「シュウメイ、推参!」
今日は正面から開脚前転しながら推参してくれた。
最近は、シュウメイくんがいつどこからどうやって飛び出してくるかが楽しみになってる。
「レイラ殿!ゴールデンウィーク、デートにお誘い申し上げる!」
「シュウメイくん!ごめんね。ゴールデンウィークはパパが来てずっと泊まっていくみたいで......。パルデアを案内する約束してるんだ」
「なぬ!......否、これは好機!ご挨拶せねばならぬな!」
いや、それはまずい。ゲンパチが下手こいてパパの機嫌が悪いときにシュウメイくんを紹介するのは、非常にまずい。
何か切り抜ける方法はないだろうか。
「いや、こっちからアローラに行ったときに挨拶するのがスジだよ!たぶん!」
「ムムム......。一理あるか。しかし......」
「そうそう、お盆は私がアローラに帰省するからさ、その時予定が合えば一緒にアローラ行こうよ。あと、デートはまた別の日にしよ!」
「承知した!ではゴールデンウィークはお父上と共に、親子水入らずで過ごすがいいでござる!」
「うん!ありがとう!」
セーーーーーフ!切り抜けた!
何事もなく過ごせるといいけど......。
で、ゴールデンウィークになってパパが来た訳だけど。
「ゲンパチ。そこに座りなさい」
「うす......。オヤジ、その......」
「黙りなさい」
「うす......」
パパ、めちゃくちゃ怒ってる。
「俺はな、ゲンパチならしっかりやってくれると信じてレイラと一緒にいてもらおうと思ったわけだ。それで、ゲンパチは何をして、どうなった?」
「シャンデラの姐さんとタマゴ作って、お嬢の切り札が組から外れました......」
「うん。つまりレイラの人生をかけたジム巡りの直前に、重要な戦力を削いだ。それに、シャンデラはこんなちっちゃいヒトモシの頃からレイラとジムリーダー試験を合格するために頑張っていたのに、諦めることになった訳だ。全部、お前の身勝手のせいだろう」
「その通りです......」
「これについては有性生殖する生物の設計ミスとしか思えないんだけどな、男ってのは女の子を幸せにしたいと思ってもそれがなかなか難しいのに、下手こくと、いとも簡単に不幸にできてしまうんだよ」
「うす......」
「......レイラ、シャンデラとヒトモシちゃんを呼んでもらっていいか?」
「あ、うん。シャンデラ、おいで」
シャンデラがヒトモシちゃんをあやしてにこにこしながら出てきた。
「シャンデラ、ヒトモシちゃんを抱っこさせてもらってもいいかな?」
シャンデラはヒトモシちゃんをパパに渡した。
「はじめまして。レイラのパパです。よしよし。かわいいねぇ」
「しぃし?」
ヒトモシちゃんがパパを見つめると、パパは急に黙ってヒトモシちゃんをシャンデラに返して「ぐはぁっ!」と叫んで急に崩れ落ちた。
「パパ!」「オヤジ!」
パパは悶絶してじたばたしながら何か言ってる。
「パパ!?大丈夫!?しっかりして!!」
「今......!ヒトモシちゃんがパパのことじぃじって呼んでくれた......!」
え?なんて?
「孫......!孫カワイイ......!まさかの......!破壊力.......!くぅっ......!」
私とゲンパチとシャンデラが唖然としていると、パパは急にシャキッとしてシャンデラを撫でた。
「幸せそうで良かった。大変だと思うけど、応援してるから。お金くらいしか出してあげられないけど、協力するからね」
そして、ゲンパチを睨みつけた。
「おい、ゲンパチよぉ......!順序を守らなかったのは断じて許さんが、シャンデラは幸せそうだし、ヒトモシちゃんは元気で健康そうで超絶カワイイし、カルボウくんもホゲータくんもしっかりしたいい子だし、とりあえず結果オーライだ。これからもレイラと、シャンデラとヒトモシちゃんの為に頑張りなさい」
「オヤジぃ......!うす!」
「レイラもシャンデラが手持ちから外れるのは大変だろうけど、ジム巡り頑張ってね」
「うん。でも、カルボウの進化の仕方もわかんないし、ゴーストタイプじゃないかも......」
「え?ソウブレイズに進化するの知らずにゲットしたの!?」
「え、知らない。パパは進化方法知ってるの?」
どうやら、カルボウは専用のヨロイを着ることで進化するそうだ。『ノロイヨロイ』を着るとソウブレイズというほのお ゴーストタイプに進化するそうだ。
やった!カルボウとも一緒にジムリーダー試験に挑戦できる!
ノロイヨロイはヤバチャやポットデスのかけらから作るらしい。ポットデスにからをやぶってもらったときの細かいかけらを拾わせてもらえば、簡単に集められそうだ。
「問題は職人さんなんだけど......。パパの知り合いにはいないんだよね」
「あ、それなら、グレンアルマを持ってる友達がいるから、職人さんのこと聞いてみるね!」
「よかった!そうだ。友達たくさんできた?」
「うん!みんなで撮った写真があるから見せるね!」
歓迎会のピクニックのときに撮った集合写真をパパに見せた。
「この子がグレンアルマを持ってるメロコちゃん。で、ビワちゃんとピーニャくんと......スターインパクト号を作ってくれた、シュウメイくんとオルティガ先輩」
「さっき空港に迎えに来てくれたときのあれね。この子たちが作ってくれたんだ。レイラとゲンパチのことを考えて設計してあるし、デザインもかわいいし。本当にすごいね!感謝感謝!」
「でしょ!」
「で、こっちの子がレイラのボーイフレンド?」
パパがシュウメイくんを指さしてる。えぇ!?バレた!?
「あれ。レイラが好きそうな感じの男の子だと思ってからかうつもりだったけど、もしかして、もうお付き合いしてるの......?」
しまった。嵌められた。ちくしょーめ。どうしよう。でも、ここで隠しても私は顔に出すぎるからバレる。そしたら、もっと大変なことになるぞ。
「......うん」
パパはこわいかおになった。ひーん。やっぱダメかぁー!
「......今すぐ呼びつけなさい」
否!ここは切り抜けられるかもわからんぞ!
「あ、あのね、来てくれようとはしてたんだけど、やっぱりこっちから行くのがスジだから、お盆に一緒にアローラに来て、パパに挨拶したいって!」
パパは怖い顔をしてたけど、にっこにこになった。
「嘘じゃなみたいだね。レイラは分かりやすくていい子だからね」
セーーーーーフ!無罪!無罪判決ー!
「きちんとした子だね。それに、あれを作ってくれたって事は、レイラの事を大切にしてくれてるってことだし、趣味も理解してくれてるんだろう?作中で4回、一瞬しか映らなかったシャッチョ室のマットのデザインなのも、なかなかわかってるね」
なんだと......!社員ちゃんのアジトの玄関マットのデザインを私の好きそうな色に変えてくれたんだと思ってたけど、シャッチョ室のマットだと......!?
私としたことが、気付かなかったなんて......。パパの記憶力すご。頭のいいオタクってズルいな。
それに、シュウメイくんはやっぱりすごい。えへへ。大好き。
「でも、人間の孫はやっぱりいなくていいかな」
パパはやっぱりこわいかおをしていた。
その後パパは気を取り直して、ひたすらヒトモシちゃんにデレデレしていた。なんかちょっと、なんでかわかんないけど、悔しいかも。
次の日からは、スターインパクト号に乗って、テーブルシティの周辺をパパと一緒に冒険した。
シュウメイくんがボスを務めるSTCのチーム・シーも紹介して、パパは「素晴らしい。きちんとした子だ」と感心していた。
よかった。シュウメイくんは認めてもらえたっぽい。あと、あの挙動と言葉遣いをパパがどう思うかだけど、今考えてもしょうがないし、気にしない気にしない。
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それからあっという間にゴールデンウィークは終わって、ついに宝探しのフィールドワークが始まった。
私は成績を認められて、フィールドワーク前にテラスタルオーブももらえたし、メロコちゃんの協力もあってカルボウはソウブレイズに進化してヒロノブくんは本当に喜んでくれて、みんなと更に仲良くなれたし、ホゲータはあっという間にラウドボーンに進化した。
でも、なんだか最近、私のポケモンたちの様子がおかしい。
ジュナイパーはまだくさテラスタルで、早くゴーストテラスタルになりたいみたいで、血眼になってゴーストテラピースを探し回っている。
ミミッキュは、シャンデラが手持ちにいなくなって、自分が頑張らなくちゃとはりきり過ぎてワザを外してしまうことが増えた。
あと、最近何故かゲンパチの機嫌も悪くて、ヤバソチャとポットデスはふたりっきりで遊んでいる事が増えてしまった。
ソウブレイズはすごくイケメンになったのに毎日シャンデラに甘えに行って、ねっぷうであっためてもらいながらヒトモシちゃんと一緒に寝かしつけてもらう残念なイケメンになってしまった。
シャンデラは育児に疲れている様子だけど、ソウブレイズがヒトモシちゃんと遊んでくれるから多少休憩できているみたいで、ソウブレイズのこともかわいがってくれてる。
ラウドボーンは何も考えずにみんなと仲良くしようとグイグイ絡みに行っている。ラウドボーンの特性はてんねんだ。みんなの癒しになってくれてて、なんとかやっていけてる感じだ。
そんな感じながらもカエデさんのセルクルジム、コルサさんのボウルジム、ハイダイさんのカラフジム、ナンジャモちゃんのハッコウジムは調子良く突破した。
そんなある日、ペパーから電話がかかってきた。
「よう。調子良さそうだな。もうジムバッジ4つも集めたんだろ?」
「うん......。でも最近手持ちたちも疲れたみたい。もうすぐ夏休みだし、しっかり休んで、夏休み明けにチャンプルジムに行くつもりだよ」
「たった2ヶ月でバッジ4つだもんな。ラブリースターさんはさすがちゃんだぜ......。疲れてるとこわりぃけど、その強さを見込んで頼みてえことがあるんだ」
「久しぶりにラブリースターって呼ばれた。それやめてよ。それで、どうしたの?」
「体育館に悪いゴーストポケモンが取り憑いてる話は知ってるだろ?昨日アオイが、夏だし肝試ししようって言い出して、申し訳ねぇけどレイラがいると面白くなくなりそうだからっつって誘わなくて。ごめんな。そんで、オレとアオイとネモで体育館に肝試しに行ったんだよ」
「あはは......。ゴーストタイプはみんな友達だからね!」
「おう。そんで、ガチで見つけちまったんだよ。やべぇゴーストポケモン......」
「え!どんな子だった?」
「ムウマっぽいやつだったと思ったんだけど、なんか様子が変でよ。アオイのマスカーニャが何もできずに一撃でやられちまったんだ」
「うそ!?アオイちゃんのマスカーニャが一撃で!?」
「これはオレらじゃ太刀打ちできねぇってことでとりあえず逃げて来たんだけど、そんときネモがテラスタルオーブ落としちまったみたいでよ。取りに行きてえんだけど、アオイは落ち込んじまってなんか元気ねえし、ネモもビビってて。レイラがいてくれた方が安心ってことなんだけど、一緒に来てくれねえか?」
「わかった。実は体育館はシュウメイくんとよく使ってるけどなんともなかったし、シュウメイくんも誘ってみるね」
「オマエら、あんな人通りのないところで一体なにしてんだよ......」
「そりゃあもう、人様に言えない秘密の......」
「は!?ちょっとは場所考えろよ!」
「ちょっと!すけべな妄想すんのやめてよ!同胞のヒロノブくんもいつも一緒に、忍ポケごっこのとっくんしてるの!言わせないでよ恥ずかしい」
「なっ......!ちげーし!ぶっころがすぞ!」
「はいはい。明るい時間の方がいいだろうし、すぐ行くよ。なんなら私ひとりでちゃちゃっと行ってこようか?」
「いや、オレも行く。そうか……。そうだな。シュウメイも来てくれるなら心強いか。あいつ、ポケモンより本体の方がつえーし」
「あはは!じゃあシュウメイくんも誘ってみるね。また連絡するよ」
「おう。頼むな」
ペパーはイジり甲斐あるなぁ。とか言いつつ、アオイちゃんの相棒のマスカーニャを一撃で倒すゴーストポケモン......。
マスカーニャは私のポケモンたちより素早いのに先に攻撃してきたってことは、ミミッキュのばけのかわで1回耐えて、返しのシャドークローからのかげうち......。それでいけるかなぁ。マジチビりそう。えーん。
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アオイちゃんとネモちゃんはやっぱり怖いみたいで、シュウメイくんとペパーと3人で行くことにした。
「シュウメイです。こんにちは。本日はお日柄も良く、このような大安吉日にレイラさんとお会いできること、大変喜ばしく......」
シュウメイくんが産まれたてのシキジカみたいにぷるぷる歩きながらキャラ崩壊して現れた。
「ちょ......。大丈夫!?」
「大丈夫です......。ゴーストタイプのポケモンはどくタイプを半減にしますので、お役に立てるかはわかりませんが......。頑張ります......」
全然大丈夫じゃなさそう。言葉遣いを気にした私が馬鹿だった。こんなシュウメイくんヤダ。
「無理しなくていいよ!私とペパーで行ってくるよ!」
「......否!ゴーストポケモンが怖くてチビりそうだからと言って、レイラ殿を我以外のボーイとふたりっきりで共に行かせるなど、言 語 道 断 !おとこ、しゅうめひぃぃ......」
そっか。何も考えてなかった。私もシュウメイくんが女の子とふたりっきりでお出かけするなんて、そんなの絶対ヤダ。
きっとゲンパチも、ソウブレイズがシャンデラに甘えに行くのが気に入らないんだ。気付いてあげられなかった。私の特性はどんかんだ。みんな本当にごめんなさい。
「シュウメイくん、ごめんね。ありがとう。大好きだよ」
「我もレイラ殿が大好きでござるよ」
「おい、オマエら。お取り込み中わりぃけどそろそろ行かねえか?」
「きゃー!ペパー!いつの間に!?」
「シュウメイの『否!』くらいからいたぞ。オマエらと一緒にいるとアツアツ過ぎて丸焦げちゃんになっちまう。早くいこうぜ」
ペパー、めちゃくちゃ怒ってる。ひーん。気まずい!