怪獣殿下のヒーローアカデミア   作:ぶ千切れた尻尾

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ご投稿だあー受け取ってくれ〜。
五毛くんの描写が少ない……いやその、次回はすっごい五毛くんに割くつもりなので、許して……
ストーリーにもーっと起伏が欲しいですね。
皆もずっと平坦な感じじゃつまんないよね。
改善しなくちゃなあ……
本編どうぞー


35 闇からの(への)レクイエム

 

 

──前日、夜……教師やヒーロー陣を除き、全ての生徒が眠りについて一つの明かりもない、丑三つの入り口。とある巌崖、その上から森の端から端までを睥睨する一団が居た。

 

「ていうか、これ嫌。可愛くないです」

「裏のデザイナー・開発者が設計したんでしょ?見た目はともかく、理には適ってるハズだよ」

「そんなこと聞いてないです。可愛くないって話です」

 

駄々を捏ねているのは、ものものしくおどろおどろしい装備を身につけた女子高生……らしき少女だ。口元のマスク・バックパックからは幾重にも管が束ねられている。

 

「どうでもいいから早くやらせろ……ワクワクが止まんねえよ」

「黙ってろイカれ野郎共。まだだ……決行は……」

11人揃ってからだ、そうだよなァ?」

「おまた──」

「仕事……仕事……」

 

全身を拘束具に包んだ男にしわがれたマスクを顔にする石竜子男、サングラスとたらこ唇で大きく布に包まれた柱を持つオカマ、()()()()()()()()()()()()()()()──

 

「威勢だけのチンピラをいくら集めたところでリスクが増えるだけだ。……やるなら()()豊富な少数精鋭。まずは思い知らせろ──てめェらの平穏は俺たちの掌の上だということを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肝試し待機班集合広場──

 

「ご機嫌よろしゅう雄英高校!!我ら敵連合開闢行動隊!!」

 

ギャハハハハという不快な嗤いが火の手に照らされる夜闇に響く。片や大手を広げて自らの存在をアピールし、片やその大きな武器で血を流すヒーローの頭を地に押し付けている。

 

「敵連合……!?なんでここに……!!」

「この子の頭潰しちゃおうかしら。どうかしら?」

「させぬわ、この……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中、五毛楽は毒煙から逃れる様に尾白猿夫を抱えて走る。しかしやはり持ち前の身体能力をもってしても毒にうつ手立ては少なかった。ヒーロー達のいる施設には向かいたいものの、運の悪いことに毒煙が濃い方向にその施設は存在する。

 

尾白猿夫は無意識に毒煙を吸い続け、五毛楽にこの煙が有毒であることを伝えて倒れてしまった。その尾白猿夫を抱えているゆえに、ゴモラの耐性を当てにしてつっきることもできない。

 

『皆!!!』

「ッ!マンダレイ!」

『敵二名襲来!!他にも複数いる可能性アリ!動ける者は直ちに施設へ!!会敵しても決して交戦せずに撤退を!!』

「おっけー了解……」

 

ヒーロー・マンダレイの“テレパス”で伝えられた状況は、やはりこれは偶発した事故やそういった類のものではなく……敵の悪意によって生まれた窮地に他ならないことを示している。

 

額をたらりと汗が滑り落ちた。状態は非常にまずい。大ピンチだ。──いざとなればと着地先を考えず高く跳ぶことも考えていたが、敵の目的がどう考えても生徒もしくは雄英関係者である為に、捕捉されてはまずいのでそれもできなくなった。

 

「つーかこれ……煙じゃなくて、霧……ガス……だよな。ッけど……!いや、下に流れるっつったってもともとある状態よりマシだ……!!」

 

ド ゴォ オオオ ン!!

 

「(耐えろよ尾白ォォォオ!!)」

 

 

 

 

 

『(良いんだね、イレイザー……!?)

 A組B組総員──……戦闘を許可する!』

『敵の狙いが二つ判明──!!』

『生徒の「かっちゃん」!!「()()()()」!!』

『わかった!?』

『二人はなるべく戦闘を避けて!!単独では動かないこと!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって──

 

ボロボロになって上裸のまま、森の中を駆ける一人の生徒がいた。

 

「(皆どうなってる……!?かっちゃん達は肝試しで二番スタートだった……)」

 

血狂いマスキュラーをギリギリで(くだ)し、洸太少年を施設まで送り届けた緑谷出久である。マンダレイに情報を伝達しつつ、引き止められても止まる事なく溢れ出るエンドルフィン*1に身を任せ、皆を救う為に走っていた。

 

「(動いてないならそう遠くには居ないハズ──……)」

 

その時、

「!?」

 

木々の奥から黒く大きい流動形の鋭い腕が緑谷出久を握り潰さんとばかりに飛来する。咄嗟に彼は避けようとするも──

 

ズグ「──っあ……!」

 

ボゴォッ!!

 

これ迄の戦闘で負った傷の痛みにより、避ける事は叶わなかった。一貫の終わりかと思われたが、しかし緑谷出久は無事であった。

 

「────……!?」

 

彼の目の前に在った壁──いや、居た男は障子目蔵。太く束ねられた片腕たちで確りと緑谷出久を背負っていた。しかし、夜闇に紛れてはいるものの、彼自身も少なくない傷を負っていた。息も荒く肌からは血が滲んでいる。

 

「障子くん……!?」

「ハァッ……ハァッ……その重傷、もはや動いて良い体じゃないな……友を救けたい一心か、呆れた男だ」

 

バキ……!

オオォォォ……

ドォン──

 

「今のって……」

「ああ。敵に奇襲をかけられ()()()()()……しかしそれが、奴が必死で抑えていた個性のトリガーとなってしまった。……ここを通りたいならまずはコレをどうにかせねばならん」

 

常闇踏影の個性──黒影(ダークシャドウ)。緑谷出久は本人から聞かされて、闇が濃ければ濃いほど、暗ければ暗いほど攻撃力や純粋なパワーを増すものの、肝心の黒影が獰猛になり制御が難しくなることを知ってはいた。だが……これは……

 

ズァアアアア……!!

 

目の前に見えた()()は、木々をその膂力で引きちぎり、地や岩を抉り、主人である常闇踏影を飲み込まんと凄絶に暴れるそれは……明らかにその想定を超えていた。

 

俺から……っ、離れろ、死ぬぞ!!

 

「常闇くん!!」

 

ズガァン! ゴガァン!

 

「どっ、どういうこと──」

「静かに……マンダレイのテレパスで緊急事態を知り、俺たちはすぐに警戒態勢をとった。……直後、背後から木々を裂くような音が迫り、何者かの刃に襲われた……変幻自在の薄く素早い刃だ。俺は常闇を庇って草陰に隠れた。が……その時に腕を掻っ切られた」

「腕……!?」

「傷が浅いわけじゃないが、失ったわけでもない。俺の個性は複製器官自体も複製できる……斬られたのはその末端だ。それでも奴には耐えられなかったのか……

 抑えていた黒影(個性)が暴走を始めてしまった

 

今もなお、眼前の黒影は暴走を続けている。理性をかなぐり捨て、周囲を食い散らかし、そのクラスメイトの五毛楽にも届かんとする大きさの巨腕を振るうのだ。

 

「闇が深いと……制御が利かない。こんなピーキーな個性だったのか…………つっ!」

「その上、恐らく奴の義憤や悔恨などの感情が暴走を激化させている……奴も抑えようとはしているが……」

 

パキッ。

 

じりじりと後退する障子目蔵の足が小枝を踏み締めた瞬間──

「「!!」」

 

ボグォ!

 

その場所を──先ほどまで彼らがいた場所を昏い手が穿つ。間一髪で避けた障子目蔵は別の木の背に隠れた。

 

「動くモノや音に反応し、無差別攻撃を繰り出すだけの……モンスターと化している」

「〜〜〜!!俺のことは……いい!ぐっ……!!他と合流し……!他を救け出せ!!──静まれっ……黒…影!!」

 

 

「光……火事か施設に誘導すれば鎮められる。緑谷──俺はどんな状況下であろうが苦しむ友を捨て置く人間にはなりたくない」

 

 

障子目蔵の瞳はただひたすらに目の前のモンスター(常闇踏影)を見据え、退く意思などちらとも見せはしない。

 

「おまえは爆豪(幼馴染)が心配でその体を押して来たのだろう?まだ動けるというのなら……俺が黒影を引き付け、道を拓こう」

「待ってよ、施設も家事も距離がある……そんなの障子くん危な────」

「!!」

 

ドガァッ!!

 

見つかったのか、闇雲な攻撃を偶々引き寄せたのか、二人が隠れている太い木を一撃でへし折る腕を再び跳ねて避ける。

 

「わかってる。助けるという行為にはリスクが伴う……だからこそヒーローと呼ばれる。このまま俺と共に常闇を救けるか、爆豪のもとへ駆けつけるか……おまえはどちらだ?緑谷……

「…………………………ごめん、障子くん……」

「──?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ地形と個性の使い方がうめえ」

「見るからにザコのひょろガリのくせしやがってのヤロウ……!」

 

B組の円場硬成という男子生徒を背負ったままに轟焦凍が分厚い氷壁を張って防御するも、上空に佇むヴィランの手繰る()はそれを容易く貫通し、しかし彼らは場を引き伸ばす為にその行為を重ねるしかない。爆発や炎は森に火をつけ、自身らの首を絞めてしまうのだ。

ドゴォ……

 

「(相当場数踏んでやがる……!)」

肉、見せて

 

ヴィランの名はムーンフィッシュ。脱獄中の死刑囚、ムーンフィッシュ。拘束具に全身を包み、自身の伸びる鋭い歯を用いて、蜘蛛の足か何かの様に上空を移動する様はまさに異様の一言である。

 

今しがた凍った木に歯を刺し、じりじりと彼らに近づいて来ているムーンフィッシュは肉、特に人肉の断面を好む異常性癖持ちの快楽殺人鬼。その名もその道の者には広く知られ、恐れられる凶悪なヴィランだ。

 

「ここででけえ火使って、燃え移りでもすりゃ全員死ぬぞ。わかってんな?」

ドッゴォ……

「喋んな、わーっとるわ」

「(退こうにも、後ろにはガス溜まり……こりゃわかりやすく縛りかけられてんな)」

 

ガ ガ ガ ガ ガ ガ!!

 

絶え間なく浴びせられる歯の斬撃に彼らは依然防戦一方のまま。

 

近付けねえ!!クソ、最大火力でブッ飛ばすしか──」

「だめだ!」

「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!!」

「爆発はこっちの視界も塞がれる!仕留め切れなかったらどうなる!?……手数も距離も向こうに分があんだぞ!」

 

「──いた!氷が見えた!交戦中だ!

 

ドゴォ──!バキィ!!

 

「!?」

あ……?

 

──

 

爆豪!轟!どちらか頼む──

光を!!!

 

ギュオ!!

 

障子目蔵の手を掻っ切り、氷の壁をも貫く歯が再び迫る。が、彼らを追うモンスター(ダークシャドウ)にとって、そんなことはどうでも良い

 

  ド  ガ

あ゛っ

 

爆豪勝己ならびに轟焦凍は唖然、呆然とした。先ほどまで、死を覚悟するほどに苦戦していた凶悪なヴィランが──まるで足元の小枝を折るかの如く、一瞬で叩き伏せられてしまったのだ。

 

緑谷出久にはどちらかを選ぶ事など出来なかった。……故に、複製腕を複製し、本体から離れた位置で音を放ち囮として誘導。この暴走した常闇踏影に有効な技を持つ二名の元へ走り抜けてきたのである。

 

「──かっちゃん!」

「障子、緑谷……と──常闇!?」

「早く光を!常闇が暴走した!!」

 

轟音をあげながら、見上げるほどのサイズにまで膨れ上がった黒影が迫る。氷と地面を叩き割りながら暴れる巨影はとてもではないが、まともな思考がある様には見えなかった。

 

「見境なしか……っし、炎を──」

「待てアホ」

 

 

 

 

 

 

 

肉〜〜……

 

黒影が通り過ぎたボロボロの道で、うつ伏せに倒れ伏していたムーンフィッシュが歯を使ってグゥーーッと体を持ち上げる。

 

駄目だぁああ、肉〜〜にくめんん……駄目だ、駄目だ許せない。その子達の断面を見るのは僕だぁあ!!!横取りするなぁあああああ!!!

 

ガッ!!

 

しかし、その歯は(しっか)りとした質量を持たぬ黒影には通用しない──文字通り、歯が立たず、その巨影に握り締められてしまった。

 

強請ルナ──三下!!

 

ミシッ、ミシミシッ……

 

 

 

「見てえ」

 

 

 

ガ ガ ガ ガ ガ ガ!!!

 

黒影はムーンフィッシュが掴まれている腕を用いて、眼前に蔓延る木々を薙ぎ払うかの様にぶん回した。圧倒的破壊。理性をかなぐり捨てた暴力。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛暴レ足リンゾォア゛ア゛ア゛ア゛!!

 

カッ!/ボッ!

 

「ひゃん!」

 

すかさず小爆発と小炎に照らされ、一気に勢いを失った黒影が常闇踏影の身体にシュルンと戻っていった。暴走に苦しんでいた彼も解放され、崩れ落ちるように膝をついて荒げた息を整えている。

 

「ハッ……!ハッ──」

「てめェと俺の相性が残念だぜ……」

「……?すまん、助かった」

「俺らが防戦一方だった相手を一瞬で……」

「常闇、大丈夫か、よく──」

 

「オイオイオイオイ……血狂いも月魚も学生如きにあっちゅーまにやられっちまってよォ……全く弛んでるなァ……!!」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ────ふっ────」

「おいおい無理に動くなよライト()マン」

「待て、殺すなよ!?全てはステインの意志の元に殺生を行うべきなんだからな!」

「うるせェ。……不意打ち、かつ味方庇っての一撃なんだがな。腹ぁナイフで刺されたろ?二、三回」

「ッ……君が焼いてくれたからね」

「あら、ホント良い男になりそうじゃない?必死に猫チャンを庇ってるわぁ」

 

乕間雨はB組の肝試し陣営にて人魂役を担っていた。しかし──ヴィランの襲撃に遭い、それも滅茶苦茶。彼は急いで付近にいるラグドールの元へ向かった。毒に参った生徒を一人抱えながら。

 

そしてラグドールと合流。纏まって施設を向かうことになった乕間雨&ラグドール一行であったが……木々に紛れた闇からいでたヴィランの襲撃。完璧な不意打ちをしかし、その大半を乕間雨は防いで見せた──

 

が。相手は五人いた*2

 

全ての攻撃を凌ぐことは能わず、漏れた攻撃はラグドールの後頭部と乕間雨の腹部に直撃。結果として、戦闘得意のヒーローではないラグドールは昏倒。乕間雨も致命傷に近い傷を負ったが、足元のクラスメイトだけは完全に守って見せた。

 

「てめぇは念入りに殺しとかなきゃなあ」

「殺せなくても足止めはしなくっちゃね!」

「どうでも良ィ……!!ブッ殺させろ!!」

「ネホヒャンッ」

「チッ……英雄に成れる逸材かもしれんが、まあ良い!」

 

五VS一という絶望的な状況。しかも、足手纏いを二人連れて。いくら遠距離攻撃が可能とは言え、非常に厳しいと言わざるを得ない。──加えて、今は夜間だ。エネルギーの補給もままならない。

 

「……()()()()()()()()()()()()()。死ぬ気で殺すぞ」

「ッ…………?」

 

……運命はヴィランばかりでなく、乕間雨にも確かに微笑んでいたのかもしれない。

 

「……ッはは」

(なァに)笑ってやがるコイツ」

「絶望したんじゃない?可愛いわねぇ」

 

「(エネルギー残量、スタミナとの戦い──)」

 

ドヂュウン──!!

 

「「「……は?」」」

「(結構……ッ、体力ッ、持ってかれるね……でも、思った通りかもしれない)」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

手加減しなければならない制約。殺さぬ為の苦戦。枷が取っ払われた彼の攻撃は──

 

例え彼らヴィランが全員本物であったとして、誰も耐えることはできなかった。

 

「ははは……!!かかって、ッこい!!」

「チッ……!余計なこと言ったか!」

 

まさか、絶望させるための一言が──箍を外すトリガーになるとは誰も思うまい。

 

 

*1
脳内麻薬物質。強い鎮痛効果がある

*2
荼毘(copy)・マグネ(copy)・スピナー(copy)・マスキュラー(copy)・荼毘専用脳無(copy)




※敵キャラ一人一人がそれなりに強くて残機無限の、終わりなしなゾンビゲーを現実でやらされるって聞くと普通大抵の人は絶望するんだよ?
まあ、彼は普段から意識的にやってる手加減を取っ払って戦えるので、(負傷を除けば)彼は普段の戦いより楽してます。

爆豪護衛部隊の発足シーンに割り込んで来たヴィランはオリジナル(クロスオーバー要素あり)の新キャラです。開闢行動隊に一人増えたね!彼はめちゃくちゃ強いです。ガンダーなんかめじゃない。マスキュラーと似たようなパワータイプのヴィランです。

……え?名前?……いやあ、知ってる人からしたら一発でモロなネタバレになるからなあ……。まあ、知りたい人だけ解読してね。
辺武良 纏(な べむら まとい )
個性は内緒だよ。まあ、名前の漢字に関係するヒロアカ世界の法則には従ってる(オリキャラにしては珍しく)。

評価・登録・感想よろしくね。
ではまた次回。
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