「よしっ!これで全部だね!」
そう言いながら、手にしていたスタンバトンを腰に収める。周りにいるみんなも構えていた銃を下ろしながら戦闘が終わった達成感から息を吐いていた。
うんうん!みんな、大した怪我も負ってないみたいだねっお疲れ様だよ!
私たちが今いる場所は、アビドスにたくさんある廃墟の一つ、私たちを襲ってきたカタカタヘルメット団の前哨基地だ。
なぜこんなところにいるのかというと、先生との自己紹介が済んだ後、今後のアビドスでの活動のことも考えて、いい加減ヘルメット団との消耗戦を終わらせようって話になったんだ。
まあ、あの子たち、諦めが悪いというか……しつこいというか……とにかくしょっちゅう襲ってくるもんなぁ………。
そんな訳で、せっかく先生のおかげで漸く弾なんかの物資が潤ったし、ついでにたった今撃退したばかりで、今が一番ヘルメット団が消耗しているはずだから、叩くなら今ってホシノちゃんの言葉に皆もやる気になって早速出発したって訳!
で、結果は、ご覧の通り大成功!
ヘルメット団側もまさか自分達が襲われるなんて、夢にも思ってなかったみたいで、噓みたいにあっさり補給所とアジトと弾薬庫を破壊する事が出来た。
これで、しばらくは大人しくなるよね!
はぁ、それにしても………やっぱりここでも生徒数増加は叶わなかったよ………前より頑張って誘って見ようとしたんだけどな………話も聞かずに逃げるんだもんな………。
そう思い肩を落としていると、誰かが近づいてくる気配を感じた。
“ヨルハ、お疲れ様。少し様子がおかしいけど、何処か怪我したのかい?”
気配の方に振り向くと先生が声が聞こえて来た。
「ああ、先生!いえいえ怪我はしてないんで、お気になさらず……。ただちょーっと今後の方針というか……課題というか……そういうのを考えてただけなので。」
“そっか怪我してないなら良かった。それにしてもヘルメット団との戦闘が終わったばかりなのに、もうこれからのアビドスの事を考えているなんて、流石生徒会長だね。”
「あ、あはは!それほどでもないですよ!あははは!」
………すいません先生。そんなに深い事は考えないです………。
私は怖がれて、勧誘に失敗した事にショックを受けてました。なんて流石に言えず、とっさに誤魔化してしまったことに冷や汗を流し、同時にそれがばれなかった事に安堵した。
「それにしても、先生の指揮って凄いんですね!今までよりも全然戦いやすかったですよ!」
そう、今回の襲撃には先生が私達の戦術指揮をとってくれるって言ってくれたのだ。
正直聞いた時は、今日初めて会ったばかりなのに大丈夫かなって、思ってたんだけど……
戦闘が始まって直ぐにその考えは頭の中から消し飛んでした。
何故なら……すっごく戦いやすいからだ!!
冗談とか誇張とかでなく、本当にいつも、というかさっきの校門前の戦闘時より明らかに戦場で動きやすかった。
それは、きっと他の皆も感じているだろう。いつもより敵を撃退する速度が速い。
はっきり言って、ヘルメット団をここまであっさり片付けられたのは、先生の存在が大きかったと思うよ。
“ううん。私なんて大した事してないよ。アビドスのみんなが頑張ってくれたおかげさ。”
「いえいえっそんな事ありませんよ!実際私の戦い方なんて、このキヴォトスでも珍しいていうか、ハッキリ言って変わってるのに完璧に指示をくれるなんて普通出来ませんよ!ねえっシロコちゃん!」
「ん。確かに、先生の指揮に従って動くと、いつもより戦いやすかった。」
「だよね!やっぱりそう思うよね!」
“君たちの力に成れたなら、凄く嬉しいよ。”
うん、うん。どうやら私たちが助かっている事、しっかり伝わったみたいだね!良かった、やっぱり感謝してる気持ちとかってちゃんと相手に伝えた方が自分も相手も気分がいいよね!
いや~それにしても何事も無く済んで良かった(グイッグイッ)………ん?シロコちゃん?
私の隣にいるシロコちゃんが不意に裾を引っ張って来たので、何かあったのかな?と思いシロコちゃんの方を向く。
「どうかしたのシロコちゃん?」
「ん。ヨルハ先輩、物思いにふけるのはいいんだけど、今はそれよりも、あっちをなんとかして欲しい。」
「??あっち?」
シロコちゃんがそう言いながら、指さした方を見ると、
「だから!!明らかに私の方が多く敵を倒してましたよ!!スナイパーの癖に一体何見てたんですか!」
「いいや!絶対私の方が多かったね!!そっちこそ突撃ばっかりで、周りが全然見えてないんじゃないの!!」
「はあっ!!私が煩悩まみれのシスコンである貴方に負けるはずないじゃないですか!!どうせ戦闘中も頭の中は姉に対する邪な妄想ばっかりだったんじゃないんですか!!」
「それはこっちのセリフだ!この脳内ピンク猪が!!そっちこそこの戦闘が終わったらお姉ちゃんのおっぱいに埋もれて甘やかして貰おう!とでも考えていたんじゃないの!」
「そ、そんな訳な、ないじゃないですか!変な言い掛かりは止めて下さい!大体証拠はあるんですか!証拠は!!」
「その赤くなった顔によ~~~~く書いてあるわ!!このツンツンチビがっ!!お姉ちゃんに褒められるのは、妹であるあたしだけで十分であり、あたしだけの特権だ!!」
「そんな訳ないじゃないですか!横暴ですよ!横暴!大体ユメ先輩が誰を褒めるかなんて貴方に決める権利なんてないじゃないですか!ですから、私の事を褒めてくれてもなんの問題もないんです!」
「結局褒めてほしいんかい!!」
ああ!またあの二人喧嘩してる!!
ええ!なんで!?今ヘルメット団と戦ったばっかだよ!それなのになんであんなに騒いでいるの!?
あっ!?もしかして………いつもより楽に終わったから、二人とも元気が有り余ってるってこと!!
「上等だよ………それならここで、あんた倒して私の方が役に立つってこと証明してあげるよ………」
「望むところですよ。後で後悔しないで下さいね………」
って、そんな事考えてる場合じゃない!
「せ、先生すいません!私ちょっと用事が出来たのでっこれで失礼します!!」
私は先生にそう言うと、危ない空気が立ち込めているあの空間に全力で駆け出した。
「二人ともストォォォォーーーップ!!」
「ちょうどいいところに来たねっヨルちゃん!今からこのクソチビを砂漠に鎮めるから、前衛お願い!」
「いいところに来ましたねヨルハ!今このバカシスコンを砂漠の塵にするので、隙を作って下さい!」
「いやっどっちもやらないからね!!」
そんな三人の様子を離れたところでユメ、ノノミ、セリカが眺めていた。
「ふふっ相変わらず三人とも仲良しさんだね!」
「そうですね☆ちょっぴり羨ましいくらいです♪セリカちゃんもそう思いません……?セリカちゃん?」
「………何でもない。私、先に帰るね。」
そう言って、セリカは一人先にアビドスへ帰って行った。
「……ん?セリカ?」
「あれ、急にどうしたの?ヒトミちゃん?」
「何かありましたか?」
「………。いや、今はいい。気にしないで。」
そう言いながら、帰っていくセリカの背中をヒトミは眺めていた。