怪獣殿下のヒーローアカデミア   作:ぶ千切れた尻尾

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視点が二転三転して読みづらいかもしれないです。それに……五毛くんにめっちゃ割くとか言っときながら……!!実はそんなに出ねぇ……!!有言不実行、大言壮語の極み……!!ダメだもう……!!

アホみたいに難産でしたねえ。あくまで拉致の為の襲撃だから戦闘にチンタラ時間かけるわけにはいかないし、かと言って削ると薄味になるし(手遅れ)

本編どうぞ。


36 夜襲 -キッドナップ(ナイトレイド)-

 

 

 

 

 

*1

 

「おォおォ、月魚の歯ァがバラバラになってやがらァ……ま。有効活用させてもらうぜェ」

「誰だ……お前!」

 

夜闇。仄かに遠い炎が照らす暗い空に映る、爛々と光った対の瞳。見上げるような大男は一枚一枚が大きく更に光沢を持つ鱗と同じく黒々とした禍々しさを醸す棘を背負っている。

 

その威圧感たるや、何人も出揃った爆豪勝己らを人睨みでカチンコチンに固まらせてしまうほど。それが個性などではないというのだから、相対する彼らにはたまったものではない。

 

その大男はといえば、じゃらりじゃらりと豪快な音を立てながら、ムーンフィッシュの砕けた歯を集めていた。

 

「俺ぁ敵連合の新入りさ……元気の良いこったな。その爆発小僧以外は(すべから)くコロすかぶっ壊しちまわなきゃいけねェのが残念だぜ」

「ッ……!」

「舐めやがって……!!」

「子鹿みてーに震えといて、舐めるもクソもねェだろ?ハハァ」

 

目の前で今大男は、背を向け腰を落とししゃがみ込んで黙々と歯の欠片を集めている。……無防備だ。いっそ無警戒と言っても良い。しかし、誰も動けない。その躰から滲み出る圧が、動けば(くび)り殺されるぞと声高に謳っている。

 

「まァ……ヴィランとしちゃあ一年かそこらのペーペーさ」

「この……!!なんでかっちゃんを狙うんだ!!」

「ん──……。なんつってたかな、アレだ。()()()に居る人材じゃねえとかなんとか?まァ、毛程も興味ねえが」

 

ぐるり。

 

重苦しい雰囲気を醸し出すその体躯が、こちらを向く。ウエストポーチに歯をしまい終わったらしく、その鱗を纏った拳はいつでもヤれるとばかりに閉じては開いてを繰り返していた。

 

「手加減は期待するなよ、ヒヨッコ共ォ!!」

「避けろーーッ!!」

「退けぇーーッ!!」

 

──轟音が響く。炎の燻る音や、立ち込める煙をかき消し、その破裂にも似た音は広がっていった。直径約10〜20mほどか、離れていた轟焦凍や常闇踏影の足元にも深い亀裂が及ぶほどの地への打撃。

 

飛び出した巨躯。闇の所為で視認しづらいそれはまるで瞬きの間もなく眼前に迫っているが如き豪速。……咄嗟に飛び退けていなければ、今頃緑谷出久と障子目蔵は右半身を消失していたことだろう。

 

避けられるとは思っていなかったのか、少しばかり面白そうな感情を顔に貼り付けて、その凶器の様なその腕を地面から引き抜いた。

 

「なんつーパワーだ……!食らったらひとたまりもねえぞ!」

「見りゃわかるわクソが!!」

「ダークシャドウでも勝れるかどうか……!!」

「……へェ、良い反応じゃねぇか。着地の時によろめいてなきゃもっと格好ついたがな。冥土の土産に名乗っとこう──

 俺はナベムラ。ヴィランネームはまた考えとくぜッ」

 

ごうッ!

 

再び拳を引き絞ったナベムラが地を蹴った音だ。狙うのは当然、距離が近い上に姿勢を崩したばかりの障子目蔵。

 

「シカトしてんじゃねェェぞッ!!」

「おッ」

 

しかし、障子目蔵の一点狙いであるということと先の発言から自分を殺すつもりがないことを看破した爆豪勝己によって横槍が入り、障子目蔵は再び一命を取り止めた。

 

「なかなか良い爆竹だ。サウナの代わりにゃなるかもな──」

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ──……

 

「……なんの音だァ」

 

微かな地響き。それこそ、走っていれば気付かぬほどの揺れ。だが、それは音を伴い、また時が過ぎるにつれ大きくなっていく。

 

「おっと、気ぃ取られちまった。逃げんじゃねえぞ?うっかりコロしちま」

 

ゴ ゴ ゴ…ゴゴゴゴゴ!!

 

「なんだってんださっきから」

 

小石が跳ね、音が響き、それらは徐々に膨れ上がる。しかして、緑谷出久一行はじりじりと退がってはいるものの……決定的には逃れることができずにいる。

 

「チッ。ちっとひとまず俺と一緒に来い爆発小僧ォ!」

「行ってたまるかボケカスがァ!!」

「吠えるな吠えるな!チワワにしか見え──」

 

迫り来る地響きの音は続いていた。がしかし、焦れたナベムラは爆豪勝己に突貫し、その大きな掌で胴を鷲掴みにして()()去ろうと動いた。

 

……爆豪勝己の隣に立っている轟焦凍は、氷壁を張って彼を守りつつも別のモノ(コト)を視界の中心に捉えていた。

 

それは迫り来るナベムラではなく──その奥。不自然に盛り上がる土と、それが根本を通過する度に傾いていく木々。まるでデカい土竜(モグラ)が通った跡とでも言えばいいのか……そして彼は、その波もしくはその線が、一直線にこちらへ向かってくるのを見ていた。

 

「──さっきから近づいて来てたのはァア、テメェだなぁあ!!」

 

ズガドォオン!!

 

……これは、振り向いたナベムラがその足で地を踏み抜いた音ではない。その前に、地より飛び出した者がいる。

 

「オオオオアアッ!!」

「ちょこざいなあ〜ッ!!」

 

鳥を狙う鮫──いや、鳥にしてはデカいナベムラを狙うゴモラ。そう、飛び出して来たのは五毛楽であった。

 

「五毛!」「五毛くん!」「尻尾ッ!」

 

尾白猿夫を抱えた彼は、毒霧の漂う森を走破するのではなく、地中を進むことを選んでいた。尾白が埋もれたり酸欠にならぬ様気を遣いながらも、彼にできる最速で土を掘り進めた。

 

実のところ、五毛楽は当初、この場所を目指していたわけでもナベムラの撃破を狙っていたわけでもない。だが、道中でその土が異様に冷たくなっていく方向を見つけた。轟焦凍が個性を使用している──非常事態。

 

それに、決して一人にならないようにとテレパスで注意された。尾白猿夫を背負って一人進むよりマシだ……という大義名分にもならぬ非常事態と毒に濁った思考に身を任せ、彼は方向を転換した。

 

「喰らえやぁああ!!」

「遅ぇえ!」

「どうかなッ!?」

 

地中から飛びかかった五毛楽。彼は巨大化して噛み付くのではなく、その腕に備わった鋭い爪での引っ掻きを選択した。──だが、巨大化しないとは言っていない。

 

身を(よじ)るだけでその斬撃を避けたナベムラに、狙い通りであったと五毛楽は振るった右腕のみを巨大化。リーチは格段に伸び……ナベムラの胸を切り裂くに至る。

 

「(──(あっさ)い!!)」

「やるじゃねえか!!俺の鱗を突破するなんざよう!!」

「黙って帰れフ()ッキンモンスター!!」

「モンスターはテメェもだろォ!!ガハハハハハ!!」

 

五毛楽は罵倒しながら大きく跳躍。ナベムラを挟む形から、轟焦凍らのいる方向へと飛び移った。──ナベムラを捕らえる/打ち倒すことは困難であるし、優先すべきではない。現在優先すべきは生還であるから。固まった方が仲間同士で守り合いやすい上に、逃げ道を作ることで相手にとっての“退く”という選択肢を大きくさせる。

 

だが、彼の疲労・毒・異常に侵された頭は上手くそれを出力できていない。直感や本能に従うままに、仲間の元へ降り立っただけ。それが偶然運良く正しく働いただけ。

 

「背中のは……尾白か」

「毒にやられた、か……!」

「ヴィラン共が……!!」

 

だが、そんなことを知る由もない一行は突然の心強い味方の参戦に幾分か騒ついていた心を落ち着かせることに成功する。目の前のパワータイプと思しきヴィランに対抗できるパワータイプの合流なのだ。

 

「おォおォ……二大ターゲットが集まっちまった!こりゃあ退くわけにゃあいかんなあ……!!」

「…………逃げろ」

 

尾白猿夫を轟焦凍の氷壁に(もた)れ掛らせた五毛楽は(おもむろ)にそう宣った。

 

「なっ……!何言ってんだよ五毛くん!」

「見ればわかるくらいだ、アイツは強い……全員が揃って逃げればただやられるだけだ」

「お前、残って囮になるつもりか!?」

「無茶だ!」「考え直せダボがァ!!」

「それに──」

 

五毛楽は不自然に言葉を濁らせる。……ガスは下へ下へと向かい、溜まってゆくもの。地上の濃霧を突っ切るよりはマシであるが、その毒は五毛楽の身をじわじわと、確実に蝕んでいたのである。気を失いそうな中、そうはなるまいと心を奮わせていれば彼はどうなるのか──

 

「茶番は終いでいいかァ?」

「そろそろ、俺も理性が、保たなイ!!」

「──退避っ!逃げろお前らぁぁ!!」

GISHAAaAAAaAA!!

 

鱗という鎧を纏ったナベムラを、二万トンの足が踏み抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ奴も暴走してしまったのか!?だが、赤く脈打ってはいない!!」

「この毒は昏倒するまでが早い!それを無理に抗おうとしたのかもしれん!!」

「根性で耐えやがれやクソ尻尾がァァ!!」

「言ってる場合か!離れるぞ!!──巻き添えを食う!!」

「しかし……!!」

 

先程、障子目蔵は苦しむ友を捨て置くような人間にはなりたくないと常闇踏影を救う為に動いた。……だが、常闇踏影の暴走には『光』という明確な手段があるのに対し、ゴモラの暴走にはそんなものなどないのだ。

 

「ハアッ。ハァーッハハハハハ!!!

 最高だなァおい!!!」

 

「……はっ?」

「なんで……さっき踏み潰されてたハズじゃあ……!」

 

「テメェも()()にしてやらァァア!!」

 

飛び上がった一つの影──ナベムラが、完全に巨大化したゴモラの顔面を殴り飛ばした。ぐらり、揺れる巨影。軋む大地と木々。

 

「倒っ──」

「倒れるぞ!!こっちに!!……──逃げろぉおおおッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○●○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*2

 

「──派手に……ッ、やりあってるね」

「まだ軽口を叩ける元気があんのかy」

ドチュウン。ジュッ。

 

「おいおいやっぱ容赦なさs」

ビジュウン。ジュッ。

 

「やだわぁ!でも確実に疲労は溜m」

ギュウウン。ジュッ。

 

「(本当に、不味い……エネルギー切れの前に、失血か何かで、気を失いそうだ……っ)」

 

ただでさえ夜で何もかもが明瞭としないなか、朦朧とする意識と共に視界が端から黒に染まっていく。今はもう、脊髄反射で倒しているにすぎない。騒がしく襲って来てくれているから良いものの、騒がしくしている奴らが囮にでもなって誰かが静かに気配を消せばお陀仏になってしまうかもしれない。

 

足元のクラスメイトとラグドールはまだ目を覚まさず、寝転がっているせいでずっと薄く毒ガスを摂取してしまう悪循環。誰かが毒ガスの大元を叩いたのか、どんどん薄くなってはいるものの……既に毒に倒れてしまった者にはそれも関係がない。

 

「(踏ん張れ、私。私が、倒れたら、三人共ころされる……)」

 

アドレナリンエンドルフィンが切れ始めているのか、腹の刺し傷がズグズグと深い痛みを訴え始める。同時に焼かれたおかげで大きく血を失ってはいないが、膝をついてしまってから立ち上がれずにいる。

 

「おい、投入頻度がひk」

「遠いんだから仕方n」

「無駄口叩くn」

「(諦めさせる……退かせる……割に合わないと、思わせられれば……)」

 

遠くで揺れる地面と、何かがぶつかり合う轟音がずっと響いている。それはなんとか意識を保っている乕間雨の一助にもなっているが、同時に脳を揺らす障害でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*3

 

「トゥワイス。もう彼処への俺たちの投入は良い。あいつもフラフラで動けやしないさ……そのくせ、分身はバカスカ倒しやがる。割に合わない」

「ハンッ!雑魚だな!仕方ないさ、懐中電灯は強かったぜ。つまりお前たちも強い」

「辺武良がモンスターくんと交戦中らしい。爆豪ってやつはコンプレスが追ってるから、俺たちは集合場所に動くぞ」

「帰りたくねえな!さっさと行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*4

 

「──こない?」

 

最後の襲撃から約30秒経過。追撃は来ない。炎も、突撃も、ナイフもない。

 

「……終わった、のか?」

 

致命的な気の緩み。一瞬とは言えど、それは絶望的なまでの速さで乕間雨を取り込みにかかった。

 

「──しまっ、……」

 

朦朧とする意識、霞む視界、脳に血が回らない故の微睡、アドレナリンやエンドルフィンの終わりは沼のように彼を引き摺り込む。

なんとかあげていた片膝がどすんと地を突き、尻が踵を打った。どんどんと白濁していく思考に抗う術など、今の彼に残されてはいない。

 

ぐらり、どさ。

 

──彼は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*5

 

GISHAAAAAAAAAAAA……

ドドォン……

 

ぅおらぁああああああああぁ……

ゴゴォン……

 

「くそっ、救けようにも近付けねえ!」

「なんという破壊力……!先程のダークシャドウでも対抗できるかどうか……!」

「五毛の攻撃を耐えて、ぶっ飛ばせるアイツは一体どれほどの──……!」

「ッ麗日!?」

 

彼らは麗日お茶子と蛙吸梅雨、そして一人のヴィランと遭遇した。肝試しのルートへ飛び出たからだ。麗日お茶子がその制服らしき服装を纏ったヴィランに馬乗りになったまま、こちらに意識を向けた瞬間──

 

「障子ちゃん、皆……!」

「あっ、しまっ……」

ドッ!

 

気の緩みを察知したヴィラン──トガヒミコは麗日お茶子を突き飛ばし、その拘束を抜け出した。そして、反対側の茂みへと走る。

 

「人増えたので、殺されるのは嫌だから。バイバイ」

「!?」

「待っ……」

「危ないわ、どんな個性を持ってるかもわからないわ!」

 

音を立てつつも、素早い身のこなしで姿を消すトガヒミコに手を伸ばした麗日お茶子は蛙吸梅雨に静止される。そのまま彼女は去っていき、完全にその背中は闇へと消えた。

 

「何だ、今の女……」

(ヴィラン)よ、クレイジーよ」

「麗日さん怪我を……!」

「大丈夫全然歩けるし……っていうかデクくんの方が……!」

 

ドゴォン……

GISHAAAAAAAAA

おらぁああああああああぁぁぁぁ……

 

未だ怒号と獣の叫び、地響きや轟音は鳴り響き続けている。思わず振り返った緑谷出久はあることに気づいてしまった。

 

「……え?ッッ!!かっちゃん!!どこ!?」

「な?!」

「爆豪がいねぇ、だと……!!」

 

「彼なら」

 

油断や緩慢があったわけではない。強いて言うならば、周囲に蔓延る轟音で全てが紛れやすかったことと、正史よりも爆豪の守護への意識が薄かったこと。それくらいであろう。だが結果として、

 

「俺のマジックで()()()()()()()。こいつぁヒーロー側(そちら)じゃねえかもしれねえ……もっと輝ける舞台へ!俺たちが連れてくよ」

 

「「!!」」

「ーー!?っ返せ!!」

 

奪われてしまう。

 

 

 

*1
爆豪護衛部隊side

*2
乕間雨side

*3
荼毘&トゥワイスside

*4
乕間雨side

*5
爆豪護衛部隊side




この世界では、爆豪くん表彰台拘束事件か発生していないので、原作での『生徒を少人数のヴィランに奪われる程の雄英の脆弱さ』を世間に見せつけて不信感を煽る為……以外にも、AFOがオールマイトを曇らせるため〜とかいう動機や、表彰台での態度が跳ねっ返りだったので興味本位で過去を洗ってみれば幼馴染をイジメる奴だったから〜……みたいな理由の捏造がありそうです。

ゴモラやエレキング状態の彼らのモーションは、アニゴジの怪獣達の描写くらいの速度をイメージしています。飛行機はめっちゃ速いけど遠くから見たらゆっくりに見えるアレ(成長の余地あり)

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新規の読者さんを呼ぶにはどうしたらいいんだろうか……
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