ジオン公国次元転移記(改定版)   作:masakoba(正博)

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第8話 宇宙戦艦ヤマト2199 (4)

 ギレンの執務室でユーリはある事の許可を貰いに来ていた。

 

 「ギレン兄、ちょっとアルカディア号で出かけるね」

 

 「何をしに行くつもりだ。いつものMSは出さないのか?」

 

 「今度は潜水艦狩り」

 

 「ああ。次元潜航艇UX-01ね」

 

 「そう、キシリア姉。退治じゃ無くて見たいんだよね。次元に潜れるのって凄いなって思って」

 

 「まあ、いいだろう」

 

 「じゃあ、行って来るね」

 

 

 ユーリは『異次元の狼』の異名を持つ、ガミラスのヴォルフ・フラーケンの戦いも見たかったのである。

 理由は渋くてカッコイイ、キャラだから。

 

 

 「艦長。今日はすべて任せるよ」

 

 「ユーリ様。指揮を取られないのですか?」

 

 「しないよ。艦長やりたいでしょう、次元潜航艇との戦い」

 

 「それはそうです。ハーロックは異次元潜航艇とも戦いますから。その為に次元爆雷を積んでいるんです」

 

 「油断しちゃダメだよ。相手は『異次元の狼』と銀河規模で呼ばれているんだからね」

 

 「分かりました。任せていただきます」

 

 

 

 そして数日後次元ソナーに反応が出た、UX―01だったらいいな。

 次元潜航艇UX―01では。

 

 「ヴォルフ艦長! おかしな艦がいますぜ」

 

 「ヤマトか?」

 

 「いや違いますね。でもどうやらこちらに、気づいている様なんで」

 

 「なんでそう言い切れる?」

 

 「こちらが動く方向に、艦首を向けて来るんでさぁ」

 

 「へぇー。そりゃ完全にこちらにケンカを吹っ掛けて来ているな」

 

 「どうしゃす?」

 

 「暇つぶしだ! 遊んでやれ」

 

 「1から4番装填! 艦長の許可が出た。ケンカだ」

 

 

 アルカディア号でも魚雷の装填音に気付いた。

 

 

 「ユーリ様。どうやら向こうも遊んでくれるみたいです」

 

 「良かったね。艦長任せたよ」

 

 「はい。次元爆雷設定深度50!」

 

 

 先にUX-01が仕掛けて来た。

 

 

 「あいさつ代わりだ、1番撃てぇ!」

 

 「アルカディア号、面舵20」

 

 「はあっ。ギリギリで躱しやがった、頭のネジ飛んでんじゃねえか」

 

 「ヴォルフ艦長も、人の事言えないじゃあ無いですか」

 

 「そりゃそうだ。2番3番撃てぇ!」

 

 

 「アルカディア号全速前進! 魚雷が浮上する前にすり抜ける。そのまま相手の頭を通過と同時に爆雷投下」

 

 

 「くそっ。魚雷が頭を出す前に抜けられた。来るぞ! 全員対ショック姿勢」

 

 

 どうやらアルカディア号の爆雷は躱されたみたい。 

 

 「ダメか。奴は何処だ!」

 

 「右舷より突っ込んできます」

 

 

 UX-01では。

 

 「面白れぇ。奴の側面から浮上して、魚雷全弾ぶち込む」

 

 「1から3番装填。一斉にぶち込む用意しろ!」

 

 

 「アルカディア号、艦底部三連装パルサーカノン右舷に砲撃準備。相手が顔を出した瞬間を撃つ」

 

 「面白れぇ、本当に面白れぇ。こっちが頭出したら、でかいのを撃つ気だぜ」

 

 

 そしてアルカディア号とUX-01が交差する瞬間!

 

 「「撃てぇ」」

 

 アルカディア号は艦底部三連装パルサーカノンと次元爆雷発射装置を潰された。

 次元潜航艇UX-01は艦首上部を吹き飛ばされた。

 

 「相打ちって言いたい所だが、次元潜航艇が潜れなきゃ負けだな」

 

 「艦底部三連装パルサーカノンと次元爆雷発射装置をやられたか。次元攻撃が出来ない俺の負けだな。ユーリ様、すみません。負けてしまいました」

 

 「兎に角相手が出て待っている。行っておいで『ハーロック』として」

 

 「はい」

 

 

 ヴォルフはUX-01をアルカディア号に並んで待っていた。

 

 「あんた名は?」

 

 「ハーロック。やはり強いな『ヴォルフ・フラーケン』いや『異次元の狼』」

 

 「へえー俺の事知ってんだ。俺も有名になったもんだ」

 

 「貴方と勝負が出来てうれしいが、やはり負けると悔しいな」

 

 「何言ってやがる。次元潜航艇が潜れなきゃ、いい的だぜ。俺の負けだ」

 

 「じゃあ相打ちで、引き分けだな」

 

 「てめえも頑固者だな。分かった、引き分けだ」

 

 「フフフフ」

 

 「クククク、じゃないつか又遊んでくれ『ハーロック』」

 

 「ああ。次は勝つ!『ヴォルフ』」

 

 

 2隻は分かれて行った、次の再戦を約束して。

 

 

 「ユーリ様。指揮を任されたのに、勝てませんでした」

 

 「何言っているの。『異次元の狼』相手に引き分けだよ。大金星だよ」

 

 「しかし引き分けでは」

 

 「最初に言ったよね。相手は銀河対銀河で戦っているって。地球圏でしか戦っていない人が勝てるの?」

 

 「そうですね。済みません、うぬぼれていました」

 

 「よろしい。それと今からは『キャプテン・ハーロック』俺が名付けたからね」

 

 「ありがとうございます。有難く、その名を名乗らせてもらいます」

 

 「じゃあ、帰ろう」

 

 

 アルカディア号はジオン公国機動船団に戻った。

 後日、その時の話を聞いたギレン兄から正式に名前をキシリア姉からは大海賊旗を貰った。

 以後ジオンマークの付いたどくろの旗をなびかせるアルカディア号がいた。

 

 

 

 

 ある日、ガミラスでは大事件が起こった。

 デスラー総統が亡くなったと言う噂が、ガミラス全土に響き渡った。

 バラン星で行われる観艦式に出向く途中、乗艦がトラブルを起こし爆発、宇宙に散ったと言う。

 ところがそれは事故では無く暗殺を計画したもので、ディッツとドメルが犯人だと言うのだ。

 ガミラスはナンバー2のヘルム・ゼーリックが以後実権を握った。

 

 

 

 

 そしてジオン公国機動船団のギレンの執務室では、重要な話し合いが行われていた。

 

 

 「さて問題のバラン星に近づいた。ここの亜空間ゲートを使わないと、ヤマトは時間的に間に合わなくなる」

 

 「ギレン兄、やるのガミラス大艦隊殲滅作戦」

 

 「やるしかあるまい我々もガミラス本星に行き『神の転移・転生者』を倒さねばならない」

 

 「兄上。今ならガミラスはデスラー総統暗殺で混乱している筈です。名将ドメルも投獄中です」

 

 「軍人と戦える者全員出て貰う。ジオン総力戦だ。ユーリ、予備の機体、艦艇にも光子力装備を施してあるな」

 

 「してあるよ。でも練度の低い者が耐えられるかな」

 

 「耐えてもらうしかあるまい。負ければジオンと『大魔王の転移・転生者』の終わりだ」

 

 

 こうしてバラン星のガミラス大艦隊殲滅作戦が準備された。

 戦える者すべてに召集がかけられ、ジオン公国機動船団に残ったのは市民だけとなった。

 船団には光子力バリアとミラージュコロイドが展開されて安全ではある。

 

 先鋒はドズル軍団となった。

 

 「今日の戦いは大物狙いと言っても大物しかおらん。蚊トンボは無視しろ。相手は銀河規模で戦う、我々の想像も出来ん戦いをしている連中だ。それがバジュラの如くいると言う。だが恐れるな撃たれれば死ぬ事は同じよ。それでは突入するぞ」

 

 バラン星に突入したドズル軍団も流石に驚きを隠せなかった。

 敵の艦がどれだけいるのか分からない、敵艦のサイズが大き過ぎて分からない。

 狙いをつける必要が無い、ドズルが吠えた。

 

 「撃って、撃って、撃ちまくれ。撃てば当たるぞ!」

 

 「今日は我らが、蚊トンボいや目にも入らぬかもしれん」

 

 「今日は隊長達に文句言う必要も無いな。本当にバジュラ並みにいやがる」

 

 「連邦軍って何だっけと今は言えるぜ。でもユーリ様の武器は通じている」

 

 

 ジオン軍が次々入って来るが最初は驚くが、先鋒の戦いを見てそれぞれに敵に向かって行った。

 ギレンは思った何て凄い世界だろう、地球1つを奪い合う何てちっぽけな戦い?いやもうあれは戦いではない、目の前に広がる大艦隊がぶつかるこれこそが俺のやりたい戦いだと。

 まだ見ぬ世界へ行き俺も大艦隊を率いて外宇宙の戦いに加わりたい。

 ガミラスがどの程度の勢力か分からないが、ガミラスも小さな勢力かも知れない。

 まだもっと先には遥かに大きな勢力があるかも知れない。

 試してみたい自分がどれくらい広大な宇宙で通じるかを。

 

 

 「ギレン兄、なんか嬉しそうだね」

 

 「ああ。嬉しい、連邦軍等どうでもいい。いつか俺の軍団で宇宙の覇権争いに加わりたくなった。ジオン帝国、まあ名前はどうでもいいな」

 

 「出来るよ。俺達不老だからね、殺されたら死ぬけど。作ろう、大軍団をMSももっと大きくして、こいつらをぶった切れる様にしよう。時間は掛かるかもしれないけれど、作ろうジオン帝国を」

 

 「2人だけで楽しそうな話をするな。兄貴。俺も加わるぞ」

 

 「白狼の名、宇宙に広める。うん、良いな」

 

 

 この時を境にジオンは人類として一歩進化したのかもしれない。

 戦いを夢見る善悪はともかくとして。

 

 

 ガミラスではまだこの時一部の馬鹿の諍い程度にしか思っていなかった。

 だが規模が少しだけ大きくなり目障りに感じたゼーリックが、ゲールに止めさせるように指示して初めて敵襲らしい事が分かった。

 

 

 「何とたわいもない、鎧袖一触とはこの事だ。沈め!」

 

 「こんな奴らに、ジェットストリームアタック等使うまでも無いわ」

 

 「全くだ。大物狙いだが、でかすぎて身動きが取れないでもがいているぜ」

 

 「さっきの総帥の話、面白そうだな。3人でやろうぜ」

 

 「今日は黒いおじさん達と獲物の取り合いをしなくていい。沈め、沈め!」

 

 

 ガミラスではいつまで経っても、騒ぎを鎮められない事に怒り心頭の男がいた。

 

 「ゲール! いつまであの程度の奴らを、遊ばせておく気かね?」

 

 「はっ。急がせておるのですが、相手がすばしっこい上武器が強力で」

 

 「言い訳は良い。私は結果を求めているのだよ。ゲール」

 

 

 

 ユーリはいつものストライク・フリーダムで、戦闘艦を纏めて何隻も沈めていたが何か物足りずにいた。

 その時ちらりとペンダントが目に映り、そしてこれだと気が付いた。

 

 「来い『ブラッディ』思いっきり、遊ぶぞ!」

 

 そして変化が起きた、ストライク・フリーダムが『ブラッディ』に変化したのだ。

 変化はそれだけで無く、機体全体が血の色に変わっていたのだ。

 それを見た兄妹達がギレンに呼びかけていた。

 

 「兄上! ユーリが直接『ブラッディ』に乗り込んでいます。兄上?」

 

 「兄貴、兄貴。おかしい返事が無い?」

 

 「ギレン、ギレン。どうした?」

 

 

 ギレンは見ていた、楽し気にしているユーリをとても羨まし気に。

 そして呟いた。

 

 「そうだな。ユーリ、俺も楽しんで良いんだな。暴れて良いんだよな」

 

 そしてギレンはおもむろに、ペンダントを握り締めると叫んだ。

 

 「来い!俺の『ブラッディⅡ』楽しむぞ。暴れるんだ」

 

 ギレンのナイチンゲールが変化して金色の『ブラッディ』に変わった。

 キシリア達は唖然となった。

 ギレンまでもが、凶鳥『ブラッディ』に乗っているのだから。

 

 

 「ギレン兄。おめでとう、遂に物にしたんだね」

 

 「機体は前から出来ていた、だが魂の同調が出来なかった。いや俺が恐れて拒絶していたんだ。だがこの戦場でお前を見て羨ましくなった。それで自然と呼んでいた俺の『ブラッディⅡ』をそれで魂の同調がとれたんだ」

 

 「『ブラッディ』お前の兄妹だよ。『ブラッディⅡ』よろしくね」

 

 「キシリア! 全軍の指示は任せたぞ」

 

 「えっ、はい。兄上は?」

 

 「暴れるのさ。俺の翼で」

 

 「行きますか。ギレン兄」

 

 「ああ。暴れよう、ユーリ」

 

 

 そして2機の凶鳥が戦場に躍り出た。

 1機は血の色で、猛々しくでも軽やかに。

 1機は金色で、勇壮だが荒々しく。

 戦場を自由気ままに荒らし始めた。

 

 『ブラッディ』は両翼から巨大なビームブレイドを発生させ、戦闘艦を切り裂き沈めて行った。

 『ブラッディⅡ』は翼をデルタ翌にすると、機体前部から円錐状のビームバリアを発生し戦闘艦を貫通して沈めて行った。

 

 ガミラス戦闘艦の攻撃を、『ブラッディ』は軽やかに躱し、『ブラッディⅡ』は躱す事無くそのまま突っ込んでいった。

 ガミラス大艦隊の1部はたった2機に恐怖し始め、『ファントム・バード』と呼び始めた。

 

 バラン星で大規模な観艦式を行ったのは失敗だった。

 2機の凶鳥が飛ぶには狭すぎるのだ。

 そんな状態でひしめき合う様に戦闘艦が居るのだ、切り刻まれ大穴を開けられ沈んでいく大量の戦闘艦、大混乱が起き始めた。

 

 

 「全軍突撃せよ! あの2人に全部持って行かれるぞ」

 

 ジオン軍は2機だけに持って行かれてたまるかと攻勢を強めた。

 

 

 バラン鎮守府にいるゼーリックは、自分が動かす筈だった大艦隊が次々沈んで行く事と別にあり得ない通信を見ていた。

 デスラーであるデスラー総統が生きていて映像越しに自分に語り掛けて来たのだ。

 

 「いや、済まないゼーリック君。艦が故障してね、観艦式に行けなくなってしまった。まあ、その様子だと式は終わってしまったようなので帰らせてもらうよ」

 

 そこには次元潜航艇に乗り込む、デスラー総統が映し出されていた。

 ゼーリックにはもう帰る場所が無かった。

 総統暗殺未遂で処刑か、大艦隊崩壊の罪で処刑か・・・・。

 

 「パン」

 

 ゼーリックは急に胸に痛みを感じた、見ると胸から血が流れ落ちていた。

 後ろを振り返るとゲールが銃を構えていた、銃口から煙が上がっている銃を。

 

 「は、反逆者め」

 

 ゼーリックは反射的に、ゲールに掴み掛ろうと動いた。

 

 「ヒィー」「パン・パン・パン・パン・カチッ・カチッ・カチッ」

 

 ゼーリックは倒れ伏して動かなくなった。

 ゲールは暫く放心状態だったが、突然気が狂ったかのように笑い出した。

 これで自分が銀河方面作戦司令だと笑っていたのだ。

 短い夢とも知らずに。

 

 

 

 バラン星でのジオン軍総力戦は、ガミラス大艦隊の消滅で終わった。

 たった2機の凶鳥が現れたその為に。

 その2機は途中で満足したのか後を任せて、ジオン公国機動船団に帰った。

 2機でガミラス大艦隊の7割を殲滅して、残りは全軍で早い者勝ちになった。

 施設は亜空間ゲートを使用するので、破壊せず全軍撤収した。

 

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