怪獣殿下のヒーローアカデミア   作:ぶ千切れた尻尾

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※投稿取り消ししたつもりが、昨日数分間だけ表示されたらしいです。申し訳ない。

いやあ、この話は個人的に気に入らず何度か書き直したのですが、結局やっぱり納得いってない。昨日描き終えた時点で0時3分超えてたんで投稿を断念(00分で揃えたいという作者のエゴに付き合わせてしまって申し訳ありません、というかミスって投稿しちゃってたらしい)。ので今日も書き直しましたが、結果は前述の通り。

それはそうと、ヒロインアンケートに答えていただきありがとうございます!あのアンケートがあったからこそこの話があると言えます。ストーリーも進めやすいし設定も固まった。

何のこっちゃって方はその純粋な状態のまま本文をお読みください。

それでは本編どうぞ!


24 湖に潜る者(のひみつ)

 

 

 

翌日。やや不完全燃焼でもやもやとしつつも、快適な朝を迎えた五毛楽は一階下の共用スペースでアギラにお手製の朝ご飯を食べさせてもらっていた。

 

「いつもは作ってないけど、三人とも事務所にいる時なんかは気まぐれに作ってるよ」

「アギラはワシらの中でいっちゃんつくる飯が美味いんやからなあ!わはは!」

「レシピ通りに作ってるだけだよ。というか、ミクラスのは雑すぎる……じゃがいもを半分にしたのを“切った”とは言わないんだよ料理では」

「はっはっは!すまん!」

「やーいミクラス言われてるぅ〜」

「ウインダムはシンプルに下手だよ」

「ぎう!?」

「あはは……」

 

アギラ曰く米でもパンでも構わない派閥だそうだが、今日の朝ご飯のメニューは米であった。おひつから茶碗によそわれたお米に豚汁、焼き鮭、だし巻き卵に葉物のおひたしとお漬物までついている。まさに理想の朝ご飯というやつだ。

 

ミクラスは朝からガッツリ食べられる人のようで、大盛りのご飯をおかわりしている。アギラは綺麗な所作で味噌汁を啜り、ウインダムははしゃぎながらパクついている。五毛楽は一緒に食べる人がいる朝ご飯は久しぶり──いや、初めてかもしれないと思っていた。

 

「おいし〜い!やっぱりアギラはいいシュフになれるよぉー」

「……五毛くん、こいつの言うことは間に受けない方が楽だよ。気にしないで」

「いやでも、すごく美味しいです。こんなに美味しい朝ご飯はちょっと食べたことなくて……ウインダムさんの気持ちもわかるって言うか」

「はっはっはっは!せやのう!美味いんやもんな!おかわり!」

 

実際に彼はこんなに美味しい朝食は初めてだと本気で心から真剣に思っていた。彼の普段の朝ご飯はプロテインドリンクに焼いただけの安い食パン、冷凍おかずを電子レンジでチンしたものとインスタントのスープくらいなもの。

 

夜ご飯はまた別であるが、人の温もりがこもっているような手づくりの朝食というのは、彼の心に覿面に刺さった。朝からの何気ない会話に、美味しい朝食。彼は軽く感動を覚えてすらいるのだ。

 

「ミクラス、うるさいよ……良い子だね、五毛くんは。──冷蔵庫に昨日街の人から貰ったパイナップルがあるから、お腹いっぱいじゃなければ後で食べよう」

「はい!ありがたく頂きます!」

「ワシらのもあるんか?」

「僕も!僕も食べたい!」

「あるよ、あるから落ち着きなよ」

 

少なくとも彼は──今まで知らなかったこう言う時間が大好きになった。

 

「…………五毛くん。あんま気にしなや、少なくともあの子を君が助けたんは事実やからね」

「……はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!朝飯もたらふく食った!訓練のお時間やでー!」

「やっほー!」

「よろしくね」

「はい!お手解きお願いいたします!」

 

ぽつりぽつりと事務員さんが出勤し始めた頃、場所は変わって事務所地下。そこには広い道場のようなものがあり、彼らは皆動きやすいトレーニングウェアのような物を着用。いつもやっている内容をこなした後、五毛楽の戦闘を直々に教えてくれるのだという。

 

「組み手はともかく、基礎トレーニングに関しては特段変わったことはしとらん!ストレッチを(おこな)った後に縄跳び……は尻尾で出来ひんやろけど、それと自重トレーニング。ああ、あと体幹トレーニングもやねえ」

「やらないと鈍っちゃうけど、それはそれとして朝からその日動けなくなるほどやるっていうのは困るしダメだからね」

「あくまで体をほぐす程度なんだー。僕も、戦いは得意じゃないけどいつもやるよ!」

「なるほど、言われてみればその通りです」

「ほなストレッチからやってこかぁ」

 

アキレス腱・ふくらはぎを伸ばすものや、座り込んで足先に手を伸ばすもの、上半身を逸らすもの、首・肩・手足をほぐすもの。正しく細かな姿勢を教えてもらいながら、しっかりと体をのばす。適度な量の自重トレーニング(筋トレ)もこなし終えた彼らは立ち上がり、それぞれの目線を交わして頷き合った。

 

「さあ、五毛くん!ワシら三人が交代で組み手していくからなあ、構えいや!」

「っはい!」

 

互いに拳を構え、腰を落とす。片足を引き、目の前を睨みつけ──

 

「(!!っ、ミクラスさんは──俺の動きをトレースしている!?)」

 

そして、その上で──

 

「はぁっ!」

「フンッ!」

 

ドゴッ!

 

ヒーローミクラスのその動き、全てが彼よりも精細に富んでいるということだ。無論彼は武術や格闘技を収めた訳ではない上に、もとより身体能力任せの身体の動かし方が多かったが──

 

「五毛楽の動き」をベースにしてその精度を磨ぎ、「五毛楽の個性」を前提とした攻撃を繰り出すのだ。

 

ミクラスには太く厚い尻尾も、まるで鉤爪のついた籠手やスパイクシューズのようなその手足も存在しない。だが──それでも彼の方が後手に回らされる程に上手い。

 

「(本当の意味で、“お手本”ってことですか──……!!)」

 

複雑な思いはあるものの、これ以上に参考になる指導も中々あるまいと再び集中する。合わされる脛、避けられる爪……的確に運用される身体の全てを取り込まなければ彼に応えることはできないのだ。

 

深く身体を沈ませようが、翔ぶように脚を浮かせようが、ミクラスの身体の芯は本人の意思通りに動く。決して崩されることはない。

 

「はぁっ────」

「くぅあっ────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それまで!」

 

ぴたり、と胸元に迫っていた拳が止まる。すっと引かれたそれを目で追いながら息を整えていれば、ミクラス他二名が駆け寄ってきた。

 

「やるじゃん、ゴモラ。押され気味だったけど、しっかり打ち合えてた」

「あ、いやいや……ミクラスさんは俺のスタイルに合わせてくれてたっぽいんで、その……」

「まーまー!それに気づけるのもすごいよー!」

「きちんと考えてくれとったようで何よりや!そう、尻尾こそワシにはないけど……君の動きの精度を上げたらこんな感じやと思うわ」

「はい……ありありと感じました」

 

自分にとっての最適な動きを、だけではない。ヒーローとしての実力──応用力や対面力など挙げればキリがないものの、総てに於いての面でミクラスは彼を上回っていると言える。

 

また……これ程の力を見せられては、まだ彼には見せていない部分的な巨大怪獣化でも初見であろうと捌いてしまえるのではないかとも思えた。

 

しかし、その分指標ははっきりと示された。わかりやすく己が強くなる方法、それをきちんと段階を踏んで伝えてくれる実力者の存在。彼は、この状況に感謝──それと奮起を覚えた。

 

 

 

 

 

 

 

*1

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、有意義な数日間を過ごした。あの日以降は凶悪なヴィランが現れることもなく、また現れたとしてもチンピラ同然。ミクラス・アギラ両名の引率の下、対処を任せてくれたりもした。

 

それよりなにより、三名のプロヒーローによる訓練が有意義であった。マンツーマンどころか生徒一人に師三人。それぞれ指導の得意とする分野は違うものの、それだけ幅広く深く教わることができた。

 

ミクラスの多様な戦闘スタイルを用いた豊富な戦闘経験を積み、アギラの技術面に関する細やかな指導で精度を上げる。ウインダムには個性の効率的な使い方の面を座学・実習併せて教えてもらった。

 

最終日には、まだ手加減はあったものの本来の戦闘スタイルのミクラスと打ち合うことができた。ミクラスの胸を堂々打ち据え、……おお〜、ぱちぱちぱちと誉めて貰った時は達成感と嬉しさで少し目尻に涙が滲んだ。

 

あくる日の正午、今日は彼と彼らのお別れの日だ。普段は中々昼間には三人揃わないミクラス・ウインダム・アギラも揃い踏みで事務所の扉の前に集まる。

 

「五毛くんは良い生徒だったよ」

「あはは!がんばってね、五毛くん!」

「わはははは!五毛──ゴモラ!

 良いヒーローになりいや、ワシらは期待して待っとるからのう!」

 

「……っはい!この数日間──ありがとうございました!絶対すごいヒーローになります。見ててください!」

 

「おお!」「うん」「おうえんしてる!」

 

五毛楽と三人はハグを交わす。名残惜しさは後から後から波のように押し寄せるが、ずっとこのヒーロー達の下にいるわけにもいかない。はぁっ、と短く息を切って振り向く。その脚を踏み出し──

 

「あ!五毛くん、おみやげえ!」

「「「………………」」」

 

たが、ウインダムはその空気をいとも容易く崩してしまった。五毛楽は雰囲気が許すのであれば、一昔も二昔も前の某新喜劇団のように足元から崩れ落ちてしまいたかった*2

 

今度こそそのお土産だという菓子折りの袋を丁重に抱え、礼をして歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

< 上鳴               ≡

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

       (今日) 

         ・

         ・

         ・

 

 

○ <( 終わったー?)

 

  ( うん、今送別してもらったとこ )>

          ( どこ集まる? )>

 

○ <(⬜︎⬜︎駅近くの☆☆カフェ行こうぜ!

   http;//xxx.xxx.jq/xxx/xxx.html)

 

          ( おっけー了解 )>

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

+[◎]⬜︎(            ☺︎ )

──────────────────

 

 

 

彼は足早に位置情報の書かれたその場所に向かう。なぜかというと、殆ど同じ地域で活動していたらしい上鳴電気と帰るタイミングが一緒であった為に、どうせならば合流して一緒に帰ろう!ということである。

 

湖のほとりのカフェらしいが、向かっているうちにパトロール中に見かけた建物として心当たりを見つける。ああ、あのカフェかと得心がゆき、スマホを仕舞って歩くのを再開した。

 

「──お、ゴモラ!ここここ!」

「あっ。お待たせ上鳴」

「お疲れぇ〜い」

 

上鳴電気はテラス席で何やら鮮やかなオレンジに輝くどこかトロピカルなドリンクと、小皿に盛られたチキンナゲットをつまみながら駆け寄る彼に声をかけた。

 

「一緒に食お〜ぜ、お前もなんか頼まん?」

「ん、そうだね。上鳴が頼んだやつっておいくらだった?」

「880円」

「おっけー、買ってくるよ」

 

 

びちゃり。

 

 

「「……?」」

 

突然の音に二人して顔を見合わせる。このテラス席はいわゆる水上テラス。店がある地上から乗り出す形で水の上に浮かんでおり、さざなみ程度の音など常に聴こえている。がしかし、

 

 

 

びちゃり。ずり。

 

 

 

──再びなったこの音は妙に質量がある。水が何かに掛かった音というよりは、水に濡れた雑巾かなにかでもぶつかったような音といえばわかるだろうか。

 

「…………幽霊?」

「やややめろよゴモラ!こんな昼間っから」

「いやでも、泳いでる人も大きな魚も見当たらないし──」

 

 

 

 

びっちゃ。ずりずり。

 

 

 

 

「「……………………」」

 

音のした方を揃って見やる。テラスの端が妙に濡れて──……、…………、

よくよく見れば…………

濡れたテラスの色が…………、

人の手の形に見えなくも──…………?

 

「「…………………………」」

 

・・・・・・。

 

 

「な、なぁんだ脅かすなよな──」

 

べちゃり!

 

それは、そこには、どこからどう見ても、どう解釈しようとも──人間の手が。

 

「ぃいやぁぁーーーーーッ」

「ぅうわぁぁーー……あ?」

 

「おな……おなかへった……」

 

「ま、待って?!人だ!助けないと!」

「なんっ!?引き上げるぞ!」

 

テラスの床はそれなりに滑る上に、安全用の柵が付いている。伸ばされた手は何度もその床を滑り、体を押し上げることはなかったのだ。故に彼女は幾度となく音を鳴らし、しかし姿を見せることができなかった。

 

「柵が邪魔だ……!」

「俺、向こう側行って引き上げる!上鳴は受け取ってくれ!」

「お、おう!」

 

五毛楽は柵を乗り越え、その手を確と掴む。脚を柵に回して体を固定し、身体ごと水上に引き上げる。濡れた体と服にびしょびしょにされるのも厭わず、柵の向こうの上鳴電気に引き渡した。

 

「コンビニでタオル買ってくる!」

「おなか……」

「どうした?何かあったのか?!」

「おなか……へった」

 

ぱっと引き上げた女の子の状態を見る。呼吸の乱れなし。意識あり。体温は若干の低下はあるが軽度──固まる上鳴電気。お腹減った?

 

……何か食べれるものはと考え、はっと先程まで自分が食べていたチキンナゲットを手に取り、少女に近づける。

 

「チキンナゲットならあるけど……食べられる?」

 

ふるふる。

 

少女は小刻みに顔を横に振った。どうやらお気に召さなかったらしい……

 

「何がほしいとか──」

「ば、ってりー……。電池とか、欲しい」

「バッテリー?電池……??電池って、乾電池とかの?」

 

こくり。

 

今度はその首が縦に振られる。

 

何故か、と考える頭は残念ながら混乱中の彼には備わっていなかったし、自らの個性も助長して、問いに出されることはなかった。

 

「でっ、電池はねえけど!」

 

彼は指先から細かな電気を放つ。

 

「俺の個性は電気なんだ、なんか充電でもするのなら──」

 

ぱくり!

 

少女は一も二もなくその指にかぶりき、ちゅうちゅうと吸い始めた。

 

「……え??…………????」

 

しかし、彼はここであることに気づく。……指先に纏っていた電気がどんどんと消失していっているのだ。

 

──いや、消失ではない。少女の先程の「お腹が減った」という発言と、何か食べたいものはという質問に対して「バッテリーか電池」と答えたことを鑑みると──

 

イコール、少女の食事は電気。

 

「なる、ほど?」

 

未だちうちうと吸い続ける少女は物足りないようであった。ので、彼は電気の出力を上げる。すると、必死だった彼女の顔が少し綻び、仄かに喜んだように見えたのだ。

 

彼は己の指先を一心不乱に吸われるという不思議な体験に、どこか母性のようななにかを感じそうになっていた。……というか、意識してなかったが──女の子の口の中あったかいなあ?あはは?

 

「──な、何してんの?」

 

「……あ、ゴモラ」

 

五毛楽はタオルを複数枚購入し戻ってきたのだが、戻ってきたら友人の特殊プレイを見せつけられて軽く混乱していた。上鳴電気・少女両者ともにぺたんと座り込んだまま事に及んでいるので、余計なにかプレイ感が増している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あ!というか、この子ガンダーの時の……」

 

「っ!」

 

彼は、水を吸ってしわくちゃになったその服装に既視感を覚えて記憶を探れば、ちょうど先日逃げられた人質の少女と同様の服装であるという事に気がついた。

 

「ま、待って待って!逃げないで!わかった、俺はなにもしないからっ。その金色の髪の子しか近づかないからっ」

「えぇ……?ゴモラ何したん?」

「何もしてないよ!」

 

そういえば、と彼女があの時頑なに手放さなかった背中のバックパックを見れば──ない。だが、その代わりに彼にとって少し親しみ深いものがあった。

 

尻尾だ。

 

白くて細長く、黒い稲妻のような模様がある。その長さは相当で、三から四メートルに届こうかというほどに。

 

彼は納得した。あの大きくてパンパンのバックパックは、あの尻尾をしまっていたのかと。

 

──それはそうと、

「どうしよう……」

 

座り込む二人、立ちすくむ彼。うち一人はもう一人の指をちゅぱちゅぱ吸っている。

とてもじゃないがカオスではないとは言えない状況に、彼は頭を抱えた。

 

 

*1
修行シーンはガッツリ長くやるか短くキッパリするかどちらかにしろって偉い人が言ってた。ので短くする

*2
ズコー。




※カプセルズとさよならバイバイ

謎の少女()。
誰なんだろナー。
白くて雷模様の長い尻尾なんて知らないナー。
わかんないナー。

わからない方は次をお待ち下さい。
それではまた次話にて! イヤアッ!
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