「それじゃあ、いっくよーー!!」
そう言いながらヨルハは、真っ直ぐヘルメット団に向かって飛び出した。
銃火器と言う遠距離武器を持っている相手に対して、ただ真っ直ぐ突っ込んで行くだけの行動など良い的でしかなく、普通なら呆気無く銃弾を浴びてやられてしまうだろう。
「ギャハハッ!な~に馬鹿正直に来てんだ「よっと!」ぐへっ」
いつの間にか目の前に居たヨルハが、騒いでいるヘルメット団員に回し蹴りを喰らわして気絶させた。
「は?こ、こいついつの間にこっちに来やがっ「ふんっ!」ぐべっ」
「ちょ、ちょっとま、「ほいっ!」あぐっ」
なんとヨルハは、相手が銃を構えるよりも早く相手に肉薄し、ヘルメット団員を次々と気絶させていく。
しかも驚くべきことに気絶させるのに銃を使わず、全て正拳突きや回し蹴り、背負い投げと言った格闘技のみで行っていた。
ヘルメット団が隙をみて銃を撃っても、素早い身のこなしで躱されるか、いつの間にか手にしている警棒のようなものではじかれてしまい、全く反撃になっていなかった。
「コノヤローッ!!怯むな!やり返せ!!」
「だ、だめですリーダー!こっちの銃弾、全部躱されて当たりません!」
「わーー!銃弾はじかれたっ!どうなってんの!?」
「こ、こっち来た!!く、来るなーーー!!」
(ぎゃー!ぎゃー!ぎゃー!わーー!わーー!)
完全に翻弄されてしまいヘルメット団は、統率が取れなくなってしまいてんやわんや状態になってしまっていた。
そしてそれは………大きな隙になってしまう。
「おいっ!皆落ち着け!いくら速くたって相手は一人なんだ!!数で押し切っちまえば、
「「「「「ぎゃーーーーー!!!」」」」
こ、今度はなんだ!?」
リーダーと呼ばれた生徒が、ヨルハを何とかしようと団員に指示を飛ばそうとした直後、取り込もうとしていた団員数名が吹き飛ばされた。
「はぁ……所詮はヘルメット団と言ったところだね。目の前の獲物に集中するあまり、周りが疎かになるなんて。」
「お、お前は!?」
リーダーが団員が飛んできた方に視線を向けると、そこには展開した盾を片手にホシノが鋭い視線を向けながら、左手でショットガンを構えていた。
「ホシノちゃん、ナイスタイミングッ!」
「攪乱おつかれ、ヨルハ。ここからは私も前に出るから、危なくなったら任せて。」
「オッケー!頼りにしてるよ!…それじゃあ、ドンドン行くからねっ!」
そう言うとヨルハとホシノが、周りに集まっていたヘルメット団を次々と戦闘不能にしていく。
ヘルメット団も応戦しようとしているのだが、ヨルハが高速で動き回っているため狙いが定まらず、その上近接で戦っているので、誤射すれば味方に弾が当たるリスクもある為、下手に打つわけにもいかなくなってしまい、どうしようか迷っているところをホシノのショットガンでまとめて掃討されてしまっている。
それならホシノの方を狙えば良いと思えば、こっちはこっちで全て盾で防がれてしまうので、効果がない。それどころか、ホシノを狙った隙をヨルハが逃すことなくついて気絶させられてしまうだけであった。
「クッソ~~っ、それなら近づかないだけだ!!おいっ手榴弾をありったけ持って来い!!あの二人まとめて吹き飛ばしやる!!」
「は、はい!今すぐに!」
そうリーダーが指示すると、後方で数名のヘルメット団が手榴弾を手に何時でもヨルハとホシノに向かって投げこめるように準備した。
「よっしゃー!一斉に投げろ!!」
(((((((ヒュー―――ン!))))))
そのリーダーの号令と同時に十個近くの手榴弾が投げ込まれ、
(((((((ドカーーーーーーン!!)))))))
全て
「………へぇ?」
何故か二人に当たるどころか、地面に到着する前に爆発した手榴弾にリーダーは目を丸くしながら惚けてしまう。
そんなリーダーの耳にまた違う生徒の声が聞こえて来た。
「焦る気持ちもわかるけどさ~……もうちょっと、考えて投げなよ。」
それは、ヨルハとホシノの後方でスナイパーライフルを構えたヒトミであった。
「まあでも、一度に投げてきてくれた方が無駄な弾使わずに済むから、こっちとしては助かるんだけど。」
「お、お前!今何しやがった!!」
「あれ?分からない?撃ち落としたんだけど?」
「噓つけ!あれだけの手榴弾を一度に撃ち落とせるわけないだろう!!大体爆発したのは全部同時だったんだぞ!!」
「うん。だから他が誘爆するように一つを打ち抜いたんだけど。」
「はいっ!?」
「そりゃあ、色んな方向から飛んでくるんならまだしも、一方からしかも一塊で飛んでくるだけなら、このくらい楽勝だよ~」
「ふ、ふざけんな!そんな事あるはずが「ところでさ………」ッ!?」
リーダーの言葉を遮るようにヒトミの言葉が被せられる。
先程まで戦闘によって襲って来た時の威勢がしぼみ、動揺しまくっているリーダーを無視してヒトミは話し続ける。
「そろそろ……チェックメイトだよ。」
(パシュー―ン……パシュー―ン……パシュー―ン)
「「「ガハっ」」」(((ドサッ)))
ヒトミが数度引き金を弾くだけで、後ろで控えていたヘルメット団員は、全員地面に沈んでいく。
いや、後ろだけでない。
「よしっ!これで全員かな!」
「全く、相変わらず数だけは多い。」
いつの間にか前方で戦っていたはずの団員は全員やられてしまい、残るはリーダーただ一人だけであった。
「あ、ああ………う、ああ………。」(カラン…。)
リーダーは完全に戦意喪失してしまい、握っていた銃が手から落ちて地面に転がった。
転がった銃を拾うことすらせずに若干体を震わせているリーダーの下にヨルハがゆっくりと歩いて来た。
「………ねぇ?」
「ひぃ!?」
「貴方よく見たら、いつも襲ってくる子じゃないよね。喋り方や雰囲気が何だかいつもと違うし。」
「あ、あわわ………あわわわ」
「??えっとまあ、それはいいんだけど、今後はこんな事はしないようにね!いろんな人の迷惑になっちゃうから。分かった?」
「は、はい!!!も、もう二度とこんなことはしません!!」(ブンブンブンブン)
「よろしい!それじゃ今回の事はもういいとして…ねえ君たち、良ければうちの学校に、」
「うわ――――――ん!!!!もう嫌だーーーーーー!!!!!」
「「「「「リーダーっ待ってよ~~~~~~!!!」」」」」
「あ、ちょっと………」
そう言いながら、リーダーは号泣しながらアビドス校を去って行き、他のヘルメット団もリーダーを追うように脱兎のごとくアビドス校から逃げて行った。
一人残ったヨルハはというと………
「………。ふ、ふえええん!せっかくの生徒数増加のチャンスが~~~~!そんなに怖がらなくてもいいじゃんか~~~~!これじゃあこっちが悪者みたいになってるよ~~!!ふえええん!!」
勧誘がうまくいかなかった事と予想以上に怖がれた事にショックを受けていた。