IS学園の劣等生   作:tubaki7

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第三話 闘争

 

《いいか織斑、打ち合わせ通りに》

 

「あぁ…わかってる」

 

 

プライベート通信で枢が俺に作戦の確認をしてくる。俺の機体、〝白式〟はまだ初期設定段階でまだ第一次移行もままならない状況。つまり、まともに戦おうと思ったらまずはこの段階にまでいかないといけない。でも、時間の都合上それはできないって千冬ね―――――織斑先生の指示で急遽作戦を変更。俺の設定が済むまで時間稼ぎしてから本格的に攻め込む、シンプルだけどそれがいいって枢が言ってた。

 

にしても凄いと俺は思う。あんな少ししかない時間でここまで練り直すなんて・・・・俺には多分無理だ。昔っから頭使うのどうも苦手だし。勉強とかは案外自信があるんだけどなぁ。戦略ゲームとか対戦なんてしたら3分持たない自信はある。

 

 そんなわけで、俺は枢の指示通りにとにかく動き回る。負けるわけには・・・・いかない!

 

 

「さぁ踊りなさい。わたくしセシリア・オルコットと、ブルーティアーズの奏でるワルツで!」

 

 

機体が警告を鳴らす。それに反応して考えるよりも速く躰が動いた。なんで飛んでるのかも、なにもかもがわからないままの機体をとりあえず「避ける」という思考の元指示を出すとごく自然に、当たり前にふわりと空中に浮かび上がった。これが専用機・・・・まるで服みたいだ。あの時、試験の時乗った奴とは比べ物にならないくらいに馴染む。

 

 

(やれる。どこまでできるかわからないけど・・・・それでもやるんだ!)

 

 

実体化した剣を――――つか、形状からして刀か。それを握りなおして改めて自分に気合いと喝を入れる。装備がこれしかないなら、それで切り抜ける。あとは俺が此奴を乗りこなせるかどうかだ。

 

 

「ほぅ、今の攻撃を躱しますか…しかし!」

 

 

来るッ!

 

 

「これはどうですか!?」

 

 

さっきよりも数が多い!つかこれ躱すとか無理だろォ!?

 

と、思いつつ後ろに上にと急加速に近い動作で動く。・・・・首が?げるかと思った。

 

 

《落ち着け織斑、相手の動きをよく見ろ。何度も繰り返したシミュレーション、それよりも良く動ける機体に乗れてんだ。変な失敗しなきゃやれる。それまで持ちこたえるぞ…》

 

 

出逢ってからまださほど仲良くなった気はしない。でもわかるんだ、なんとなく。此奴となら、なんとかなりそうな気がするって。

 

だから

 

 

「おう、任せとけ」

 

 

そう言い切ることができるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園の劣等生 ~第三話 闘争~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぁ~にが「おう、任せとけ」だ。おっかなびっくりで動きやがって。・・・・スゲー、彼奴あれ避けるんだ。

 

視界の隅限界で武装の確認をしながら機体を捌く。中距離用の銃が二丁、遠距離が一丁、そして実体剣が一本。・・・・え、なにコレ。コレでやれって?

 

ほぅ・・・・へぇ・・・・うん、オワタ。無理、詰んだ。銃とか無理なんだけど。試験の時とりあえず使って一発も当らなかったのにンなもん三つも積んでどーすのさ。まだ手榴弾と実体剣何本かあったほうがいいよ。いや、大事だよ飛び道具って。でも俺飛び道具が大の苦手なんだよ。おまけに織斑の武装ってあの剣一本だけっぽいし。つかそんなんに拡張領域(バススロット)全部使ってんのかよ。どんだけだソレ。

 

 

「えぇい、ちょこまかと・・・・ッ!」

 

 

と、それはそうとあっちは見事にかかってくれてる。まぁぶちのめしたい奴が二人同時ならそらこうもなるわな。

 

さて、あまり使いたくねーけど…やるしかねぇよな。

 

 

「ホラどうしたよ代表候補生さんよぉ!ド素人二人ぐらい返り討ちにすんじゃねーのかァ!?」

 

「っ、言われなくても!」

 

 

完全に注意がこっちに向いたし、動きが止まった。これなら!

 

 

「下手な鉄砲数うちゃなんとやらってな!もってけダブルだ!」

 

 

展開したのはいわゆる二丁拳銃。ガンカタ。でもそんなアクロバットなんて急にできないのでとりあえず射程距離ぎりぎりでトリガーを引く。オートで飛び出していく熱線の嵐は容赦なくオルコットを狙う。

 

が、しかし

 

 

「その程度の狙撃――――」

 

 

構えたライフルから光が迸る。

 

 

「止まって見えますわ」

 

「・・・・マジか」

 

 

相殺するとかアリかよ。

 

 

「それで終わりでして?でしたら次は此方がお見せする番です。お行きなさい、ブルーティアーズ!」

 

 

機体の周りを浮いてた細長い物体が次々に緑色の熱線を吐き出す。俺と織斑、同時に相手をしながらのこのビット捌きはもはや異常だ。ビット兵器の抱える〝ハンデ〟をもののみごとに克服してやがる。此奴、一体ここに来るまでにどれだけの訓練積んできたんだ・・・・!?

 

 

「こ…ンのォ!」

 

 

織斑が気合いでBT(ビット)を剣で破壊する。それによりできた穴目掛けて突進に近い加速をして離脱し俺を包囲しているBT兵器を破壊する。

 

 

「大丈夫か枢?」

 

「…あぁ、なんとか」

 

 

大丈夫じゃない。エネルギーがもう危険域に差し掛かっているからヘタな事できない上に飛び道具はまるでダメ。このままじゃ、すぐに・・・・いや、既に詰む!

 

 

「・・・・中々持ちましたわね。正直、貴方方のしぶとさを侮っていましたわ」

 

「見直してくれたようでなによりだ」

 

 

さて・・・・最後の賭けにでるか。もうこれしか切り札がない。これでダメなら、あとは織斑次第だ。

 

 

「ところでオルコット。一つ聞いていいか?」

 

「うむ…特別に許可いたしましょう」

 

「ん。アンタ、代表候補になったのはどれくらいだ?」

 

「年単位ですわね。色々あったので忘れてしまいましたが」

 

 

・・・・なるほど、ね。

 

 

「・・・・それだけだ」

 

 

これでわかった。俺達は此奴には勝てない。経験値とか、そういうもんじゃない。

 

 背負ってるものが、違いすぎる。

 

年単位で、その座を勝ち取ることがどれだけの苦行なことか。生半可な覚悟じゃ絶対に勤まらない。

 

 でも、だからと言って諦められるほど俺はできてはいない。譲れないものぐらいある。

 

勝つと言った。言い切った。だから勝つ。たとえそれがどんな勝利だったとしても。

 

 

 

「あら、それだけでいいんですの?」

 

「…あぁ」

 

 

だから

 

 

「〝もういいぜ〟」

 

 

この一手で、詰める。

 

 

「そう、ならもう――――」

 

「待ってたぜ、この時を!」

 

 

俺の後ろにいる織斑が光を放つ。それを見て困惑する観客とオルコット。これが何を意味するかを知っている俺は口角を歪めた。勝てない?経験値が足りない?背負ってるものが違う?

 

そんなものはクソくらえだ!

 

 

「これはまさか、一次形態移行!?もしかして貴方今まで初期設定のみで・・・・ッ!?」

 

 

オルコットが俺の歪んだ笑みに気付いてハッとなるのが見えた。そうだよ、アンタは最初っから俺の術中の中さ!

 

 

「ですが、まだ間に合います…これでフィニッシュですわ!」

 

 

機体から二門の砲身がせり上がる。そこから放たれるは白き杭――――つまりミサイル。

 

 

「させるわけねーだろッ!」

 

 

真正面から突撃。そして――――拳を付きだす。つまりはパンチだ。これにはさすがのオルコットも「ハァ!?」と驚愕している。それもそうだ。ISでの戦闘は武器を使うのが当たり前に思える。だが何も武器を使うというルールなんてものは存在しない。武装のない機体なんて存在しないからだ

。それ故にISでの肉弾戦なんてやろうなんて発想はない。近接戦はそれ専用の武装で、とても誰も拳でなんて発想はないだろう。

 

それ故に――――っていうわけじゃないんだけどな。単に俺がそっちの方がやりやすいってだけだし。

 

 一発目をパンチで破壊、そして向かってきた二発めのミサイルを――――俗に言う喧嘩キックで強引に真正面から粉砕。爆煙で視界が遮られたところを突き抜け、拓けたところはオルコットの目の前。

 

この距離なら撃てないだろ!

 

 

「歯ァ喰いしばれよ優等生!劣等生の拳は、ちっとばっかし響くぞ!?」

 

 

思いっきり右拳を付きだす。それが下腹部にヒットしオルコットがよろめく。

 

 

「グゥ・・・・ッ、まだ、まだです!」

 

 

抜き打ちのライフル。それが俺を射抜き、リヴァイブのエネルギーを削りきった。

 

敗北だ。もう俺は気が済んだ。だから――――

 

 

「ここからはお前のステージだ・・・・織斑」

 

「あぁ・・・・任せろ」

 

 

頼もしい。・・・・あぁ、なんか悔しいな。墜落する中、織斑の握る剣が光輝くのをかろうじて視界に納める。オルコットに向かって勇猛果敢に叫びをあげながら剣を振りかざすその姿は見かけもあってまさに騎士のよう。ヒーローって言葉が合うかもな。

 

まぁ、なにはともあれ

 

・・・・悔しいなぁ。そう思ったところで俺は意識を手放した。

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