TSして第四聖女になった私は魔人にNTRされるってマジィ!?   作:ピエロギ

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TOEIC試験...疲れた...


私、YOOEEEEEEEE!!

「レイナさ~ん、朝ですよ~」

 

 ネリーとの訓練で自然と早起きが習慣化した私は、隣のベッドで寝ている黒髪少女の目覚まし時計となっていた。

 

 早朝、太陽の柔らかな光が採光窓から入り室内をぼんやりと照らし始めている時間帯。

 

 昨晩は、レイナはかなり疲れた様子であったため無理やり起こすのは忍びない。

 

 だが、もうそろそろ起こさなければ。

 

 あんなにドギマギしていたのにベッドに入ったら私はあっさりとお眠り。そのおかげで目はきっちり冴えている。というか、散々頭の中ではあんな事やこんな事を考えているけど、実際私は…

 

「…ぁ…おはよう。セリーナちゃん」

 

「…おはよう。もうすぐ朝食らしいわ。水は汲んできてあるから顔を洗っていらっしゃい」

 

「…うん、ありがとう」

 

 そうして、顔を洗って戻ってきた少女の跳ねた黒髪を実家から持ってきた櫛で梳かしている…いやこれ完全にお母さんじゃん…!?

 

 黒髪の跳ねた寝癖を直し終わると、丁度鐘とラッパの音が響き渡る。

 

「朝食の知らせね。それでは、行きますか」

 

 

 

 

 食堂は、石造りの建物内にあり、質素ながらも広い。木製の長テーブルと長椅子が並べられ、天井は高く、梁は剥き出し。

 

 列を作っている先に厨房から運ばれてきたのであろう、大きな鍋が並んでいる。

 

(結構広いな~。奥の少し高級なテーブルは教官たちのだろうか?)

 

 列に並びながら考え事。早くに並んだからかすぐに私たちの番になる。

 

 献立は、粗挽きのライ麦パン、根菜と豆を煮込んだスープ、あと焼いたリンゴみたいなもの。

 

 一人前分を取って、一回生のテーブルに着く。初日とあってか、まだ空きが多い。

 

「ちゃんとした朝食が食べられるなんて夢みたい…」

 

「感謝していただきましょうか」

 

 レイナには、自分が貴族の生まれであるということはバレている。というか、フルネーム見れば明らかか…

 

 そのことで畏まれたけど、ここではぶっちゃけ家が貴いとか関係ないだろうと説得した。

 

 聖印者なら、領主になる可能性があるし。

 

「少し座らせてもらうぜ!!」

 

 テーブルの向かい側。角刈りの男児が座る。どこかで見たような…

 

「あっ、昨日けが人を連れてきた…」

 

「おう、あん時はあんがとよ」

 

「相方は大丈夫でしたか?」

 

 私が施術して何か後遺症が残っていたら嫌だし、一応聞いておく。

 

「元気、元気。もうすぐ朝練から帰ってくると思うぜ」

 

「それは良かったです」

 

「アイツも後で感謝しに来ると思うからそん時はよろしく」

 

 ふと、隣にいるルームメイトに目を向けると少し居づらそうにしていた。

 

「…すまん。邪魔したな。用事も感謝と何かあったら後で頼ってくれって言いたかっただけだから。お前たち担当のガリアーノ教官はめっぽう厳しいって評判だ」

 

 あぁ、やっぱり~?でも、他の教官が特別優しいってことはないと思う。全員強面だし。

 

「ありがとうございます。セリーナです。これからよろしくお願いします」

 

「俺はツヴァイ。二回生だ。よろしく」

 

 相手は首元にある月の形のワッペンをトントンと叩いて自己紹介。私たち一回生の星型ワッペンと異なるソレは上級生であることを示していた。

 

 要件が終わって、ツヴァイ先輩は「じゃあな」と活気良く言って去っていた。

 

 良し先輩ゲット。この情報網はたっぷりと活用させてもらおう。後輩の女子からの頼みなら融通してくれるだろうから。グヘヘ。

 

 そう打算的な考えを巡らせていると

 

「ごめん。あんなに堂々と年上の男の人と話せるなんてすごいね…」

 

(えっ!!そうなのか?いや、別に相手は悪意を持って近づいてきたわけじゃないからな…)

 

「そう...なの…?」

 

「うん…私…ちょっと怖くて」

 

 このぐらいの歳の子だと、無条件に怖がるようなことがあるのかもしれない。まぁ、私は中身が男であるからなのかそんなこと思わないのかもしれないけど…

 

 すると、時間になったのか教官が声を張り上げ、号令。この国で信仰されている宗教の食前の祈りを行った後に「喫食ッ!!」という言葉を放ち、私たちは朝食を食べ始めた。

 

 

 

 

「我輩が諸君らの初歩魔法学を担当するルシアス・ナイトヴェイルだ。まず最初に言っておこう。我が講義において、余計な甘えや怠惰は許されぬ」

 

 白髪の長い髪がローブにかかった初老男性が教壇に立ち、放った最初の一言。

 

「聖印者は唯一魔人に傷を負わせられる存在。その力を無駄にはさせぬ。諸君らに足りないのは、鍛錬、知識、そして意志。そのすべてを兼ね備えた者だけが魔人を打ち倒し、勇者や聖女といった英傑へと至れる…!!」

 

 この国では、武勲を立てた聖印者には称号が与えられる。加えてそれに見合った領地も。

 

「アレクシオスッ!!セリーナッ!!前へ!!」

 

 いきなり名前を言われて心臓が飛びかけたが、「はい!!」と返事をして教壇の前に。

 

「二人は、すでに初級魔法程度なら使いこなせる。火の魔法を使って見せろ!!」

 

 いや、ここ教室!!明らかに木造だし、他の生徒もいるだろッ!!

 

 しかし、アレクシオスは何の躊躇いもなく右手を掲げる。

 

(マジかよ!!)

 

 心の中で絶叫しながら、私も手を掲げ、詠唱をする。

 

「「Elen síla, náro quetëa!!(火花よ、現れろ!!)」」

 

 何もない空間に一気に熱が発生し、燃焼が始まった。

 

 その光と熱に前列にいたクラスメイトが

 

「キャァ!!」「ヒィ!!」と短い悲鳴。

 

 だが、次の瞬間には炎がかき消された。見れば、イカレ教師が軽く手を振るっていた。何かの魔法を使ったのだろう。

 

「諸君らの多くはその生まれ故に、魔法を学ぶ機会が少ない。あったとしても危険性がないと判断された故に、王国が許可した水、土、治癒といった魔法ぐらいだろう」

 

 そうなん?ネリーから聞いていないのだけど。火の魔法が禁止されているのは分かる。でも風と光はそんなに危険なのか?

 

「だが、これからは違う。諸君らは容易く人を殺すことができる魔法をこれから学ぶ。制御なき力は破滅へと繋がる。力を持つ者はそれ相応の良識を——」

 

 すると、教壇に置かれた書物と蝋板の山に向かって短く

 

「Eluvira Valandor Célandir!!(天風の力を宿したまえ!!)」

 

 重厚な書物と蝋板が音もなく浮かび上がり、ページが風に揺れることもなく整然としたまま宙を駆ける。そして目的地である生徒たちの机に、まるで見えない手に導かれているようにして、優雅に降り立った。

 

「――持たなければならない。12ページ。すぐに開け!!文字が読めない者は近くの者に聞き、知識を漏らすな!!」

 

 そう挨拶は締めくくられ、講義が始まった。ルシアス先生は、私とアレクシオスに席に戻るように伝え、レイナの隣へと戻った。

 

 小声で

 

(緊張した…)

 

(凄かったよ。…疲れているとこゴメン。ここ教えてくれる?)

 

 そう言って、古い教科書。たぶん魔法書は使いまわしているのだろう、に載っている一つの単語を指される。

 

(発散——広がっていくっていう意味だよ。ここだと魔法を使うには感情の広がりが重要っていう意味)

 

(うん!!ありがとう!!他は聖書で見たことある単語だからなんとかなりそう)

 

 この世界、なんちゃって中世ヨーロッパな割りに識字率、書く能力はそうでもないが、読む能力はかなり広まっている。

 

 レイナの話によると、どんなに小さな村でも教会(初代王を導いた大いなる意志を主神とした)があって、子供たちはそこでまとめられ、村一体となって育てられるらしい。

 

 そこでは、聖書をはじめとした文字に触れる教育を行っているというのだから驚きだ。

 

 普通、独裁者は人民の教育を制限する。そっちの方が支配しやすいからだ。しかし、初代王は教会を作り、それは今でも続いている。

 

 なんでも、魔人に奪われた文字という文化を民に還すのが目的だとか。たいそう立派な考えだ。ただの、エロいだけの王様じゃなかったってわけか。

 

 そんなこんな、余計な思案に耽っている。だって、今の講義はもう頭に入っている知識だもの。余裕があるのだよ。余裕が。

 

「ここで、一旦座学を終わりにし、実際に魔法を扱ってみせよ。すでに、使うための知識は教えた」

 

 白髪の魔法使いは、あらかたの初級魔法の体系知識を教えると今度は皆を外の広場へ向かわせた。

 

「ペアになって行動せよ。先ずは水魔法。何人かは扱えると聞いている。できぬ者に助言を与えよ」

 

 そうして始まった実技。結構ルシアス先生は行動派なのかも。

 

 というわけで、魔法初体験のレイナとペアを組んで、魔法を見せる。

 

「よく見ててね。初級の水魔法はただ水球を作り出すものだけど、結構難しいの」

 

 隣で目をキラキラさせながら見ている黒髪少女を失望させるわけにはいかない。ちょっとリップサービスしてみるか。

 

「Nara luma, ela quetëa!!(生命の水よ、その姿を現せ!!)」

 

 自分を中心として、空中に水が生成され、水の大玉となる。その数、6つ。

 

「わ~~。綺麗!!」

 

 濁りのない透明な水珠が空中にあるのは幻想的に見えるだろう。

 

 周りの同級生もこっちを羨望の眼差しで見てくる。ちょっと気持ちえぇ。いや、子供相手に何イキッてんだ。

 

「今度は、レイナの番ね。取り合えずやってみよう」

 

 そうして、アドバイスをする為に正面に立つ。最初からは成功しないだろうし、近くにいてもいいだろ。

 

「うん、やってみる。えぇっと…Nara luma, ela quetë!!」

 

 その判断は間違っていた。ネリー言ってたやん。最初からできる者もいるって!!

 

 空中に水が生成されていく。しかも並みの勢いじゃない。一気に作り出された水に圧力が加わり、スプラッシュなマウンテン。

 

 顔面にクリティカルヒット。びしょ濡れだ。

 

 アッレレ~?おっかしいぞ~?こんな威力強くならないでしょ、普通。

 

 え?もしかして、私、YOOEEEE?

 

 いやいや、ネリーとあんだけ訓練したんだからそんなわけナイナイ。

 

 ふと、レイナの後ろ。アレクシオスが水魔法を扱うところを目撃した。

 

 彼の詠唱が終わると空中に数えられないほどの水球が出現させた。

 

 私の魔法とは比べ物にならない数と速さだ。

 

 あっ!!これ、わかった!!私、YOOEEEE!! だ。




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