TSして第四聖女になった私は魔人にNTRされるってマジィ!?   作:ピエロギ

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前回の続き...あれ?記憶が薄れている。投稿期間が...一か月以上空いている!?...これ夢?


森と沼地

「ふぅ…ふぅ…ふぅ」

 

 足から地面を踏み込む衝撃が体の芯にジンジンと伝わる。

 

 心臓は早く鼓動し、額に少しの汗が浮かんできた。秋風が心地の良い。森は若干の紅葉を始めている。

 

「ハァ、ハァ…ごめん、セリーナ。はぁ、水を…もらえる?」

 

 一緒に走っている女子からの要望に応え、水魔法を唱える。

 

「Nara luma, ela quetëa!!」

 

 並走するようにして水球を発生させ、給水させる。また、ランニングフォームが乱れている子たちには、回復魔法をかける。

 

「もう少しで丘だよ!!気を引き締めて!!」

 

 もう既に10kmは走っている。魔法で援護しているとは言え、ここまでよく付いて来てくれる。まぁ、こういう時代では子供というのは労働力。農業などの力仕事をしている子も多く、肥満体型の子供はいない。

 

 しかし、走っていると、先行していた男子が道端で倒れていた。ランニングペースを掴めず坂道の途中でスタミナが尽きてしまったのだろう。

 

 彼らを助けることを決意するのに躊躇はしなかった。生憎、子供を見捨てるような悪心は持っていない。

 

「みんな、先に行って。ちょっと、助けに行ってくる…」

 

 というわけで、ぶっ倒れている男の子に治癒と水を飲ませてる。ほらほら、頑張れよ~

 

 そんなこんなして、丘を登り、下っていけばガス欠起こしている男児の多いこと、多いこと。

 

 その都度、救助活動に勤しんでいると集団に大分置いてかれてしまった。

 

 というわけで、魔力で身体強化して木々の間をパルクール。ショートカットで風を感じながら行く。やっふ~。気分はター○ン。蔓とかにぶら下がってないけど。

 

 そうして、下っていくと植生が変化し、葦のような植物が目立ってきた。秋でありながらも湿気が多く、不快度指数がうなぎ登り。ガリアーノ教官が言っていた沼地だ。

 

 すると、ある一団が目に入った。私の先に行ったグループだ。レイナがいたので、そっちに行くと

 

「あ、セリーナ!!」

 

「何があったの?」

 

「それが…あっちを見て」

 

 言われるがまま、その方向を見れば、底が見えないほどの沼、いや大きな池といった方がいいだろう。その中心にある浮島に旗が見える。

 

「まさか、あそこまで…?」

 

「うん。そうみたい。あそこに泥だらけで倒れている二人がいるでしょ」

 

 促されるまま視線を向けると、服が泥に塗れているガッチリとした体形の男子生徒が二人。片方は短く刈り込まれた短髪。野球とか好きそう(偏見)

 

 もう一方サイドとバックを短くし、トップ部分を長めに残したスタイリッシュヘアスタイル。サッカーとか好きそう(偏見)が所々、かすり傷を負いながら倒れていた。

 

「たぶん先頭組だと思うけど…」

 

 ほう。ここまで、素のスタミナで来れるとは。すげぇ体力お化け。

 

「ちょっと話聞いてくるね」

 

 というわけで、泥だらけで倒れているボーイにコンタクト。取り合えず、疲労困憊って感じか。

 

「水飲みます?」

 

「あぁ、たっぷり頼む…」

 

「こっちも…」

 

 仰向けで倒れているサッカーボーイと野球ボーイに一口サイズの水球を生み出す。

 

 一粒一粒、ごくごくと喉を鳴らしながらに水分補給。少しだけ顔に落ち着き取り戻していった。

 

 体を起こして、向けられる視線。そして最初の一言は…

 

「何だ…お嬢様に助けられたのかよ…」

 

 坊主頭の言葉にムカッ!!

 

「君たちが先頭?」

 

「…いや、アレクシオスをここまで追ってきたが…完全に置いて行かれたよ」

 

 サッカー男の口から聞こえた。取り合えずは、彼から聞き出すかな。

 

「ここまで来るのに、アレクシオスを見なかったけど…」

 

「アッチ、岩が剥き出しの渓谷があって、方向的に丘を上らずぴょんぴょんと器用に去っていったから君とは会わなかっただろうな」

 

 そう虚空に向かって喋るサッカーボーイに視線を合わせるとプイッと顔を俯いてしまった。アレ…?なんかやっちまったか…?

 

 耳も赤いし、もしかして熱中症とか?

 

「大丈夫ですか。水だけだと足りない…ですよね…」

 

 電解質不足なら、水分だけを補給するだけではダメ。だけど、塩を生み出す魔法とか知らない。

 

「いや…体調が悪いとかそんなんじゃない。でも、ありがとう」

 

 ふむふむ。これは…シャイというわけか。ギャップ!人間見た目だけで判断すべきじゃないな。

 

 中身が別の性別の人間がここにいるし。

 

「それで…アレクシオスはどうやって記章を?」

 

 続けれ、話の通じる方から聞き出す。

 

「上手いこと飛んでったよ。俺たちにあんな芸当はできない。だから、なんとか二人で助け合いながら沼を進んだが…途中で底が一気に深くなる。底なしさ。一人だけだったら不味かった」

 

「歩いて、あの沼を渡るのは厳しいと…」

 

「脚に泥が大量に纏わりつく。生半可な力じゃ、浅瀬でも身動きは取れなくなるだろうよ」

 

 ここにいる中で、一番体格に恵まれた彼が言うのだから間違いない。

 

 魔法で強化すれば、私一人でなら渡れるかもしれない。それで、人数分の記章を持って帰ることはできる。だが…

 

 底なし沼。この二人だったから命に関わることは無かったかもしれないけど、運が悪ければ死。聖印者をそんなことで失うようなヘマをするだろうか?

 

 監視している教官がいるのかもしれない。ガリアーノ教官以外にも、この学園には教官がいる。気配を消して、どこからか見ていることは十分に考えられる。

 

 記章を持って皆に配る。それは不正と見なされる可能性が高い。ふ~む。どうするか?

 

「もう少し水を貰えないか?服の中に泥が入って気持ちワリィ」

 

 坊主頭が話に割って口を開いた。

 

 私の魔法では体を洗えるほどの大量の水を生み出せなんだよな~。あっ!!

 

「レイナ~!!」と才女の名を呼ぶ。水をぶっかけるように伝えると、若干のうろたえを覚えていたが

 

「早く頼むぜ」

 

「おい…頼みを聞いてもらってるんだから」

 

 坊主の言葉を少し諫めているナイスガイ。巻き添えを食らわないように、少し離れさせる。

 

「Nara luma, ela quetëa!」

 

 一気に大量の水が放出。望み通りに体は綺麗になっただろう。

 

「ブファ…ゲホォ…グホォ…ア”ア”ァ!!…コイツはスゲェ!!滝みてぇな威力。お前も、貴族様なのか?」

 

「え!いや、普通の、村娘でしたけど…」

 

「そうか!ハッ!!あの良いとこの坊ちゃんに負けて意気消沈してたが、そうだよな。まだ、追い抜ける機会はあるよな!」

 

 なかなか気骨のある若人だなこの坊主頭。あの勢いの放水を食らっても平気でいる。…良いとこの坊ちゃん…アレクシオスのことだろう。

 

「あんた、名前は?俺はカイルだ」

 

「レイナ…です」

 

「おう!よろしくな」

 

 このカイルという少年。貴族に対して何か思う所があるのだろう。そんな感じがする。

 

 すると、放水を免れたサッカー少年が私に

 

「それで…何かあの沼を渡る方法とかあるかな?」

 

と若干の上目遣い的視線を送りながら聞いてきた。こ、こ、子犬系男子ッ!!少年的あどけなさもあるので悪いお姉さんとかは一発で昇天確実といった所。

 

「どれくらい効果があるか分からないですけど、土魔法を使ってみますね」

 

 とりあえず土魔法を使ってみる。この場合だと足場とかになるような感じなればいいけど…

 

「Terra firmus, sanu quetëa!(大地よ、堅固な力を示せ!)」

 

 泥水に向かって魔法を行使する。次の瞬間には、ぬかるんだ沼の中から泥の塊が湧きあがり、足場となった。

 

 しかしものの数秒で、泥の塊は沼に飲み込まれ、溶けた。何度も土魔法を使ってもダメ。

 

「う~ん。これは…無理かもしれないですね」

 

「そうか…何か俺たちにできることはないか」

 

 う~ん。土の強度が足りてないのだろう。土の中に水分が入り込んで、うまく固まりきらない。

 

(火の魔法で、無理やり乾燥させる?いや、そんな火力は出ない。私以外だと火の魔法の使い手もいないだろうし…)

 

「ちょっと、考えさせてください」

 

「良い方法思いついたぜ!俺とディアゴのどっちかが、レイナの水魔法で思いっきり飛ばしてもらうってのはどうだ!」

 

 カイルがそう提案をした。しかし、私の隣の少年、ディアゴというのだろう、はその提案の最大の問題点を指摘する。

 

「それ、戻ってこれないだろ」

 

 まぁ、そうだよな。けど、レイナの水魔法を活用しようとするのは良い着眼点だ。

 

「けど、いい考えだと思います。私もレイナの水魔法を活用する方法には賛成です」

 

 レイナの水魔法、沼、土魔法…問題は土内部の水が抜けきらないこと。あの超出力ならうまくやれば、土から水を完全に取り除くことができる…かも?

 

「何ができるかは試行錯誤して調べながらやってみましょう」

 

 思いついたアイデアをレイナへ伝え、沼の畔に二人並ぶ。

 

「本当は、時間をかけて覚えることだなんだけど、水魔法の発動式は複数の過程を得ているの」

 

 こくこくと頷く黒髪少女の片目に説明を続ける。

 

「水の生成、安定させること、狙いの方向へ動かすこと。レイナは、水の生成を司る発動式に魔力が集中して一気に放出させているの」

 

 本来は、生成系の発動が難しいため、他の発動式は作動していても何も起きていないように見える。タチアナの例が本来、普通なのだ。

 

 しかし、レイナは逆。難度の高い発動式の方が作用しすぎてうまくコントロールできていない。

 

「安定っていうのは、水を球体にしたりして保つこと。これは水自体を操作しているの。今回はそっちに魔力を集中させるのが目的」

 

「…水の生み出さないようにして魔法を使う…で…できるかな?」

 

「今日初めて魔法を使えるようになったレイナには難しいと思う。だから…」

 

――魔法というものを学んで、何故、発動式なるものが必要であるのか疑問に思った――

 

 無論、ここが異世界だから、ファンタジーな世界だから。そう考え、頭を悩ますことなど無駄なのかもしれない。しかし、前世にはない未知の理の興味は尽きなかった。

 

 初級魔法を扱えるようになったが、より上位の魔法への習得が行き詰っていたこともあって、実家にある文献を調べていて、ある結論に至った。

 

 魔法とは体系化された演算処理の結果により、生じる事象のこと。

 

 魔力とはその結果のために必要なエネルギーの最初の形。本来であれば、魔力というものは不変で、利用できるものではないのだろう。しかし、発動式に対応したエネルギーに使用者が変換することで超常現象を顕現させることができる…と考えている。

 

 魔導書の人の感情云々がどうたらこうたらという内容は、この変換を意味しているのだろう。

 

 そして、レイナは恐らく魔力量も多く、変換率も異常に高いのだろう。

 

 ここで言いたいことは演算をする側と魔力を供給、変換する側に別れても魔法を行使することは可能。つまり…

 

「だから、私と一緒に魔法を詠唱してみましょう!」

 

 共詠唱への試み。それが私のアイデアであった。

 




夢じゃァ...ながッた!!
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