅうございました」

 

「ジェイムズさんもメイドさんも是非一緒に召し上がってください!」

 

「お気遣いありがとうございます。実は......味見が止まらなくなってしまい......。お腹がいっぱいでございます。ご馳走様でございました」

 

みんな笑ってる。ジェイムズさんは気まずそうに消えて行ってしまった。

 

「じゃあ......いただきます!」

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

みんな揃っちゃうよね。

 

おもちは大好評だった!グリーンティーもよく合う。

山盛りだったのにあっという間になくなってしまった。

 

みんなで「ご馳走様でした!」と言ったあと、グラジオさんは、ゆっくりとキメポーズをし始めた。

かっこいいな。それ、私も真似していいかなぁ。

 

「おもち......。初めて食べたが、何故か力がみなぎる......!レイラ、敵に塩を送るとは余裕だな」

 

「え!そんなつもりは......!でも、負けませんよ!」

 

「バトルコートの準備はしておきましたので、お庭にどうぞ」

 

びっくりした!ジェイムズさん、いつの間にか私の後ろに立っていた。っていうか、話聞いてたんだ。怖っ。

 

「さすが、仕事が早いな。よし、行こうか」

 

グラジオさんはさっさと行ってしまった。

リーリエちゃんはオロオロしている。

 

「レイラさんが負けてる姿もお兄様が負けてる姿も想像できません......。どうなっちゃうんでしょうか......」

 

「わたしたちは観戦させてもらうね!グラジオくんには悪いけど、レイラのこと応援しちゃうから!行こっ」

 

マオちゃんは手を繋いでくれた。よし。頑張るぞ。

 

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