よし。『ポケモンお悩み相談所』!今日もよろしくお願いします!
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レイちゃん:アローラの学生です。
ポケモン保護施設で、大きく欠けてしまって上手に動くことができなくなってしまったヤバチャを見かけました。
レイちゃん:保護団体の方によると、自然治癒が難しいレベルの欠けだそうですが、この子に合うポットがあれば進化できて、問題はなくなるという話でしたが、保護団体の方が用意したポットは気に入らなかったみたいです。
レイちゃん:ヤバチャの気に入るポットを見つけるためにはどうしたらいいですか?
皆さんのお知恵を貸してください。よろしくお願いいたします。
ガラガラル:ヤバチャのカップの底面にマークがついてなかった?マークがあるなら、その子が気に入るポットを手に入れるのは大変かもね
レイちゃん:確かに底の部分にシミみたいなのがあったんですが、それのことですかね?
ガラガラル:そうだろうね。じゃあ『われたポット』じゃなくて『かけたポット』が必要だ。ガラルの専門業者で取り扱ってるからアローラからでもお取り寄せできると思うけど。
ま様:質問者さん学生か。頑張るンパッパ!
なっしー:ガラルからアローラの送料を含めても300000円もあれば手に入るでしょ
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えっーっと。いち、じゅう、ひゃく、せん、まん......30万円!?サンジュウマンエンってなんまんえん!?
落ち着け。調べてみよう。ガラルの業者さんの......
あった!『かけたポット』!
値段は......280,000円。
ニジュウハチマンエンかー。送料だけでイチマンエンねー。なるほどねー。
......うぅ。高いのは覚悟してたけど、さすがに0の数が1個多いよ。さすがにパパに頼むのも申し訳ない金額だ。諦めるしかないのかな。
パパから「早かったね!今から夕飯作るよ!レイラの大好きなロコモコ丼だよ〜♡」ってメッセージが入ってきた。
......あ!閃いた!
お金は、きっとなんとかなる。他に必要なものはないかな......。
......うん、お金が用意できれば1週間もしないうちに届くみたいだ!
「パパー!!」と叫びながら階段を駆け下りた。
「レイラおかえり。まだひき肉こねてるところだよ」
「......そうじゃなくて!ねぇ、ヒエさんからもらったおひねりって、いくらくらいあったの?」
「ん?あぁ。......なんと、50万円も入っていたのだー!」
やっぱり!っていうか、思ったより入ってたんだな。あれだけ分厚かったもんね。
とりあえずこのノリに乗っかっておこう。
「おぉー!!私、欲しいものがあるの!そのお金、頂戴いたす!」
「なんだってー!?して、おいくら万円でご勘弁いただけますでしょうか!?」
「30万円くらい!」
パパはピタリと手を止めた。
「......何が欲しいのか、聞いてもいいかな」
「あ......。えっとね......」
事情を説明した。
パパは、私がちっちゃい頃に選んであげたピンクのフリフリのエプロンをつけてるけど、真剣に聞いてくれた。
「なるほどね。レイラが優しい子に育ってくれて、パパは嬉しいよ」
パパは、ひき肉こねこねを再開しながら言葉を選ぶように話し続けた。
「でも、その子が元気になったからと言って、その後はどうする?保護ポケモンを引き取るには厳しい決まりや審査がある。当然、未成年では引き取れないよ」
「そういう問題じゃ......」
「それに、たとえばそのヤバチャに30万円かけてポットをプレゼントしたとする。その後、レイラのヤバソチャにも同じ症状が出てしまって、治療のために、30万円必要になったらどうする?」
意地悪な質問だ。
「もう20万円しかなくて、助けてあげられない。そうなったとき、レイラはすごく悲しい思いをすると思うんだ。手持ちですらないヤバチャを助けたがために、助けてもらえないヤバソチャも、助けたヤバチャすらもそれを知ったらショックを受けてしまうだろうし、みんな不幸になると思わないか?」
確かにそうかもしれない。
「だったら、ヤバチャは可哀想だけれど財団の方たちに任せて、このお金は自分や自分のポケモンの為に使う方がいいとパパは思う。今のままでもヤバチャは財団で面倒を見てもらって、不幸ではないはずだろ?」
それはその通りだ。でも、その例えは普通にひどいし、後ろ向きすぎじゃない?
もっと気楽に考えた方がいいよ。
「でも、ヤバソチャは元気いっぱいだし!そんなこと考えたらヤバソチャが可哀想でしょ。やめてよー」
パパはなんとも言えない顔をしている。このいしあたまめ!
「......今、困ってるヤバチャを助ける方法があるなら、助けるのっ!少なくとも、その子は今より絶対幸せになってくれるはずなのっ!私はもう、目の前にいる子を助けられないなんて嫌だし、そんな姿をミミッキュにみせたくないのっ!」
声が大きくなっちゃって、ちょっと涙が出そうになった。
「強くなって、ポケモンたちと一緒にジムリーダーになって、みんなの平和を守るって約束したの......っ!」
パパはポケマメ鉄砲に打たれたマメパトみたいな顔してフリーズしてる。
「あ......パパ。大きい声出してごめんね」
パパはフリーズしたまま、ぽろぽろと涙を流し始めた。
「え!?パパ!?ごめん。えっと......。ごめんなさい......」
「あぁ......。違うんだ。さっき切ったタマネギが......」
「パパ、その言い訳は無理があるよ。続きは私がやるから、手と、顔も洗っておいで」
パパはよろよろとキッチンを出て行った。
ごはんは炊いてあるな。ソースに使うタマネギも切ってある。お野菜はもうお皿に盛り付けてある。
あとは目玉焼きとハンバーグ焼いて、ソース作るだけか。すぐ完成するな。パパはついさっきまで、ちゃんと完璧だったはずなのに。
とにかく、お料理しよう。
「よし。スマホロトム!パパに『もうすぐできあがるよ』ってメッセージ送って!」
スマホロトムがポケットから飛び出した。
「パパにメッセージを送信したロト!」
「ありがと」と言ったらスマホロトムはポケットに帰っていった。
あ、メッセージ送るの早かったかな。ソースもう少し煮込んだ方がいいかも。パパいつもテレポートしてくるし......。
でも、ソースが完成しても、盛り付けが終わっても、パパは来なかった。
「スマホロトム、パパに電話......しなくていいや」
「いやー、テレポートのPPが切れてた!もうできてる?」
心配したのに、のんきだな。良かった。いつものパパだ。
「できてるよ!どうぞ!」
「わぁ!ハンバーグがハート型だー!」
「えへへ。食べよ!いただきます!」
「うん。いただきます!」
執事のジェイムズさんが魔法使いみたいだったこと、おもちが大好評だったこと、『グラジオさん』とバトルして勝ったこと。
当たり障りのない会話を続けた。
「ごちそうさまでした!」
「ごちそうさま。美味しかったよ!ありがとう。パパはコーヒー入れるけど、レイラも何か飲む?」
「うん、ハーブティーがいい!」
「はーい」
パパは飲み物を用意すると、コーヒーを一口飲んでから「さっきはびっくりさせてごめんね」と言った。
「ううん、私の方がごめんだよ。いきなり大きい声出されたらびっくりするよね」
「はは......それはそうなんだけどね。パパはママと一度だけ大ゲンカしたことがあったんだ。そのときのママの怒り方と、さっきのレイラの怒り方がそっくりでね。ママのこと思い出したら、ちょっぴり悲しくなっちゃった」
「そうだったんだ......。どんなケンカだったか聞いてもいい?」
「......やっぱり、気になるよね」
「うん、実際のところはわからないけど、ママを怒らせるって多分相当とんでもないことしでかしたんでしょ?」
「ご名答。ママと意見が食い違って、どうしても譲れなくて、すごく意地悪でひどいことを言って、怒らせちゃったんだよね」
さっきも意地悪だったもんね。
パパは頭の回転が早くて口が上手いから知らないだろうけど、正論パンチで言いくるめられそうになると、かなりムカつくんだよ。
「今になって思えば、ママの言う通りにしておいて、心から良かったと思ってるんだ。そう思うと、本当に......とんでもなくひどいことを言ってしまった。レイラも怒らないで聞いてくれよ」
「パパのひとでなし!ヒドイデ!ドヒドイデ!......よし、先に怒っておいたから、もう怒らないよ」
パパは、ちょっとだけ微笑んでから、ゆっくり話し始めた。