「シュウメイー!レイラー!やほー!」
アオイちゃんがミライドンに乗りながら空から華麗に滑空してきた。
「ふたりとも返事くれないから探しにきたよー!」
「え!ごめん!」
メッセージを確認した。
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お返事遅くなってごめんね!
その人、ネルケだよ!私もシュウメイも事情はわかってるから、焦らなくて大丈夫だよ。
今日シュウメイとネルケが会う約束してるはずだから、ポットデスのフタはシュウメイに取りに行ってもらえばいいと思うよ。
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どういうこと?シュウメイくん、どろぼうの仲間だったの......?うそ。なんで?どうして私は毎度こうなんだ。私は正義の味方が好きなのに。
アローラに置いてきたはずの、鍵付きの引き出しの中の苦い思い出がぞわりと動き出す。悲しい。すごく苦しい。
「ぬわーっ!我としたことが!今日はSTCの活動報告の日であった!レイラ殿のエマージェンシーコールを受け漢おとこを見せねばと思い、張り切ってうっかりぽっかり忘れてていたのでござる......!」
もう何言ってんのかよくわかんない。
「レイラ殿、すまぬ!事情は後ほど説明するゆえ、今一度ブロロロームにライドしていただきたい!」
どうしよう......。シュウメイくん、真剣な顔してる。
「えぇい!問答無用!心配無用!」
シュウメイくんは私を抱き上げてブロロロームに座らせた。
「参るぞ!」
かっこよ。もうどうにでもなれ!
......なんか変な場所についた。学校の机やイスで謎の装飾がしてあって、変な旗とか立ってる。
奥の方にリーゼントの人がいた。
「あ!あの人!どろぼう!」
「やはり......!」
こっちから投げといて申し訳ないけど、ポットデスのフタ、返してもらわなきゃ。
シュウメイくんがブロロロームを停めてすぐ、静止するシュウメイくんを無視して駆け出した。
「隙あり!!」
ぶん殴らないように気をつけながら、背後からリーゼントをひっぱたいた。リーゼントが吹っ飛ぶ。え、なんで?カツラ?
シュウメイくんがリーゼントをキャッチして、ポットデスのフタを取り出した。
「ええい!ポットデス殿!今楽にしてやるでござるー!!」
ポットデスのフタを手裏剣のように私に向かって投げてきた。それ、ぶっころがすときに言うやつじゃん。でも、さすがシュウメイくん。フォームもコントロールも完璧だ。
私はポットデスのフタをキャッチして、ポットデスに乗せたピンバッジを回収して、フタを被せた。
「ポッッッッッス!!!」
ポットデスは元気を取り戻した!よかった!!
で、どろぼうは.,,,..!見失った。いや、クラベル校長がいる!協力してもらおう!
「クラベル校長!大変です!校長のお財布が......!」
あれ?クラベル校長の格好、制服......?っていうかひざこぞうが出ちゃってんじゃん。なんかよくわかんないけど、破廉恥ハレンチ!
クラベル校長はポカンとしている。シュウメイくんは急いでクラベル校長に説明を始めた。
ふむふむ。なるほど。私も完全に理解した。
「......つまり、あれはクラベル校長が生徒に変装した姿ってことね」
「いかにも。こちら、我がボスを務めるSTC......。生徒育成プログラム、スタートレーニングセンター、チーム・シーのアジトでござる。校長殿が推参すると緊張してトレーニング生がいつもの実力をお見せできない可能性があるゆえ、ネルケ殿と名乗り生徒に変身して、定期的に視察に来られるのでござる」
クラベル校長はすごく申し訳なさそうにしながら頭をビシッと90度に下げた。
「レイラさん、ポットデスさん、心配させてしまい、申し訳ありませんでした。シュウメイさんも、レイラさんが危険な目に合われないよう尽力していただき、ありがとうございます」
「我は当然の事をしたまで。レイラ殿は我と共に人生を歩む、大切なむぐぐ.....」
急いでシュウメイくんの口を押さえる。シュウメイくんの唇、触っちゃった。柔らかい。ドキドキする......。
クラベル校長はにっこり笑った。まぁうん。付き合ってるの、バレたよね。
「では、シュウメイさん。レイラさんにSTCをご紹介するのも兼ねて、活動報告をお願いします」
そう言ってクラベル校長はカツラを被り直した。
「オレはネルケ......。チーム・シーの活動、見させていただくでござる!」
クラベル校長、リーゼントを整える変なキメポーズをした挙句、ござる口調になってキャラがぶっ壊れた。でも、本当にいい校長先生だ。
STCのボスを務めるシュウメイくんは、本当にかっこよかった。
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校長先生から、無事にホゲータさんをもらう事が出来たころ、ゲンパチがある程度ピクニックシートを動かすのに慣れてきたと報告してきた。
シュウメイくんに頼んだ魔法の絨毯も、そろそろ完成するって言ってたけど......。
「シュウメイ、推参!ついに例のブツが完成したでござるよ!体育館にてお披露目するでござる!」
「やった!シュウメイくん、ありがとう!」
体育館に着くと、今日も誰もいなかった。
シュウメイくんは丸いポーチを取り出した。
「わぁ!これ、シャインゴーストのシャイン証の形になってる......!」
「いかにも。早速中身をお披露目するでござる。爆発するため、少し離れているでござるよ!『信じようと信じまいと、神秘のチカラは実在する!』ゆけっ!スターインパクト号、発 進!」
あ、シャインゴーストキメ台詞からのイヴァンゲリモンの発進の台詞!さすがシュウメイくん。完璧。かっこいい。
しかも、フェアリーZのワザ名のラブリーをつけずに名前つけてくれたんだ。いいじゃん。普通にかっこいい。
......いや、爆発!?ちょっと待っ......!
中身がすごい勢いで飛び出し、一気にガバッと開いた。
「うわ!?うわーっ!すごい!どうなってるの!?」
「説明しよう!こちらのハンドルとフチの部分には、しなやかながら形状記憶されたライティングチューブが搭載されているでござる!このようにねじってまとめるとコンパクトになり、ポーチから射出すると一瞬で広がるでござる!」
なるほど。昔お庭で遊ぶ時にパパが出してくれてた、ワンタッチテントが広がるのと同じギミックだ。
「こちらの運転ハンドルを操作すると、先端のシャインブレードの向きが連動し、ゲンパチ殿に進行方向を示せるでござるよ」
「わぁ!すごい!便利!」
「して、ライティングチューブはこちらのソーラーパネルにてチャージするゆえ、普段はピクニックシートとして活用しながらチャージするとよいでござる!無論、防水加工がしてあるゆえ、安心するでござるよ!」
「すごい!すごいよ!完璧でてっぺきだー!」
「フフフ......。スターインパクト号はまだまだこの程度ではないでござるよ。こちらの運転ハンドルを強く引くと安全装置が作動し、エアバッグ兼レスキューボートとして機能するでござる!これらのギミック部分は、オルティガ殿に開発していただいたでござる。我の愛するガールフレンドに危険が及ばぬよう、三点倒立土下座で頼み込んだのでござる!」
「わぁ......!シュウメイくん、ありがとう!大好き!」
思わず抱きついちゃった。やってしまったー!でも、シュウメイくんもギュッてしてくれた。
「ハッ!アローラ人の距離感に対して、このような場で破廉恥な行為をしてしまうなど言 語 道 断!失礼つかまつった。すまぬ」
これは破廉恥な行為として把握してるんだ。なるほどわからん。
「ううん。嬉しい。ありがとう!ところで、ここって人が全然来ないよね。なんでだろ?」
「......実は、ここは禍々しいゴーストポケモンが出ると噂されていて、授業ですら使われていないのでござる。しかしながら、我らは忍ぶ身。やむを得ずここを利用しているが、何ら問題ないのでござる」
学校の七不思議的なやつね。
「何かあっても、ゴーストタイプの子のことは私に任せて!私、強いし!」
「かたじけない。たまにマジの怪奇現象が起こるゆえ、チビりそうになっていたのでござる。レイラ殿がいれば心強いでござる!」
ガチのやつだったか。不安になってきたじゃん。
「心配無用。我も我のポケモンたちも、レイラ殿ほどではござらぬが、凡人などゴミのように見えるほど強いのでござるよ。何かあれば必ずや駆けつけるゆえ、安心するがいいでござる」
シュウメイくんから優しく抱きしめてくれた。シュウメイくん、女の子に慣れてる感じがするな。イケメンだし優しいし、やっぱりモテモテなのかな。
「ありがと。......ところでさ、シュウメイくんって今までに恋人がいたりしたの?私、カレシができたの初めてで、こういうのまだよくわかんなくて......」
「うむ。初恋が成就し、愛し合った嫁がいたのでござる。しかし、今はレイラ殿一筋でござるよ!」
よよよよ......!嫁!?バツイチ!?学生なのに!?いや、それがパルデア流なのかも知れない。
嫁......。結婚してたってことはやっぱりちんちん見せた相手がいるんだ。
いや、そんなこともある。今は私一筋って言ってくれてるし、それでいい。でも、やっぱり、やな感じ。悲しい。
「しかし、思い出の品は処分出来ずにいるのでござる......。どうしても......。これだけは許していただけぬだろうか......」
ヤダ。そんなの絶対ヤダ。
でも、私だってお付き合いしてた訳じゃないけど、グラジオから貰ったネックレスがある。アローラに置いてきたけど、捨てろって言われたら......。なんか、やな感じ。
「......相手ってどんな子なの?」
「ヨコバヤシ ハルミ殿でござる。謎の女ゆえ、我にも理解できぬ部分もあるが......。お互い一途に愛し合ったのでござる」
そうなんだ。聞くんじゃなかった。畜生め。
いや、ヨコバヤシ ハルミさん?どこかで聞いた事あるな......。
「ねぇシュウメイくん。そのお嫁さん、画面の向こうから出てきてくれた?」
「そう願ったこともあったのは事実.......。しかしながら、今やハルミ殿より素晴らしいレディーが三次元で我の事を大好きと言っているのでござる。グッズ以外に未練はないでござるよ」
シュウメイくんの嫁......!恋愛シュミレーションゲーム『ときめきテラスタル』の隠しヒロインだー!なんじゃそりゃー!!
そっか。だからシュウメイくんは二次元の王子様みたいなこと言ったりしたりしてくれるんだ。
えへへ。嬉しい。ハルミちゃんのおかげだったんだ。ありがとう。
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寮に帰ってきた。さっきからずーっとスターインパクト号のポーチを眺めてニヤニヤしてる。
オルティガ先輩にもしっかりお礼のメッセージを送ったけど、今度改めてお礼をしなくっちゃ。
スターインパクト号をなでなでしながら幸せに浸ってたら、いつの間にかゲンパチとシャンデラが私の背後立っていた。
「うわっ!何!?びっくりしたぁ!」
「お嬢。お取り込み中、申し訳ねぇ。折り入ってお嬢に話がありやす......」
ゲンパチが真剣な顔してる。なんだろう。何かあったのかな。
「シャンデラの姐さんを、自分にくだせぇ!!」
え?なんて?
「実は姐さんとはアローラいた頃から仲良くさせてもらってたんすよ。そんで......。姐さんとの間にタマゴができやした!」
「ええええ!?」
「自分がこんな下手こいちまうなんて......。どう詫びたらいいかわかんねぇすけど......。どうか姐さんを......!組から足を洗わせて、タマゴを育てさせてくだせぇ!」
ゲンパチが土下座してる。お腹が邪魔で潰れてるだけみたいになってるけど。
どうしよう。ゲンパチが前も言ってた通り、シャンデラは私の切り札だ。
カルボウとホゲータは来てくれたけど、まだこどもだし、レベルも低い。大幅な戦力ダウンだ。
でも、おめでたいことだ。シャンデラは申し訳なさそうにしながらも、くるりとしたよくわかんねぇブツを器用に使って、大切そうにタマゴを抱っこしてる。
シャンデラ......。ヒトモシの頃からずっと一緒にジムリーダーを目指して頑張って来てくれたけど......。
今のシャンデラ、とっても幸せそうだ。シャンデラは女の子だもんね。そういう幸せがあってもいいよね。
「シャンデラはママになったんだね。タマゴがかえったら赤ちゃんと一緒にボックスに行って、大切に育ててあげてね」
シャンデラは頷きながら泣いてる。
「で、ゲンパチ。ゲンパチにはケジメつけてもらうからね」
「なんでもしやす!」
「私のライドポケモンとしてちゃきちゃき働いてもらいます。ただし、ゲンパチの大好きなスペシャルアップはもう買ってあげません。親になるんだから、薬物からは足を洗いなさい」
「ぐぬ......!いや、構いやせん!」
「でも、お給料がないのも可哀想だから、赤ちゃんを育てるのに必要なものを現物支給にします。必要なものがあったらなんでも言ってね」
「お......!お嬢......!」
「あと、今すぐパパにも連絡しておきな」
「うっ......うす!......あ、オヤジ、お久しぶりです!いや実は......かくかくで......しかじかでして......はい。申し訳ねぇ!うす。はい。ありがとうございやす!失礼しやす!」
ゲンパチはガタガタと震えてる。
「パパなんて言ってた?」
「ゴールデンウィークにこっちにカチこんでくるそうっす。タマだけは取らない程度にシバき倒すって言われやした......」
「まぁ、順序も守らずにそういうことしたらそうなるよね」
「あと、姐さんには『おめでとう、身体を大切にね』だそうで......。お嬢には『ゲンパチはパパの息子みたいなもんだから、孫をよろしく』って......。うぅっ......オヤジ......!」
「ゲンパチ、シャンデラ、良かったね。おめでとう。私もできることはなんでもするからね」
数日後。
タマゴからは、ヒトモシの頃のシャンデラにそっくりな、メスのヒトモシが生まれた。
ゲンパチは無事にライドポケモン免許を取得して、私のライドポケモンとして活躍してくれるようになって、カルボウとホゲータが正式に手持ちに加わった。
もうすぐゴールデンウィーク。それが終わったら、ついに宝探しのフィールドワークだ。ポケモンジム巡り......。がんばるぞ!