ジオン公国次元転移記(改定版) 作:masakoba(正博)
ユーリ専用格納庫では戦闘未参加の整備士達に混乱が起きていた。
「せ、整備士長! 来てください、大変なんですよ」
「ユーリ様が帰って来なさったんだろ。大方『ブラッディ』に乗って帰らたんだろう。エンジン音聞いてりゃ分かる。ご無事なんだろうな?」
「ピンピンしています。じゃあ無くて『ブラッディ』の整備をされているんですよ」
「ユーリ様じゃあ無くて。あああ! もういいから来てくださいよ」
整備士長は整備士に整備工場まで連れて行かれ、そこで驚愕の事実を見た。
「ね、大変でしょう」
「おい、俺の目がおかしくなけりゃ『ブラッディ』が2機見えるんだがな?」
「いえ。変じゃないですよ。ちゃんと2機ありますから」
整備士長はユーリに駆け寄り、訴えて来た。
「ユーリ様! 前におっしゃっていましたよね。2号機は作らないとあるじゃないですか。それもド派手に金色に染めて!」
「うん、俺作ってないよ」
「ユーリ様! 横にあるじゃないですか。嘘をついても俺の目でちゃんと見えていますから、ド派手な金色が」
「整備士長! 不敬罪、不敬罪」
「不敬はわかっている、てめらは黙っていろ。ユーリ様何です、今度は目立ちたいからド派手な金色を作られたんですか?」
「整備士長! やばいから」
「だからね。俺は作ってないよ」
「何で誤魔化すんですか! あるじゃないですかド派手な金色が」
「だ・か・ら・ね。『俺は』作って無いからね」
「そこまで言います。このド派手過ぎな金色は何ですか。証拠でしょ」
「すまんな。派手過ぎて」
「ギレン総帥。総帥が謝る必要はありません。嘘言う、ユーリ様が悪いんです」
「俺じゃないよ。作ったの」
「やはり私が謝ろう。すまん」
「総帥が庇いたいのは分かりますが、こう言うのはですね。ちゃんと」
ギレンがペンダントに手をかけ呼んだ。
「戻れ! 『ブラッディⅡ』」
『ブラッディⅡ』は輝く光となって、ギレンのペンダントに入って行った。
整備士長は、凍り付いて固まった。
「ね、分かった。『ブラッディⅡ』は、ギレン兄のだからね」
「・・・・う・そー!」
「これからは世話になるかもしれん。よろしく頼む」
「はい、おわり。 『ブラッディ』戻れ」
『ブラッディ』も輝く光になると、ユーリのペンダントに戻って行った。
「帰るぞ。ユーリ」
「整備士長、じゃあねー。ギレン兄待ってよ」
「だから、不敬罪って言ったでしょ」
「ははは。そろそろ辞めようかな。この仕事」
「あっ! 忘れる所だった。整備士長明日は休まないでね。ギレン兄が作ったスーパーパック12載せるから」
「すみません! 明日から有給休暇全部取ります!」
「えー。仕方ない。明日、ギレン兄と迎えに行くからね」
「鬼・悪魔・人でなし!」
「チッ、チッ、チッ。『大魔王の転移・転生者』だよ!」
翌日、約束通りスーパーパックのテストが行われ、色々波乱があったが無事終了。
帰宅時間になったので整備士達が疲れた顔で帰宅準備を始めた。
すると自分達のロッカーの前に紙袋が置いてあった。
開けてみると、新しい整備服3着とネームプレートとIDカードと腕章が入っていた。
全員が中身を見なければ思った。
普通なら新しい物を喜ぶが腕章等に書かれている文章が重要だった。
そこには『総帥直轄機体テスト場整備士』と書かれていた。
整備士長は疲れた顔で辞表を書いていた。
だが、自分の机の上の紙袋が気になり開けてみて、机に倒れ伏した。
『総帥直轄機体テスト場総責任者』と書かれてあった。
つまりギレン総帥の許可なくして辞められない立場になったのだ。
ユーリとギレンが自分を解放してくれる筈も無く、胃が痛みだした。
整備士長は薬屋に行くべく、早々に戸締りをして最後に門を閉めようとしたところで固まった。
『ユーリ専用格納庫』のプレートが外され『総帥直轄機体テスト場』と大きなプレートに変わっていたのだ。
整備士長は胃の痛みが酷くなってくるのを感じ、薬屋で大量の胃薬を購入した。
ヤマトはようやく、バラン星に辿り着いた。
そしてガミラス大艦隊が待ち構える中を突破して、亜空間ゲートを通り抜けねばならなかった。
ヤマトはガミラスの戦闘機を拿捕しており、これを使い偵察をする事が決まった。
「篠原、気を付けてな」
「心配しなさんな。バッチリ偵察してすぐ帰って来ますよ」
篠原の乗る戦闘機が、バラン星の中へと入って行った。
「こいつは、すげえ。おっと、カメラ、カメラ」
篠原は無事にヤマトに帰還し、撮影された映像には驚くべき映像が映し出されていた。
「これは凄い数の大艦隊・・・・・の残骸? 真田さん、どう思います」
「古代。もしかするとこのステーションは廃棄されたのかもしれん」
「真田君ではこのステーションはつかえないのかね?」
「そんな! それでは日程に重大な遅れが出てしまいます」
「・・・いやまだ廃棄されたとは限らん。森君、この部分を拡大してくれ」
「はい、拡大します」
「艦長、敵艦を見てください」
「これは・・・斬られた跡? こちらは大きな穴が開いている!」
「艦長。これは推論ですが、これはここで戦闘が行われた跡ではないかと」
「でもこんな大艦隊がやられるなんて・・・・! もしかして真田さん」
「古代。俺も同じ意見だ。ジオンを名乗るものかもしれん」
その時映像を映していたメインスクリーンの映像がブレ、別の映像が映し出された。
「フフフフフ。久しぶりだねヤマトの(ぼかっ)何度言えば分かる邪魔をするな大馬鹿者」
映像が一時停止したがすぐに戻り、そこには1人の男が映し出されていた。
「済まない愚弟の悪ふざけだ。ヤマトの諸君、我々がジオンだ!」
「我々と言う事は、貴方方は組織何ですか?」
「違う、国だよ。古代進君」
「国と言う事はガミラスと同じ様な外宇宙の人ですか? 私には同じ地球人に見えるのですが」
「流石は真田志郎君。私達は地球人だ。だがこの世界とは違う世界のね」
「平行世界!」
「真田君、平行世界とは?」
「沖田艦長。それは後で説明して貰って欲しい。我々も時間が限られている」
「すみません。それで用件がおありなのでは?」
「それはバラン星の亜空間ゲートが使えると言う事。ただし施設まで壊しては意味が無いので、ガミラス人が残っているので注意して欲しい。それと沖田艦長貴方の体だ。佐渡先生どの程度進行しているのかね」
「何の事ですかな」
「宇宙放射能汚染だよ。沖田艦長。このままではイスカンダル星に着くまでに貴方は若者を見捨てる事になる。そんな無責任が許されるのかね。自分で志願して艦長になったのだ、最後まで責任を果たすべきではないかね」
「・・・・・・・・・」
「真田君。我々にも完全治療は完成していないが、多少の延命治療ならある。前に渡した物の中に在るので、佐渡先生に渡して欲しい」
「分かりました。ありがとうございます」
「それでは健闘を祈る」
映像が切れた後、ヤマトでは佐渡先生を問い詰め、艦長の容態を聞き出し艦長を休ませる事になった。