怪獣殿下のヒーローアカデミア   作:ぶ千切れた尻尾

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前話の反応というかなんというかがかなり低そう、というかよろしくなさそうで動揺と恐怖とで愕然としてる。まじめに職場体験編飛ばすか消すか迷った……怖いよマジで。戦慄……

えーと、ミクラス・ウインダム・アギラ達の性別はお好きにお受け取りください。頼れる兄貴で想像してもいいし、スキンシップの近い姉御で想像してもいい。どちらにせよ良い人。アギラは小柄でウインダムは顔が良い(確信)ミクラスはムキムキムチムチ。

それでは本編どぞ


23 零下140度の極悪(対決) 後編

 

 

彼は抱きとめた女の子を左腕に抱え、負担のかからないように気をつけ、壁を削って減速しながら地面に降りた。深いフードを被った女の子の顔は見えず、安否がわからなかった。

 

「(体温が低い……!)

 君、大丈夫?!意識はあるかい?!」

「……っ、」

 

彼女は小さく頷いた。しかし、五毛楽の腕に触れるその身体は、服越しでもありありと感じられる程に冷え切っている。がしかし、地面にへたり込んだ彼女はガタガタと震えつつもフードと背負ったリュックサックを離さない。

 

人質として捕まっていた時も、ぶん投げられた時も、彼女は頑なにリュックサックを降ろそうとはしなかった。が、五毛楽はそれに気づかず──

 

「ひとまず救急車を呼ぼう。荷物は俺が持つから、そこのベンチで安静に──」

「!!」

 

ぱちん!

 

「えっ」

 

彼女はとある言葉に強く反応し、彼の手を弾いた。少し離れたことで改めて彼女の格好が目に入ったものの、深く被った大きなパーカーフードは顔を隠すのみでなくその長袖で手まで覆い、ダボダボのズボンがその体格を悟らせず、つまり彼女を構成する何一つも判然としないのだ。

 

わずかに見える首元以外は肌を全て隠していて非常に怪しい格好だが、しかし彼女はあくまで被害者である。五毛楽は努めて冷静に再度彼女に語りかけた。

 

「……わかった、荷物は下ろさなくてもいいから、ここで大人しく救急車を待──」

「っ」

「あっちょっ待って!」

 

しかし彼女は聞き入れなかった。ここまで頑なだと何かを疑わざるを得ないが、しかしその動きは俊敏で彼に容易く追い付かせてはくれない。

 

五毛楽の体格では入りづらい狭い路地裏やパイプの入り組んだ裏道などを猫のように駆け抜け、五毛楽を全力で振り切りにかかっている。当然、身体を大きくすることはできても小さくする事のできない彼は中々追いつけない。身体だけでなく、日本鎧を模したヒーロースーツもガチャガチャと引っかかる。

 

「くうっ、こうなったら!」

「!」

 

彼は跳躍した。建物の屋根の上を走る腹積りである。──しかし、それは悪手でしかない。屋根と屋根の隙間は以外と狭く、下を見る視界など開けてはいないのだ。

 

 

 

 

 

 

数分後──

「完っっ全に見失っちゃった……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちやコラガンダー貴様ァア!!」

「チッ、しつこいぜてめェェェ!!」

 

ひたすらに逃げるガンダー、ひたすらに追い続けるミクラス。彼我の距離は一向に縮まず離れず、互いに全力で走っている。

 

「いたちごっこだぜェェェ、ずっとこれを続けるッてェェェのかァァァ!??ア゛アン!?」

「逃さん!」

「馬鹿がよォォォ!!俺の冷気で先に体力が尽きるのはテメェだァァァ!それを馬鹿の一つ覚えみてェェェにマラソン──」

 

「馬鹿はどっちやろな!」

 

「なァァァにィィィ……?」

「ウインダム!アギラ!今や!」

 

その言葉が発されたか、それとも「ウイ」の時点で始まっていたのか。ウインダムの鉤爪とアギラの角がガンダーを四方から襲った。そう、ミクラスは味方と挟み撃ちできる場所まで追い込んでいたのだ。

 

彼ら二人はミクラスよりもスピード寄りの戦闘スタイルを有している。故にガンダーの意識がミクラスに向いた一瞬の隙を逃さずに捉えることができたのだ。そして──

 

「バッファフレイム!!」

「ぐぁあっち!!」

 

ミクラスの必殺技の一つ、サポートアイテムで炎を纏わせた拳を豪速で振るい、まるで衝撃波のように炎の塊を飛ばす技*1。二対の攻撃で怯んだガンダーに、容赦なくそれが叩き込まれた。

 

「いっでェェェ、いてェェェ!!」

「畳み掛けろ!」

「行くよ!」「うん!」

 

先鋒、仕掛けたのはアギラ。よろめくガンダーの背後に信号機を使っての三角飛びで俊敏に回り込んで、有らん限りの力を込めた飛び蹴りをかます。しかしガンダーも一筋縄では行かず、尋常ではない反応速度でその脚に掴みかかった。

 

ドゴス!!

 

「──!」

 

アギラは蹴りの軌道をずらすことで対応。だが、その足に霜が降る。急ぎ足を離そうとしたアギラだが、今度こそガンダーがその足をがっちりと掴んでしまった。

 

だがガンダーを囲んでいるのは一人ではないのだ。仲間がやられるのをみすみす見守る道理など存在しない。ミクラスが横から全力で殴り飛ばした。無論その拳は炎を纏い、陽炎に揺らめいている。

 

ゴバァァン!!

 

地面で何度かバウンドを繰り返し、地面に転がっていく。

 

「脇腹の骨を三、四本折った。投降せえ、辛いやろ」

 

 

「──ァァァあァァァまァァァい!!」

 

「なにっ?!」

「なんでまだあいつ動けるのお!?」

 

ガンダーは止まらない。本人もあずかり知らぬことではあったが、脇腹以外にも腕の骨が折れていた。しかし痛みをものともせず、かれは突き進む──ミクラスとは別の方向へ、脱兎の如く。

 

「ミクラス!ガンダーはまだ逃げる気だよっ」

「しもた……!なんちゅう根性や!けど、あの傷やったらまともに走られへんはずや!追うで!」

「さきに行ってるね〜!」

 

一人はその翼で羽ばたき、二人は駆け出す。だがすでに──遅かった。そこは湖のごく近く。そして──湖と陸地を隔てる柵など、幼児でも乗り越えるのは可能である。

 

「やめろガンダァァ!今のお前の傷やと死ぬぞぉぉおッ!!」

「知るか──よォォォ!!」

 

ドボォォン!

 

ガンダーはボロボロの身体も厭わず、なんと湖に飛び込んだのである。ここから水面までの距離は目算でも10メートル後半は越えている。高い水飛沫を上げ、ガンダーの姿は水中に消えた。

 

「くそっ!逃げられてたまるか……!でええりゃぁあぁああ!!」

「「ミクラスっ!?」」

 

ダボォォン!!

 

しかし、ミクラスもそれを追って伸び型の綺麗な姿勢で湖に飛び込んでいった。姿勢は綺麗なものの、その体の質量故か、ガサツに飛び込んだガンダーと水飛沫の量は変わらない──そんなことはどうでもいい。

 

「ハッ!やっぱり馬鹿はテメェだァァァ!!俺の氷雪は──水さえ武器に変える!!」

 

バタフライで追うミクラスに対して、ガンダーは即席の氷山を作り、その上に立っている。幸いなのは、氷山そのものの動きが遅いことか。

 

「こんな水だらけなら──でっけェェェ氷塊作り放題だぜェェェ!!喰らえや、つららミサァァァィイルゥゥゥ!!」

「ミクラスあぶなーいっ!!」

 

ガンダーの頭上に巻き上がるように集まる水が見る見る内に凍り、まさにドリルの様相を成す。吹雪を撒き散らしながら回転したそれを、ガンダーはまるで投石機を振るうかのように──放った。

 

高速で迫る氷塊(つらら)を目視したミクラスは一際深く潜り──まるでシャチやイルカのように高く跳躍した!

 

「「えぇぇぇぇ!?!?」」

「ンッだそりゃァァァ!!!」

 

そのままなんとミクラスは体の下に迫る氷柱を足蹴にし、ガンダーの元へ再跳躍!爛々とした目で目の前に迫るミクラスに焦ったガンダーは氷山から足を滑らせ、落ちる。

 

ボチャアン!

 

だがガンダーはそれで舞い上がった水飛沫一つ一つを瞬時に凍らせ、まるで散弾銃の弾のようにミクラスへ向かって解き放つ。ミクラスは空中で向かいくる無数の氷球に防御の姿勢を取らざるを得ず、ギリギリで氷山に着地した。

 

「ミクラスーッ!ガンダーは遊覧船に逃げる気だよーーッ!」

「!!」

 

視線を前に向ければ、湖を巡る遊覧船が丁度目の前にやってきてしまっていた。ガンダーは既に船底に近づき、取りつこうとしているが──波に阻まれ上手く行っていない。このままでは乗客まで危ないと、ミクラスが急いで捕まえようとした時……事は起こった。

 

「ええェェェい鬱陶ォォォしいッ!!もういいぜっ!!全部凍らしてやらァァァ!!」

 

ピキ──パキパキ……!!

 

「な──なんてちから!」

「船の半分をまとめて凍らせただって……!?」

「へッ」

 

ガンダーは今度こそ遊覧船へ登ろうと船の壁に手をかけ──

 

「やらせるかァァアァア!!」

「ヘぁブッ!?!?」

 

背後から飛びかかったミクラスが羽交い締めにし、二人は水面で暴れる。ガンダーは無尽蔵に冷気と吹雪と氷を撒き散らし、しかしミクラスも凍りついてゆく身体を尻目に決して離すまいとしがみつく。

 

ギチ……ぎちぎちギチ!ピキピキパキパキ!

 

「ナイスだミクラス!行けウインダム!」

「がってん承知のすけ〜!」

 

ウインダムは木兎の個性で、手が翼・足が鉤爪の鳥人型だ。そして、猛禽類は数キロの自重に対し、三十キロを超える獲物を持ち運ぶほどの力を持つ。

 

「つっかまえ〜……たぁぁ!」

 

ガシッ!

 

ウインダムは二人の塊を鉤爪で掴み、水面を離れる。それでも尚ガンダーは暴れ、ミクラスはがっちり押さえている。あまりに暴れるものだから、くっついている氷塊も相まって暴力的な揺れ方をしている。が、猛禽類の個性を持つウインダムにはお茶の子さいさい──

 

「あわわ暴れないでぇ!おっ、落っことしちゃうぅう!」

 

なんてことはなかった。

 

そもそも三十キロを持ち上げたのはワシだとかタカだとかそういったヤツらで、加えてそれらの獲物は息絶えて沈黙している状態での話。ガンダーは容赦なく暴れるし、余計な氷塊だって付いているし、ついでに二人とも筋肉質で……重い。

 

「うわわわわ!あわわわわ!」

 

えっちらおっちらではあるものの、ウインダムはしっかり陸地までこの二人の人間の塊を届けた。そして、待機していた警察が群がりガンダーを捕縛する。

 

「離せェェェ!は!な!セェェェ!!

 HA☆NA☆SE☆!!」

 

無論離されるはずもなくあえなくガンダーは捕り、護送車に詰め込まれて拘置所へと運ばれていった。座り込んだミクラスはふるりと寒さに震えた身体を宥めすかし、一息ついた。

 

「……はぁ、これで一件落着かいねえ」

「待って!?」

「なっ、なんや!!」

「遊覧船が沈みかけてる!」

「なんやとォッ!?」

 

「ギチギチ言ってたのは氷に締め付けられる船の音か……!」

 

先程ガンダーが凍らせた所為なのか。たしかに遊覧船の動作がおかしく、さらに傾いている。乗客は控えめに言ってもパニックで半狂乱であることが遠目にもわかり、非常に危うい状況だ。一刻の時間も惜しい。

 

「ッく!今行──」

 

 

 

 

「はぁっ」

 

 

 

 

どぼぉぉん!

 

立ちあがろうとしたミクラスの目先で、高い水飛沫があがる。

 

「な、なんや!?誰や!」

 

困惑し、すぐさま水面を覗き込むもその深い青は何も写さない。が、少し離れていたアギラはしっかりと見ていた。

 

「ご──五毛くんだったよ!」

「何ぃっ!?」

 

そう……今飛び込んだ者は──職場体験の雄英生徒、五毛楽。アギラもかくやというスピードで湖へと走り、迷うことなく飛び込んだのだ。

 

「無茶な──いや、そうか!五毛くんの個性やったら!」

 

……その言葉に呼応するかのように、または答え合わせをするように。水を押し退けて、水中から二本角の巨大な頭が浮かび上がってきた。水を通してもなお響く地響きに、皆何事かとそちらを向く。

 

赤褐色の巨体。三日月型の大角。鋭く見開かれた瞳。松笠状の腹──

 

「ごっ──五毛だ!」

「雄英体育祭準優勝者だ!」

「マジか、でっけぇえええ!!」

「リアルに見るとあんなにでかいのね……」

 

野次馬が沸く。もはや、誰も船が沈むなどとは思っていないようだ。

 

「ハハ……五毛くんが来てくれとってよかったわな」

「本当、その通りだ。まったく」

「すっごーい!でっか〜い!」

「ったくこのアホは」

「まあまあ」

 

再び視線を先程までおかしな挙動をしていた遊覧船に見やる。案の定、水面下で船を抱えた五毛楽──ゴモラが、悠々とこちらの陸地に戻ってきている最中だった。

 

「えらいこっちゃ、ゴモラはめっちゃ立派なヒーローやで。ワシらの顔なんてあったもんやないな、はっはっは!」

「そんなことないよ!ミクラスも頑張ったよー!でも、ゴモラもすごーい!」

「災害救助や犯罪取締。どんな脅威にでも対応してしまいそうだね」

「未来の種とはいうけど、こら将来が楽しみすぎるわな!わっはっはっはっは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……しっかし、えらい頑丈な奴やったな。──異常なくらい」

「ああ、明らかにおかしい。氷雪系の個性でできることじゃない……警察に鑑識をお願いしよう」

「ああ、それがええ」

「ミクラスさーん!」

 

陸地にあがり、彼の元へ五毛楽が駆けてくる。それに対してミクラスは、いかにも胸がいっぱいだという様子で迎えうった。

 

「おお〜うッ!ゴモラぁぁ!ようやったなぁあ!!」

「わぷ」

「ほんまようやった!偉い子やでぇえ!」

 

五毛楽のミクラスの身長はかなり違うため、ミクラスのハグにより五毛楽の顔はその肉厚な胸元に沈み込んだ。

 

「そこまでにしてあげなよ、多分苦しいよ」

「おお、すまんで五毛くん」

「ぶは!あ、あの!お伝えしたいことがっ」

「ん?なんや、どしたん?」

「その……──」

 

かくかくしかじか。彼はミクラスへ、ガンダーに投げ飛ばされた少女に逃げられてしまったことを話した。彼女の身体的特徴が何一つわからないことも、服装の詳細も、身のこなしも。

 

「そうか……。変やなあ、助けてくれたヒーローから逃げるっちゅうんは」

「事情があったのかな?過去にヒーローと確執があって、ヒーローに信用が持てない子だったとか」

「……その子が悪いとは限らんぶん、もしそうやったらやるせないでなあ。ヒーローらしからぬヒーローもやっぱりどっかにおる。とことんカスなやつはどこまでもカスや。子ども相手になんかやっとってもおかしない」

「まあ、ヒーローが原因って決まったわけじゃないよ!げんきだして五毛くん!」

「は、はい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──なんやて?親子ともども見つかっとらんやと?……んなあほな。娘さんはわからんけど、お父さんは目の前におったんやで。そのあと目ぇ離したんはそやけど、……街を出入りした痕跡もないぃ……?はぁぁ?」

 

「──不思議なんです。そりゃあ、急速にエンジンが冷やされて停止しちゃったのだとか、付着した氷の重さのせいで転覆しかけただとかはわかるんです。だけど、この船はガソリンと電気のハイブリッド船で……そんなことあるはずないのに、バッテリーがぐんぐん減っていったんです、船の状態を後から確認しても、漏電の様子もなかったのに」

 

あー、こちら◻︎◻︎◻︎だ。コード“凍結エイ”は失敗作だ。凡百のヒーローなんかに押し負けてやがるし、情緒や言動も支離滅裂でめちゃくちゃだ!やっぱり完全に個性として擬態させるのは悪手なんじゃねーのォ?・・・あー、ここまで愚痴っといてなんだが、アンタ肝入りの“霹靂王”、ロストしちまった。すまん──うわ!そんな怒んなよ!!

*1
スト6ルークのサンドブラスト炎版





おおっとぉ?物語の進展がここにきてありますか?
(確証は)ないです。

投稿ペース早いねえ?どしたの作者さん?
え、なになに……< わ た し に も わ か ら ん
ああそう。へー()
つまり続かない可能性大ってこったな。
< 本 当 に 申 し 訳 な い
ブレイク博士は黙っとってもろて。

えーと、久しぶりに乞食しときます。
よかったら是非お気に入りにご登録・
             高評価・
             感想等、
    よろしくお願いいたします。

五毛くんのイラスト新調。
前回のがアレだったんで、今回は公式の絵をトレスさせていただきました。その代わりに、それなりのクオリティにはなってると思います。是非是非見ていってください。
ヒーロースーツ五毛くんです。

【挿絵表示】

p.s.
尻尾短くしすぎたのと、
絵についての感想ご指摘お待ちしております。

ではまた次話にて! ショウラッ
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