TSして第四聖女になった私は魔人にNTRされるってマジィ!?   作:ピエロギ

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圧倒的修練!!

「それでは、今日からカルム聖紋学園に入るまで私が稽古を付けます」

 

 いつもの給仕服とは違い、動きやすいネイビーブルーのジャケットとズボン、軍服に近い格好のネリーが、私に向かってしゃべりかける。

 

「大丈夫です。私は従軍経験があります。部下を育てたことだって経験済みです。といっても、あなたにそこまで厳しいことはしません。昔の教育法の十分の一の強度にしますので」と目の前の優しき乳母は笑っていたが、目は笑っていなかった。

 

「よ…よろしくお願いします」

 

 この時の私は聖印者となったことの事の重大さにやっと気づいてきたのだと思います。

 

「それでは、まず体力づくりから。何事にも基礎体力は必要です。貴方が、魔法か剣術かどちらに伸びしろがあるかは、まだわかりません。しかし、体が作りがしっかりしていなければ、才を発揮することはできないでしょう」

 

 それで、始まった肉体大改造。こっちの体はまだひ弱な少女。本当に辛かった。特に、準備運動と称しての過酷な筋肉負荷を加えた後に、屋敷の外周を10周するのがやばくて、最初の方はよくゲロっていた。

 

 まさか、ネリーがこんなサディスティックだとは思わなんだ。頭の中で霧のように霧散している記憶の中のネリーは慈愛の塊のようなお人だったのに。

 

 でも、この時の訓練のおかげで、学園ではトップクラスで体力と忍耐力はついたと思う。

 

 次に座学。今までの魔人の特徴や、彼らが使役する魔獣、魔物、魔法生物たちについて学んでいった。

 

 正直、これは楽しかった。ファンタジーな世界ならではの生き物たちがどんな風な形で、どんな生態をしているのか。魔人たちの魔法も、それは強力なものも多く、過去の英傑たちがそれらを突破した手法には感嘆した。

 

 自分も強力な魔法を使えたらな~と正直嫉妬した。なぜなら、私には魔法の才はなかったらしいから。

 

「ここにある魔導書に、それぞれに初級相当の発動式が掛かれてあります。本来は、もっと年齢が上である必要がありますが、貴方は特別ですからね」

 

 ボンボンと分厚い私の前に積み重なる。この時代じゃ、この本たちは貴重品だろう。

 

「ここにあることを理解すれば、魔法を扱えるようになるってことですか?」と目を輝かせていただろう私。

 

「全く才がないということがなければ、扱えるようになるでしょうね。後、これを」

 

 ネリーが分厚い魔導書の他に手帳のようなものを渡してきた。

 

「これは、私の旧友の治癒魔法の手引書の写しです。実際に活躍した治癒師が考えに考え、回復魔法への習得を助けるものになっています」と間を空け、

 

「これからの訓練で体に傷を負ってしまうことや、実際の戦場で生傷に絶えないことが容易に想像できます。これは、貴方の命と体を守るために一役買ってれることでしょう」

 

 この時貰った手引書は、めちゃくちゃに役立った。元々、私は回復魔法の才があったからかもしれないけれど、それぞれの傷や症状に対しての正しい回復のさせ方や、驚いたことに、この時代に微生物という存在をほのめかしている記述もあった。

 

 読んで分かったけれど、この手記の著者はとんでもない天才だ。彼?彼女?性別は分からなったけど、きっとうまく回復魔法を扱える人を増やそうとしていたのだろう。裂傷や骨折なんかの怪我を治せる回復術師は少ない。もし、これを読んで、優秀な人材が増えれば、助けられる人も多くなるだろうから。

 

 「それでは、ここから5時間、それぞれの属性の発動式を試してみましょうか」

 

 「ハイッ!」ついに魔法使いになれるということで意気込んで、取り組む。

 

 

 

 私は火の魔導書に手をかけ、読み始めた。

 

(何なに?本書では、火、風、土、水、光の属性の内、初学者向けの火の魔法の扱いを紹介するとな?)

 

 超ざっくり内容がどんなもんかだったというと、火の魔法は、その激しく燃える様を、人の感情の魔力と同調させることで再現するものらしい。

 

 発動式というものは、要は体の魔力放出のスイッチのオンオフをコントロールするもので、上級なものほど複雑になり、詠唱が必要。

 

 とりあえず、一番最初にあった発動式と詠唱を唱えてみる。

 

「Elen síla, náro quetëa!(火花よ、現れろ!)」

 

 が、何も起こらなった!

 

 

 

 

…ちょっと、恥ずかしいんですけど!何が、火花よ、現れろ!!や。何も起こらなかったら、だだしたり顔で、それっぽいこと言ってる痛い中二病患者じゃない。

 

 少し顔が赤くなっている私を見て、ネリーがアドバイスをする。

 

「最初から、できる人は…いたりしますけれど、ほとんどの人は少しずつ習得していきます。それに、自分が得意な属性を見つけることで魔法について理解が深まり、他の属性の習得に繋がると、私の友がよく言っていました」

 

 そう言って、今度は水の魔法の魔導書にネリーは手を伸ばし

 

「貴方の得意分野を先に見つけてみましょうか」と今日は、ものは試しに、色々な属性の魔法を使ってみることにした。

 

「はぁーーぁ。私、魔法の才、ないかも」

 

 寝室のベッドに飛び込み、うずくまりながら、独り言を放つ。

 

「最初から使えたの、治癒魔法だけか~。いや何もないよりはマシだけど…」

 

 枕に頭を押し付けてる。髪が乱れる。

 

「まぁ、これでキツイ訓練の筋肉痛を誤魔化せるから一番嬉しいか?」

 

 どの属性も使えなったことから、最後に自身の筋肉痛を和らげるために回復魔法を使ってみたら、淡い緑色の光が出た。すると、体の痛みが若干取れたのだから不思議なものだ。

 

「明日から、扱える治癒魔法に重点を置いて、魔力の流れを理解するらしいけど、やっぱり、ファイアボールとか使ってみてぇ~」

 

 頭の中に、超エキサイティングな詠唱を唱えて、大爆発を引き起こす自分の姿を想像する。

 

「まだ、希望はあるか。よし!明日も頑張ろう」

 

 体の疲れは、治癒魔法でも治せないのかすぐに瞼が重くなり、睡魔が全身をまどろみへと誘う。

 

 グッドモーニング~!今日も日の出と共に起きて、ランニング中です!いや~朝日が眩しい。食べた朝食をリバースこともなくなった今日この頃、肉体改造は大成功といった所じゃないか。

 

 ネリー、いやネリー教官は私が回復魔法を扱えるため、より一層強度の上げた訓練を私に施した。午前中は体づくり、午後は魔法訓練といった具合だ。

 

 この訓練を耐えられたのは、ネリーは厳しいけどその中に優しさを感じられたからだ。後日、マイファーザーから聞いた話なのだが、私の両親は、私が学園に行くまでは自由に甘やかそうとしたそうだ。

 

 だけど、ネリーが直談判し、早くでも訓練した方が私の為になると進言したらしい。これは、学園といっても戦に行く教育をする場所であり、生半可な体と心では、耐えられず、その後に、戦場に出たら簡単に死んでしまうと、従軍経験があるネリーの発言をくみ取ったということだった。

 

 愛ゆえの鞭。訓練中も私が大きなけがをしないよう細心の注意を払っていた。特に魔法が誤爆した時は、身を挺して私を守ってくれた。

 

 あぁーーね。魔法。魔法ね。初級魔法は、もう何か月も練習して、何とかできてきたんだけどね。それ以降、全く成長が見られない。トホホ、私はダンブル〇ア先生にはなれんのか…。

 

 一応、体内の魔力の流れと魔力量は、日々成長している。私自身、魔力量はかなり成長して、初級魔法や治癒魔法を何度も使っても倒れることはなくなった。体に魔力を流すことで、体の動かし方、出力も人のスペック以上に。

 

 これで、最強になれるかもって思ったけど、多分、幼少の頃から魔法を使うと魔力の練り方?を脳が勝手に理解して、魔力量を多くできるから、誰でも魔力量は多くできるものなのかもしれない。つまり、私だけの特権っていう話じゃない。

 

 指先からそれぞれ、スパークの魔法を唱え、小さな火柱を保ちながら、そんなことを考える余裕もできてきた。これ、魔法使いっていうより、手品師なんじゃないかな?と思わずにはいられない。

 

「素晴らしいです!お嬢様。そこまで、精密に魔法を扱えるのは、王宮直属の魔法部隊でも数少ないでしょう」

 

(そりゃそうだ。こんな演芸用の魔法を極めた魔法部隊がいてたまるかッ!)と心の中で考えてしまう私はひねくれものだろうか。

 

「…もっとこう、実践的というか、力を示せる魔法を扱えるようになりたいわね」

 

「この歳で、全属性魔法を扱えるだけで、素晴らしい才をお持ちです。それに、魔力量は私に及ぶほどです」

 

 目の前のメイド長兼教官からはお褒めの言葉を頂いている。

 

「最後に、剣術を復習して終わりにしましょう」

 

「分かったわ」

 

 そう言って、レイピアを取り出す。私の愛剣だ。

 

 相手も、シミターって言う湾曲した形の木剣を取り出した。

 

「それでは、お嬢様。参ります」

 

 勢いよく、私の師が接近する。

 

 ネリーのシミターが私に降りかかる寸前に、レイピアを交差させ、受け流す。

 

 反発する力で体をねじり、魔力で強化した体で相手の側面にサイドステップで素早く移り、反撃、コントラタックをお見舞いする。

 

 しかし、ネリーは、曲芸のような身のこなしで、私の斬撃をいとも簡単にいなし、後退を許してしまった。欲深く追撃をしようものなら、私の細い剣では受けきれない多段攻撃をしてくるだろう。

 

 そこで、距離を詰めるが、シミターの射程のギリギリ外、レイピアでも届くか届かないの距離を保ち、弱点を突くスラストの構えでプレッシャーをかける。

 

 ネリーは少しだけ笑って、足を止めた。そして、剣ではなく、全身を伸ばした蹴りによって射程を伸ばし、こちらへ攻撃を加えてきた。

 

(ヤバい、回避!)脳が理解する前に体が動き、エバージョン(回避)をすることができた。しかし、無理な体勢移動で体のバランスが揺らぎ、床に転がる。

 

 グルグル世界が周る。勢いを殺して、相手を見定めたところ、その姿が見えない。

 

 頭上から直感的な危険信号が電流のように流れた。プリム(受け流し)の体勢を取ったときには、目の端にシミターが見えた。

 

 強い衝撃と、ギリギリ、刃先が私の体に触れない程度にシミターを受け流せた。後は、反撃をするだけだったが、肩に力が入らない。あれ?脱臼してるかも…。

 

 そう脱力していると、私の訓練を施している給士者は、シミターを放し、手を広げた。

 

 素手での殴り合い!?とも思ったが、結果は違った。その手は、私を抱擁してくれた。

 

 「よく、ここまで耐えました。私は貴方を誇りに思います。本来は、わがままでありのままに生きていくべきご年齢なのに、義務に縛られ、我慢に我慢を重ねさせました。私は貴方に嫌われたでしょう。そう思われても仕方ありません。でも、貴方は、私の後を付いてきてくださった。感謝いたします」

 

 「うぐぅ、ネリーが私の為にやってきたことだと分かってます。ここまで、強くなれたことに感謝をするべきは私の方です」

 

 私の顔は半泣きであった。

 

 「私からはもう教えられることはありません。学園入学まで、自己鍛錬を行なってください」

 

 「はい。今までお世話になりました」

 

 そうして、約二年間、私の最初の師との稽古は終わりを迎えた。

 

 「…肩の方入れてもらってもいいですか?ちょっと回復できないので」

 

 ネリーに頼むと慣れた手つきで外れた関節をボキィという音をさせながら入れてくれた。

 

 その時に出た情けない声は、特に明記しないことにしよう。

 

 「ウォギャーーーー!」

 

 

「お前の得物はレイピアだったのか。珍しいな。重量のある剣の方がそっちでは好まれているのだろう?」

 

「レイピア使っている人、私の他に一人しかいませんでしたね。身体を強化すれば、大剣も振るえなくはないのですけど、相性がよかったので愛用してます」

 

 レイピアは一対一に適してる。ここぞの時には、頼れる相棒だ。それに、サポート要員で、敵を大多数引き受けることになった時点で私の負けは決まっている。

 

「次は、その学園についての話なんですけど。機密保持のため、どんなことをしてるとか、場所とかのことは話せません」

 

「いい。好きにしろ」

 

「それでは、好きなように話させていただきます。そうですね、あれは、入学したての時でしたね。今でも鮮明に覚えていることです。今では、三傑と呼ばれるお方たちとの最初の出会いでした」

 

 私は語る。聖紋学園での、出会いと挫折、成長の話を。

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