五条悟の双子の妹に転生したら思ったよりも人生HARDモードだった件。 作:タチコマ5条
あれは確か、14歳のお正月の時の話だ。
この時の私達と言えば実家のある京都を離れて、東京に住んでいた。都内の中学校に通いつつ、やれ勉学だのやれ呪術の修行だの、事ある後にきっちりと時間通りに組まされた1日のスケジュールに胃もたれしていた。流石名家、私もそれなりにはつい最近までは女子の嗜みとして茶道やらお花やらお筝だのそれにプラスして、呪術の修行だの勉強だのと、もちろんブチ切れた。
五条家?お嬢様?
セーラー服のエリは翻らさないように、プリーツの裾は乱さないように歩けってか?
あいにく私は前世の記憶があるせいかそんなのはガラじゃない。悟を見ようよ。脱走の常習犯だった。要領いいし地頭もいいからサボったって何処で何をしているんだか、いつも座学の成績は私なんかよりもぶっちぎりでいい。
そこがまた悟が好きになれない理由の一つでもある(ただの嫉妬)
思い切り愚痴になってしまったけれども、年末から暮れにかけて私達は実家の京都へと帰省していた。のんびりした暮れの翌日、新年と言えば呪術界の御三家が集まる会号が開催される。
この会号には何回か参加した事はあるが、子供にとっては退屈極まりなく、大人達が私達の品定めに来させていると言う事は視線から何となくわかっていた。
そんな何回目かの参加する日、私は朝早くから髪を結い上げられ、着たくもない振袖を着せられて動きずらいったらありゃしない。大間出歩こうとすれば巻きついた布が邪魔をして歩幅は小さくなるし、胴体に巻き付けられたタオル入の帯がギッチギチに締め上げられて、否応なしに背筋が伸びるし、晒された首周りが何よりも冷たい空気に晒されて寒いのなんの···。
正直もう帰りたい。
「···はぁ」
会号から抜け出した日本庭園の中庭で、1人ため息をついた時だった。
ジャリッと背後から石を踏む足音が聞こえて振り向けば、黒髪の歳が同い年くらいの男の子が立っていた。
この子も会号の席から抜け出して来たんだろうか。
「へぇ···、君が悟君の妹やんね?」
「···、どなたですか」
大阪弁につり目···どっかで見た事があるような雰囲気だ。
でも、何処で?つり目の彼は私を下から上へと視線を向けてきて、何だか気持ちの悪さと、嫌悪感を抱いた。
「あぁ、そないに警戒せんといて。いやぁ、あまりにもべっぴんさんやったから思わず見蕩れてしもただけや。俺、禪院直哉言うねん」
「···」
禪 院 直 哉☆
金髪じゃなかったから分からなかったわ。
触らぬ神に祟りなし。
よし、帰ろうそうしよう。悟は置いてっていいよね、女子に囲まれてるしウハウハでしょ。
「まあまあまあ、ちょおまちぃや。なぁ、ちょっとだけでええから話せぇへん?」
無言で去ろうとしたら、後ろから肩をガッシリ掴まれて強制的に振り向かされた。
細められた目が笑ってない。
今どき昭和?大正?な思考の持ち主ですもんね。
後ろで白ちゃん、激おこなんですが暴れたらどうしようかな。