大変……申し訳……
ありません、でした……
実に半年振りの新話投稿で、その厚顔無恥振りに作者自身が嫌悪しております。
今後もゆっくりではありますが、投稿自体は続けるつもりでいます。書きたいストーリーもありますので……信用ないでしょうが。
はあ、現実でもsnsでもダメな奴だよ作者は。
生徒四十二名+一名の内、敵の毒ガスによって意識不明の重体が十六名。重・軽傷者が十二名。彼ら彼女らの内、無傷で済んだのはたったの十三名のみである。そして──行方不明者が
プロヒーローも惨憺たる状態で、六名のうち一名が頭を強く打たれて重体に陥り、更にもう一名が大量の失血で斃れ緊急搬送された。
一方の敵側は、たった三名の現行犯逮捕。ムーンフィッシュ・マスタード・マスキュラー……いずれも特記すべき脅威ではあるものの、ヴィラン連合という組織の全容には程遠い。少なくとも、今回目撃されただけで十名──黒霧も含めれば十一名程凶悪なヴィランは存在する。
生徒ら皆が心待ちにし、楽しみにしていた林間合宿は……文字通りに最悪の結末を迎えたまま、終わりを告げた。
翌日、雄英教師陣は会議室に集まり緊急会議を開いていた。学校の周囲をマスコミが取り巻いていたが、彼らへの説明の場は他にあり、今はそれを優先すべきではなかった。
「敵との戦闘に備える為の合宿で襲来……恥を承知でのたまおう。“敵活性化の恐れ”……という我々の認識は甘すぎた。奴らは既に戦争を始めていた、ヒーロー社会を壊す戦争をさ」
「認識できていたとしても、防げていたかどうか……これ程執拗で矢継ぎ早な展開……“オールマイト”以降、組織立った犯罪はほぼほぼ淘汰されてましたからね」
「
相澤は予め配っていた、何事かが書かれた紙がホチキスで簡単にまとめられたものを手に声を上げる。その顔は苦渋に満ちている上に、懐疑や悔恨の念が透けて見えていた。
「確定した情報ではありません。その上、その内容自体もかなりあやふやだ。それを踏まえてご覧いただきたい──」
「…………これ、は」
五毛のデータと銘打ってはいたが、そのプリントらには四名の情報が載っていた。エル、ガンダー、そして……ナベムラ。それと五毛の情報だ。
林間合宿前、職業体験でミクラスの元にいた際に、エル並びにガンダー両名と遭遇。
──保護された少女エルからの情報によると、彼らは共にとある組織の実験によりその身に人造個性とでもいうべきものを植え付けられており、ガンダーは襲撃者/エージェントとして脱走者の始末、エルは脱走者としての立場で◯◯町に訪れていた。
ガンダーについては捕縛時点で半ば理性を失っていた。故に言葉の情報は得られず、肉体のみのデータである。同じく──森に複数飛散していたどの生物とも合致しない大きな鱗、つまりガンダーが纏っていたそれから抽出された生体情報も。
「以前、本人を交えてとある話をしました。第二項に載っている少女エル──彼女の人造個性と五毛の個性が酷似しているという話です」
「…………」
「……まさか」
「その話の後、五毛にはセントラルで検査を受けてもらいました。結果」
その場にいた全員が息を詰めた。持ちたくない疑念をより深める一文がそこに記載されていたからだ。
「……似ているどころか」
「個性組織の性質が完全に一致する、だと」
「つまり──五毛は」
「ええ。その組織、……恐らくはガンダーやナベムラのような凶悪犯罪者を抱え込むヴィラン組織……そこになんらかの関わりがあった可能性が高い」
「だが、それならなぜ素直に検査を受ける?本人にこの話は?」
「通していません」
重い空気が流れる。まさか──まさか、生徒が内通者であるのか。しかし、そんな素振りはなかった……
「本人にその意識がなくても、相手は人造個性を作れる奴らだ。なんらかの諜報向きの個性を憑けられているかもしれん」
「……今回新しく現れた敵施設出身者と思しき、ナベムラ。奴はヴィラン連合と行動を共にしていたという」
「つまりその施設組織とヴィラン連合は──同一、もしくは協力関係にあると」
「最悪ね」
ガンダーとナベムラは人造個性の持ち主であった。そして、
人造人間。ホムンクルス。なんと呼ぶべきか──つまり、短期間で
「目が覚めたかな?」
「──……ッ?!ここは」
「久しぶりだね、楽」
「誰だあんたは……?なぜ俺を拘束する!俺は、お前に見覚えなんてないっ」
五毛は薄暗がりの灯りも殆どない室内で目が覚めた。ご丁寧に、頑丈な椅子へきつくギチギチに拘束された状態でだ。尻尾も同じく……
──だがそれ以前に彼は薬か何かを盛られていることに気づいた。筋肉が弛緩しているのか、まともに力が込められない。念入りに行われたそれらは、五毛が秘めたるパワーを目の前の相手が周知していることを裏付けている。
五毛はゴモラとして、夜目は効く。そうでなければ地底を迷わず掘り進めることなどとてもではないができやしない。そんな彼の目でも、ここは相手の顔をはっきり視認できない暗がりだった。
「よく育ったものだ……鼻が高いよ」
「なんなんだ!俺とお前に何がある!?」
「しかしお前にはまだ先のステージがある。こんな所で足踏みしていては期待はずれになってしまうよ」
「答えろ!皆んなをどこにやった!」
だんだんと記憶を取り戻す。そうだ──林間合宿の肝試し中の襲撃。尾白を背負い、毒煙と火に巻かれる森を歩いた。
毒によって意識と理性を失いかけ、そんな折に体格の大きなヴィランと遭遇……しかし生身の範疇をでない大きさの、ナベムラと名乗ったそいつに負けた。
「拐ったのか!」
「お前は獣として、他の獣達とは比べ物にならない力を得ている筈なんだよ……ボクはまさか初期の頃の試作品にクオリティで手が届かない日が来るとは思わなかった。神がかり的な何かがあったのか、それとも君の才能か──いずれにせよボクは再度その高みを掴んでみせる。ゆくゆくは──」
「…………ッッ」
狂気か?否。未だ自らの存在を明かさぬ目の前のそれは、己が世界に浸っているだけ。真の狂気を内に隠し持っていると五毛は半ば確信に近い形で看破する。
「──チッ。だからこそ、あんな金玉野郎ジジイの言うことなんて聞きたく無かったんだけどなあ。君のお友達の話が終わったら、ここに来るそうだよ」
キンタマジジイとは誰なのか。話しぶりからして、厄介な同盟者とでも言うべき立場なのかもしれない。明らかなヴィランである目の前の人間の仲間となれば、そいつもヴィランであることはほぼ確実だが──何の為に?
いや、いくらでも考えつくことだ。勧誘か、隷属か、人質か、尋問拷問か──いずれにしても碌なことではない。
冷や汗が背中を伝う。だが今なお身体は拘束を解く程の力を発揮せず、ギチリギチリと軋みの音を上げるのみ。
「まったく元気な子だねぇ。象くらいなら息も忘れるくらいの薬なんだけどなあ……」
「──ッッッ!解放、しろ……!!」
「そんなことするわけないじゃん。馬鹿なの?現実が見えてないだけかな?親の顔が見てみたい──知ってるけど」
刻々と時は過ぎてゆく。無力な獣は暴れることも叶わずに、ただ絶望をせぬようにもがいていた。
「洸太くん……無事かな……」
山間の合宿所に最も近かった病院の個室。その医療ベッドの上で、治療やリカバリーガールによる治癒を経て尚治りきらぬ程の重傷を負っていた緑谷が茫然と呟き、寂しく響いた。
(『出久……もうやだよ
お母さん心臓もたないよ……』)
「………………」
「あー緑谷!目ぇ覚めてんじゃん」
「え?」
「オハー」
唐突に開いた病室の扉から、友人である上鳴が顔を覗かせた。声をかけられて緑谷は戸惑ったものの、続々と他のクラスメイト達も現れたので、彼らは己のお見舞いにきてくれたのだと理解する。
「テレビ見たか!?学校今マスコミやべーぞ」
「春の時の比じゃねー」
「メロンあるぞ、皆で買ったんだ!」
「迷惑をかけたな。緑谷……」
無論そこには常闇や障子の顔もあった。その顔は確かに悔恨に染まっており、傷を負い寝込んでいる緑谷を慮ってか、ぶつけるようなことはないが、それでもその重さは感じてあまりある。
「ううん……僕の、方こそ……
……A組皆んなで来てくれたの?」
「いや……。耳郎くん葉隠くんは敵のガスによって未だ意識が戻っていない。そして八百万くんも頭をひどくやられここに入院している、昨日ちょうど意識が戻ったそうだ。だから来ているのはその三人を除いた……」
「
記憶するそれより少ない数字。帳尻が合わない。わかってはいるが、脳が理解を拒みたがっている──
「爆豪と五毛、いねぇからな」
「ちょっ、轟……」
「…………」
突きつけられる現実。救えなかった事実。それをなんとか受け止めようにも、緑谷の瞳から、濁々と溢れる悔しさの
「オールマイトがさ……言ってたんだ。
手の届かない場所には救けにいけない……って。だから手の届く範囲は必ず救け出すんだ……っ僕は……!手の届く場所にいた。必ず救けなきゃいけなかった……!僕の“個性”は……その為の“個性”なんだ。相澤先生の言った通りになった……」
頭の中をリフレインする痛烈な事実を述べたあの言葉──
(おまえのは一人救けて木偶の坊になるだけ)
「体……動かなかった……っ」
「じゃあ今度は救けよう」
今、彼は何と言った?
「「「へ!?」」」
「実は俺と……轟さ、昨日も来ててよォ──」
切島と轟。彼らは打ち合わせをするでもなく、この病院に訪れた。それは偏に彼らの居ても立っても居られない思い故に……起きた、ただの偶然であった。
そして二人はクラスメイトが眠る病床を訪れ──半開きになった扉の前で、オールマイトと警察が八百万と話している所に遭遇した。
────
──
『B組、泡瀬さんにご協力頂き、敵の一人に発信機を取り付けました』
『これが、その信号を受信するデバイスです……捜査にお使いください』
『…………この前、相澤くんは君を「咄嗟の判断力に欠ける」と評していた。素晴らしい成長だ!ありがとう八百万少女!』
『級友の危機に……こんな形でしか協力できず……悔しいです』
『その気持ちこそ、君がヒーローたりうる証だよ。後は私たちに任せなさい!』
────
──
……と。
「……っつまりその受信デバイスを……八百万くんに、作ってもらう……と?」
聞き咎める飯田の顔は蒼白で、強張っている。彼は職業体験で同じ過ちを経験しているからだ──
対する切島の表情も苦々しく、到底この決断を正しいとは言えずにいることは明白である。
「オールマイトの仰る通りだ、ップロに任せるべき案件だ!
「んなもんわかってるよ!!でもさァ!何っも出来なかったんだ!!
──ッダチが狙われてるって聞いてさァ!!」
合宿、襲撃。彼は──動けなかった。
「なんっっも出来なかった!!しなかった!!
ここで動けなきゃ俺ァ!!ヒーローでも男でもなくなっちまうんだよッ」
「切島落ち着けよ、こだわりは良いけどよ、今回は……」
「飯田ちゃんが正しいわ」
「飯田が、皆んなが正しいよでも!!
なァ緑谷!!
──まだ手は届くんだよ!」
「ヤオモモから発信機のヤツ貰って……それ辿って……自分らで爆豪の救出に行く、ってこと……!?」
「敵は俺らを殺害対象と言い、爆豪は殺さず攫った──敵の言動からして、恐らく五毛もそうだ。生かされるだろうが、殺されねぇとも限らねえ……敵の一人が、倒された後の敵の身体の一部を取り込んでいた。そういう個性の……“素材”にされねえとも言えねぇ──
俺と切島は、行く」
「やあやあ、初めましてかなぁ?五毛楽くん」
「ッッッ!?!?」
麻痺毒の点滴を繋がれて、ガチガチに拘束された状態で暗闇で放置され精神を憔悴させられていた五毛に叩きつけられた──純粋な悪意という恐怖。
獣の直感か、それとも眼前の巨悪が生み出すその業が言えか、動かぬ身体の細胞が総毛立つような悍ましい恐怖の感情が体躯を犯す。
「僕は、死柄木弔の先生をしている者だ。おおっとぉ!そう警戒しなくても良いよ。心配しなくても爆豪くんは無事さ……この先はわからないけどね」
「フ──ッ、フ──ッッ」
「思考をギリギリ奪わない程度の麻痺と、意識を失わせないように細工された薬液とはねー……、彼も悪趣味だ。よほど自身の
暗くて、重くて、目の前の相手の仕草はわからない。だがしかし呆れている様な態度だということだけはわかった。何をしに来たのかがわからない相手との邂逅は、さらに五毛の精神をゴリゴリとすり減らす。
「しかし僕には──、君がそこまでの逸材だとは思えないんだよ。所詮獣の、そして一人の範疇を出ないようだし、それに僕の力にもならないから素材としての魅力もない。だから」
ひたり、じっとりと汗に湿った額にカサついた手のひらが添えられる。怒りか恐怖かもわからない感情に染まってぶるぶると震える頭を意にも介さず、その男は一人語りを続ける。
「彼には怒られるかもしれないね。しかし、僕はこちらの方が──
沈む。
怪獣人間工場組織がヴィラン連合もといAFOの隠れ蓑みたいになってる……でも八百万ちゃんのおかげでオールマイト達は脳無製造工場にたどり着くし、関連づけて秘密基地のバーにもたどり着きます。
何もうまくいかねえよお〜……
学校もサークルも生活もよお……
至らない私の小説に評価を与えてくださった、103人の読者様に感謝を。