やあこんばんは。前回異様にお気に入りとかが伸びたね!これも最終巻発売効果かな?!ってことで連投だあ!
これから彼らは一夏の青春を送るんだなあ(今我々冬)。学生時代の青春イベントは得難いものですからね!皆さんはきちんと通ることができましたか?!私は、わ、わたしはこれからだ……ッ!!(震え声)
それでは本編どうぞ!
31
夏休み──林間合宿当日!!
「え?A組補修いるの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれれぇ!?」
トッ──。
「ごめんな」
物間寧人は拳藤一佳にすぐさま鎮圧された。具体的には手刀で意識を刈り取られ、ズルズルと引き摺られて退場して行った。因みに誤解なきよう述べておくが、A組とB組は決して成績の如何で配分されたわけではない。
彼はA組を敵に回すと同時に、無意識のうちに己がクラスまで貶めているということを自覚していないのだろうか。それとも捨て身タックル的な思考なのか。
「物間
「体育祭じゃなんやかんやあったけど、まァよろしくねA組」
「
今更ながら、雄英高校一年ヒーロー科には美人さんが多い。そしてそれは、
「よりどりみどりかよ……!!」
「おまえダメだぞそろそろ」
「彼女らに手ぇ出したら俺らが許さんからな」
「A組のバスはこっちだ、バスの席順に並びたまえ!」
「あの、先生。エルが居ないんすけど知らないっすか?」
「エルは諸事情あって先に行ってるよ。心配しなくても後で合流する」
かくしてバスは軽快に走り出した。山の中の高速道路を通り、
だが──浮かれきっているクラスメイトの面々はそんなことお構いなしとばかりに騒いでいた。
「一時間後に一回止まる。その後はしばらく……」
「音楽流そうぜ!夏っぽいの!チューブだチューブ!」
「ポッキーちょうだい」
「バッカ夏といやキャロルの夏の終わりだぜ!」
「終わるのかよ」
「席は立つべからず!べからずなんだ皆!!」
「しりとりのり!りそな銀行!う!」
「ねえポッキーをちょうだいよ」
「ウン十万円!」
……相澤消太は唖然としたが、すぐに持ち直した。普段から彼によく躾けられている生徒たちも、この状況においてはワクワクや期待が上回ってくれるようである。
「(まァいいか……わいわいできるのも今のうちだけだ──)」
一時間後。
ザッ……
「休憩だー……」
「おしっこおしっこ……」
「つか何ここパーキングじゃなくね?」
彼らは何かの空き地らしきエリアに降り立った。目の前の視界には壮観とも言える山々とそれを覆う木々のみが映り、清涼な空気は窮屈なバスの中の些細なストレスを洗い流す様であったが──
彼ら彼女らの思う通り、ここはパーキングエリアなどではない。
「ねえアレ?B組は?」
「お……ッ、おしっこ……
トトトトイレは……」
「なんの目的もなく、では意味が薄いからな」
「よーーうイレイザー!!」
「ご無沙汰してます」
相澤消太が頭を下げ、意味深な発言をした先にはとあるヒーローがいた。
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
「今回お世話になるプロヒーロー、『プッシーキャッツ』の皆さんだ」
「連盟事務所を構える4名1チームのヒーロー集団!山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる──」
「心は18ィ!!」
「へぶ!」
ゴスロリファッションに身を包んだ30歳だって素敵で綺麗なお姉さんではないか、何が悪いのか。その少女趣味チックで猫をモチーフとした服装の二人は徐に背後の山々を振り返ってピッと指を差した。
「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。──あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」
「「「遠っ!!」」」
ザワ……
異様な空気がクラスメイトを取り巻く。ありえない想定を前に、笑えない雰囲気や苦い感情を隠しきれない者が多い。
「え……?じゃあ何でこんな半端なとこに……」
「いやいや……」
「バス……戻ろうか……なっ?早く」
「今はAM9:30──早ければぁ……
十二時前後かしらん」
何気なく呟かれる不穏な言葉。勘のいい者は慄く様に後退ったり顔を青ざめたり……だが、未だ彼女らが喋る言葉は何を意味しているのか理解できていない面々も居る。いや、理解を拒んでいると言った方が正しいのか。
「ダメだ……おい……」
「戻ろう!」
「バスに戻れ!!早く!!」
「12時半までに
「悪いね諸君。
ボゴ!!
プッシーキャッツの一人が地面に手をつけたかと思いきや──地面が濁流の様に盛り上がり、彼らを巻き込み、崖下へ叩き落としてしまったのだ。
━━合宿はもう始まってる」
「うおあああ!?」
「耳郎さ──うごわ!」
FOOOM!!
「私有地につき“個性”の使用は自由だよ!今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!この…… “魔獣の森”を抜けて!!」
崖から叩き落とされた先は、当然の如く鬱蒼とした木々の立ち込める深く昏い森。日中、日の差し込む朝方だというのに木々が日光を遮って憚らないその景色は、先程までの清々しい風景が嘘の様だ。
「ゲホッ、土だこれ!ッ──大丈夫?!耳郎さん!」
「大丈夫……キャッチしてくれたし、土も硬くなかったし──雄英こういうの多すぎだろ……!」
「文句言ってもしゃあねえよ、行くっきゃねえ」
幸いにして、かなりの高さの崖から落下したにしては誰にも怪我はなかった様だ。この大量の土がかえって保護してくれたのか、それとも個性の産物であるが故にかの女性ヒーローがこう見えて一人一人を安全に卸してくれたのか。
「“魔獣の森”……!?」
「なんだそのドラクエめいた名称は……」
しかし半ば埋まってしまった面々が掘り起こされたり、土が服の中や口の中、眼などに入ってしまってそれを必死に落としている者も少なからずいる。告げられた内容に戸惑い、状況も相まって、飲み込めているのはごく少数だ。
「耐えた……オイラ耐えたぞ……!!」
膀胱が限界を迎えていた峰田実が木陰で用を足す為に全力で小走りする。上半身から膝までを動かさず、その先の関節のみを用いた器用な走り方で。
だが、その木陰から現れた異形がいた。
眼窩の存在しない甲殻の様な顔。木や岩の捻れたような見た目をしている、屈強そうな体躯。総じてどこか凶暴な草食動物の様な、しかし現実にはありえない様なそれは──
「「マジュウだァァーーー!!?」」
「アッ────」
「鎮まりなさい獣よ、下がるのです──」
「口田!!」
オ ォ ォ……!!
小心者のきらいを半ば克服しつつある口田甲司がバッ!と飛び出し、その動物を操る声を放った。鬱々とした森の中にあってもその声はすぐに響き渡り、事なきを得たかと思われたが、
「!?」
「(動物を従える口田くんの個性が……通じてない!?)」
かの魔獣の耳には届かなかったようだ。
「(──……土くれ……!!そうか!)」
五名の生徒が飛び出し、魔獣を穿つ。
──その魔獣の破片からは、体液も何も、生き物の残滓を感じさせる何かはこぼれすらしない。
緑谷出久の想像通り、この魔獣は生物ではなく個性の産物!プッシーキャッツが一員、ピクシーボブの個性により操作されていた謂わば人造モンスターであった。
素早い判断力と行動力、それに見合った実力で魔獣を破壊せしめた五名の生徒とは──轟焦凍、飯田天哉、緑谷出久、爆豪勝己、五毛楽。一人は氷結を張り巡らせ、一人はその巨躯を蹴り砕き、一人は伸びる腕を叩き潰し、一人は足の付け根を爆発で引きちぎり、一人は魔獣以上に巨大化した腕で胴体ごと破壊した。
「あっ、ゴモラ!お前が巨大化して皆運べば良いんじゃねぇか?!」
「!アリかも!」
「おい、ここで変身すると俺らが潰れるぞ」
「……服も破けちゃうだろうし、ちょっと離れて脱いでから変身してくるよ」
「そういう運用もできるのか。……しかし、それはそれで先生方の合宿としての意図を無視することになるのでは……?」
彼はクラスメイトが近くに居る状況で服を全て脱ぐのは少々恥ずかしかったが、意を決して制服と下着を畳み、一人ついてきてくれた上鳴電気に丁寧に渡す。
「ゴモラお前……結構でっけーのな」
「う、うるさいッ!もう巨大化するし、危ないから離れてっ」
股ぐらを腕で隠しながら彼は抗議する。悪い悪いと笑いながら上鳴電気はクラスメイトの元へ戻っていった。
「フー……ギ」
ぶるりと身を揺らす。足裏。膝。腰。背中。肩。──全身。どんどん、膨れ上がった。
『SHAaaaaaaaッ』
バキバキバキ!メキ!木々を薙ぎ倒して天を衝くように首をもたげたゴモラは、木々の隙間から見えるだけでも圧倒的な存在感がある。
「おお!ゴモラ!」
「っぱでっけー」
「見るのは体育祭以来だね」
『GISHaaa』
彼は崖の下、A組のクラスメイトが集まるそのちょっとした広間に手を差し伸べようと屈んだ──
『想定通りだな。頼んだぞ、
「……はい。キ──
──ィイイィイィイイイ!!」
ゴモラの背後、数十メートル先だろうか?先程のゴモラと全く同じようにして、雷の王……エレキングが立ち上がった。いや、ゴモラより痩躯な分薙ぎ倒した木々は少し少ないが、それは置いておいて──エレキングは甲高い鳴き声を、激しく威嚇するように放った。
『KIIiiiiIIII-I-II-iiiッ!!』
「あ、あれってエルちゃん!?」
「マジかよエルちゃんもあんなデッカくなんの!?!?」
「いや、それより今現れたってことは──」
「まずいっ!」
ゴモラは慌てて振り返った。しかし、すぐ背後に現れたエレキングの攻撃に間に合う筈もなく、
B!Z!Z!Z!ZZZZZZZ!!!!
『KIIiiiiii──ッ』
『GIGYAGAGA aaaaaA Aッ』
バチバチバチバチバチィ!!
ゴモラは
ぶるぶると痙攣しているゴモラは白目を剥きかけていた。なんとか気絶は避けているようだが、無防備な状態での攻撃は相当堪えたようである。
『あー、あー……崖の上からだが、一つ言い忘れていたことがある。五毛の巨大化を用いてこの森を突破しにかかれば、攻略は容易だろう……』
突然、機械を通したような大きな声が響き渡った。それは彼らにとってとても聞き馴染みのある──そう、相澤消太の声。上を見上げれば、ハンディメガホンを手にした相澤消太が彼らに向けて喋っている。
「スピーカー!?相澤先生!」
「対策済みだったかー……!」
『だが、その状況は好ましくない。ので、五毛の対抗戦力としてエルを投入した』
無慈悲な発言だ。つまり結局は、各々の力を発揮してこの森を突破するしか方法はないと言われているのだから。だが当然だ。先程もそれを踏まえたようなセリフを発していたのだから。
『五毛が巨大化しようがそれはお前らの自由だ。だが、エルは五毛が巨大化している時に限り妨害してくるステージギミックってとこだ……ま、魔獣に比べて危険度は段違いだろうがな。健闘を祈ってるよ』
具体的には、巨獣二匹の格闘による地響きに地割れ、
「……っちくしょーォォ!!
行くぞォオアアア!!」
「戻れ五毛ォォォ!!」
「やってやらぁあああ!!」
「……はぁ、結局はこうなんのね」
「見て、エルちゃん土の鎧で武装してるわ」
「ホントだ、強そう!」
掛けられた言葉に応じてゴモラの巨体が見る見る縮んでいくのにつれ、相対するエレキングの身体も萎んでいった。上鳴がゴモラの足元に走り、服を届けに行ったが……
彼らは観念して、この森を突破することを心に決めた。拳を打ち鳴らす者、個性の調子を確かめる者、息を整える者──
彼らの様子は十人十色、様々であったが……しかし、足を止めようとする者は居なかった。
容赦なく襲いくる魔獣をそれぞれが撃退し、ただ指し示された場所へと歩く。まごまごとした葛藤や畏れはそこにはもう存在しない。元々皆が合宿を楽しみにしていたということも勿論あるが──彼らは強くなる為にここへ来た。立ち止まっている時間など必要ないのだ。
──日の傾く頃。
※ズルは許しまへんで。
短めでしたが、区切りも良いのでこれくらいかなあと。
今更だけど、個性伸ばし訓練何すっかなあ……まあ、決めてるけどもっと良い案はないものか。模索模索。なんかアドバイスとかあったらどしどし頂戴な!
……アレ?こういうのってダメだっけ?じゃあダメ!
ちなみにエルちゃんは先にたっぷりご飯をもらっているので、特段辛い目にあったりとかはない。別に魔獣を差し向けられてたわけでもないし。