IS学園の劣等生   作:tubaki7

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第二話 激突

「え、間に合わない?」

 

《えぇ、そうなの》

 

 

不幸だ・・・・。あ、どうも。先ほど代表候補生に啖呵を切るというバカをやってのけた枢 巧です。あの後急いで俺のマネージャー?牧瀬由里子さん(年齢不詳彼氏募集中)に電話をし、専用機云々のことを聞いたところまぁ予想していたよりもヘビーな返事が返って来た。

 

 

《それはそうとなんかさりげなくバカにされたような気がするんだけど?》

 

「気のせいッス。つか、間に合わないって本当ですか!?」

 

《本当よ。そもそも巧君自身の戦闘データも少ないし、私たちで勝手にシミュレーションして組み上げるには無理があるのよ。そもそも貴方の戦い方って普通じゃありえないようなことするし、変則的すぎるの。だからその日にちまでにデータ揃えてってなるととても人間業じゃ無理ね》

 

「そうですか・・・・」

 

 

相手は専用機で、しかも搭乗時間二桁は確実。織斑も学園側で手配ができないとかで専用機が与えられるみたいだし。俺だけ機体なしとか洒落になってないよ!

 

 

《あ、でも安心して。巧君が入試の時に使った機体、覚えてるかしら?》

 

「えっと、たしかラファール・リヴァイブでしたっけ?黒のカラーリングされてましたよねたしか」

 

《そう、その機体ならこっちでチューンアップして後日渡せる手筈になってるわ。明日織斑先生から受け取ってちょうだい》

 

「了解ッス。なんかすんません」

 

《いいのよ。私たちだって貴方のデータ取りを怠ってしまった面があるし。リヴァイブなんだけど、さっきも言った通り貴方の戦い方に合わせて調整してあるから、いきなり出力が出過ぎてびっくりするなんてこともないと思うわ。だから・・・・絶対勝ちなさい」

 

 

最後の方は声のトーンが違っていた。聞いてやる気と闘志がわいてくる。誰かから応援されて力が出るってよくスポーツとかであるけどまさにそれだ。この人に言われて、負ける気がしない。

 

 まぁ、それは言いすぎだが。それはそれとして、

 

 

「ありがとうございます。今度何か持ってきますよ」

 

《ホント!?ならこの前作ってくれたマドレーヌがいいわ。班のみんなも社長も喜ぶわ》

 

「りょーかい。それじゃ、また」

 

《えぇ。おやすみなさい》

 

 

通話を終える頃にはもうすっかり陽も落ちている。何だか一日が濃すぎて頭が回りそうだけど、それを被りを振って払う。

 

 

「あれ~、もう電話終わったの?」

 

「あぁ。悪いな、気を遣わせて」

 

 

現在、寮の自室。同居者が何故か織斑じゃないところに悪意を感じつつ入ってみれば内装はもう高級ホテル並。これが学生の寮だというのだから色々と感覚が狂いそうで恐い。ちなみにこの声の主は同じクラスの光野ほのか。どうやら彼女は鴻上のおっさんところで働いていて俺の機体の専属整備をしてくれるらしい。何度か店に食べに来てくれていたらしいがだいぶ前だったので互いに忘れていたところ、同室のよしみで色々話していたらそうだった、といういきさつ。よし、これでもうボッチになることはない!

 

 

「由里子さん、なんて?」

 

「明日には織斑先生から受けてれる手筈だってよ。これでひとまず問題クリアだ…」

 

 

ドッと疲れがでたのかやけに躰が重く感じる。なので椅子の背もたれでは我慢できずにたまらずベッドに背中からダイブ。おぉ、さすが高級ホテルクオリティのベッド。弾む弾む。

 

 

「お疲れ様。はい、お茶」

 

「ん。あとはあのドリル頭をどうやってシメるか・・・・」

 

「発言が物騒すぎる上にシメられる姿しか浮かばない」

 

 

ツッコミに容赦がないのは気にしないしするほど仲が悪いというわけでもないのでスルー。起き上がって紅茶を受け取って一口。うむ、おいしい。どれ、もう一口――――

 

 

《ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!?》

 

「ブフーッ!」

 

「キャッ、もうなにしてるのォ!?」

 

 

何もこうも、そりゃ飲んでる最中に急に悲鳴聞こえてきたらそうもなるわ。つかこの声・・・・隣の部屋か?まさかゴキb・・・・っと、名前を呼ぶのも憚るあの黒き悪魔のことは考えなくてもいいだろう。これだけキチッとされた内装でそれはありえない。なら…ヘンなもんでも見たか?

 

とにかく。

 

 

「行ってみるか」

 

 

とりあえず気にあるから部屋から顔を出してみる。すると青ざめた織斑が扉の前で腰をぬかしていたのをみて大方の予想をつけてみる。そしてこう言うのだ。

 

 

「「あ、やったな/やりましたね」」

 

 

光野と声を揃えてそう言った。

 

 

「お、おぉ枢!頼む、助けてくれ!」

 

「知るか。自業自得だ」

 

「ですね」

 

 

二人してうんうんと頷く。織斑がなにか抗議の声をあげているがそんなことは知ったこっちゃない。どうせ同室の女子のシャワーシーンにでも出くわしたんだろう。えっと、こういう時はたしか捥げろだったか?とにかくザマァ見ろ。とだけ言っておく。

 

 

「てめぇ、裏切るのか!?」

 

「裏切るもなにも元からそう親しくもないだろ。つか逃げた方がいいんじゃないのか?なんかドアの向こうから阿修羅的ななにかがにじみ出てるんだが」

 

 

みっともない声を上げて織斑がドアから背中を離すと中からそれこそ阿修羅を身に纏った・・・・

 

 

「篠ノ之箒さん」

 

「そういやそんな名前だったな。うわ、アレ目が完全に据わってるぜ」

 

「織斑さん、余程見てはいけないものを見たのでしょうね・・・・合掌」

 

 

俺もそうだが此奴も大概容赦ないな。人懐っこそうな顔して言うことやることが意外とエグい気がする。と、とりあえず俺も合掌しとくか。桑原桑原、成仏しろよ織斑。お供え物は…団子とかでいいよな、無難に。

 

 

「人を勝手に殺すな!」

 

「天誅!」

 

 

廊下に竹刀のいい音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

IS学園の劣等生 ~第二話 激突~

 

 

 

 

 

 

真っ赤に晴れたたん瘤は鏡餅のみかんのよう。オマケとばかりに理由を聞いた光野がひっぱたいた右頬の腫れは紅葉のようだ。

 

・・・・さすがにちょっとかわいそうな気もする。

 

 

「で、俺たちはあの高慢ちきに一泡吹かせなきゃなんねーわけだが・・・・織斑、自分の専用機の概要とか聞かされてるか?」

 

「まったく。届くまでわかんねぇみたいだ」

 

 

・・・・コレ、詰んでね?

 

なにさ直前までなにもわかりませんよ的な。いらねーよそんなびっくりドッキリなんちゃらみたいな感じ。こっちは真剣なんだよコンチクショウ。

 

まぁでも何も情報がないわけじゃない。今はそれをフル活用して練れるだけの戦略を練るしかない。

 

 

「今現在わかているのはオルコットさんの機体、ブルーティアーズは遠中距離戦型の完全狙撃型でそれを操るオルコットさん本人もかなりの腕前らしいです」

 

「なるほど。試験で教官を倒したとかたいそうなこと豪語するだけはあるみてーだな…」

 

 

資料映像として残っているのを片っ端から集めて見比べてみる。たしかにあれはただの口先三寸じゃない。経験と結果からくる本物のものだ。

 

・・・・つか、今になって思うけどトンデモねー奴にケンカ売ったんだな俺。若いって恐い。

 

 

「決戦場所はアリーナですから、そう射線を読むのは難しくはないと思うんですけど・・・・」

 

「問題は、二人の連携と戦法、だな」

 

 

織斑はともかくとして、俺の出来る戦法なんて形だけ様になってると言われた中距離射撃と近接くらい。無難にいくと俺が弾幕ばら撒いて攪乱、隙をついて織斑が攻撃を当てるってとこがセオリーだな。

 

でも、はたしてうまくいくかどうか・・・・。

 

 

「…ま、なんとかなるだろ」

 

「随分と楽観的だな」

 

「これだけじゃ考えることもたかが知れてるだろ?それにやってみなくちゃわかんねーんならいくら頭絞っても無駄だし。まぁなるようにしかなんねーってことさ」

 

 

此奴、意外と硬派じゃない・・・・?なんかこう、色々と考えてるタイプかと思ってたけどそうでもなさそうだ。

 

 

「気楽だな…」

 

「だってそうだろ?それにさ、たぶん役割決まってるとおもうぜ」

 

「どういう意味だ?」

 

「お前が撃って、俺が斬る。近接なら昔剣道習ってたし、今でも少しだけ運動がてらに素振りくらいはやってるしさ。それしかできねーけど・・・・でも、きっちり互いが互いの役割を果たすことができればどうにかなりそうだ」

 

 

・・・・驚いた。このなにも考えてなさそうな顔してそんなことまで考えてるのかこの男は。

 

 

「…織斑」

 

「なんだ?」

 

「おまえ、変なもんでも食ったか?」

 

「今更だけど俺の扱い酷くね?」

 

 

 かくして、それぞれに分かれて鍛錬という名の悪あがきをし、入念に資料映像みては研究を重ねて決戦当日。俺と織斑、そして篠ノ之と光野はアリーナのピットにいた。

 

 

「フォーマットとフィッティングはこれでよしっと・・・・どう、違和感とかは?」

 

「あぁ、悪くない。むしろあの時よりしっくりくる感じだ」

 

「フフン、なんてたって私が整備してますから!」

 

 

誇らしげに胸を張る。それにより篠ノ之に負けず劣らずな双丘が小さく上下に揺れたのは見逃さない。

 

 

「よし、こっちもオーケーだ」

 

「オーケーだって、織斑君それ初期設定のままじゃ…」

 

《アリーナの使用時間が限られている。織斑はそのままぶっつけ本番でやれ》

 

 

と、実姉とは思えないほど厳しい一言が。普通はこれ時間かけてやってからISの戦闘とかってやるもんなんですけどという光野のボヤキはさておき。歩いて機体をカタパルトに移動させ、射出されてグラウンドの中央へと躍り出る。後からやてきた織斑も同様だ。

 

 

「あら、逃げないで来ましたのね」

 

「ああ言ったらそもそも逃げられないしな」

 

「なんだよまだ渋ってんのか?」

 

「だってメンドクサイ」

 

「今更なに言ってんだよ。ここまで来てそりゃないって」

 

 

オルコットがいるのも無視して織斑とそんな会話を始める。あ、やっぱりワナワナし始めた。なんか知んないけど此奴弄ってると楽しい。俺ってひょっとしてドsなんだろうか。

 

 

「このわたくしを前にしてその余裕・・・・いいでしょう、泣いて謝れば許してあげようかと思いましたが…こうなれば、全力で叩き潰してさしあげますわ!」

 

「ハッ、その言葉、そっくりそのまま返してやんよ」

 

「ぐぬぬぬ・・・・」

 

 

あ~、楽しい。めっちゃ楽しい。・・・・俺もとうとうおかしくなったか。

 

 

まぁ、でも。

 

 

「絶対に許しません!」

 

「ハン、かかってこいよドリル頭!」

 

 

これくらいの方が、幾らか気が楽だ。

 

かくして、激闘は幕を開けた。




オリジナル・・・・ではないキャラクター光野ほのか。引用元は魔法科高校の劣等生にて登場する光井ほのか

かわいいよほのか
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