私の親友達は仲が悪い   作:Katarina T

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私の親友達は仲が悪い

澄んだ青空から心地良い太陽の光が差し込んでくるアビドス生徒会室。そこで私は窓から見えるアビドス校内を眺めながら、これまでの事を思い出していた。

 

何処もかしこも砂まみれなおんぼろ校舎、すっかり生徒数も数えるほどしか居ないくらい少なくなってしまった………けど私にとって、ううん私達にとって大切な思い出が沢山詰まった私達の居場所。

 

そんなこの場所を私は何があっても絶対に守って見せる。

 

手に持っている手帳を見つめながら、私はアビドスの生徒会長″月宮ヨルハ″として改めてそう決意する。

 

そう、これは私の決意であり先輩と交わした約束だ。

 

あの優しい先輩から託された以上、私は諦めるわけにも逃げるわけにもいかない。必ずアビドスを復興させる。

 

それに私は一人じゃない。大切な友人たちに頼りになる後輩たちが私にはいる。みんなと一緒ならできないことなどあるはずない。

 

みんなとならいつの日かきっと………

 

私は窓の外から目を離しながら、気合いを入れる様に「よしっ!」と声を上げる。今日もきっと良い一日いなるはずだ。

 

 

 

「だから!あれは勝手突っ込んで行ったホシノが悪いんだろうが!何時も何時も考え無しに突撃しては弾ばら撒いて!どれだけ弾代が掛かっていると思ってるんだ!!」

 

 

 

「だからと言って、味方に向かって打ちますか普通!それに言わせておけば言いたい放題言って!大体弾代に関してはライフル弾の方が高いじゃないですか!必要のない場面でもやって来ては戦闘して弾消費して!どっちが考えなしですか!!」

 

 

 

((ぎゃー!ぎゃー!ぎゃー!))

 

 

 

……………きっと良い一日になるよね。

 

私は目の前でもう1時間くらい言い争っている二人の親友を眺めながら、何処か懇願するようにそう思っていた。

 

 

 

 

 

アビドス高等学校、キヴォトスで最も長い歴史を誇り以前はキヴォトス最大の学園として名をはせていた。しかし、数十年前のある時期から頻発し始めた大規模な砂嵐により、学区内の至る所は砂に埋もれてしまう。更に進む砂漠化対策に多額の資金を投入したが成果がなく、むしろそれにより借金が膨らんでいく結果となり、好転の見込みが無いと絶望した生徒が転校・退学していき衰退していった学校。

 

そんな学校に私は今から2年前、丁度高校生になった頃に入学した。

 

周りの人たちは止めておいた方がいい、別の学校に通うべきって言っていたし、私もそうだと思う。けど、私はどうしてもアビドスを離れたくなかった。例え砂に埋もれていても生まれ育った大切な場所だったから…………だから私はアビドス高等学校に入学した。

 

そうしてアビドスに入学した私に、一人の先輩と二人の同級生が出来た。

 

先輩の方は当時のアビドス生徒会長だった梔子ユメ先輩。ちょっとドジな所があるけど、とっても優しくて頼りになる素敵な先輩だ。私もすっごくお世話になったなぁ~。

 

同級生の一人は、小鳥遊ホシノちゃん。ピンク髪のショートカットの女の子だ。背が小さいから最初会った時同い年とは思わず、驚いちゃった。でも体に似合わずとっても強くて真面目さんだ。よくユメ先輩と一緒に怒られた………

 

もう一人はユメ先輩の妹の梔子ヒトミちゃん。ユメ先輩と同じく緑髪をしたポニーテールの女の子だ。ヒトミちゃんと会ったのは、入学して少し経ってからだったなぁ。いきなり生徒会室に来たときは驚いちゃったよ。だって開口一番が「お姉ちゃんは渡さないから!!」だったしこっちの事を睨み付けてくるしね。でも話してみると、ただお姉ちゃん、ユメ先輩の事を大切に思っているだけだってすぐに分かった。それにみんなの事をよく見てくれていることや美味しいお店沢山知っている事もね。初めて皆で行ったラーメン屋さん美味しかったなぁ。

 

 

 

そんな当時新入生の私達3人は、生徒会に入ったんだ。と言っても三人一緒にってわけじゃなくて、私が最初に入って、次にホシノちゃんその次にヒトミちゃんって流れだったけど、そんなの気にならないくらい嬉しかったよ。

 

それこそ二人が生徒会に入ってきた時は、二人と仲良くなるきっかけになると思って、当時の私は大はしゃぎ。ユメ先輩も部員が増えた事に感激して私と一緒にはしゃいでいたよ。

 

 

 

そうして私達4人のアビドス生徒会が動き出したんだけど…………うん。今思い返してみれば、大変なことだらけだったよ。

 

アビドス復興の署名活動をしても中々名前を書いてくれる人はいなし、それどころか変ないちゃもん付けられてアビドスを根城にしている不良生徒達には襲われちゃった。まあ、直ぐにホシノちゃんとヒトミちゃんがボコボコにしてたけど。

 

その他にも、ユメ先輩がいっぱいお金稼げるよ!て言ってきたから、それは凄いと思って意気揚々二人で向かったバイト先は、メチャクチャ真っ黒な会社だった。どうやらユメ先輩は騙されていたみたいで、もう少しで地下労働に身売りされるとこだったよ。まあ、ホシノちゃんとヒトミちゃんが助けてくれたけど。

 

その他には…………あっ、皆で宝探しにも行ったっけ。

 

あの時は珍しくホシノちゃんが乗り気で、可愛いかったなぁ。瞳もキラキラしてて、一番張り切ってたよ。本人は絶対認めたがらないけど、ぜぇったい一番楽しそうにしてた!だってあんな笑顔のホシノちゃん見たのあの時が初めてだったもん!

 

かく言う私もとっても楽しかった。お宝が出なかったことは残念だったけど、皆で取り組んだことはいい思い出だ。でも今思い返して見ても砂漠の真ん中でスク水姿で一生懸命穴を掘っている女子高校生って、絵面として大丈夫かな……何だか軽くホラーのような気もするけど。まあ誰にも見られていないからセーフだよね!

 

ああっ、あと皆でラーメン屋さんにも行ったよ。柴関ラーメンっていうんだけど、すっごくおいしいんだ。あの時は折角新入生が全員生徒会になったからお祝いや親睦会もかねて嫌がるホシノちゃんとヒトミちゃんをユメ先輩と引っ張って、無理矢理連れて行ったっけ。でも二人共とっても美味しそうに食べていたから問題ないよね。特にヒトミちゃんなんてよっぽど気に入ったのかあれから週4以上ペースで通ってるってユメ先輩から聞いたよ。大将もいい人?だしホントあのお店見つけられて良かった。

 

 

 

と、言った具合に大変なことだらけだけど、それでもとっても楽しい学生生活を送っていたんだ。

 

 

 

そして一年後、新しくノノミちゃんとシロコちゃんが入って来てくれた時は、私も先輩か~って思って、張り切りちゃったよ。まあ、張り切り過ぎてちょっと空回りしちゃってホシノちゃんとヒトミちゃんに呆れられたけど…そのくらい嬉しかったからしょうがないよね!ユメ先輩からもやる気あって偉い!って褒めてくれたし。……ああでも、その後のヒトミちゃんのぐりぐり攻撃とホシノちゃんのお説教が怖いからもう少し落ち着こう……

 

まあそんなことは置いといて、そこからは二人も加えた6人でアビドスの為に活動してったんだけど……予想以上に二人は個性的だった。

 

ノノミちゃんは真面目さんなんだけど、金銭感覚がおかしいよ。何でもそのキラキラしたカード使って解決しちゃだめだよ!今食べてるのは普通のラーメンだから!そんな大金払わなくてもいいんだってば!あとそんな大量のトレーニング器具買ってどうするの!生徒会室に持って来られてもおけないよぉ~。

 

いや~あの時は、流石ネフティスグループの娘さんだな~て思ったよ。本人はそのことを気にしてるみたいだから口にはしなかったけどね。

 

まあ、ノノミちゃんはまだいいんだけど、問題はシロコちゃんだ。

 

シロコちゃんは私とホシノちゃんの二人でアビドス学区内の治安維持活動をしていた時、いきなり襲い掛かってきた子なんだ。その時、私が抑え込んだけど、ボロボロの服を着てやせ細った姿に驚いて直ぐにアビドス校に連れ帰ったんだ。襲ってきた子だけど流石にほっとけなかったからね。あとあんまりにも格好が寒そうだからって、ホシノちゃんがマフラーを巻いて上げてたから、私は羽織っていたパーカーを着せてあげたんた。やっぱりホシノちゃんは優しいなぁ。

 

で、問題はその後……

 

シロコちゃんは名前以外何も覚えてないみたいだから、そのままアビドス校に入学させたんだけど、やたらと私やホシノちゃん、あとヒトミちゃんに勝負を挑んで来る。

 

いや、まだ勝負を挑んで来るならいい方で、前にトラップ仕掛けて問答無用で襲い掛かって来ることがあったよ。

 

あの時は運悪くユメ先輩がトラップに引っ掛かちゃって、ブチギレしたヒトミちゃんを止めるのが大変だったなぁ……

 

その他には、アビドスの借金を返そうとして他人のトラックを盗んでくると言ったハチャメチャ行動を起こした。その度に私とユメ先輩で頭を下げに行ったよ。

 

まあ、それから私達で何とかシロコちゃんにやっちゃダメなことなんかの常識を教えたから、今では、おとなしくなったよ…………多分ね。

 

 

 

そうして一年たって私も高校3年生、最高学年になっちゃった。

 

ユメ先輩は去年、卒業してアビドスから去っていった。

 

ホシノちゃんとヒトミちゃんも寂しそうにしてたし、ノノミちゃんとシロコちゃんも悲しそうにしてた。

 

そしてユメ先輩自身も……

 

私もとっても寂しくて悲しかったけど、……涙は我慢する事にしたんだ。

 

せっかくの卒業なんだもん、どおせなら笑顔で送り出してあげたかったから。

 

だから卒業式の日は、何時も以上に明るく振舞うようにした。ユメ先輩の新しい門出を笑顔で祝えるように、ユメ先輩が何の心配もなく私達にアビドスを託せるように。

 

 

 

結果は大成功!……って言いたいけど最後の最後で我慢できずに泣いちゃった。あとでヒトミちゃんから散々からかわれた……

 

だって本当に大好きな先輩だったんだもん、しょうがないよね。

 

結局ユメ先輩の卒業式は、私の泣き声とユメ先輩の泣き声で占められる結果になっちゃった。まあ、最後には涙ながらに笑ってくれていたから良しとしよう。

 

 

 

そんなこんなで卒業式が無事に終わった後、最後にパーティーをしましょうと言うノノミちゃんの意見に賛成して、皆が教室の一つを飾り付けている中、私はユメ先輩に呼び出されて生徒会室前にやって来ていた。

 

扉の窓越しから室内を覗くと、そこには呼び出したユメ先輩がいつも通りの、ううんいつもより少し寂しそうな笑顔を浮かべて生徒会長席を撫でながら立っていた。

 

何だかいつもと違う雰囲気のユメ先輩の姿に、私は緊張しながら部室の扉を開けて中に入る。

 

扉の開閉音で私が来たことが分かったのか、ユメ先輩は私の方に視線を向け、先程と同じような笑顔を浮かべて話しかけてきた。

 

私はその日の出来事を決して忘れることはないだろう。

 

「ヨルハちゃん。あのね…………」

 

 

 

 

 

…………あの時何があったのか、簡単に言うと私はアビドス生徒会長になった。

 

正直言ってビックリしたよ!だって、ホシノちゃんでもヒトミちゃんでもなく私がだよ!何かの間違いがそれともちょっと早いエイプリルフールの冗談かと思ったよ!

 

でも、ユメ先輩の想いがその表情から伝わって来て、本気で言っているってことが私にも分かった。

 

だから私もその想いにちゃんと応えようと思ったんだ。だって私はアビドスが…………皆と過ごして来たこのアビドスが本当に大好きだから。

 

ユメ先輩……ありがとうございます。私達に大切なことを教えてくれて、私達の事を大事に思ってくれて…………私にもっとアビドスを好きにさせてくれて。

 

そして、お疲れ様でした………これからは私が、アビドスを守って見せます。

 

 

 

 

 

ユメ先輩が卒業して寂しくなるかと思ったけど、なんと新しく新入生が入って来てくれたんだ!しかも二人も!

 

ツンデレ猫なセリカちゃんとしっかり者のアヤネちゃん。どっちも頼りになる可愛い後輩たちの登場に寂しがってる暇なんてないよね。

 

入学式はもちろん盛大にやったよ。ただちょっと張り切り過ぎちゃったかも知れないけど…………(流石にロケットランチャー式10連花火弾はちょっとまずかったか。)

 

とわいえ新たなメンバーも加えて、借金に悩まされながらも順風満帆な高校生活を送っているんだけど、実はたった一つずぅっと悩んでいることがあるんだぁ。

 

 

 

それは…………

 

 

 

「だから貴方がいつも出しゃばって来るから弾薬費がかさむんですよ!貴方のスナイパーライフルの弾一発いくらだと思ってるんですか!!」

 

「一発も外してないんだからいいだろうが!そっちこそ猪突猛進に突っ込んで行って弾ばらまいて!そんなんだから直ぐに弾がなくなるんだろうが!!」

 

「言ってくれますね!このシスコンミドリ!」

 

「やんのか!チビピンク!!」

 

 

 

もう!二人共落ち着いてよ!!

 

 

 

私の親友であり同級生のホシノちゃんとヒトミちゃんの仲が凄く悪いことだ。

 

どれくらい悪いかというと、某有名キャラの茶色のネズミと青のネコくらい何時もケンカばかりしている。正しく水と油、犬猿の仲という事だ。

 

初めて会った時からずっと言い争いを繰り広げていて、エスカレートしていくと銃を使った半分殺し合いみたいな状況になっちゃうの。

 

しかも二人共、戦闘が強いから中々決着がつかないし、後片付けが大変なんだよね……

 

前に二人を残してユメ先輩と買い出しに行ったとき、帰って来たら教室の一つが半壊してるし、グラウンドも目も当てられないくらいボコボコになっちゃてたからね。ホントあの時は大変だったな…………。

 

それ以降絶対にホシノちゃんとヒトミちゃんの二人だけにしないようにしてたよ。

 

 

 

でも何であんなに仲が悪いんだろう……二人共私や後輩達には普通なのになんでか、お互いの事になると途端に口が悪くなんだよね。

 

前に一度それと無く聞いて見たことがあるんだけど、二人して何となく気に食わないって言ってた。

 

うーん…………。私の見立てでは、二人は絶対仲良く出来ると思うんだけどなあ~。

 

だってあの二人戦闘の時とっても息が合ってるんだもん。あれは相当に相性が良いと二人とずっと一緒に戦ってきた私の第六感がささやいているよ!

 

よ~し!こうなったら何が何でもホシノちゃんとヒトミちゃんを仲良くさせてみせるぞ!それこそアビドス復興の大きな一歩になるに違いない!

 

私が一人教室でそう意気込んでいると、突然勢い良く扉が開いた。

 

驚いて扉の方を向くと、セリカちゃんがよほど急いでやって来たのか息を切らしながら扉に手をかけながら立っていた。

 

 

 

「はあっ……はあっ………ヨルハ先輩大変!またホシノ先輩とヒトミ先輩が暴れそうなの!!」

 

「ええっ!?また!さっき止めたばっかりなのに今度はどうしたの!?」

 

「互いのスタイルについての罵りあいよ!」

 

「想像以上にくだらない理由だった!?」

 

「いいから早く止めて!私達じゃあ抑えられな「わああ!ホシノ先輩落ち着て下さい!一先ず構えている銃を下して!ヒトミ先輩も身長のことでホシノ先輩をあおらないで下さい!ってちょっとホントに待って下さっ!きゃあああ!!」アヤネちゃん!!大変直ぐに止めないとっ!ヨルハ先輩も速くっ!急いで!!」

 

「セ、セリカちゃんそんなに引っ張らなくても……急ぎますからってちょっ、ふぇ~ん、どうしてこうなっちゃうの~!」

 

 

 

ユメ先輩…………どうやら前途多難みたいです。

 

 

 

 

 

あの後何とか二人を大人しくさせることは出来たんだけど、ホント危なかったよ。危うく教室の復元で今週が終わるところだった。

 

まあこんな事はいつのもことですっかり慣れちゃったけど、

 

落ち着いたホシノちゃんとヒトミちゃんはそっぽを向きながら互いに目を合わせないようにしてる。一方後輩たちは最早見慣れた光景なのか、特に気にする様子もなく会話に花を咲かせている。

 

かく言う私も何度も見た光景なので特に気にしてない、まあいつのもことだしね。

 

それより気になるのは、この場に居ない後輩の事だ。

 

今私たちがいるのは以前はアビドスのお祭りなんかの話し合いに使われていた小さな部屋だ。

 

小さいといっても教室と比べては、だからスペースは結構ある。

 

この部屋は私の憩いの場である。

 

私達は皆アビドス生徒会役員だけど、流石に生徒会室でダラダラしたりするのもなあ……ってことで、私たちは普段この部屋に全員集まって、お菓子を食べたり互いの近況を報告したり、最近の流行物について話したり、ついでにアビドスの借金問題をどうすのか話し合ったりしている。

 

そんないつもなら現アビドス生全員がいるはずの部屋に後輩の一人、シロコちゃんの姿が見えない。まだ登校時間前だけど、いつもならとっくに来ているはずなのに…………何かあったのかな?

 

私がそう不安に思っていると、部屋の扉が開いて人が入ってきた。

 

シロコちゃんやっと来たんだ~と思い自分の心配が杞憂であることに安堵しながら扉の方を向くと、そこには私の予想通りシロコちゃんが立っていた。

 

…………見知らぬ男性を背負った状態で。

 

え??ちょっと待って、どういうこと??

 

私が混乱の渦に巻き込まれていると、他の後輩達も入ってきたシロコと男性に気付いたのか騒ぎ始めた。

 

「シロコちゃん!こちらの方拉致してきちゃったんですか!!」

「ま、まさかシロコ先輩!ついに犯罪に手を染めてしまって!!」

「みんな落ち着いて!問題が発覚する前に何とかもみ消さないと!!」

 

…………うん。みんなの慌てようで少し落ちつたよ。ありがとう。でも私が言えた義理じゃないけど直ぐに犯罪と決めつけるのは、どうかと思うよ。

 

ホシノちゃんとヒトミちゃんは黙って成り行きを見守るみたいだから、取り敢えず私がノノミちゃんたちを落ち着かせて、シロコちゃんから事情を聞くとしようかな。

 

私がそんな事を考えながらシロコちゃんに話かけようとすると、またもや扉が開いて人が入ってきた。

 

え、また!何だか今日はやけに来客が多いなぁ。

 

少し驚きながらシロコちゃんから扉の方に視線を向けると、私は目を丸くして固まった。

 

「ヤッホー!!みんな!!元気してる!」

 

何故ならそこには卒業したはずのユメ先輩が()()()()を羽織って、手にやかんとコップが乗ったおぼんを持って立っているからだ。

 

「ユメ先ぱ「お姉ちゃん!!」ふわっ!!」

 

私の後ろからさっきまで座っていたはずのヒトミちゃんがユメ先輩に突撃するように抱き着いて来た。

いきなり抱き着かれたユメ先輩は手に持っていたおぼんを手放してしまったので、落ちる前に慌てて受け止める。どうやら、やかんにはお茶が入っていたみたいだ。落とさなくて良かったセーフセーフ。

 

「ヒトミ、いきなり抱き着いたら危ないのよ。」

「だって久々のお姉ちゃん成分の補給のチャンスなんだもん。これのチャンスを逃す訳にはいかない。」

「アホなこと言ってないで、いい加減ユメ先輩から離れろシスコン馬鹿。」

「何だと!猪チビがっ!」

「あはは、二人共相変わらず仲がいいね!」

「「仲良くない!!!!!」」

 

うん。あの二人はユメ先輩に任せて、私は改めてシロコちゃんから事情を聞くとしよう…………

 

私が三人から視線を外すと、シロコちゃんは先ほどのやり取りの間に背負っていた男性を椅子に座らせていた。男性は如何やら喉が渇いているみたいだから、私は持っているおぼんを机の上に置きお茶をコップに注いで男性に渡すと、男性はコップを受け取って直ぐに勢い良くお茶を飲みだした。よっぽど喉が渇いてたんだね。

 

「ぷはっーーー!いやー助かったよ!ありがとう!」

 

お茶を飲み干した男性は顔に笑顔を浮かべて私にお礼を言って来た。見た目は若くて人当たりのいい表情で何だか優しそうなひとだなぁ。

 

シロコちゃんからこの人がアビドス校に用があることを聞いた私は、未だ警戒している後輩達の下がらせて男性の事を教えてもらうために会話をする事にした。

本当ならユメ先輩の事も気になっているのだが、「「わーー!!ぎゃー!わーーー!ぎゃー!」」あっちは落ち着くまで、まだかかりそうだから一先ず置いておこう。

 

「私は連邦捜査部S.C.H.A.LEの先生だ。よろしくね!」

 

「そして私は、先生の補佐をする連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの秘書、梔子ユメだよ!」

 

「「「えええええええ!!!!!」」」

 

首にかけているから連邦捜査部所属の証である名札を掲げながらそう言う男性……先生とユメ先輩に私とアヤネちゃんセリカちゃんが揃って声を上げる。

ノノミちゃんは、わ~先生だったんですね。って吞気に言っているし、シロコちゃんはそうだったんだ。って対して驚いた様子もないみたいだし。ていうかシロコちゃん連れて来るとき聞かなかったの!?

 

驚いた私は困惑しながらも何とか冷静さを取り戻して先生の話を全部聞くと、如何やら先生はつい最近このキヴォトスに先生としてやって来たばかりであり、まだ右も左も分からないらしく、そんな先生の補佐役を卒業して連邦生徒会役員として働いていたユメ先輩が立候補したらしい。何でも困ってそうだったからほっとけなかったとか……。相変わらずみたいで安心した。

 

そしてアビドスには、依然から出していた支援要請を先生が受理してくれたからそれを伝える為とアビドス復興に力を貸す為にやって来てくれたらしい。それならもっと早くに連絡をくれればとも思ったが、どうやらサプライズでびっくりさせたかったらしい。ホントにこの先輩は。

 

…………ただ二人揃ってアビドスに行く途中で迷子になって遭難仕掛けて偶然通り掛かったシロコちゃんに助けられたって。ユメ先輩あなたアビドスの卒業生ですよね…………

これには私含めみんなも呆れ顔でユメ先輩の方を見ていた。

ユメ先輩は皆の視線に恥ずかしそうに顔に赤くしながら頬を抓っており、隣の先生はあはは……と笑っていた。

 

そんな二人を見て私はつい笑顔を浮かべてしまう。

だって大好きな先輩とそんな先輩が頼りなるって太鼓判を押す先生がアビドスに力を貸してくれるって言うんだもん!こんなに心強いことは他にないよ!!

 

うん!きっと今日は良い一日に……ううん。今日からは今まで以上に良い日々になるはずだよね!!

 

私は今感じている気持ちを親友達と共有しようと二人に目を向けると…………そこには私とは対照的に先生を睨み付けている親友達がいた。

 

あ、これダメなやつだ…………

 

ホシノちゃんは、明らかに大人何て信用出来ません!きっと何か裏があるに違いないっ!!て顔に書いてあるし!

ヒトミちゃんは、お姉ちゃんと一緒に仕事してるって!しかも同じ場所で!なにそれユルセン!!って雰囲気を出してるよ!

 

このままでは不味い!このままだと二人が銃を持ち出して、せっかく来てくれた先生を脅しかねないよ!

 

私は二年間のうちに培われた感に従い、二人の手を掴むと強引に二人を連れて部屋から撤退した。

 

ごめんなさいーー!少し失礼しますーー!!

 

ふえええん!この先一体どうすればいいの~~!!

 

私の学生生活はこれからも大変らしい。トホホ………。

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